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1000の小説とバックベアード
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1000の小説とバックベアードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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佐藤友哉らしくないというのか。 前期作品ではなく、後期作品らしさもない。 主題が著者の小説への意識にあるのではないかと愚考しますが、些か作品として人には薦めにくい気がします。 | ||||
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初めて読む作者の本ですが、とても面白かったです。これだけの構成、モチーフ、ストーリーを考えられる才能がすごい。コントロールされた物語のようでかなり遊びの部分もあり、またセリフが全てよかったですね。 セリフのテンポやリズムが面白く、センスが良い。 変に青臭く感動的なところがあるのも本気なのか冗談なのか捉えられない感じがまた良い。 とても個性的な小説で、万人受けするものでは無いかもしれませんが、この作者にしか書けない面白いものだと思いました。 | ||||
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個人的には「買い」で、堪能しましたが、読む人を選ぶ作品であると思います。 悲しいかな、世の中の大多数の人にとって大切なのは「物語」であって、「小説」という形式はさほど愛着を持たれていません。そんな気持ちを改めて意識させられました。 的外れかもしれませんが、高橋源一郎さんが書かなかった「小説」という印象を強く受けました。 | ||||
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小説への著者の情熱というか情念が迸る作品。 小説に対する”片説”なる概念を発生させたりして、混乱の土俵際まで追い詰められてしまった。 仕事を解雇され片説家の主人公は、そのショックからか読み書きの能力を失ってしまう。小説を書きたい如何ともしがたい衝動に突き動かされる主人公。小説とは何だ!と煩悶するうちに、地下図書館に拉致・幽閉される。全身黒ずめフルフェースのメットをかぶる怪人バックベアード登場で、物語は混とんとしてくるのだ。 言っている事はわかる、しかし、それを説明すのは困難な小説だね。文芸批評とも読めるだろうか。【三島由紀夫賞】 | ||||
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初めての佐藤友哉著の作品を読みました。かなり変わったストーリーに圧倒。表現も変わってて、さっぱり着いて行けず、最後になりました。小説に対する論評かと思ってしまいました。賞をとるのはこういう作品なんですかね。 | ||||
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ほとんど小説は読まないのですが、最近の同世代の人間はどういう物語を作っているのだろう?と気になり読みました。これの前にベッドサイド・マーダーケースを読みましたが、あちらは現状のイラストレーションという感じで一歩踏み込みが足りないような感じでしたが、こっちは恐らく27歳当時の本人の苦悩のおかげか、文体の軽さや設定のライトさを超えてラストでは素直に唸らされました。エンタメと純文学のはざまでこの時代に合った言葉と表現を作るというのはやはりかなり難しい。世代が近いこともあり、非常に共感する課題です。資本主義的に作られた子供市場にやられて育った世代なので、原体験としてどうしてもエンタメ体験がある。しかしこれは、それを引き受けたライトで現代的な語り口でありながら、紛れもなく上等な純文学と思いました。しかし純文学そのものへの疑問も本人は抱えており、それが今作では内容的にプラスに働いたものの、後の作では上手くいかなかったりということもあるのかなぁとも思いました。というわけで、どのように折り合いをつけていったのか、他の作品も読んでみたいと思わせられました。 | ||||
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タイトルに惹かれて購入。 蓋を開けてみれば思いのほか徹頭徹尾、小説自体を追究した内容。 かといって文体は平易でリズミカル、 さくさくと読み進められ数時間のうちに本棚に収まった。 展開的には突っ込みたくなるような突飛なところもあり、 論理もかなり強引な印象を受けたが、 片説家や日本文学なる組織など趣向を凝らした アイデア、ミステリー要素満載で、 総じてみれば多角的に楽しめた。 | ||||
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エナメルを塗った魂の比重を先に読んだので、一寸気風の変わった正統派ミステリー?では 正直満足出来ませんでした。 まあでも此方の方が一般受けするのでしょうね。 読むと人によっては嫌悪感を受ける「読書家」も多分存在するでしょう。 「書淫」「活字中毒」「書痴」などの「愛語家」には劇薬かも知れません。 | ||||
