■スポンサードリンク


クリスマス・キャロル



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

クリスマス・キャロルの評価: 4.02/5点 レビュー 66件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.02pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全66件 1~20 1/4ページ
No.66:
(5pt)

Xmas関係の名作であり、子供向けにも大人向けにも読んでおすすめの本である。

字が大きく、ふりがなもあるので、すべての年代の人にも読みやすい名作となっている。
クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)より
4001145510
No.65:
(4pt)

心の奇跡を呼ぶ、クリスマスの感動物語

クリスマス・キャロルは、チャールズ・ディケンズの手がけた短編小説。物語の主役は、エベネーザー・スクルージという金にしか興味がない冷酷な老人です。クリスマスの夜、彼の元に7年前に亡くなったビジネスパートナーの霊と、過去・現在・未来のクリスマスの精霊たちが訪れました。彼らはスクルージに、自らの行いの結果として待ち受ける悲惨な未来を見せつけます。果たしてスクルージは心を変えることができるのか?クリスマスの本当の意味を理解することができるのでしょうか?

私はこの本を読んで、スクルージの心の変化に深く共感しました。彼は最初クリスマスを嫌っていたのですが、最後にはそれを愛するようになります。彼の行動、財産を分け与えること、ボブの家族に手を差し伸べること、甥への謝罪は、まさに奇跡のよう。彼は自分の人生を見事にやり直したのだと思いました。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.64:
(4pt)

あとがきがとても面白い

銭奴・金の亡者のドケチ強欲ジジイ・スクルージ。
クリスマスを楽しく祝う心を持ち合わせていない彼は
クリスマス・イブの夜に、亡くなった友人マーリーの亡霊と出会う。
このままではいけないと忠告を受けるスクルージ。
続いて過去・現在・未来を司る精霊と出会い、
今までの、そしてこれからの自分と客観的に向き合う。この旅の果てに、ドケチジジイはどこへ辿り着くのか…。

自分の事を客観的に見つめてみると、思ったよりまるでひどい人間だ、みたいな事があるかもな一冊。
ひどいと感じられるうちは大丈夫なのかしら。
改心、という言葉でまとめられがちな物語ですが、
翻訳者の方のあとがきは少し異なる見解でした。

古典新訳文庫は翻訳者のあとがきが毎回面白い。この本ではスクルージのもともとの精神性は
真っ直ぐである事に強く触れられている。ドケチジジイの改心劇、ではないのだと…。もとから善良な素質が、暮らしにすり減ってこうなったのだと。
当時の社会の変化も大きな要因となっていると語るあとがき、読み応え抜群。
物語を楽しみつつ、スクルージという人気キャラクターを深く掘り下げる一冊。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.63:
(5pt)

人は気がついた時に瞬時に変わる事ができる.

若い人にこそ呼んで欲しい本.分量はそれほど多くない.多少,当時のイギリス社会についての詳細な記述で冗長な部分はあるが,それもディケンズの文体として,軽く読み流せばいい.後半,スクルージの変貌を周囲の人は笑うが,スクルージ自身は一向に気にしなくなる,どうすべきか気がついた瞬間に,人は変われ,そして,枝葉末節なことは気にならなくなる.人のために善をなし,人生を楽しく生きる.本文の後にある解説に,古典文学を読む意義が書かれていて,それも共感する.
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.62:
(5pt)

クリスマスに読もう

クリスマス・イブの夜に読み始めクリスマスを迎えた。慈悲の心、寛容さ等包まれ迎えた朝は美しかった。イブにスクルージーと共に善人になる体験。小説だけでなく映画化されても美しいストーリー。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.61:
(4pt)

翻訳の小説がお好きの方へ

映画にも舞台にもなる名作ですが、小説ならではの魅力を楽しみました。

翻訳の、この独特な文章表現をじっくり味わうのがポイントです。

クリスマスといっても、今の日本のクリスマスの雰囲気とはだいぶ違うのでその辺も読み込みポイントだと思います。

翻訳小説好きの人にはオススメです。

あまり小説読まない方には読みづらくて太平洋かもしれません。
クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)より
4001145510
No.60:
(3pt)

何よりも先ず相棒マーリーの昇天をこそ願うべきではあるまいか!?

