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光圀伝



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【この小説が収録されている参考書籍】
光圀伝

光圀伝の評価: 4.29/5点 レビュー 68件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.29pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全55件 41~55 3/3ページ
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No.15:
(5pt)

文句なくおもしろく、泣ける一冊

使い古された説明ですが、「水戸黄門」こと水戸光圀の生涯を扱った小説です。歴史の教科書にでてきた光圀のぼくの記憶は、「大日本史」を編纂したことくらいです。もちろん、「水戸黄門」は、フィクションで、実際には、日本全国に旅に行ったこともないことも知っています。ただ、その程度の知識しかないために、初めて知った人物のように新鮮に読めた一冊です。

僕は、いわゆる「ハードボイルド」のような小説や映画が苦手です。そのためか、家を継ぐときの大義が兄にあるから、家を継げないと認識したあとの彼が考えた行動は、あまり共感はしません。それを横に置いたとしても、この小説の骨格をなす幹は太く、まさに大作といってふさわしい一冊に仕上がっています。『天地明察』とは違った、人の義とは何かを問いかける書となっています。(天地明察と同時期を扱った小説ですから、当然、あの人も登場します。)

途中、なんどか「ぐっ」とくる描写があります。このあたりは、本当にうまいです。基本的に、実在の人物をキャラクターとして、登場させていますが、たぶん、「左近」は、実在ではないですよね? 彼女の存在が、小説の後半には重要なバランスとなっています。

沖方さんと言えば、第24回(2003年) 日本SF大賞受賞「マルドゥック・スクランブル」をとったSF小説の人という認識は、この2冊で変わって、今後は、歴史小説の沖方さんになるのか?
光圀伝Amazon書評・レビュー:光圀伝より
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No.14:
(5pt)

生きること・死ぬこと・義に生きるということ。

すさまじい水戸光圀の生涯である。

人生における「義」とはなにか?

生きるとは、死ぬとはどういうことであるのか?

時代の制約の中で、人がそこにあり、生きたことこそ永遠不滅の真実であることを

後世に残そうと全力を尽くして生きた男の物語である。

大切な、伴侶・友人・親・兄弟と死別し、打ちのめされながらも

自分の生きる道を見失わずに、大義に生きたその生き様には圧倒され、涙することしばしであった。

読みやすくは無い。

読者を選ぶ傑作であろう。
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No.13:
(5pt)

水戸光圀公にあらせられるぞ!

これはテレビドラマ「水戸黄門」が大好きな中高年のレビューです。
水戸黄門モノであれば、その書物は著者が誰であれ手に取って、確認して買っています。
テレビドラマの終了前に連載が始まり、終了告知の頃からクライマックスに向かい、
連載完結、そして単行本化。
これも運命的なものなのでしょうか。

テレビドラマと真逆の静なる水戸光圀(真の姿に近い)が描き切られている、と評します。

特に幼年期から青年期までの描写に力がこもっていて、頭にはテレビドラマの歴代黄門役
俳優の若かりし頃と重ね合わせようと(無理です、笑)しても顔がぼやけている感じ。
最終盤では漸く石坂浩二の演じた隠居前の光圀と重なり始めました。

書評としては、明窓浄机なるモノローグは不要な感じがします。
これほど日本中に名の知れた人物の回想・独白は読者個々の持っている光圀像を要らない
方向に誘導する恐れもあります。

とはいえ、NHKあたりが大英断して大河ドラマ化するかテレビ東京が正月の大長編ドラマ
化してくれると高視聴率間違いないのではと思いますけれど・・・
光圀伝Amazon書評・レビュー:光圀伝より
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No.12:
(5pt)

文句なしにおもしろい

『天地明察』も非常におもしろかったですが、この『光圀伝』はそれ以上だと思いました。
750ページをあっという間に読み終えてしまったほど、物語に引き込まれました。
水戸光圀の生涯において、様々な人との出会いと別れがあり、その経験が彼を強き人間としていく。
読み終えて、聡明で強いこの光圀をとても好き
になりました。
途中何度も感動して涙が出そうになりました。
文句なしにおもしろい、オススメの一冊です。
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No.11:
(4pt)

あしにひまなきわが思ひかな…。

黄門様でおなじみの、水戸光圀の実像を描く大作。
「大日本史」編纂を企て、漢詩、和歌を良くし、武術は
もとより、学問にも秀でた光圀の義を奉じた一生が、感動と
ともに心地よい読後感として心に残る。

