■スポンサードリンク
日本の黒い霧
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
日本の黒い霧の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全104件 61~80 4/6ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大量の資料に基づいて事実関係が記述されている点だけでも、十分に読む価値はあった、と思いました。 自分としては、この時代についての知識はあまり無かったので、基本的な知識を(楽しみながら)仕入れることができました。 朝鮮戦争の記述について批判が多い理由はわかりますが、昭和35年の段階としては、かなり誠実に書かれたのではないか、と思います。李大統領の性格からしても、韓国側に先制攻撃の意図が無かったわけではないのも事実でしょう。あの戦争は、「どちらが先」かだけが問題なわけではないだろうと… また、北側の兵士に妙に肩入れしているかのようにも受け取れる表現が多いように感じましたが、あの当時に両軍を公平に見た自然な結果なのかもしれない、と思います。 日本の保守政権に不正な資金が流れ込んでいたのではないか、という記述についても、それは多くの人が感じていたであろうことで、もっともな意見だと思います。そういう批判を松本氏が繰り返したからこそ、今がある、とも言えるでしょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
30年前に読み、改めて読み直しました。 今読んでも新鮮、今も昔も真実が報道されないのは一緒です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
もはや古めかしくなったという意味で「歴史的名著」。 下山事件は自殺ということで実質的に決着済だし、朝鮮戦争の先攻論争もソ連崩壊後の文書発掘で決着済。 ごく普通の左翼少年であった高校生の頃、むさぼるように読んだ本書(文春の単行本)だが、今読むと、引用資料も大変な偏りがあるのが分る。「事実」より「イデオロギー」を優先する左翼の評論家・研究者のものが多いのだ。(ストーン某とか大野某とか) ただし、現在の多量の情報による視点から1960年に書かれた著作の瑕疵を指摘するのは、アンフェアだ。左翼の人間の常套手段である、現在の価値観で自国の過去を断罪し政治宣伝に奉仕するという、人間として日本人として最も下劣で汚いことを、私はやらない。 要するに私が言いたいことは、このような本は当時の時代の空気を想像して、その中に身を置いているとした上で、批判的に読めということ。 アメリカを憎め、自民党政権を憎め、安保と自衛隊を憎め、と常に学校とマスコミ(本書もこの一環)に暗示をかけられていた時代が、かつて長く続いていた。その時代の空気をつかむためにも最高の「歴史的名著」だと思う(もちろん皮肉ですが)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本で取り扱われている話は、戦後に起きた重大な事件に題材を取った物です。帝銀事件等は、犯人とされた画家の平沢貞通がシロであると明確に推理し、国鉄を巡る三事件、下山、三鷹、松川事件についても大胆な推理が成されています。しかし、私はこの推理について、余り支持出来ない。と言うのも、これらの事件は非常に謎の多い物ではあるのですが、氏の推理には、若干強引な部分があり、確たる証拠、根拠に乏しい。まあ、だからこそ、こういう推理小説も成り立つのですがね。私等、子供の時分に、この本を父親等が読んで紹介してくれたせいで、帝銀事件の真犯人は、別に居ると、かなり信じ込んでいました。この当時、平沢死刑囚が、まだ存命だった事や、歴代法相が死刑執行のサインを嫌がった事実等も、そういう印象に拍車をかけました。月日が経って、考え直してみると五分五分かなあという感じです。また、国鉄を巡る三事件についても、三鷹、松川両事件は、確かに謎が多く、ミステリアスな事件ですが、下山事件等は、国鉄総裁の単なる自殺と見る方が正しいかなとも思います。昨今、米側が公表した事件資料や、当時国鉄の大規模リストラを任された下山氏の精神的重圧等考えると、断言は出来ないが、自殺の可能性が高いと感じます。まあ、どちらにせよ事件の真相を断定する証拠に乏しく、戦後の混乱期で、何が起きてもおかしくない様な時期に起こった事件であり、多くの謎を孕んでいる事に間違いはないと思います。ただ単に推理小説として、愉しむ題材としては余りにも極上な物です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
現実の事件を、その構成要素や状況から読み解く。 その手法は物語の仕掛け人こそ熟練しているものだと 改めて実感させられた。 時代は経たが、新たなパラダイム転換の際に参考に なる1冊かと。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「アメリカが、日本の民主主義(それもアメリカの政策の枠内でだが)の行き過ぎを是正したのは、日本を極東の対共産圏の防波堤とはっきり意識したころにはじまる。」「アメリカは日本国民に絶え間なく共産勢力の恐怖を与えつづけなければならない。これまでの占領中のさまざまな事件が、この一つの焦点に向かって集中されているように、今後も(実質的にはまだ日本はアメリカの占領中なのだ)、この種の陰謀はアメリカの努力によってつづけられるであろう。」……帝銀事件や松川事件の無理やりな犯人でっちあげも、「追放」からレッドパージへの転換も、朝鮮戦争へ向かう助走の中で生まれたことがうかがえます。