密やかな結晶

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評判

密やかな結晶の評価:

3.94/5点 レビュー 77件。 A ランク

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平均点3.94pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全156件 61〜80 4/8ページ
No.96
(4pt)

ちょっと、古いかな

話題になっているようなので、読んでみました。

1994年に書かれた作品ですか・・・

70年代に書かれたというのなら、分かるのですが・・・

今ではもちろん、90年代でも、消化不良感は否めない作品・・・と感じました。

ただ、繊細で、美しく、哀切な描写の魅力は、十分過ぎるほどあります。
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.95
(4pt)

透明感

小川洋子の世界観 そのもの
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.94
(4pt)

ちょっと、古いかな

話題になっているようなので、読んでみました。

1994年に書かれた作品ですか・・・

70年代に書かれたというのなら、分かるのですが・・・

今ではもちろん、90年代でも、消化不良感は否めない作品・・・と感じました。

ただ、繊細で、美しく、哀切な描写の魅力は、十分過ぎるほどあります。
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X
No.93
(4pt)

透明感

小川洋子の世界観 そのもの
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X
No.92
(3pt)

暗く、救いのないファンタジー

少しずつ記憶を失っていく人々が住んでいる島での話である。
記憶を失うといっても、痴呆とか物忘れではなく、あるモノの概念自体を認識できなくなるという、不思議な世界の住人の話だ。
主人公の「わたし」が、その世界の住人で、記憶を失う能力を普通のこととして受け止めているので、我々読者とは感覚が異なっている。その様子が見事に描かれている。
ただ、この哀しい状況には、救いがない。そういうものとして淡々と受け入れていくしかない、という受け身の姿勢が続いていく。希望がないので、読み終わった後に自分の心も弱くなったような気がする。
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.91
(2pt)

スマホでは読みづらい❗

まだ、読んでない❗目がしょぼしょぼしてしまいました?
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.90
(4pt)

異常な事態がリアルに、ときに官能的に描かれた異色作品

これまで私が読んだ小川洋子さんの作品とはまるで異なる、衝撃的な読み物でした。
なにかと話題の本なので読んでみましたが、読後感がとても複雑です。
心地よさはありません。
爽快感もありません。

ただ、静かに「今いる世界を、手足を動かして歩き周り、文字を書き、声をだせる生活を大切にしよう」と改めて思いました。

主人公「わたし」が小説家で、その小説家が書いた物語もまたリアルで強烈です。
その物語では、ある女性が恋人によって時計塔に閉じ込められ、次第に身体の機能が低下していき、まるで人形のように恋人に扱われます。
その物語を書く主人公自身は、仕事上の知り合いだった男性を自宅内の「隠れ部屋」にかくまい、やがて二人はベッドで抱き合い慰め合う関係になっていきます。(その描写に、いやらしさは全くありません)

つまり、立場は逆でも、両方とも「監禁」に陶酔しているのです。
それがときに官能的に、甘美に描かれています。
だからこそ、読んでいて恐怖が募りました。

でも、登場人物のひとり「おじいさん」には、癒やされます。
人への愛情とは、こういうことをいうのだとしみじみ思いました。
主人公「わたし」から、おじいさんへ向ける愛情もまた純粋で深く、心打たれます。
特に、終盤のこのあたりに感動して、涙が込み上げてきました。

・・・引用はじめ・・・
子供の頃から、わたしはおじいさんの手が大好きだった。みんなで一緒に出掛ける時は、いつでもおじいさんと手をつないだ。それはおもちゃ箱や、自動車のプラモデルや、カブト虫の飼育箱や、お手玉や、電気スタンドや、自転車のサドルカバーや、魚の燻製や、リンゴケーキや、とにかく何でも作り出すことができる。関節は強固なのに、掌は柔らかくて気持がいい。その手に触れてさえいれば、絶対にわたしは一人ぼっちになったり、邪魔にされたり、見捨てられたりはしないという安心感があった。
・・・引用おわり・・・