 傾奇者であった少年時代、気軽に市井に繰り出し居酒屋で
気ままに酒を飲む光圀。
 学問にのめり込み、必死に書を漁る。
 長男を措いて世子となることを羞じ、伯夷叔斉の故事を引き、
自らの為すべきことを探し求める。
 そう思うと、「ただ見れば何の苦もなき水鳥のあしにひまなき
わが想いかな」という歌も光圀の思いをよく表しているのだろう。
 決して、ざれ歌ではない。

 林羅山の息子読耕斎、明の学者朱舜水、伯父の尾張徳川家義直、
そして妻の泰姫など、周囲の豪華な登場人物が、眩しい。
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No.10:
(4pt)

優れたミステリー小説です

「伝」と言っても伝記じゃない、勘違いするととんちんかんなレビューになりますね。

冒頭に殺人事件があり、犯人は明示されていて、謎は被害者と動機です。
意外な被害者が明らかになるのは後半に入ってからで、ちゃんと読んできた読者はきっと驚きます。
それまでは苦痛ではないにしろ、すごくわくわくするような展開でもないので、微妙に我慢です。

その人をなぜ殺さなければいけないのか、多少でも幕末史の知識があると、その理由は意外ではありません。
が、やられた、と思うでしょう、光圀のいた時代から見れば幕末は遠い未来の話です。
光圀が死んだのが1701年、黒船来航が1853年、大政奉還が1867年です。
光圀の時代から幕末より、幕末から今のほうが近いくらいです。
だから、うわっ、それか!そこに結びつくか、あーでもそうね、そうなるね、そうだよね!
と、驚きつつも納得するためには高校の日本史程度の知識は必要です。

勉強嫌いだったり理系だったり世界史選択だったりするとぴんとこない人もいるんじゃないかと思います。
「天地明察」はそういう人でも楽しく読めただろうし、全編わくわくしたよね、ということを考えると、満点はつけられないかな。
それから、最近綱吉が評価され始めていることを考えると、あそこまでひどく書いたらかわいそうにも思われる。
でも、キャラのたった登場人物たちの、表情や声音までくっきり浮かんでくるような描写は、当代随一の娯楽小説家の技と言っていいでしょう。
光圀伝Amazon書評・レビュー:光圀伝より
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No.9:
(5pt)

義とは何か

幼少時代、父は、絶対君主のような存在で、当然テレビのチャンネル権も父が握っており、至極当然に時代劇を見るようになりました。尤も、水戸黄門より、私は大川橋蔵の銭形平次の方が好きでしたが……。
 でも、諸国を漫遊し御政道を正すテレビドラマの黄門様とは全く異なる本作の水戸光圀は、すごく魅力的でした。泰平の世にあって詩で天下をとることを目指し、大日本史の編纂に着手、水戸藩藩主として様々な事業を成し遂げたばかりか、生涯を通して多くの人の信頼を得た「人たらし」。
 「天地明察」もそうでしたが、主人公はもとより、冲方丁の描く登場人物は皆、個性豊かです。
 父、徳川頼房、ライバル林読耕斎、会津藩主、保科正之、師、朱舜水、宮本武蔵、沢庵等々。なかでも、私は、兄、頼重、妻、泰姫と藤井紋太夫、冷泉為影が好きでした。
 この本のテーマは、「義とは何か?」でしょうか。
 751ページと長編作品ですが、ページを捲る手が止まらなくなります。秋の夜長、是非紐解いてください。

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No.8:
(4pt)

逆境の中に虎一匹

天地明察でこの作者さんを知った一人です。
読み応えがあるけど退屈になりがちな歴史モノというジャンルと、キャラクターで引っ張り、次々に起こるイベントで読者を飽きさせないライトノベルの手法が組み合わさった傑作だったので、今作にも非常に期待していました。

期待通り、前半の光圀少年が成長していく段階は面白すぎてページをめくる手が止まりませんでした。
体力でも詩歌の腕前でも人並み外れた光圀が街へ出て、悪友たちとつるんだり、生臭坊主を論破して、「詩で天下を取るか」と調子に乗ったところで本物の実力者と出会い、打ちのめされて、成長していく。
冗談抜きで、これまで読んだ時代小説の中で一番面白かった。
粗削りな部分も含めて「時代小説に新風を吹き込んだ」と言われた天地明察よりもずっと完成度が高い。
新しく、面白く、深い、冲方流歴史小説がついに完成しました!