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どこかで見たことがあるような表現、稚拙な文体、魅力が感じられない登場人物たち。 会話も凡庸で退屈、物語の展開も適当で強引。 作者ははっちゃけているつもりかもしれないが完全に凡作小説の域を出ない。 まだ他のメフィスト賞出身者のほうが新鮮で読ませる。設定は面白いし、やりようによってはもっと強烈な小説になりそうなのに、ならない。 なんというか、二次選考まで残ったけどとくに決定打もなくそこで落とされてしまった小説、そんな感じだ。 | ||||
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様々な先行文学作品への言及があって、筆者がいろいろあがいている苦労が読み取れました。 「二十七歳の誕生日に仕事をクビになるのは悲劇だ。ぼくは四年間務めた片説家集団を離れ、途方に暮れていた。 (片説は特定の依頼人を恢復させるための文章で小説とは異なる。)おまけに解雇された途端、読み書きの能力を失う始末だ。 謎めく配川姉妹、地下に広がる異界、全身黒ずくめの男・バックベアード。 古今東西の物語をめぐるアドヴェンチャーが、ここに始まる。三島由紀夫賞受賞作。」(表紙カバーの裏より) この作品の出自をたどるなら、村上春樹の『ハードボイルドワンダーランド』の形式に高橋源一郎の『日本文学盛衰史』を盛り込んで、 西尾維新がラノベテイストで軽妙に語り下すといった所でしょうか。先行作品に範をとりつつ換骨奪胎して、 さてそこで佐藤さん独自の作品になりえているかどうかは、私には疑問があります。 先行作品のいずれをも未消化なまま、あるいは表層を掬い取るだけで、この作家独自のテイスト―それまでの作品とは違った佐藤友哉らしさといえるもの― を出すまでには、消化/昇華されていないです。 | ||||
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素人のくせに評論したくなる気持ちを抑えて一読者の感想を言うなら「めんど くさい主人公」です。気持ちが分からない訳でもないですが、そこまで崇高な 思想が「小説」に必要なのかな。と。 あ、いやすみません。読者としては「楽しめれば」よいので……。あくまで、 お気楽な読者の意見。書き手が悩んで悩んで悩み尽くして「よいもの」を提供 してくれるのは大歓迎なんですが、ちょっと精神論かな。 主人公の思想 ≒ 作者の思想ですよね。これ。 ミステリらしいのですが物語性のあるエッセイだと個人的に感じました。 で、主人公や思想ではなく物語としての感想は……、ごめん。これ思想はそれ なりに面白かったんですが、その部分をさっぴいた「物語」としてはちょっ と。というか、かなりつまらん。 独特な主人公の反応や思考は楽しめます。 思想や揺れ動くさまも楽しめます。 一生懸命にひねった文体も、まあそれなり。 でも物語としては……、失格? でも、マネしてみたくなる点は、すごいかもしれない(笑) | ||||
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“フリッカー式”で刺激的で陰惨なバイオレンスを描いた佐藤友哉と出会った。 鏡家サーガ以来久しぶりに読んだ本作は、いろんな意味で変わったと感じた。 本書の主人公と作家・佐藤の悩みは、シンクロ率120%! エッセイを読んでいるかのような感覚にとらわれる。 以前あった心をかき乱だすような荒々しい描写は抑えられ、 練り込まれた文章で“小説”を巡るミステリが描かれている。 期待した定番のヤツとは違う、いい裏切りを体験した。 | ||||
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遅読家であるはずの私が、本書を一晩で読んでしまった。 最近、太宰さんから離れようと努めているのだが、その努力も実を結ばない。冒頭、扉の部分からして太宰さんの短篇「渡り鳥」の一節が、エピグラムとして登場している。その他、この作品には、太宰さんの影がちらほら散りばめられている。どのように散りばめられているか、それは、直接手にとって、ご確認のほどを。 ちなみに私は、この作品を読みながら、太宰さんのこんな文章を思い出していた。 「小説というものはつまらないですねえ。どんなによいものを書いたところで、百年もまえにもっと立派な作品がちゃんとどこかにできてあるのだもの。もっと新しい、もっと明日の作品が百年まえにできてしまっているのですよ。せいぜい真似るだけだねえ。」 「そんなことはないだろう。あとのひとほど巧いと思うな。」 「どこからそんなだいそれた確信が得られるの? 軽々しくものを言っちゃいけない。どこからそんな確信が得られるのだ。よい作家はすぐれた独自の個性じゃないか。高い個性を創るのだ。渡り鳥には、それができないのです。」(「彼は昔の彼ならず」より/引用は「青空文庫」) 主人公の年齢が今の私と一緒だった、という事実も、私に本書を読ませた主要要素だ。小さな運命を感じたのだ。アホですみません。 | ||||