最初から設定が日常からかけ離れていて、どこか距離を保ちながら読んでいましたが、ここだけは身につまされて涙が止まらなくなりました。ここ以外は、感情移入するのが難しかったです。小川洋子さんの頭の中は一体どうなっているのだろう?と驚嘆しながら読むばかりでした。

星4つにしたのは、「小説」が島から消失したときに、図書館がまるごと燃やされたところに納得がいかなかったからです。小説は小説であって、本すべてではないはず。詩集や画集や写真集や図鑑や辞書や事典や学術書や歴史書など、すべて「小説」の消失にともなって燃やしてしまうのは変だと思いました。いっそ「本」の消失だったら、図書館そのものを燃やす展開にも納得したのですけど。
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.89
(5pt)

「結晶」というのは大事な記憶が昇華した標本のようなもの

日本で1990年代に書かれてから四半世紀を経て登場した小川洋子の「密やかな結晶」の英訳本。
ノーベル文学賞への登竜門という噂のあるマン・ブッカー賞の最終候補に残ったという作品です。
英訳の題名は「The Memory Police」
たしかに、物語は秘密警察が島で人々の記憶の消滅に関わっているのですがあまりにも捻りがない。
「密やかな結晶」の方が、何か深遠な意味が置かれているようで素敵に感じるのですが。。

物語は、空想的な島で社会の集団的認識が概念ごと一つ一つ消滅していき、それに伴い不随している記憶も同時に消滅するということがおきていきます。
登場人物には名前が記されていません。作家である主人公「わたし」と編集者「R氏」と「おじいさん」の三人で物語は回っています。
記憶警察から逃れるための狭い秘密の部屋での出来事が、物語の重要な意味を抱え込んでいるのです。
(これは小川洋子の作家になることになった原点が「アンネの日記」にあるという事と関連しているそうです)

個人的なインスピレーションではありますが、「結晶」というのは大事な記憶が昇華した標本のようなものではないかと考えました。
簡単には消失させたくない、密やかに大事にとり置かれた純粋な結晶という意味です。

この物語の中の概念の消失というのは、いろいろな比喩に置き換えることが可能です。
この物語から読み取るべきアレゴリーは、現代の社会兆候からの視点で考えると、情報操作による歪んだ世界の俯瞰的な眺めではなく、そのもっと先にある概念自体が忘れ去られていく世界の物語かも知れないということ。(恐ろしい未来ですが)
実際的な話に戻すと、人はすでに失ったものには、案外気づいていないのではないかと。
生きている時は人の感情は定まったものではなく、生きていく中で様々に変化したりしていくものですが、その人が閉じてしまうとそれは定まった(確定した)概念として記憶されています。
ただこの物語の島の人々は記憶自体が消されてしまうので、喪失した後の日常を、肯定はしないまでもそのまま受け止めて生活をしています。
ある意味これは非常に恐ろしいことではあります。

昨今のフェイクニュースに始まる個人の価値観のすり替えが、疑似認知への巧みな操作によって容易にすり替えることが可能になりつつある時代に、英語圏の批評家達にはたまらなく魅力的に映ったのではないかと考えました。

カテゴリ化すれば村上春樹の、比喩に中に展開する物語と同じ感触。
読み手の中に物語の膨らみを与えるという手法でも。
その物語の中に読者を引きずり込む文章の力量はさすがです。
ただ、村上春樹の作品と一つ違うところは、あまりにも静かに丁寧に物語が描かれていて、料理の中の香辛料にあたるちょっとした微妙な違和感がないと言う事です。
喉の中を通り過ぎる時のゴツゴツ感というか。
しかし、小川洋子のファンにとっては逆に、そういう部分が大切な魅力となっているのでしょうが。

追加。
主人公の書いていた小説の中で登場する失語症の「わたし」は、物語とパラレルに動いていきますが、その自由を奪われた「わたし」と主人公である消滅していく「わたし」は最後に見事なまでに同質化して物語に深みを与えています。
不思議な余韻が深く持続していく小説。
「博士の愛した数式」と同じ「記憶」に関連しているようですが、こちらの物語の方は普遍的で大きなテーマを示しています。
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.88
(4pt)

