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敵影
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敵影の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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沖縄の捕虜収容所を舞台に、主人公のように玉音放 送前に投降した者とその後も壕に篭る者と、無謀な命令 を発令した将校とそのために仲間を失った捕虜と、そし て、自分を看護した女子師範の学生を死なせた主人公と その罪を問うために主人公を探す同級生との対立などが、 米兵と捕虜との、ボクシングと柔道という格闘技対決に 沿って展開します。それら、まるで生死の迷宮めぐるよう な出口のないせめぎあいには、途方もない虚しさだけが 漂っています。 ザラザラとしたぶつ切りのような文章の中に、突然「特 攻など、どこの国が正式化できる戦法だろう。これは死を 受け入れる心と、その心に甘える卑しさがなければ成立 し得ない戦法だよ」という米軍二世通訳の言葉が記述さ れていてギクリとします。玉音放送後に宇垣纏中将が、 部下達を道連れにして特攻出撃した行動などをみれば (松下竜一『私兵特攻』1985)、これは確かに肯ける話 しです。 無愛想な文体が反って書き手と読み手の想像力を刺 激し合い、行間に圧倒的な不毛世界が立ち上ります。無 限の自問と他者への転嫁の果てに構築された絶望的な その世界を経て、著者はどこに歩もうとしているのでし ょうか。 | ||||
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