と興奮していたら…途中から光圀様が出世なさるんですよ。
町を好き勝手に歩き回っていた前半と、役職についた後半とで別の作品のようになっていきます。
決して後半からつまらないわけではないけど、家を継ぐのは誰かといった問題、思い通りにいかない事業と、だんだん話が重い雰囲気になります。

さらに、光圀は当時としてはかなり高齢になるまで生きています。
長生きするということは、当然周囲の人物が死んでいくということで、かなり多く死別のシーンが出てきます。
ドラマの「黄門様」とは違うものを期待して手に取ったはずなのに、いつのまにかドラマみたいなエピソードは出てこないかな、と期待している自分がいました。

「命をかけて挑めばどんな難事業でも成し遂げられるんだ」というメッセージのこもった天地明察、
「命をかけても、人生思うようにならないことだらけだ。だからといって絶望することはない」という光圀伝。

どちらが心に残るかは人によります。
ただ、個人的には光圀伝は終盤で疲れてしまい、もう少し娯楽作品よりだったら良かったな、という感想です。
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No.7:
(4pt)

あの解釈、本当に執筆開始時には決まっていなかったのか?

ラノベ、SF、伝奇にアニメの脚本とノベライズ、そして本書のような歴史小説まで。幅広く活躍する著者の歴史ものとしては『天地明察』に次ぐ第二作。大部、750頁で少年期から最晩年までの水戸徳川光圀の一代にせまった大作です。
 なぜ、最晩年に光圀は自らが登用し、重用した藤井紋太夫を手討ちにしなけらばならなかったのか。物語は未だ解明されぬこの謎を鍵に展開します。
 豪放磊落かつ儒学をはじめとする学問を究め、詩歌で天下を取らんと欲し、武を忘れない人物として光圀はあらわれ、多くの友人や少数の女性との細やかな交流、そして長命の故、多くの人の死に立ち会った彼の心情がえがかれます。光圀の抱いた「義」と「歴史」への思い。理想への熱情と、それを後世へ委ねる無念。まるで人の一生のように、物語中の時間は壮年期から加速し、やがて光圀は多くの人を見送ることになります。
 インタビューによると(『SFマガジン』11月号収)著者は驚くことに、本書冒頭から少しずつ語られる藤井紋太夫を刺殺したその理由について、執筆開始時には決まっていなかった、と述べています。その理由たるや、「尊皇敬幕」を謳っていた水戸藩が幕末に混迷を極める所以となったまさにその思想的矛盾とします。
 なぜ、著者がそこに至ったか。そして水戸藩は正しかったのか。
 やがて「冲方歴史観」とでも称されそうな著者の歴史への傾倒を堪能しました。
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No.6:
(4pt)

多くの人と思いに囲まれた生涯

『小説 野生時代』2011年02月-2012年08月号に掲載,この書籍化にあたり改稿が行われています.

タイトルの通り,光圀の生涯が綴られた一冊.カバー絵にはその象徴として虎が描かれていますが,
正に虎のように吠え,振る舞う人でもあり,かと思えば,周りへの気配りや愛情に満ちた人でもあり,
テレビ時代劇とは全く異なる雰囲気が新鮮で,その魅力あふれる姿にどんどんと引き込まれていきます.

そんな魅力や才能に長けた人には,同じく素敵な人が数多く集まってくるということなのでしょう.
何かを成し遂げた側には,必ずそれを支え,叱咤してくれた家族や友人,仲間の存在が描かれており,
彼らとのやり取りはもちろん,嫌っている相手の懐にも飛び込む『大きさ』には心地のよさがあります.
また,妻と側近,この二人の女性がとても素敵で,対照的な存在ながら物語に美しい彩りを与えています.

他にも,ある意味定番とも言える手法ではありますが,人の死が多く,それが効果的に用いられており,
別れのたびにそれを糧,転換点とし,悩み続ける己の存在,信じるものへと邁進する様子が心を打ちます.

反面,終盤は少しばかり駆け足にも感じられ,いささかあっさりしている部分があるのは気になるところ.
あとは,冒頭から語られる『謎』についても,物語の長さのせいで,その存在が薄れがちになることがあり,
それを補足するかのような合間での『独白』も,特に序盤のうちは,本編から引き戻される感覚になりました.

