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ハーモニー
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ハーモニーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.15pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全198件 101~120 6/10ページ
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50代の私には実感がわかない雰囲気がありますが、ストーリーとしては前半は少しノロノロでその後は一気に読みきれます。 | ||||
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虐殺器官(新版)のレビューでも書いたのだが、この表紙はないよね、というのが個人的な感想。 対になっているのかもしれないけど、旧版のデザインが素晴らしいと感じていたので、残念。 ま、同じならインタビューが追加されてるとか、わずかな違いが判らないけど、それでも購入する人は購入するだろうし、物語の魅力に惹かれて新たな読者も獲得できると思っている。 自分は彼の作品にのめりこめる程、魅力を感じていたとは言い難い。 逆に、遺作合作となった屍者の帝国を読んであらためて作者の物語の魅力に気が付き始めた人間だ。 その魅力とは・・・正直、言葉に表しがたいが、ひとつは構成美なのだろう。 解説文にやたらとロジカル、という言葉が出ていたが、まさしくそういう部分にそれまでの作家と異なる魅力を自分は感じたのだと思う。 この作品もあらためて読むと、そういった部分が自分の中で意識されてきた。 3人の少女が違和感を感じる世界にどう順応して生きたかという物語と、その結末は世界の、人の在り方を変えるというシンプルな筋書きの中にこれでもかという背景や根拠を積み込み語られ読者としての自分が説得させられている気分になった。 そうだよね、そのとうりだよね、と最後は納得せざるを得ない状況にまで、語られて、洗脳という言葉は良くないかもしれないが、良い意味で気持ちを同期させられた。 この結末しかありえないのがわかる。 ただ、これを作者はハッピーエンドととらえたのか、それともそうではないのか、という部分だけが、今の自分には気になっている。 | ||||
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舞台設定は近未来SF的だが,ストーリーは中盤あたりから一気に哲学的思考を深めていく。 これは明らかに著者が置かれた境遇と関連している。本書は著者が入院中に病院で執筆された。この時,著者はおそらく確実に自分の死を意識しながら書いたのだと思う。「病気で死ぬことがない世界」という設定は如実にそのことを物語っているし,「意識が消滅し,平板化する」ことで「人類がとても幸福」になるとは,つまり「人は新で幸福になれる」とも読み取れる。 苦痛に苛まれる肉体から解放されたいと願う著者の魂の叫びがあるように思えてならない。 | ||||
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伊藤計劃の『虐殺器官』と並ぶ代表作『ハーモニー』の新装版です。『ハーモニー』は時系列でいえば『虐殺器官』よりも後の話ですが、シナリオ上の直接的な関係性はあまりないので、こちらから先に読んでも大丈夫です。ただ、『虐殺器官』と『ハーモニー』は扱われるテーマが対になっていたりリンクしていたりするので、どちらか一方を読んで気に入った方は両方とも読んだら作品や作者への理解が深まって良いと思います。 表紙のイラストは、アニメのキャラクター原案やネット上での旺盛な活動で知られるredjuice氏が担当しています。この新装版には、巻末解説の前に東京医科歯科大学で行われた伊藤氏へのインタビューが収録されています。 これからこの本を手に取る方のために、小説の大まかな内容についても述べておきます。この小説の舞台は、あらゆる病気が駆逐されて健康と思いやりに満ちた近未来の世界です。テクノロジーが発達したユートピアのように見える世界の欺瞞と脆弱さが、スリル溢れるミステリのようなシナリオを通じて浮き彫りになります。(ネタバレになるので詳しくは言いませんが)最後に描かれる結末は、ある観点からすれば究極のユートピアとハッピーエンドのようであり、また別の観点からすれば究極のディストピアとバッドエンドのようでもあります。 この小説で展開される人間の意識と意志にまつわる考察はとても興味深いもので、読んだ後に人間や進化に対する見方が刷新される程のインパクトがあります。そうした理屈を抜きにしてもこの小説の起伏のあるシナリオや、『虐殺器官』よりも簡潔で読みやすい文章は魅力的なものでした。 巻末のインタビューは、主に『ハーモニー』の内容に関するものです。当時流行したケータイ小説やクオリアに対する伊藤氏のクールな態度や、科学に対する伊藤氏の冷徹な見解が印象的でした。『ハーモニー』が闘病中の作者が執筆した作品であり、健康や病気がこの作品の重要なテーマになっていることから、新しく収録された病院でのインタビューは価値ある資料だと思いました。 追記:このレビューは2014年8月に発売された新装版のレビューです。システムの仕様で別の版にもレビューが共有されているので、誤解を招かないようにこの場を借りてお断りしておきます。 | ||||