歴史はきっと繰り返すから、このような見方を知っておくことは役に立つと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『BILLY BAT』(浦沢直樹)に下山事件が描かれていたので興味を持ち、読みました。上巻では、下山事件を含む昭和二十年代の六件の事件が取り上げられています。どの事件もその背後には米国の極東戦略とGHQの内紛があった、と松本清張は推理します。仮にこれを著者の推理に基づくフィクション小説とするならば、犯人のボロもアラも見え過ぎの、出来の悪い推理小説ですね。しかし逆に、そのボロもアラも、「大人の事情」によってうやむやにして、力ずくで押し通すことができたと想像すると、占領下日本という異常な社会のリアリティが感じられます。占領地の住民など、人間の数には入らないのですね(それは今でも?)。みじめなものです。教訓は、もう戦争には負けちゃいかん、ということです。そもそも負ける戦争を始めちゃいかん、ということです。宮本武蔵の教えのとおりです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
松本清張さんの戦後史を見る目は鋭く、数々の事件とその背後に見え隠れするGHQの存在を鋭い洞察力と筆致で描いている秀作です。「帝銀事件の謎」では、犯人がある程度推測できていたのに、それに斬り込むことができず、別の平沢貞道を犯人に仕立てていく様子など、731部隊の残像とGHQの威光から、事実が捻じ曲げられている社会状況が見事に描かれていると思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
歴史的な数々の事件を解明的に、描き、燻りだした傑作。ある程度の読み手がわの、社会性も求められる作品.もしかして、清張先生しか書けない類の本ではないか?と、密かに思っています。黒くて良く見えない事件の数々、正に日本の黒い霧です、考えさせられてしまう、内容の深い銘書、多くの人々に読んでほしいものです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「下山国鉄総裁謀殺論」(松本清張著、文春文庫『日本の黒い霧』所収)は、敢えて小説の形はとらずに、事実の部分と推理の部分とを書き分けた、と松本清張自身が述べている。この戦後のアメリカ占領下に起きた怪死事件の裏に蠢く大きな謀略に肉薄しようとする清張の執念たるや凄まじい。 この作品と『下山事件 最後の証言』(柴田哲孝著、祥伝社文庫)を併読することによって、さらに好奇心を満足させることができるだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本は、(書かれた時代なりに)良い本である。小生が、若いころに、我流ながら”アメリカ理解”の一助になったと思う。今回、40年を経て自分の手元に入り、満足している。 この本とは、別に”電力関係法令”では、ガッカリした。小生は、公益事業をしての電気事業法と、いくらかの”その解説”を期待していた。 だが、期待に反して、それは主に「電気事業」への周辺法が中心であった。自分の「内容への確認を怠った」と、反省するばかりである。 Katsu | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書は 『征服者とダイアモンド』 『帝銀事件の謎』 『鹿地亘事件』 『推理・松川事件』 『追放とレッドパージ』 『謀略朝鮮戦争』 『なぜ「日本の黒い霧」を書いたか』 の各章からなる。 『帝銀事件の謎』は次のように結ばれている。 「帝銀事件はわれわれに二つの重要な示唆を与えた。 一つは、われわれの個人生活が、いつ、どんな機会に『犯人』に仕立て上げられるかも知れないという条件の中に 棲息している不安であり、 一つは、この事件に使われた未だに正体不明のその毒物が、今度の新安保による危惧の中にも生きているということである」 新安保とは1960年の安保改定のことである | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書は 『下山国鉄総裁謀殺論』 『もく星号遭難事件』 『昭電・造船疑獄事件』 『白鳥事件』 『ラストロヴォロフ事件』 『革命を売る男・伊藤律』 の各章からなる。 『下山国鉄総裁謀殺論』の背景はこうである。 太平洋戦争後、日本を占領統治していたGHQは、次々と日本に自由の風を吹き込んでいた。 日本人はそれを砂が水を吸うように吸収してゆく。労組もそのひとつだった。 一方、国内や海外から軍人の復員が続き、その雇用の受け皿となったのが国鉄だった。 国鉄の人員はたちまち膨れ上がった。経営の合理化には整理解雇しかない。 しかしそこに立ちふさがったのはアメリカが持ち込んだ労組だった。 アメリカはまたその頃、日本の共産化も懸念し始めていた。 この時、初代国鉄総裁の座についたの技術畑出身の下山定則であった。 下山はGHQの指示に沿って解雇をすることに忸怩たる思いをいだいていた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
戦争前、戦争後の事件に興味があって購入しました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ですが帝銀事件でわざわざ民間人を相手に人体実験をする必要がありますかね? それも前に起こった2つの銀行は失敗してるのはなぜ?1つはちゃんと飲ませたのに??? GHQ関係や731部隊関係が関わっているのは濃いかもしれませんがもっと他に何か違う意図があったのではおもわされます | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