とはいえ,その『真相』が見え始める中盤以降,読み手をザワつかせながら流れは静かに勢いを増し,
幼い頃から信じ,育ててきた思いが,最後の最後に大きな災いとなる結末には何とも言えぬ心苦しさが.
それでいてなお,慈悲で相手を包み,『決断』を下す光圀に,改めてその強さを思い知ることになります.

750ページを超える物語は,時にしんどくなることもありましたが,読み終えてみればどれも大事で,
妻や家族への愛,友への思い,生への執念,死への畏怖,そして何より己という存在への激しい感情,
光圀自身はもちろん,多くの人たちとの出会いや思い,その積み重ねの末にあったものだと気づきます.
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No.5:
(5pt)

文句なしの傑作

水戸光圀といえばテレビでやってた「水戸黄門」のイメージがとても強いですが、この光圀を読んでとてもイメージが変わった。
他の知識がないから偉そうなことは言えない。賛否両論意見はあるだろうけど、これは自分にとって間違いなく心に残った名作だ。これは揺るがない。
味わってじっくり読んだそんな本だった。冲方丁さんはすごい。光圀も壮絶だった・すごかった。
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No.4:
(5pt)

手が疲れる

読む手が疲れるほど、厚く重い。それでも面白くて面白くて止められないので通勤電車の中でも読む。
途中、何度か感動して涙目になり周りを見るがみなさんスマホに夢中。
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No.3:
(5pt)

大傑作

誰もが知る水戸黄門の本当の姿に迫った大傑作。いずれは大河ドラマにして欲しい。すべての時代・歴史小説ファンに読んでもらいたい作品。
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No.2:
(5pt)

天地の狭間にあるもの、悉くが師だ

751頁、表紙含めると約4cmの大作が読み終わってしまいました。
本の中には徳川光圀その人と泰姫、読耕斎、左近 光圀に関わる多くの人が正しく息づいています。

9月1日に購入してから1週間、本の中の光圀と供に猛り、嘆き、喜び、楽しみ、悲しむ事が出来ました。
人によって感想は全く違うと思いますし、瑣末な事を持ち出す人も多いと思いますが
作中の人物を個の様に生き生きとその感情まで描写できる沖方 丁という作家はすばらしいです。
また、素晴らしい作品をありがとうございます。
次回作を期待しています。多作な作家になってください。楽しみにしています。
それまで何回か読み返して楽しみたいと思います。

最期にタイトルは作中で光圀が語られる言葉。
人夫々に受け止める事は違うと思いますが、一番普遍的な素晴らしい言葉だと思います。
だから人生は面白い!
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No.1:
(4pt)

傑作だが、人を選ぶと思われます

著者入魂の作品であることを隅々から感じさせる、まさに力作でした。
完成度が非常に高く、資料の読み込みは恐るべきものだと感じさせられます。

ですが、天地明察で感じたような、「巻置く能わず」といったのめり込みはありませんでした。
恐らくそれは、余り興味の無い儒学や詩に関する蘊蓄の多さがまず第一に挙げられます。
そして次に「光圀」というキャラクターに対する感情移入が出来なかったことです。

光圀はいわゆるテレビの「水戸黄門」では無く、そして全く私もそれに期待はしていませんでした。
冲方丁さんの揺るがない筆致で描く、新しい光圀像を期待して巻をとったのです。
果たしてその思いは叶えられましたが、光圀を好きになることはできませんでした。

この作品、おそらくは光圀を好きになれるかどうかが評価の分かれ目の1つになります。
特に私のようにキャラクター重視で読む人間にとっては。
光圀は一人の人間として描かれています。それは恐らく今まで冲方丁さんが描かれた中で、一番リアルに描写された「人間」です。生々しく、その思考が伝わってきます。
それに共感できるなら、この作品はまさに十年に一度の傑作となりうるものです。
私は光圀が好きにはなれませんでしたが、それは断言できます。

そしてこの本は凄まじい密度を持って一人の男の人生を描ききった、まさに大作です。傑作、名作と呼ばれるにふさわしいものです。

天地明察ほど人を選ばない作品ではありません。ですが素晴らしい作品です。

最後に、ある女性と光圀の心のつながりの描き方は、非常に私の心を打ちました。
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