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身体が公共性の一つのリソースになる社会 http://on-the-road.co/?p=2206 | ||||
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その時代は誰もがとても健康的だった。 頭痛や風邪といった症状はもはや記憶の彼方。体重も平均的、シミやそばかすもない。 なぜなら体内にインストールされたWatchmeが少しでも不健康的な要素を見つけると、作動し、 健康な体に導いてくれるから。 そんな“守られた”世の中にも、違和感を感じる人間はいた。 御冷ミァハと、私こと慧恵トァン、そして零下堂キアンだ。 彼女たちはまだWatchmeをインストールできる年になっていない女子学生たち。 3人を思想的にもひっぱるのはミァハだ。彼女はいちばん人と違う。誰もが思ってもいないことを口にする、 たとえば死ぬということについて。 「女子学生」という期間限定な響きには、儚さともろさがつきまとう。 3人もその例にもれず、友情の一端の終焉を見る。 3人で行った自死への挑戦の結果、ミァハひとりが帰らぬ人となることによって。 そこから数年たち、私はひとり外国にいる。 もはやその摂取が禁止されているアルコールやタバコ、ときにはカフェインで自分を少しずつ傷つけながら、 ミァハひとりだけを向こう側へいかせてしまったことに、自分とキアンだけ生き残ったことに後ろめたさを感じながら。 ところが、事態は一変するのだ。 何年かぶりに日本に戻り、キアンと再会を果たし、そしてその日のうちに、キアンが「うん、ごめんね、ミァハ」という言葉を残して 目の前から去っていくのだから。 キアンだけではない。世界中で何千人もの人間が去っていく。見えないなにかに操作されて…。 理由が欲しい。理由があるはずだ。 この私の周りで怒りつつある、不可解で不快な事柄には誰かの意図が働いているはずだ。 その謎にひとりトァンは立ち向かう。なぜならばそれが彼女の罪滅ぼしであり、復讐だからだ。 自分だけ向こう側へいけなかった、自分が選ばれなかったことへの。「友情」というつながりの結末へのおとしまえをつけるために。 行動しなければいけないのは、行動にうつすことができるのは世界で一人、トァンだけだったのだから。 | ||||
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『虐殺器官』ラストを発端とする「大災禍」から再出発した人類は、極度の人命尊重思想をベースとした福祉厚生社会を創り上げた。体内はサイバーテクノロジーによって24時間監視され、病原体は即座に駆逐される。個人情報はコンピュータネットワークによって完全にオープンにされ、他人を欺くことはできない。誰もが健康で、誰もが善良な“ユートピア”に息苦しさを感じた3人の少女は自殺を図る――それから13年。世界中で同時に大量の人間が自殺をする… 醒めた主人公が、事件の鍵を握る謎の人物を追いかけるというミステリ仕立ての構成は前作『虐殺器官』と同一だが、特徴的な一人称の語り口はより洗練されている。何より緻密な舞台設定が素晴らしい。『すばらしい新世界』『1984年』『華氏451度』など先行作品のエッセンスを巧みに採り入れつつ(作品中では明示されていないが、おそらくファウンデーションシリーズの「ガイア」やエヴァンゲリオンの「人類補完計画」も念頭に置いている)、ミシェル・フーコーの生権力の議論を軸に独自の世界観を構築している。ディストピア文学としての完成度は類を見ない。巧妙な伏線と鮮やかなどんでん返し、読後の余韻といい、完璧な作品と言って良い。 病魔と闘いつつ、自分がこの世界から消えようとしているという現実と真摯に向き合った作者のロジックとエモーションに深く共振させられた。その早すぎる「さよなら」を悼みつつ。 | ||||