キリスト教版説法と云ったところだろうか、坊主が衆生に人生の徳を解りやすく語り聞かせるように、当時の民衆に向けてクリスマスに寄せて人の生きざまを物語に託して語りかけている。人は心持ちに依って救われると云うことか!?それにしても先触れをなした元の相棒の亡霊のなんとも救いがなく哀れなことか、死ぬまでに神の赦しを請わなかった罰か?気づかされたスクルージは何よりも先ず相棒マーリーの成仏…いや昇天をこそ願うべきではあるまいか?
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.59:
(5pt)

『クリスマス・キャロル』は、大型絵本『クリスマス・キャロル(新装版)』に止めを刺す

チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』の本は数多く出版されているが、大型絵本『クリスマス・キャロル(新装版)』(チャールズ・ディケンズ作、ロベルト・インノチェンティ絵、もきかずこ訳、西村書店 東京出版編集部)に止めを刺すといっても過言ではないだろう。

クリスマス・イヴのことだが、強欲冷酷な利己主義者で自分の殻に閉じ籠もる老実業家スクルージの前に、7年前に亡くなった共同経営者マーレイの亡霊が現れる。マーレイは、過去、現在、未来の精霊が順にスクルージを訪れることを言い残して去っていく。精霊たちが示す光景を見て心を改めたスクルージは、人々に善行を施し、共にクリスマスを祝う。こういう粗筋の原作の魅力もさることながら、もきかずこの訳が絶妙な上に、ロベルト・インノチェンティの絵が何とも素晴らしいのだ。読者は誰もが、自分も当時のロンドンの下町にいるかのような気分にさせられてしまうことだろう。

「心の冷たさは、スクルージの外見をも凍りつかせた。とがった鼻をさらにとがらせ、頬をしぼませ、足どりをこわばらせた。目を血走らせ、薄い唇を青ざめさせた。また、彼の冷たさは、その耳ざわりな声にもはっきりあらわれていた。スクルージの頭や、眉や、すじばったあごは、白い霜でおおわれ、身のまわりには、つねに冷えびえとした空気がただよっていた。暑さのまっさかりにも、スクルージがいるだけで事務所は冷えこみ、クリスマスだからといって、寒気が1度ゆるむということもなかった」。

「『わたしの時間は少なくなった。急げ!』。(過去の)精霊のこの言葉は、スクルージに向けられたものでも、目に見えるだれかに向けられたものでもなかった。が、その効果はたちまちにしてあらわれ、スクルージは、またもや自分の姿を目にすることになった。さらに年を重ね、はたらきざかりの男になっている。その顔には、もっと年をとってからできた、けわしく固いしわこそなかったが、そろそろ用心深さと貪欲の影がさしはじめていた。目は、きょろきょろ、がつがつと落ち着きなく動き、すでにあくなき欲望という木が根をはっていること、成長するにつれてその木がどこに影を落とすかということを告げていた」。

「『あなた様(未来の精霊)がお示しになっている墓をよく見る前に、ひとつおたずねしたいことがあります。これまで見せていただいた幻は、将来必ず起こることなのですか? それとも、起こるかもしれないというだけのことなのですか?』。それでも精霊は、そのかたわらにある墓をさし示すだけだった。『人が生きていく道すじは、どういう末路を迎えるかを暗示しているのですね。生き方を変えなければ、末路も変わらない。けれど、もし生き方を変えれば。末路も変わるのですね。あなた様は、これまで見せてくださったことで、そうおっしゃりたいのでしょう!』。精霊は、依然、身動きひとつしなかった。スクルージは、ふるえながら、はうようにして精霊に近寄り、その指が示すものに目をやった。そして、だれにも世話されず、ほったらかしにされた墓石の上に、自分自身の名前を認めた。エビニーザ・スクルージと。『あのベッドに横たわっていたのは、このわたしだったのか!』。スクルージは叫び、へなへなとくずおれた」。