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ちょっと昔の実存主義文学のような雰囲気の物語です。 明治期における文学の革命を超えて、 僕たちは新しい「日本文学」を創造することができるのだろうか。 そんな純粋な想いが爆発したような小説でした。 | ||||
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特定の個人に向けて集団で書く「片説」。片説家として生計を立てている主人公木原は、ある日解雇を言い渡される。小説への卑屈な思いが拭いきれない木原。小説を書く才能があるのに、片説を書く「やみ」。「1000の小説」計画。失踪した片説依頼人。「日本文学」とは誰か。小説に関わるあらゆるものが錯綜する作品。 久しぶりに、小説を読んでびっくりしました。何だこれは、第一声。次に、興奮。面白い。 何で人間は小説を読むのだろう。なくても生きていけるはずだ。でも人々は小説を読み、たまには書く人もいて、そうし人がしんでも小説は残る。 その不思議な営みに思いを馳せたいのなら、絶対に読むべきだ。 | ||||
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読みながら、テレビの世界を舞台にした似たような小説が書けるなあと夢想していたら、 あ、この小説自体『フリッカー、あるいは映画の魔』と、構造がそっくりだ、と、 気付いた次第。 | ||||
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著者にとってはあまり褒め言葉にはならないかもしれないが、さくっと読める。内容がことさら軽いというわけでもないと思うのだが、文章が読みすすめやすい。ふだん私はあまりさくっと読めるようなものは読まないし面白いと思わないのだが、そんな私にもこの本はテーマもストーリーも読み応えがあって面白かった。テーマが著者にとって切実なものであることが伝わるので、ある種のエンタメ作品を読んでいるときにふっと感じる「どーでもいいよ、このお話」みたいなものも感じることなく、著者の熱気に促されるようにして真剣に読めた。高橋源一郎が絶賛していたが、高橋源一郎が「教養」がありすぎて出したくても出せない軽さがあるなと思う。 | ||||
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久々に佐藤友哉の小説を読んだ。 全然、変わっていなかったね。 無理に難しい言葉や言い回しを使っているな、という印象を受ける独特の文章。 伏線なしの唐突で強引なストーリー展開。 本人も本当は理解していないのではないだろうか?とも思える難解な純文学的表現。 これはまさに佐藤友哉の小説だ。 内容的にまるで売れそうにないのも佐藤友哉的だ。 | ||||
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デビュー作からは想像できなかった作品。 佐藤友哉さんはこういう風になったのねって嬉しくなりました。 なんとなく丸くなったかなと思いました。 刺々しいユヤタンも好きだけど、こういうのもありです。 ただなんとなく読んでいると村上春樹を思わせる感じです。 | ||||
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物語は、主人公が「小説」ならぬ「小説のようなもの」である「片説」を書く 仕事をクビになるところから始まる。 ところが、小説を書きたかったけど片説しか書けなかったような主人公、 「僕」になぜか小説の執筆を依頼する女性が現れる。 そんな「僕」が他の登場人物からの妨害や助言を受けながら、なんとか小説を書こうとする、 というのがこの物語の粗筋。 全体の物語のかたち、雰囲気は、村上春樹の『羊』、 『世界の終わり』、『海辺のカフカ』といった 冒険orファンタジー小説のような感じになっている。 ただテーマは「小説」であり、佐藤友哉が小説に対し 悩み、考え、感じたことが題材になっていると思われる。 何か真面目に自分のオリジナルなものを創ろうとしたことがある人間ならわかると思うが、 自分の創っているものが本物なのか偽物なのか、あるいは価値のあるものか、 意味のあるものなのか、と悩んだことがあると思う。 この物語は、小説に対する佐藤友哉のそんな悩みと、 それに対する彼なりの回答を描いたものなのだろう。 自分は、前半100ページまではあまり面白くなかったので 正直投げ出そうかとも思ったのだけれど、 そこからラストまでは非常に面白く読むことができ、 ラストの「循環」のエピソードからは目頭が熱くなった。 自分のオリジナルなもの(とくに小説)を創ろうとしたことがある人間なら、 この小説が佐藤友哉の(あくまで佐藤友哉の)小説賛歌であり、 大いなる肯定であることがラストまで読むとわかると思う。 そして彼の、1000の小説に対する宣言であることも。 | ||||
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