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この小説の魅力は、綿密に練られた世界設定と意外な結末、そしてそれらの中を貫く強靭な論理にあると思う。反面、登場人物の行動原理や感情の動きの描写はお世辞にも上手いとは言い難い。だが、その短所を補って余りあるストーリーとしての面白さが、「ハーモニー」にはある。 文章は簡潔かつ平易であり、読みやすいと思う。そして、どこか淡々とした印象を受ける。また、著者の言葉の使い方もユニークで、センスを感じさせるものが多いと思う。 ハーモニーの一番の面白さは、わたしがわたしであるという意識が人類にとって必須ではないのではないか、という発想にある。その発想がはっきり明かされるのは小説後半ラスト直前であり、大抵の読者はそこで驚くだろう。そして、それが分かった瞬間、それまでの謎が解け、しかもその発想の論理的な帰結として、意外な結末が導かれてしまうのだ。僕がこの小説を気に入ったのは、この発想にショックを受け、そしてその論理の一貫性に感心したからだろう。この発想は、現代人の思い込み又は盲点をついたものであり、ミステリで言うトリックのようなものだ。だから、この小説はミステリ的な要素を持っていると言える。ミステリ好きな人には面白いのではないかと思う。また、普通なら考え付かない世界(ラストの世界)を垣間見せてくれる意味でも、ハーモニーは面白い。 とにかくお勧めなので、少しでも興味のある人はぜひ、手に取ってほしいと思う。 | ||||
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調和がとれれば意識が要らない なんて,考えたこと無かった. 本当にそうなのか,考えようと思う. 医療分子WatchMe と 医用センサー搭載端末 iWatch ... | ||||
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表紙の白が表すもの、それがこの小説の核心である。 丁寧な物語の進行、丁寧な伏線の回収。 その点は前作である虐殺器官と同様である。 この小説は、虐殺器官の続編と見ることができる。 よって、この小説を読む前に虐殺器官を是非、読んでいただきたい。 そうすれば、第三者の視点でこの小説を楽しむことができ、2度楽しむことができる。 | ||||
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「虐殺器官」から本作連続で読みました。以下2作通じて。 下手すると笠井潔や京極堂になっちゃうんじゃないかってぐらいにきわめ て理知的なものを含んでるんだけど、設定そのものによりかかることに満 足することも、井坂某風の中途半端なペダンティックにも堕してないとこ ろがいい。これは結構ありそうでないので◎。 ある意味で古臭い「私小説」の体裁そのものなんだけど、その「私」を無 邪気に信じることのできない現在における肌触りみたいなものが、理知的 な想像力と結びついててものすごく快感を感じます。 「虐殺器官」でもそうでしたが、いろんな知見がほの見えすが、概念を拝 借したというのでなく、自分の資質から出てきていてきわめて古典的とも いえるエモーショナルな語りになってる。 ハイレベルで理知的な想像力がたんに妄想設定でおわるのでなく、そこか らどういうものが発動するかという生な部分への想像力がきちんとリンク しているのがいいです。以外とないんですよね。そういう小説。 西尾維新と資質は同じながら、そのエモーショナルな部分の扱いで対極を いく感じがします。以外と二人はとても近いとおもいます。 自分や身体性を背景として扱うのに(不可避的に小説ってそうなるでしょ うけど)今後この小説を意識しないですまないんじゃないかな? 挿絵いれてラノベでもいいとおもいます。 「虐殺器官」はわずか10日で脱稿したそうです。ちょっと信じられない ですね。宮部さんの3回生まれ変わってもこんなものはかけない、という のもなんとなくわかる。 ラストの風景はJ.L.ナンシーを彷彿とする風景(強引かな…)。 たぶん、現在感じているある種の違和感・肌触りを小説として扱えている 気がします。目に見える設定としても、ここまできたかって感じです。 尚、ストーリとしては、ありきたりです。趣向をこらした謎の真相も、ど んでんがえしもありません。物語前半でおおよその対立構図が予想され、 そしてその通りに進みます(W。映画化してもくだらないものになるでし ょう。じゃあ、何が面白いのかっていうと、やはり今感じていることを突 き詰めていったらどうなるんだっていうのを見せてくれそうだっていう筆 力なのかな。読み始めるとちょっと本を閉じられなくなるような引力があ ります。 | ||||
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人の"意識"の由来の仮説を提起する佳作。近未来を社会派的な作風で描きつつ遡る視線で現在の経済優先の風潮へ鋭い評論も垣間見せている。終盤を、やや急いで書き抜けた"もどかしさ"を感じるが、結末への加速感を醸し出しもしている。この作品の世界観を受け継いだ続編を期待したいが、今となっては惜しむしかない。// | ||||