私も生き方を変えようかなと思わせる作品である。
クリスマス・キャロルAmazon書評・レビュー:クリスマス・キャロルより
4890139443
No.58:
(4pt)

ひと時ほっとできる作品

ディケンズの名は小学生の頃から知ってはいた。「クリスマス・キャロル」という作品も知ってはいた。1960年代の終わりころ我が家にあった小学館版少年少女世界の名作のイギリス編の中にあったはずだが、イギリス編はほとんど読んでいなかったと思う。なぜかイギリスの文学は重く暗いと思っていた節がある。特にディケンズは重々しい感じがしていたような気がする。実際に60歳をとうに過ぎて今年初めてディケンズの作品を読んでみて、いかに思い込み、先入観があてにならないものかを知ることとなる。本作を読むとほんわかあたたかい空気に包まれる。巷では様々な格差が拡大していると指摘され、文学やアニメの世界ではディストピアを描く作品もたくさんつくられ、確かに現実も生易しいものではないようにも思える。そんな中で、たとえ1年で1度きりであっても家族、友人たちと一時を過ごせることの楽しさ、喜びがえがかれている本作を読むと、ひと時ほっと息をつぐことができる。
その勢いに任せて、光文社版の「クリスマス・キャロル」を底本として坂田靖子さんがコミック化した「クリスマス・キャロル」も読んでみた。「並はずれた守銭奴で、人の心を石臼ですりつぶすような情け知らず」と作者から指摘されている主人公スクルージが、深いところではそうではないという人となりがうまく表現されているし、原作の面白みがより引き立っている。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.57:
(5pt)

繰り返し読みたい名作

クリスマスの時期になると読みたくなる、何度読んでも感動する名作です。イギリスのクリスマスの風景描写も美しく、人として大事なことが説教くささなしに描かれています。温かい気持ち大切なことを思い出したい時にぜひおすすめします。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.56:
(5pt)

ディケンズすげー!!

小学校の頃に父が読み聞かせてくれてから30年ほどして、自分の子供たちに読み聞かせるために再読。さらに下の子のために再読してレビューを書きます。30年の間、ディケンズの小説を読んだことはまったくなかったのですが、僕の感想は「ディケンズすげー!!」です。
 すごいと思う一つ目の理由はその想像力です。読み始めてすぐに感じた率直な感想は「これはハリーポッターじゃないか!」ということでした。JKローリングが影響を受けていたのでしょうか。ググってみたところハリーポッター自体よりもその後に彼女が書いた小説について、ローリングをディケンズの後継者だとみなす記事があるようですが、僕はハリーポッターしか読んでいないのでハリーポッター・シリーズそのものに類似点があるというところを指摘したいです。まずクリスマスキャロルで幽霊に連れられて過去を見に行くところはハリーポッターが Pensieveを使って過去を見に行く場面と状況が似ています。しかもその際の場面転換で景色が溶けていく描写などはまったく類似しており、まるで現代の映画でのCG表現を文字にしたようです。幽霊たちの外見もハリーポッターに現れる幽霊や Dementer に似ているようだし、鎖やロウソクなどの小物の使い方も似ているように思います。まったくSFXが存在しなかった時代にこのようなものを想像することができたディケンズはすごい!
 次にすごいと思う理由はストーリーです。生命の危険を伴うような極限的な体験をした主人公が、これまで気づいていなかった生の実感に目覚め、物事を捉え直し、感謝を感じ、周囲の人に対し心を開き、人生を変えた。そしてそのような体験談を視聴者とシェアすることで、視聴者にも同じような意識を持ってもらいたい、というメッセージ性。これは、まさにTED Talksの一つのパターンではないでしょうか。これが現代に本当に起きた物語だったら、スクルージはTED Talksに登壇してスライドを使って3人の幽霊について語り、スタンディングオベーションを受けているでしょう。今なお価値を高く認められるストーリーだと言えると思います。
 描写も素敵です。クリスマスのロンドンの描写も非常に活き活きとしていて楽しくなります。これが意外にも、解説によれば当時のロンドンではクリスマスの風習が衰えており、ディケンズの創作だというのだからますます驚きです。文体は適度に華美にレトリックが効いています。トム・ソーヤのマーク・トゥウェインほどやりすぎではありません。古典では読み難かったり差別的で今読むと眉をひそめさせられる表現があったりすることもありますが、この本についてはそういうひっかかりはまずありません。
 子供たちは最初の方では怯えていましたが、恐ろしいのは序盤だけでした。子供たちはその恐ろしい部分を越してからは(ごく一部を除き)リラックスして楽しみながら教訓を吸収し、最後には感動した様子でした。
クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)より
4001145510
No.55:
(3pt)

