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ブルックリン・フォリーズ
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ブルックリン・フォリーズの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.68pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 41~44 3/3ページ
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ブルックリンを舞台に主人公ネイサンとその周辺の人間の再生の物語です。わかる人にはオースター自身が関わった映画「スモーク」、「ブルー・イン・ザ・フェイス(こちらはようやくDVD/BDで出ましたね)」を彷彿とさせる世界と言えば分りやすいかな。後半になるにつれよりメッセージも直接的になり、オースターの作品中最も「わかりやすい作品」だとも確かに言えます。読んでいる間は主人公の話す(書いた)物語の世界にじっくりと浸るといいと思います。ただ読み終わって本を閉じた後もう一度思い返してみると、主人公が世界に絶望していた甥・トムについてどう語っていたか、主人公が書いていたのは「愚行の書」。ということは、、、等、考えれば考えるほどこの本が単純ではないと思えてきました。皆さんも読み終わった後に自分なりにこの本の感想を考えてみてください。 | ||||
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朝日新聞の朝刊で、もはや何の噺だったのかも分からず意味不明の学校ネタと自動車ネタを小林秀雄の晩年の講演会の如く垂れ流している奥田英朗、伊坂幸太郎。そして吹けば飛ぶよなこんにゃく文体で下らないヨタ噺を書き飛ばして原稿料を略取している重松清に失望落胆かつあきれ果てたら、この1冊を手にとってみよう。 オースターは毎年1冊のペースで力作を出し続けているようだが、これは2005年の作品でニューヨークのブルックリン界隈に棲息する市井の人々のいかにもありそうで、しかし絶対にない話を抜群のストーリーテリング術を駆使、するのみならず、舌なめずりして楽しみながら書いている! から空恐ろしい。 「私は静かに死ねる場所を探していた」 という出だしからして読む者をじゅうぶんに惹きつけるが、続く数ページでもはや読者は完璧に著者が繰り出すものがたりの蜘蛛の糸の虜になってしまうに違いない。 んなわけであるからしてあらすじ等については触れないが、晩年のカフカが公園で出会った人形を無くして悲しんでいる少女のために、なんと3週間続けて渾身の力を振るって人形からの手紙を書き続けた、という感動的な逸話ははたして本当なのかしらん。 そんな手紙は少なくとも私が読んだ2種類の全集には収められてはいなかったが、これもオースターの「天才的な」作り話だったりして。 ともあれ小説家のプロの仕事の最良の見本が、ここにある。 | ||||
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9.11以降、右傾化するアメリカの中にあって、一時期は「ニューヨーク市独立論」さえ真剣に考える論評を書くに至ったオースターが、他の作品とは一味違う、まっすぐなアンチブッシュを打ち出した愛と決意の物語。ある場所のある時間の中にしか書けなかった唯一無二の物語にあふれる人間賛歌には、あの歴史的瞬間に向かっているNYの、真に人間らしい「そこに生きる人々」のレクイエムの気持ちが込められている。フランスっぽいオースターやマンハッタンっぽいオースター、アナザー・ワールドっぽいオースターがあるとすれば、これは下町オースター。こういうオースターにはめったに出会えないからこそ、何年も待っていた待望の翻訳に拍手です。 | ||||
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妻と娘に見放された60歳の男、辣腕の元保険外交員。大学院を中退した甥30歳、優秀な元アメリカ文学研究者。詐欺師の友人66歳、元画廊のオーナーにして現在は古書店主。彼らブルックリンの愚者たちーfollies。元(ex)彼らが近未来に求めるのは「Hotel Existence」。それは内面の隠れ家あるいは絵空事の避難所。ではそのサンクチュアリはいったいどこにあるの? 彼らは懸命に探す。どうやら、そのX(ex)は足元の現在地"the spot"にあるようだ。「ポスト過去?」、「いまってことですよ。それと、これから。とにかくあのころのことはうだうだ考えない」。9.11。その直前の物語。私(元保険外交員)は幸福だった。わが友人たちよ、かつてこの世に生きた誰にも劣らず、私は幸福だった。「本の力をあなどってはならない」(P.オースター)。 | ||||
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