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(短編集)
風ヶ丘五十円玉祭りの謎
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風ヶ丘五十円玉祭りの謎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 21~26 2/2ページ
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高校生探偵?の裏染天馬が活躍する「体育館の殺人」や「水族館の殺人」といった本格的な事件解決物とはちがったスピン・オフ的な作品ですが、主人公の天馬や柚乃その他登場人物が面白くて楽しく読める短編集です。また天馬をはじめ風ヶ丘高校(+緋天高校)の生徒達のファンである私のような読者には、今後さらに天馬の妹鏡華や仙石警部の娘の姫毬その他の面々が活躍する作品が出てきそうな、そんな期待も持てる各話の内容なので、早くも次回作が待ち遠しいです。 | ||||
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“日常の謎”だし、ほぼ学校内が舞台ということもあって、前作の『水族館の殺人』に見られたような不自然さはない。 ただし、読了後の印象は、全体的にかなり希薄。 それと、登場人物が妙に“閉じられた輪”の中に多いことも気になる(「その花瓶にご注意を」に登場する仙堂刑事の娘が登場する)。学校がメインなので仕方ないのかもしれないけど。 あえて印象に残った作品をあげるとするなら、「針宮理恵子のサードインパクト」。表題作の「五十円玉」という部分には、『競作五十円玉二十枚の謎』を思い出して期待したのだが、ややがっかりである。 | ||||
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ロジックを旨とする本格ミステリにも二種類の楽しみがある。多くの情報から掌の中の真相に絞り込む厳正なパズル、徹底検証する消去法の楽しみが一つ。少ない手掛かりからかけ離れた結論をたぐり寄せるホームズ流、論理を拡げる意外性の楽しみがもう一つだ。日常の謎は後者の味が強く、本作もそう。 飛躍した真相を暴く意外性と、真相を推理のみで担保できる強度は、共存可能ではあるがバーターになりがち。ゆえに前二作の強度を気に入った読者だと微妙に感じるかも。個人的にはホームズ流もアリ。パズル性は緩くなったにせよ、意外性の面白さがぐんと増したと好感した。 これはまさしくクイーンの轍。真祖パズラーなイメージのクイーンだが、初期の消去法に後年ホームズ流も取り入れ、読み物として格段に面白くなった代償にパズルとしての論理性について悩むことになる。ここで平成のエラリー・クイーンを僭称させる版元が、ずばり慧眼と言おうか悪趣味と言おうか、恐ろしい。 ただ、身勝手なだけの犯人を非難さえしない話、現実問題無理を感じる状況設定の話と、日常の謎としては腑に落ちない点が散見され、やはりパズル向きの作風かと思う。条件の限定が難しい日常の謎はどうしても論理性に甘さ(別解の可能性)が残る分、落ち着く所に落ち着く納得感で収めてほしいもの。 良かったとは思う。本格推理とは日常の謎とはと改めて考えさせられる面も含めて。しかしクイーンを名乗るからには全力で鬼の首を獲りに行くのが礼儀、面白かったで済まさず粗探しでもう一回遊べるドン。一つ挙げれば、元ネタの五十円玉二十枚競作当時にはなかった、とある金銭問題を見落としていると思う。後期クイーン的揚げ足を取らねばならぬという使命感も満足度を無駄に削る。私もまた、EQの呪縛から逃れられない犠牲者だったのかもしれません(崖の上で遠いパトランプを虚ろな目で見つめながら)。 | ||||
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前2作の後日談的な話をまとめた短編集です。 天馬編4編、鏡華編1編と数ページのおまけつきです。 読みやすいのは相変わらずです。 今回は短編集なので扉イラストがあります。 個人的には、針宮さんのお話が興味深かったです。 しかし、彼の父親は「けいおん」を観るのか。 でも、これだったら大冒険シリーズのように番外編を文庫で出したように短編集を文庫で出してもよかったと思います。 そうすれば、読者層の拡大にもつながると思うのは私だけ? なので☆は3つ。 でも、お勧めです。 | ||||
