(短編集)

路地裏の子供たち



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    路地裏の子供たち
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    初公開日(参考)2019年04月
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    短編集

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    路地裏の子供たち

    2019年04月23日 路地裏の子供たち

    うらぶれた路地裏が冒険と発見に満ちていた子供時代を叙情豊かに描くデビュー短篇集。夏になるとどこからか現れる行商人の秘密を知った「パラツキーマン」。高架下の廃屋でたくさんの鳥たちと暮らす風変わりな男との邂逅を描く「血のスープ」。少々ネジが飛んでいるけれど子供たちのいい遊び仲間だった「近所の酔っ払い」。人生の岐路に立った少年二人が夜更けの雪の町をさまよう「長い思い」。映画の恐怖が現実に忍び込んできて逃げ惑う少年を描く「ホラームービー」。不思議な生業を営む叔父との奇妙な日々が胸を打つ結末に行きつく「見習い」など珠玉の11篇に、日本版特別寄稿エッセイを収録。(「BOOK」データベースより)




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    No.1:
    (5pt)

    『路地裏の子供たち』を書いたころのダイベック

    この本は、スチュアート・ダイベックの「連作短篇集」(1980年)です。

    おまけとして付けられた、ダイベックの日本版特別寄稿
    「『路地裏の子供たち』を書いたころ」に心を惹かれました。ダイベック自身の声に惹かれました。

    「訳者あとがき」によると、本書は、
    「作品間の関連を重視して収録作が周到に選ばれ、作品同士が呼応しあって、長篇ともまた違う豊かなまとまりを形成している」(266頁)だけでなく、「ダイベック流本作りの魅力」が「すでに」現れているとのこと。

    ところが、ダイベックの日本版特別寄稿「『路地裏の子供たち』を書いたころ」を読むと、
    「私自身も長年、最初の短篇集『路地裏の子供たち』のことを偶然の連なりと見てきた」(260頁)
    そうです。

    訳者・柴田元幸さんは「作品間の関連を重視して収録作が周到に選ばれ」ていると見ているのに対し、
    ダイベック自身は「偶然の連なり」とこの本を見てきた、という。

    この本は「周到な選択」なのか? それとも単なる偶然の連なりなのか? 正反対のように見えました。

    よく読んでみると、周到な選択(原稿の推敲)を繰り返し重ねていった結果、
    あとでまとまってタイトルを付けるときには偶然の連なりのように見える、
    というようなことではないのでしょうか。

    「私はなぜか、自分でも気づかないうちにシカゴという都市を〝授かって(傍点あり)〟いたのだ」(261頁)

    自分でも「なぜか」分からない理由で、「自分でも気づかないうちに」生まれ出たものが、
    この本の「統一原理になるものだと思った」というのです。不思議な本能から生まれ出たもの。
    これはまさに「偶然の連なり」と見えたものでしょう。

    「テーマや観念より深いところから湧き上がってきて作品全体を浸」す
    「さまざまな感情のみなぎるひとつの空気(ムード)」(261頁)。
    「ひとつの」空気(ムード)が、本書の「豊かなまとまり」を生み出しているというわけです。

    「これまでダイベックが発表した小説五冊のうち、この一冊が最高かもしれない」(265頁)
    と訳者は絶賛・評価しています。

    「少し生硬なところも交じっていたりする」デビュー小説がダイベックの最高傑作だなんて!

    確かに、そんな「少し生硬なところ」が、隠し味のように魅力的な味わいになっていると思います。
    それは、デビューのときの若々しい「輝き」でしょう。
    そんな誕生の産声のようなデビュー小説は、何にもまして感動的です。

    巻末の「『路地裏の子供たち』を書いたころ」には、
    ダイベックが「書く上で導き手となってくれた」音楽についても、詳しく記されています。
    読者にとってダイベックを理解する上で、ダイベックの作品のずっと深いところに
    チェロの通奏低音のように流れている「音」を読者は聴いてみたいと思っているのです。

    LPレコードのチェロの音楽も、ダイベックの心に取り憑いたそうです。
    チェロの音楽のあとについて行った結果、すっかり迷子になり、思ってもいなかった、
    リアリズムから離れた場所につなげて、たどり着かさせてくれたというのです。
    迷子になるのも悪くないですね。

    そして、ダイベックの「声」。
    「ページから聞こえてくる声は、書き手が選んで決めるものではない。書きつづけることを通して見つけるしかない」(262頁)
    こうして、書きつづけることが、偶然を呼ぶ「声」となり、どのみち偶然が訪れることになるのだそうです。

    読者が知りたいと思う、ダイベック作品の下に深く流れる川のような「声」も「音」も、
    この「『路地裏の子供たち』を書いたころ」で初めて知りました。

    ダイベック最初の短篇集『路地裏の子供たち』の日本語版のために、
    「四十年近く前に出た自著をふり返って味わい深いエッセイを書いてくださった作者ダイベック氏」(267頁)

    ちょっと横道にそれますが、
    ダイベックの2014年の最新作「ヒア・カムズ・ザ・サン」を読み返してみました。

    たった一頁半の超短篇ですが、「アンド・アイ・セイ・イッツ・オール・ライト」の言葉で終わります。
    ビートルズの歌のタイトルで始まり、その歌詞の最後のフレーズで終わるところは、
    なにか「落ち」が付いたように感じ、きまったなという感じがした短篇小説でした。

    そして再び、本書の「バドハーディンの見たもの」を読み返しました。
    最終行は「国境の南!」(117頁)
    やっぱり、ポピュラー・ソングのタイトルの言葉で若き日のダイベックは最後をきめています。

    この、歌声が聞こえてくるような終わり方は、今もダイベックの作品に生き続けています。

    ダイベックの「ひとつの」空気(ムード)とは、
    ダイベックの子供時代、思春期、青年期のアメリカのポピュラー・ソングのムードではないかな
    と感じました。

    《備考》
    ダイベック最初の短篇集『路地裏の子供たち』が刊行されたのは、1980年。
    今(2019年)から約四十年近くも前。
    この本の中の「時代を感じさせる表現」が気になりました。
    ・ギンズバーグの詩集「吠える」(131頁)を当時の大学生たちが暗唱していたこと。
    ・「新品に見えるトランジスタラジオ」(189頁)を他の子供たちに自慢して歩くところ。
    ・「シカゴ公共図書館から借りた、二枚のすり切れたLPレコード」(262頁)
    ダイベックは、1942年の生まれ。77歳。
    路地裏の子供たちAmazon書評・レビュー:路地裏の子供たちより
    4560096945



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