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SFと現実の科学・特に医療について考えさせられる本です。 読んでいて、確かに医療が進んで、だれも病気で死ななくなった世界、その世界で起こりうる精神について描かれています。 まぁSFだけあって、そんな世界が実際に来るかどうか? 来たとしても遥か未来ではないか!? とも感じましたが、人の心とは!? 善意とは!? 社会性とは!? …結構、考えさせられました。 | ||||
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「公開処刑のような派手なパフォーマンスで、分かりやすく力の宣伝を行って言うことを聞かせる」 よりも、 「生きること健康であることを根本的な価値にして、自らに縛らせ、言うことを聞かせる」 の方が効率的。 もちろん、後者は権力者が(でなくても誰にも)自分で仕組めることではない。 権力者はただ利用することができるのみ。 こういう仕組みを描き出したのがフーコーだった。 そこをポイントとして抜き出してをエンターテイメントとして、最高の形に仕上げたのが伊藤計劃。 伊藤計劃はそういうのがうまい。 『虐殺器官』も、念頭にあったのは分析哲学や現象学といった20世紀前半の哲学だろう。 ものを考えることは、言語なしにはできない。 人間にとって言語がいかに根底にあるかは20世紀のはじめに一気に盛り上がったのが分析哲学だ。 それに対して、身体だって大切だと説いたポンティに代表される現象学もあった。 言語によって、人間がどれだけ縛られるか、影響を受けるのか、それをヒントにしたのが虐殺器官だろう。 才能ありすぎ。 | ||||
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この本を読んでまず思ったことは、前作「虐殺器官」に比べて格段に読みやすい、だった。 よって、伊藤計劃の入門書として、この作品から読んでもいいかもしれないな、と思った。本作が嗜好に合ったなら是非「虐殺器官」も読んで欲しい。合わせて読むことで、「ハーモニー」の世界がぐんと奥深くなるはずだ。 「虐殺器官」に比べ、この本がとっつきやすい理由を挙げてみる。 ・日本人女性が主人公。 ・日本が舞台。 ・友人の仇打ち(?)として死んだはずの親友を探す、というわかりやすい動機。 ・ちょっぴり反社会的な主人公がカッコイイ。銃をぶっぱなしたりする。カッコイイ! って感じだ。『優しすぎる世界への警鐘』というテーマが奥深い作品だと思う。 | ||||
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伊藤氏のデビュー作にあたる「虐殺器官」と重要な繋がりを持つ本作ですので 虐殺器官を未読でしたら、そちらを先に読むのを強くオススメしておきます。 登場人物の名前がトァン、ミァハ、キアンなどちょっと不思議っぽいわけですが 中身はテーマたるその特殊な設定を除けば、現代の延長線上の世界なので 虐殺器官から続けて読んでも違和感は無いはず。 大変面白く。現代に通じる共感と一線。 最後に明らかになる仕掛けも程よい驚きと納得で気持ちよいです。おすすめ。 | ||||
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虐殺器官より読みやすく、すっと世界に入っていきやすかった。 真綿でしめつけるような、いたわりとやさしさの押し売りに満ちた世界の居心地悪さが、 今の日本を予言しているようだった。 ラストはうむむ、と考え込んでしまったな。 自分自身が、これをハッピーエンドとしてとらえるのかどうか、という意味で。 | ||||
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順番間違えないように、虐殺器官の後にどうぞ。 この作家の早過ぎる死が非常に残念です。 もっと作品を読みたかった。 | ||||
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なるほど。 最初、文中のタグが気になったが、なるほど。 物語の緻密さも、なるほど。 | ||||
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「虐殺器官」を読んで、この作家に興味を持ち、今回「ハーモニー」を読んだ。僕はこの作品の方が響いた。 「誰かを殺さないと自らが死ぬ」と言われたとき、人はどんな選択をするのか。殺すことに抵抗し、自死を選ぶ人。意識を自らが放棄するるという選択。明るいのか、その選択は。 空想の中で紡がれるストーリーは新鮮で、初めて感じるものだった。 | ||||
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