涙が出ない

村岡花子さん版を持っていたのですが、ばらけてしまったので買いました。同じ本でも訳者によってずいぶん雰囲気が変わるなとビックリしました。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.54:
(1pt)

翻訳がひどく、読み進めるのが苦痛になる。せっかくの名作が台無し。

大学の文学部の年老いた大教授などが、歴史的名作なのでありがたがって読むようにと翻訳したかのような、小難しい言葉使いのオンパレード。ディケンズのシニカルで大袈裟なユーモア満載であろう本作が台無し。たどたどしく読み進めなければならず、いらいらする。他の翻訳で読み直します。これのどこが「古典新訳文庫」なんだ?
ユーモアのセンスは持って生まれたもので、後から中々磨けるものではないので、色々な本を手掛けられたベテランの翻訳家の方が必ずしもユーモアのセンスをお持ちではないと再認識。
個人的には、岩波文庫で『デイヴィッド・コパフィールド』を見事に翻訳された石塚裕子さんに是非この本も手がけてもらいたいです。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.53:
(4pt)

対照的なクリスマスの過ごし方をクリスマスの幽霊と見て回る偏屈な男の物語の本

本のタイトルがかなり有名で、様々な本で比喩として述べられる「スクルージ」など、かなり前から気になっていた本ですが、読んでみてなんとなくこの本に対して抱いていたイメージと違っていて、それが面白く感じました。
偏屈さが際立っていますが真面目で仕事一筋のスクルージが、最後は自身のあり方を変えて人への接し方、生き方を変えていって報われるのは良かったなと思いました。スクルージの周りにいる人たちと比べてがんばっているのに報われないのはさすがに可哀想過ぎるように思えたので。

スクルージの過去、現在、未来と、過去だけでもかなりスクルージの心の持ちようが変わっているのに畳みかけるように現在でプレッシャーをかけ、未来でスクルージの心に止めを刺しているのは、短い小説ながら迫力があるように思いました。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.52:
(4pt)

携帯に良いサイズと読みやすさが◎

息子へのプレゼント用に購入しました。小学校高学年ですが、幼い頃から、ディケンズの映画やアニメーションでの同タイトル作を観ていたので、原作をずっと読みたがっていたところ、引っ越しでみつからなくて、同じ本を探していました。年齢高めな内容ですが、人生観に大切なことが学べオススメです。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.51:
(4pt)

価値観の違い

初めて読みましたが、むしろ爺さんのが良い人で金の無い人々のがしょーもないなと感じてしまう。
自分もそんなしょーもない人間ですが。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.50:
(3pt)

マッ、子供の本だよね。

子供の頃に読んだ感激は蘇らず、この歳で読む本ではありませんでした。
クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (岩波少年文庫)より
4001145510
No.49:
(3pt)

訳がよくない

ディケンズの名作ですから、ストーリーはとてもすばらしいです。
偏屈じいさんが3人の精霊のおかげでいい人に生まれ変わる物語ですが、
ここでは内容の説明は省かせてもらいます。

古典新訳文庫は読みやすいので
どんな訳になっているのかと、読むのが楽しみでした。
でも最初の一文を読んで、あまりの硬い表現にがっかりしました。
「マーレーは死んでいた」と伝えたいのに
「マーレーは故人であった」などと言う必要はないと思います。