言葉と記憶がなくなる世界

ブッカー国際賞報道で作品自体を初めて知りました。ずいぶん以前のものですね。小川さんの作品らしく、大きな虚構を緻密なディテールでうめて、説得力のある物語に仕上げています。主題は言葉と記憶の喪失です。
数ある小川さんの本の中で、この作品がブッカー賞の最終候補になったのは、排外的な主張が世界中で台頭している今、作品の舞台となっている島の出来事が我々の世界の行方を暗示していると評価されたのかなと勝手に想像しています。
ブッカー国際賞は著者とともに翻訳者も受賞します。
この作品も、優れた英訳を得たんでしょうね。
だいたい小川さんの小説の舞台や道具立てはそのままヨーロッパに持って行っても通用しそうです。
論理的な文体と併せて英語圏の翻訳者に優しい日本の小説ではあるのかもしれません。
考えさせられますが、おすすめです。
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.87
(5pt)

静かなディストピア小説。ブッカー国際賞候補作

ブッカー国際賞のショートリストに上がっていたので、読みたいと思い、紙媒体が数日かかるていうことで電子ブックにしました。すぐ読みたくて、安価な文庫のときは電子ブックもいいなと思いました。本の内容はディストピア小説なんだけれど、美しい文章で静かに語られていて、無力感が際立つ。主人公たちの静かな抵抗に美しさを感じる。消滅に向かって静かに時が流れて、その一瞬一瞬を愛おしんでいる姿に打たれます。著者はこの小説をアンネ・フランクの日記のオマージュというようなことをかつて語っていた記憶が。
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.86
(5pt)

コロナウイルスによる外出禁止中に読みました

今ここでは、スーパーへの買い物と町内の散歩しか許されていません。親が死にそうだとしても会えません。

 そんな時にこの本を読みました。ブッカー賞の候補に挙がっていたのがきっかけでしたが、なんともタイムリーな物を読んだ感があふれました。

 消失の流れに逆らえず、秘密警察に怯える私たちの、あきらめとも言える静かな静かなため息が
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.85
(5pt)

久々に面白かったです

英国ブッカー国際賞候補の6作品に選ばれた、ということで読んだのですが、失っていく感覚とサイコパス(psychopath)的要素が入り混じった不思議な内容で、2016年の映画「クリピー偽りの隣人」主演香川照之を思い出しました。
密やかな結晶 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶 (講談社文庫)より
4062645696
No.84
(3pt)

暗く、救いのないファンタジー

少しずつ記憶を失っていく人々が住んでいる島での話である。
記憶を失うといっても、痴呆とか物忘れではなく、あるモノの概念自体を認識できなくなるという、不思議な世界の住人の話だ。
主人公の「わたし」が、その世界の住人で、記憶を失う能力を普通のこととして受け止めているので、我々読者とは感覚が異なっている。その様子が見事に描かれている。
ただ、この哀しい状況には、救いがない。そういうものとして淡々と受け入れていくしかない、という受け身の姿勢が続いていく。希望がないので、読み終わった後に自分の心も弱くなったような気がする。
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X
No.83
(2pt)

スマホでは読みづらい❗

まだ、読んでない❗目がしょぼしょぼしてしまいました?
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X
No.82
(4pt)

異常な事態がリアルに、ときに官能的に描かれた異色作品

これまで私が読んだ小川洋子さんの作品とはまるで異なる、衝撃的な読み物でした。
なにかと話題の本なので読んでみましたが、読後感がとても複雑です。
心地よさはありません。
爽快感もありません。

ただ、静かに「今いる世界を、手足を動かして歩き周り、文字を書き、声をだせる生活を大切にしよう」と改めて思いました。

主人公「わたし」が小説家で、その小説家が書いた物語もまたリアルで強烈です。
その物語では、ある女性が恋人によって時計塔に閉じ込められ、次第に身体の機能が低下していき、まるで人形のように恋人に扱われます。
その物語を書く主人公自身は、仕事上の知り合いだった男性を自宅内の「隠れ部屋」にかくまい、やがて二人はベッドで抱き合い慰め合う関係になっていきます。(その描写に、いやらしさは全くありません)

