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ハーモニー



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ハーモニーの評価: 4.15/5点 レビュー 253件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.15pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全29件 21~29 2/2ページ
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No.9:
(3pt)

面白いが、理屈が空回り?

「虐殺器官」にそれなりのインパクトを受け、「30代で夭折した作家」の最後の完成作品ということで期待して読んでみた。読後――。確かに読ませるし、「虐殺器官」と対になったSFだということも分かる。しかし結局のところ、評者には、理屈を前面に押し出して書き上げた空回り気味のSFという印象が残り、他の多くのレビュアーが記しているような、モニュメンタルな大傑作だとはちょっと言いがたいような気がした。

 この辺り、好みの問題というべきかも知れず、あるいは近未来SFの近年の潮流・動向を知らないがゆえの偏波な見方かも知れない。なので、評価は中庸の☆三つとしておきたい。作品としての完成度はそれなりに高く、次へ次へと読ませる展開力もある、とも思われるので。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.8:
(3pt)

普通に面白いSF。

単純な感想を述べると、まあまあ面白かった。が、この話の最も重要なSF的モチーフの一つである「意識のない人間」というものがどうも腑に落ちない。人々から「意識」が失われる、といって何事か問題のあるように思えない。作中でさえ、外面上は何も変わりのないことを述べているし。そして、ミァハが、強姦されている最中に意識が芽生えたが、それ以前は意識がなかった、と言うことも実際不可能だろう。「意識は脈絡のうちに示されるもの」というウィトゲンシュタイン的な見地を用いるまでもなく、この「意識」云々に関して訝しく思う人間もいるのではないだろうか。――と述べた後で、事実ここで言われていることがどのようなことなのか(リアルではないにしろ)感覚的に解し、面白みを見出すことのできる自分をも発見することができる。それは作中で散々述べられ、批難さえされるところの「共感」にほかならないのだろう。そもそも、「共感、思いやり」に嫌悪を抱くのであれば、他者の意識云々などまったく無きものとして無視してしまえるだろうに。他者に(霊的な、幻想的な意味合いでの)意識が存在している、ということをまず以て認めてしまっているところは、ミァハのカリスマ性を(ひいてはこの小説のロジックを)一段落としているように感じるが、それも含めて彼女の、文字通り願いであったと言ってしまうこともできる。完全に合理的な人間は選択の余地を失う。という考えはなるほど、と思えるし、ちょっと面白い。が、真実完全に合理的な人間であれば、生きることそのものに対する不合理を放っておくだろうか。という意味で、この小説は、作者の「願い」の域を出ない。といって糾弾されるいわれもないだろうが、それはこの小説がSFであり、エンターテインメントであるからか。
 SF的描写は、例えば拡張現実だとか、サイバネティクス山羊だとかいうモチーフのほとんどがあまり詳述されていない。それは今でこそSFに慣れた大衆に納得できるほどの描写ではあろうが、過去にある程度説明責任を負わせている感がある。壮大な世界観ではあるが、登場人物が意外と少ない。そして、世界規模の大事件なのに、トァンの身の回りのみで事が進んでいるように感じる。それを予定調和的といって批判することもできる。まあ、そこまで気にはならなかったが。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.7:
(3pt)

未来のフィクション

人為的な大災害の末に、高度医療化し「病気で死ぬことのなくなった」社会。面白い設定だなあと思いました。普段SFはあまり読みませんが、解説にあった「ロジックを受け入れやすくするための緩衝材としてキャラクターを利用している」という言葉通り、筋書きはまさにそんな感じの印象を受けました。特に、御冷ミァハなどは本当に人形みたいな少女だなと(最後まで読めばそれもわかりますが)。
全体的に説明が多くて、いまひとつ緊張がないような感じがしたのがちょっと気になりましたが、全体的には面白い設定でした。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.6:
(3pt)

SF初心者にはハードなSFでしたが・・・

私は『虐殺器官』が未読で、読んだことがあるSFと言えば
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、『たったひとつの冴えたやり方』、『夏への扉』
等古典的作品ばかりでありますが・・・。
大変高評価であり、また現代において日本人により綴られたSF小説として大分期待していました。
しかし、その期待は悪い意味で裏切られたと言っても過言ではありませんでした。
と言いますのも、日本SF大賞、星雲賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞等、
最大名誉と言っても過言ではない栄誉を何故受賞し得たのか、
読了した今でも自分の中で納得、消化し切れていないためです。
ゼロ年代ベストSFとも言われる本作ですが、果たしてそうなのだろうか、と。
私は同作品群を殆ど読んでいないため知ったかぶりできないのですが、
日本のゼロ年代におけるSF小説作品はそれほど多く発表されていないのでしょうか?
これがベストであると賞賛されるのは、少々残念な思いでなりません。
生命主義や螺旋監察官といった設定、オーグ、知性金属から始まるテクノロジー等、
著者の独創的で先見的な設定には初見唖然とし、次に鳥肌が立ったものですが・・・。
やはり文章の見辛さ(勿論、それは意図的なものであることは間違いありませんが)、
主人公たちのメンヘラ臭さ、所謂厨二病的な思想、
ところどころ見受けられる描写不足であろうシーンの数々、
細かい不自然さ(父親の組織の描かれ方、ミァハが独りに待っていた等)、
あっさりとし過ぎた結末など、どうにも釈然としないのです。
世界観と設定の秀逸さでいえば素晴らしいものがあり、
SFに分類され議論される思想や哲学等普遍的テーマを作者なりに解釈し、
表現した完成された一冊ではあります。
そしてもし、原作のイメージを損なうことなく(それが一番難しいわけですが)映像化されたなら、
どれほど驚嘆にせずにはいられない映像作品ができることか、期待せずにはいられません。
しかし現在に至るまで各分野に多大な影響を与えたSF作品が多数世の中に登場している今、
それだけで果たして数々の受賞理由足りえたのか、私には疑問でなりません。
過去の名作と同じくらい凄い作品である、ということなのかもしれませんが。
だとするならば、やはり上記のような細かい点が尚のこと気になってしまうのです。
つまるところ、「遺作は過大評価されがちである」、という印象が拭えない作品だと感じました。
既にSFというジャンル自体が古典的と見なされるかもしれませんが、
氏の栄誉に甘んじることなく、これからも素晴らしい作品が世に出ることを切に祈ってやみません。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.5:
(3pt)