それ以降も難しい日本語の表現がたくさん見られます。
この作品は子どもでも分かるような夢のある話なのに
難解な日本語のおかげで原作の良さが感じられませんでした。

間違いなく『クリスマス・キャロル』はとてもいい話です。
この訳は残念でした。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.48:
(1pt)

クリスマスを祝おうという気を徹底的に削ぐ作品

本書は、極めて不愉快なキリスト教的「良きこと」を暴力的なまでに押し付ける作品である。
偏屈でケチだが不正はしていない、彼が誰に恥じることのない商売(主に金貸しか)をして来たスクルージ老人は、幽霊や精霊とかいう存在に精神的リンチにあって、改心させられる。
正直に言ってとても胸糞悪い。スクルージ老人は、あとがきでも触れられているように、誤解されやすいとはいえ決して悪人ではない。偏屈ではあっても、自分の商売や生き方に信念と誇りを持った男である。
仮に(本文には一切具体例は出てこないが)彼が人に恨まれる卑劣な行いをして来たとしても、それを裁くのは反撃も反論も許さない超常的存在ではなく、司法であるべきだ。
例え税金対策だとしても、莫大な寄付をしてきたスクルージ老人の方が、クリスマスに寄付を集りに来る、失礼極まりない二人の紳士(しかも自分たちが善であり、寄付しない、クリスマスを祝わないスクルージの方が悪いと信じて疑わない〝善人〟たち)より余程社会に貢献している。
偏屈で誤解されるスクルージが、彼が本当は求めて止まなかった家族のぬくもりや、幸せな光景を見せつけられ、ぼろぼろにされながらも、自らの矜持を最後まで貫き、それで死後にこんな酷い扱いを受けても何一つ後悔はしない、と強がった方が、何百倍胸を打つ話になったことだろうか。打ちのめされ、救われたい一心で、改心というにはあまりに人の変わった最後のスクルージを見ていると、痛々しくてたまらない。
最後の解説で、精霊や幽霊とのやり取りや見た光景は、過去のスクルージの無意識の内省なのだ、という下りがあったが、全く腑に落ちない。そのような後悔を深く心に刻んでいたとして、それを夢に見て内省し、別人かと思う程に人柄が変わってしまうような、そんな薄っぺらい人間が、贅沢一つせず、苦しみに耐えて金儲けだけに走る修羅の道を歩みきれるものだろうか。
彼の心を溶かすなら、暴力的脅迫的な北風ではなく、幸せで心を満たす太陽であるべきだった。
スクルージの生き方が、禁欲的なプロテスタントが良しとする存在そのものだったのが、皮肉極まりない。

クリスマスを祝わない偏屈な老人がいてもいいじゃないか。そんな老人をいじめて何が楽しいのか。スクルージなどより自分たちの価値観こそ正しい、スクルージは嫌な奴と決めてかかる他の登場人物の方が余程おぞましい。

キリスト教的クリスマスが心底嫌いになる本。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156
No.47:
(3pt)

作者の前に翻訳者が立っている

物語は美しい。ワクワクし、引き込まれていく。ディケンズは「ほんとうに大切なもの」をやさしく愛をもって伝えたかったのだろう。さすが古典となるべき作品だ。
しかしこの翻訳者の訳文は、ディケンズの語りをそのままに伝えるというより、ディケンズの「文学的価値」に耽溺するあまり、その「高尚さ」について解説・講義をするかのような文体を採用してしまっている。採用する用語がいちいちペダンティックである。他の優れた翻訳との差別化も必要だろう。しかしあまりの衒学ぶりは、ディケンズが物語ろうとしたその姿勢まで台無しにしてしまうのではないだろうか。「大人たち」に向かいつつ、平易な言葉で温かいファンタジーを語って欲しい。「古典新訳」のシリーズにはふさわしくない訳文であると感じた。
クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)Amazon書評・レビュー:クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫)より
4334751156

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!