つまり、立場は逆でも、両方とも「監禁」に陶酔しているのです。
それがときに官能的に、甘美に描かれています。
だからこそ、読んでいて恐怖が募りました。

でも、登場人物のひとり「おじいさん」には、癒やされます。
人への愛情とは、こういうことをいうのだとしみじみ思いました。
主人公「わたし」から、おじいさんへ向ける愛情もまた純粋で深く、心打たれます。
特に、終盤のこのあたりに感動して、涙が込み上げてきました。

・・・引用はじめ・・・
子供の頃から、わたしはおじいさんの手が大好きだった。みんなで一緒に出掛ける時は、いつでもおじいさんと手をつないだ。それはおもちゃ箱や、自動車のプラモデルや、カブト虫の飼育箱や、お手玉や、電気スタンドや、自転車のサドルカバーや、魚の燻製や、リンゴケーキや、とにかく何でも作り出すことができる。関節は強固なのに、掌は柔らかくて気持がいい。その手に触れてさえいれば、絶対にわたしは一人ぼっちになったり、邪魔にされたり、見捨てられたりはしないという安心感があった。
・・・引用おわり・・・

最初から設定が日常からかけ離れていて、どこか距離を保ちながら読んでいましたが、ここだけは身につまされて涙が止まらなくなりました。ここ以外は、感情移入するのが難しかったです。小川洋子さんの頭の中は一体どうなっているのだろう?と驚嘆しながら読むばかりでした。

星4つにしたのは、「小説」が島から消失したときに、図書館がまるごと燃やされたところに納得がいかなかったからです。小説は小説であって、本すべてではないはず。詩集や画集や写真集や図鑑や辞書や事典や学術書や歴史書など、すべて「小説」の消失にともなって燃やしてしまうのは変だと思いました。いっそ「本」の消失だったら、図書館そのものを燃やす展開にも納得したのですけど。
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X
No.81
(5pt)

「結晶」というのは大事な記憶が昇華した標本のようなもの

日本で1990年代に書かれてから四半世紀を経て登場した小川洋子の「密やかな結晶」の英訳本。
ノーベル文学賞への登竜門という噂のあるマン・ブッカー賞の最終候補に残ったという作品です。
英訳の題名は「The Memory Police」
たしかに、物語は秘密警察が島で人々の記憶の消滅に関わっているのですがあまりにも捻りがない。
「密やかな結晶」の方が、何か深遠な意味が置かれているようで素敵に感じるのですが。。

物語は、空想的な島で社会の集団的認識が概念ごと一つ一つ消滅していき、それに伴い不随している記憶も同時に消滅するということがおきていきます。
登場人物には名前が記されていません。作家である主人公「わたし」と編集者「R氏」と「おじいさん」の三人で物語は回っています。
記憶警察から逃れるための狭い秘密の部屋での出来事が、物語の重要な意味を抱え込んでいるのです。
(これは小川洋子の作家になることになった原点が「アンネの日記」にあるという事と関連しているそうです)

個人的なインスピレーションではありますが、「結晶」というのは大事な記憶が昇華した標本のようなものではないかと考えました。
簡単には消失させたくない、密やかに大事にとり置かれた純粋な結晶という意味です。

この物語の中の概念の消失というのは、いろいろな比喩に置き換えることが可能です。
この物語から読み取るべきアレゴリーは、現代の社会兆候からの視点で考えると、情報操作による歪んだ世界の俯瞰的な眺めではなく、そのもっと先にある概念自体が忘れ去られていく世界の物語かも知れないということ。(恐ろしい未来ですが)
実際的な話に戻すと、人はすでに失ったものには、案外気づいていないのではないかと。
生きている時は人の感情は定まったものではなく、生きていく中で様々に変化したりしていくものですが、その人が閉じてしまうとそれは定まった(確定した)概念として記憶されています。
ただこの物語の島の人々は記憶自体が消されてしまうので、喪失した後の日常を、肯定はしないまでもそのまま受け止めて生活をしています。
ある意味これは非常に恐ろしいことではあります。