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前2作と違い短編集です。 肝心の推理ですが、これは前2作と同じ。 「たったそれだけの情報で、そこまで論理的に導けるのか!」と楽しむ分には、良いでしょう。 「たったそれだけの情報で、そこまで論理的に導けるのか?」と突っ込んだら、負けです。 ミステリなんか、突っ込めばアラとアナだらけ。作者の提示した謎解きをどこまで楽しむかです。 手品だって、タネを血眼になって探すよりも、素直に驚いていたほうが得ってものです。 ところで、次回作は図書館のようですね。 | ||||
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既刊の長編二作は私の嗜好に見事に合致しており、なかなか面白く読むことができた。 なので、短篇集である本作にも期待していたのだけれど、残念ながらその期待は裏切られてしまった。 凡作だな、というのが正直な感想である。。 詰めのロジックを得意とする作者の持ち味が完全に死んでおり、偏見が入っているかもしれないが、悪い意味でアマチュアの匂いさえ漂う。 大学のサークル仲間の内でなら受けそう、みたいな。 収録されているのは五編+おまけ。 『もう一色選べる丼』 学食の裏手に食べかけの丼ぶりを放置した犯人を探す話。 読み進めながら「他の可能性も存在するだろう」「いや、その考え方はおかしい」と突っ込みたくなる箇所が多く目についた。 特に犯人の行動が最も不自然である。そんな面倒なことをしなくても、○○の○○○○だけ処理すればいいだけの話ではないか。 探偵役自身が「大雑把な推理」と述べているように、穴だらけで雑な推理なのは著者も自覚していたのかもしれないが、だったら書くなと言いたい。 『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』 夏祭りの出店でお客が受け取るお釣りが五十円玉ばかりの謎を解く話。 用意された謎は悪くないはずなのだが、最後まで読み終わってもどうにも違和感が拭いきれない。 それは何故だろうと考えてみたが、おそらく次の二点が引っかかるのだと思われる。 1.探偵役が披露した推理=仮説Aは、探偵役が入手している限りの情報から想像できる最も蓋然性が高い結論というだけであり、仮説Bや仮説Cが否定されたわけではないということ。 2.日常の謎における動機論は半無限的な解釈が考えられるので、その中から最も面白くて意外性のある解釈をどのように捻り出すか、どのように辿り着くかという伸び・飛びのロジックが重要になるので、可能性を収束させる詰めのロジックを持ち味とする著者の場合だと、探偵役の推理に今ひとつ説得力が欠ける。 後期クイーン問題が云々、などというつもりはない。しかし、やはり何か落ち着かないというか、アンバランスな感じは否めない。 安楽椅子探偵モノに仕上げておけば、ミステリという形式の遊戯性が強調されて、まだしも違和感は減じていかも。 『針宮理恵子のサードインパクト』 とあるキャラクターの補完的なエピソード。 申しわけ程度の小さな謎と小さな解決があるが、まあそれだけか、という感じである。 「普通そんな行為をするかな」という疑問が、ここでも脳裏に浮かんだ。 こういう青春要素を全面に押し出した話をこの著者が書く必要があるとは思えない。 もっと上手い書き手なら他にいっぱいいるだろう。 『天使たちの残暑見舞い』 抱き合う二人の少女が教室から消失した謎を解く話。 私が通っていた学校ではこういう経験をしてこなかったので、どうにもコメントできない。 『その花瓶にご注意を』 花瓶を割った犯人を見つけ出す話。 フーダニットなのだけれど、容疑者は一人しかいない、と言いきってもいいだろう。 なので、どのようにして犯行を立証するかというのが眼目になるのだが、探偵役の論理の積み重ねに膝を打つようなものはなく、後半のロジックにはやや飛躍があり、真相を空中から取り出している感じがして、納得感は薄い。 というか、視点人物が明らかに確証がないまま行動に移って、犯人のとある行為の証拠を発見しているので、読者であるこちらとしてはちょっと置いていかれた気分になった。 この話だけは日常の謎から逸脱しているかもしれない。 『世界一居心地の悪いサウナ』 おまけ。 全体的に雑な箇所が目につく短篇集。 著者の「まあ、こんなもんでいいだろう」という気持ちが透けて見えるようである。 そういう微温的な熱量しか感じなかった。 そもそもクイーン的というよりはホームズ的な雰囲気の推理が目立つうえ、日常の謎は個人的にあまり趣味ではないので、どうしても評価は低くなってしまう。 キャラクター小説として読むには、人物の魅力や台詞のセンスが米澤穂信などと比べると一段も二段も落ちるので、キャラ萌えとしても微妙である。 やはりこの著者は殺人事件を扱ったほうが持ち味をよりよく発揮できると思うので、若さに甘えず自らハードルを高く設定して、しっかりと腰を据えて次作に取り組んでいただきたい。 | ||||
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