漫画のように映像が浮かんできますね

ソーシャルメディア上での人と人の関係性に息苦しくなってませんか?監視されているような気分にめまいがしそうになりませんか?そんな方にうってつけ。文字で書かれた近未来の風景がイメージになって物語を盛り立ててくれると思います。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.4:
(3pt)

十数年の放課後

伊藤さんの、オリジナル長編が、
待望の文庫化され、個人的に大事に丁寧に読みました。

「『生命主義』という世界観」、
「ほぼ完璧に統率された社会」
という設定は、個人的におもしろかったです。

随所記されている、htmlのタグというのも人を選びますが、
文章のみの表現の中、非常に挑戦的だと思います。
意外に、↑が重要だったりします。

ですが、主要人物3人が女子高生という過去の設定が肌に合わず、
「過去に縛られた、十数年の放課後」というのが、正直な感想です。

虐殺器官が、あまりにもおもしろかったので、
期待しすぎたのかなと今では思います。

以上、
熱狂的な伊藤ファンの感想でした。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.3:
(3pt)

とても とても とても・・・

早世された筆者の遺作になる完結長編。衝撃的なデビュー作をさらに超える評価を得た作品です。
このレビューにも様々な賛辞が連なり、この作家の早世が如何に惜しまれたものか今更に感じ入りますが、
日本のSF文壇がこれに至り、こうした創造性を発揮できたことが、やはり喜ばしいことなのだろうと思います。
 では本作を成さしめたリソース(資源)とは、なんだろうかと考えてみました。一例ですが、参考になればと思います。
 言葉と物―人文科学の考古学
 自分が神を殺したのだと告示するのは、最後の人間なのではあるまいか・・・
 彼は神を殺したのだから、自らの有限性の責任をとらねばならぬのは、彼自身であろう・・・
 しかし彼が話し思考し、実存するのは神の死の中においてであるから、その虐殺そのものも死ぬことを余儀なくされる・・・
 新しい神々、同じ神々が、既に未来の大洋をふくらませている。人間は消滅しようとしているのだ・・・
 神の死以上に−−というよりはむしろ、その死の澪の中でその死との深い相関関係において−−
 ニーチェの思考が告示するもの、それは、その虐殺者の終焉である・・・           ミシェル・フーコー『言葉と物』より抜粋
 フーコー (河出文庫)          
本作は、引用される思想家・作家等に豊かで、且つまたその的を射ています。筆者も巻末で語っていますが、小説はロジック(論理)から入るということで、
キャラクターやプロット構成よりも、やや理屈っぽい印象の文体によって構築された世界観が魅力の中心です。これは初作より独自性があって更に顕著です。
そして、そこにこそ筆者の捉える現代的な諸課題が見えることが、ある種の驚異とこの評価を齎しているのだと思います。本作は、後期フーコーの批判する
【生-権力】にモチーフを採っています。紡がれるユートピア(ディストピア)は、古典的な主題で、トマス・モア、H・G ・ウェルズなどに連なる系譜上に
表現されたものです。この系譜を貫くのはアイロニー(皮肉/批判)で、当然、本作も巧みなアイロニーとして読ませてくれます。終段の構成が縮こまっており
残念ですが、主人公ミャハ(最後の人間)の冷涼な終焉に、刹那の心を奪われます。そして人類は・・・エピローグに記されてゆきます。
 タイムマシン (角川文庫) 
暴力表現でグロスアップされた物語の構造(ロジック)は、しかしカフカの描いたそれと変わりません。本当の問題は常にその先なのだと思います。
しかし、それを伝えたくとも伊藤計劃という才気は、もうこの世に在りません。今、賞賛の花を掻き分けて、その意を汲んでみたい気もします。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.2:
(3pt)

残念・・・

「虐殺器官」のあまりの完成度の高さに度肝を抜かれ、無条件で本書を手にしたが…。「虐殺」を10とすれば本書は残念ながら6〜7の出来。さすがの著者の天才もこの重すぎるテーマを持て余したか、やはり病魔が集中力を奪ったのか。特にクライマックスにおいてミァハにせよヌァザにせよ敵役のカリスマの描き方がやや陳腐に過ぎ、ヒロインの「復讐」も一本調子で深みを欠いた。「虐殺」と同様、全面的に改稿する機会があればとんでもない傑作になった可能性もあるが…。只残念。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X
No.1:
(3pt)

主人公の心境の変化に違和感

思いやりにあふれ、医療福祉が完全に行き届いた
社会の息苦しさ、という舞台設定は興味深い。
作品は作者と切り離して読まれるべきであろうが、
この物語が、死の床にある作者によって
紡がれたものであることを考え合わせればなおさらであろう。

しかし、物語後半における主人公の変化は、どうしたことだろう。
彼女が突如「正義」に目覚めたのはなぜなのか。
既読の方はコメント欄を通してぜひ、ご教示いただきたい。
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)より
415031019X

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