昨今のフェイクニュースに始まる個人の価値観のすり替えが、疑似認知への巧みな操作によって容易にすり替えることが可能になりつつある時代に、英語圏の批評家達にはたまらなく魅力的に映ったのではないかと考えました。

カテゴリ化すれば村上春樹の、比喩に中に展開する物語と同じ感触。
読み手の中に物語の膨らみを与えるという手法でも。
その物語の中に読者を引きずり込む文章の力量はさすがです。
ただ、村上春樹の作品と一つ違うところは、あまりにも静かに丁寧に物語が描かれていて、料理の中の香辛料にあたるちょっとした微妙な違和感がないと言う事です。
喉の中を通り過ぎる時のゴツゴツ感というか。
しかし、小川洋子のファンにとっては逆に、そういう部分が大切な魅力となっているのでしょうが。

追加。
主人公の書いていた小説の中で登場する失語症の「わたし」は、物語とパラレルに動いていきますが、その自由を奪われた「わたし」と主人公である消滅していく「わたし」は最後に見事なまでに同質化して物語に深みを与えています。
不思議な余韻が深く持続していく小説。
「博士の愛した数式」と同じ「記憶」に関連しているようですが、こちらの物語の方は普遍的で大きなテーマを示しています。
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X
No.80
(4pt)

言葉と記憶がなくなる世界

ブッカー国際賞報道で作品自体を初めて知りました。ずいぶん以前のものですね。小川さんの作品らしく、大きな虚構を緻密なディテールでうめて、説得力のある物語に仕上げています。主題は言葉と記憶の喪失です。
数ある小川さんの本の中で、この作品がブッカー賞の最終候補になったのは、排外的な主張が世界中で台頭している今、作品の舞台となっている島の出来事が我々の世界の行方を暗示していると評価されたのかなと勝手に想像しています。
ブッカー国際賞は著者とともに翻訳者も受賞します。
この作品も、優れた英訳を得たんでしょうね。
だいたい小川さんの小説の舞台や道具立てはそのままヨーロッパに持って行っても通用しそうです。
論理的な文体と併せて英語圏の翻訳者に優しい日本の小説ではあるのかもしれません。
考えさせられますが、おすすめです。
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X
No.79
(5pt)

静かなディストピア小説。ブッカー国際賞候補作

ブッカー国際賞のショートリストに上がっていたので、読みたいと思い、紙媒体が数日かかるていうことで電子ブックにしました。すぐ読みたくて、安価な文庫のときは電子ブックもいいなと思いました。本の内容はディストピア小説なんだけれど、美しい文章で静かに語られていて、無力感が際立つ。主人公たちの静かな抵抗に美しさを感じる。消滅に向かって静かに時が流れて、その一瞬一瞬を愛おしんでいる姿に打たれます。著者はこの小説をアンネ・フランクの日記のオマージュというようなことをかつて語っていた記憶が。
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X
No.78
(5pt)

コロナウイルスによる外出禁止中に読みました

今ここでは、スーパーへの買い物と町内の散歩しか許されていません。親が死にそうだとしても会えません。

 そんな時にこの本を読みました。ブッカー賞の候補に挙がっていたのがきっかけでしたが、なんともタイムリーな物を読んだ感があふれました。

 消失の流れに逆らえず、秘密警察に怯える私たちの、あきらめとも言える静かな静かなため息が
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X
No.77
(5pt)

久々に面白かったです

英国ブッカー国際賞候補の6作品に選ばれた、ということで読んだのですが、失っていく感覚とサイコパス(psychopath)的要素が入り混じった不思議な内容で、2016年の映画「クリピー偽りの隣人」主演香川照之を思い出しました。
密やかな結晶 Amazon書評・レビュー: 密やかな結晶より
406205843X