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死なないで



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【この小説が収録されている参考書籍】
死なないで
死なないで (徳間文庫)

死なないでの評価: 4.20/5点 レビュー 5件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.20pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(1pt)

「感涙のドラマ」? 結論から言えば、全く期待はずれでした。

右手人差し指を向けて念じるだけで相手を殺すことが出来る大学生・江藤路子。彼女は両親を殺すことをずっと切望して生きてきた。しかし母がある日急病で倒れ、意識を失ってしまう。「お母さん、病気なんかで死なないで。あなたは私が殺すんだから」。路子は長年の望みを果たすことが出来るのか…。
 第3回日本SF新人賞を受賞した著者が2003年に書き下ろし作品とのこと。
 主人公・路子が「殺意を抱くほどの憎悪」をなぜ両親に対して抱いているのか、その「そもそも」が説得力ある形で提示されていないので大きな不満が残りました。
 確かに彼女のような10代が親に代表される世間に対して怒りを感じるのは珍しくありません。学校で教えてくれた道徳や人倫の物差しが当てはまらない社会に、大きな理不尽を感じてもがき苦しみ、やがて怒りを募らせる。若者とはそういう存在です。私自身もそうでした。それは成長への過程です。
 しかしこの小説には、路子も持っているであろうその若者特有の心のもやもやが、「両親への殺意」へと発展していく道程が説得力をもって描かれていません。私は世間や両親よりもむしろ路子という若者の心に対して距離を感じてしまいました。
 最近の現実社会では、親が子に対してこれほどまでに過酷になりうるのかと思わせるような事件が頻々と起こっています。報道で見聞きするそうした事件と比較すれば、この物語に登場する路子の親は「ずっとまし」な部類です。彼らは決して褒められた親ではないかもしれませんが、この親を万死に値するとみなす路子のほうに「度を越した狂気」を感じたのです。
 路子が何に対して異常なまでの殺意を抱き、自らの能力に悩み、これからの人生を歩んでいこうと最後に決意するに至るのか、胃の腑にすとんと落ちるような組み立てがプロットにないため、時として苦痛を伴う読書に終わってしまったのが残念です。
死なないでAmazon書評・レビュー:死なないでより
4198616949

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