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狼の王子
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狼の王子の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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姉妹達の手記やある日突然、アイルランドの田舎町キャッスルタウンベアにやってきた謎の男ジム。 彼の危険で妖しい、強烈な魅力に惹かれていく姉妹や叔母などの女性達。 しかし、次々と起こる女性が殺される事件。 そして聴衆を前にして、パブでジムが語り始める、謎めいた魅力的な物語「狼の王子」。 姉妹の謎の死に興味を抱いた郵便局員がやがて真相解明の鍵として手に入れる、姉妹の手記。 このように設定や構成など所々、魅力的な要素は見られるのにも関わらず。 肝心の物語の要となる、魔性の魅力を持つ男ジムの個性、そして彼と女性達との恋愛部分の掘り下げが弱いと感じられる。 それぞれの女性に対するジムの感情も、必ずしも同じではないと思われるし。 そして何より、姉妹やモイラなどの女性達を狂気に陥らせる程の激しい愛と執着をもたらしたジムの魅力が十分に描ききれていないと思われる。 姉妹の愛、恋愛、サスペンス、ミステリーと様々な要素を盛り込み過ぎて、結果的に何もかも中途半端になってしまったのではないのか?と思わずにはいられない。 それに家族との特異な関係という、ジムの過去にまつわる、闇とでも呼ぶべきものが終盤で少し仄めかされただけで、終わってしまったし。ロイシンの手記も冗長過ぎるような。 私は星三つにするか四つにするかで迷ったが、小説の構成や設定自体には魅力がある部分もあり。 また、途中でジム自身の口から語られる「狼の王子」の物語に不思議な魅力を感じたこともあり、この評価にすることにした。もっと十分に話の構成や設定を活かしていたら、もっと人物の心情や個性などを掘り下げていたら。 そうしたらギリアン・フリンやキース・ドノヒュー言う所の、ダークで誘惑的なおとぎ話として、大変に魅力的な物語に仕上がっていただろうにと感じ、少し残念。 | ||||
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「前奏曲」「間奏曲」「第一部」「第二部」「第三部」「第四部」「追記」に分けられている。この内、「第一部」「第三部」が「前奏曲」で死体として発見された3人の女性の内、2人の手記である。 「第一部」に入るまでは、少々モタモタした感じだったが、それ以降「第三部」までは、ぐいぐいと引っ張られるように読み進められた。しかし「第四部」以降になると、一気に減速してしまう。 それと、真相を究めようとする郵便局員ナイルが、ある種の犯罪者として勘違いされる部分には、かなり違和感を覚える。 「狼」の使い方はうまいし、手記の部分は文句なしに面白いのだが、最終的にはカタルシスが感じられない。文句無しで、他人に薦められる作品ではない。 | ||||
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死者からの日記が語る死の理由。4人の女と謎の男との戦い,そしてその結果が招いた新たな事件。 ダブリン近くの街でおきた女性3人の死体発見事件は,被害者の日記が郵便局で発見されたことにより西部の片田舎にさかのぼって行く。 なぜ3人は死なねばならなかったのか,すべてはこの片田舎に流れてきた語り部から始まる。街ともいえない小さな集落での語り部の物語は人々を引き込み,取り付かれたような信奉者を増やしていく。しかし・・ 最近はGoogleマップで,簡単に世界中のどの街にも立てる。読みながらぜひ舞台となったアイルランド西部を見てほしい。空気を感じてほしい。 | ||||
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読み進めるにつれ、どんどんと不気味さを増していきます。 時に暗鬱な雰囲気が漂う、かなり独特なストーリでしたが、幻惑され、そして身震いしながらもページをめくる手が止まりませんでした。 大変面白かったです。 物語は女性3人が惨殺された現場から幕を開けます。 普通のミステリであれば、ここから探偵役が出てきて、捜査が始まりますが、この物語には、捜査シーンがほとんどといっていいぐらい、出てきません。 物語のほとんど多くが、被害者の「手記」で占められてます。 その手記は、被害者が命を落とすその直前、どうしてこのような事態にいたったかが、被害者本人の観点で、口語調で書かれています。 被害者に直接語りかけられているような、非常に不思議な感覚にとらわれます。 語りかけるのは被害者自身、その体験や思いの告白ですから、客観的に話の辻褄をどうこうと考えるいとまもなく、この「語り」に幻惑されながら、どんどんと引き込まれていってしまいます。 そして、惨殺のその時が近づいてくるにつれ、戦慄につぐ戦慄を味わわされることになります。 ただし、不快さを感じることは全くありません。ホラー、そしてサスペンスとして、クライマックスへの盛り上がりのところ、ドキドキしながら読み進めました。 この手記を偶然手に入れた、郵便局の若い職員の姿も描かれます。 手記の内容に感化されたこの職員は、殺人事件の真相を突き止めようと、やや向こう見ずな行動をおこします。 この職員の行動は、最初はやや唐突に感じましたが、手記の内容の展開と、若者が究明していく真相とが、殺人事件の後日談的に巧みに絡み合い、十分に納得を覚えます。最後の方ではこの職員に共感さえ覚えました。 そして、全ての事実が明らかにされてからの終盤の展開。 これまでのおどろおどろしい展開から、こんなラストが準備されていたかと、読後はなんともいえない満足感を覚えました。 よく、このような独特な小説が発掘されたものだと思います。 この作家の次の作品を手に出きる日が大変待ち遠しいです。 | ||||
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