松本清張は現在の銀座のバーでホステスのお尻を触るしか能がないエンタメ作家とは違って松川事件や下山事件、帝銀事件に積極的に発言し下山事件研究会を組織して独自に真相解明にものりだした。松川事件で冤罪被告の救援に老齢ながら身を賭して活動した作家・広津和郎につぐ貢献である。松本のこうした政治的社会的な言動にはベストセラー作家への嫉妬もあり同業者からの批判もあった。さていわゆる「帝銀事件」には旧731部隊関係者が関わっていたのではという疑いが捜査関係者にも根強く松本もうたがっている。この731部隊の本部が現在の国立第一病院(旧陸軍病院)内にあったことは殆どしられていない。現在は早稲田大学文学部校舎の裏側である。ここから豊島区池袋の椎名町帝国銀行は近い。南池袋に下宿していた私は早大文学部から歩いて帰ったことがある。さらに近くの原町には731部隊の石井軍医中将が戦後隠れるように住んでいた住まいがある。この辺は戦前細菌戦研究の拠点だったのである。そしていつだったか現在の国立感染症研究所を建てるために地面を掘ったら多数の人骨が出てきたというニュースは記憶に新しい。731部隊の人体実験の犠牲者である。私は学生運動に従事したときはまだ学内に宿泊出来たので寝ていたら悪夢にうなされたことがある。他の学友からも同じ体験をしている。幽霊が出た話はないが。地下に731部隊の人体実験の犠牲者が埋められたいたのだから霊が夢にでてきたのかも。国立感染症研究所にはおばさんが勤務していたが故人。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本巻で取り上げられている事件はどれも戦後日本においてのみ完結できるものではなく、戦前の日本人の活動、GHQ、さらには中国やソ連と密接に関係しているものばかりであり、その霧の黒さ故にある種のロマンをかきたてる。しかし、戦後日本に発生したこれら怪事件にこれらの要素が絡んでいるのを指摘したのは筆者の推理力と胆力の賜物であり、これぞ言論人の仕事なのだろう。 個人的には、戦前戦中に日本人が中国で行った両極端の行為が戦後の事件に影響を及ぼしているという視点が面白かった。すなわち、731部隊で生物・化学兵器の人体実験を行った関係者の関与が考えられる帝銀事件や、逆に戦前戦中に中国や米国のスパイとして中国で活動した左翼が拉致監禁された鹿地事件である。特に後者は戦後日本におけるソ連のスパイ活動の手口が詳細に描かれており、インテリジェンスに関心がある方にとっては必読の箇所となっている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
実は松本清張の本を読んだのはこれが初めてだった。通俗的なミステリー作家だと思っていたのだが、いい意味で裏切られた感がある。本書は占領時代の日本で発生した幾多の怪事件を取り上げ、その真相について推理を行っている。ミステリー作家ならではの手堅い名推理に満ちており、この作家の思考力と知識量に驚かされた。当時のGHQ内のG2とGSの対立や、形成されつつある冷戦という安全保障環境、日本で活動する米国の情報機関、GHQによって利用された戦前の日本の遺産というものを完全に理解した上で本書は書かれている。筆者の取材力は見事の一言に尽きる。 私は占領時代の日本についてほとんど知識を持ち合わせていなかったので、本書から多くを学ぶことができた。GHQがどのような存在だったのか、米国によって占領されているということがどのようなものなのかを示すエピソードが本書には満載である。本書は実際に発生した事件を基にした推理小説としても楽しめるほか、歴史物としても楽しめる希有な書物だと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
若い人はまず砂の器の原作者として注目し、他の本を読んでみようかと、 これに行き着いた人も多いのではないか。 この本にはまず大きく下山事件が書かれている。今でもたびたび メディアにこの事件名が出て来るので、どういう事件か知らなかった 若い人が読むといい。(下巻の帝銀事件、松川事件も) しかし、松本清張は推理作家であるから、資料に基づいて 推理を駆使しているはずで、ノンフィクションとはいえ、 100%の真実論文というわけではないはず。 例えば下山事件なら、この本で事件を学んだ後、他著者の本を読んだり、 松本説に批判・別説の本もさらに読んだら、もっとよいでしょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
上巻のハイライトは何といっても「下山事件」ですが、この推理は下巻の「帝銀事件」「松川事件」と並んで有名ですね。朝日記者・矢田喜美雄氏の「謀殺 下山事件」とともに今では通説とされているようです。 GHQ内の対立構造や共産勢力への対抗策といった諜報の構図を推測したうえで、事件当日の下山氏の足取りと現場に残った手がかりを検分していきますが、事件の背景と現場を照らし合わせていくこの構成は、自分のような当時を知らない者にとっては輪郭が掴みやすく、検分で次々と明らかになる事実に固唾を呑んでしまいます。推察についても、この事実はこう読み取ることが出来るのではないだろうか― という清張氏の考えは決して一方に傾倒するような論調ではなく、丹念な取材の裏付けから論理的に答えを導き出しているので、推理のプロセスにも大いに納得させられました。 上下巻を通読すれば統治下から経済発展を迎えるまでの日本国家がどのように時代の波に呑まれていったかが解ります。権力や情勢という巨大で複雑な渦の中に石を投じた清張氏の姿勢にも感銘を受けますが、何より時代の犠牲となった人々を忘れないためにも本書を是非手に取って欲しいと思います。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!