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(短編集)
子供たち怒る怒る怒る
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子供たち怒る怒る怒るの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.90pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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鏡家サーガファンとしては、 後期文体は残念なのですが、 この作品の筋書きであれば、 その文体でも読みやすいかな、と。 面白い作品も多いです。 | ||||
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佐藤友哉って不憫な作家だなあと思う。 同じメフィスト賞受賞者の中でも飛ぶ鳥を落とす勢いの舞城西尾に挟まれてデビュー。で、そのデビュー作はぶっ叩かれて、なのになぜか続編出して、サリンジャーパクって鏡家サーガとか言っちゃって、三冊くらい出したけど売れなくて。 売れなさすぎて続編出せないことに対する不満をあとがきでぶちまけたら、その小説で皮肉にも初めて重版がかかって。 そんな不憫な佐藤友哉の、文芸誌初掲載作品を含む短編集がこれ。 先に結論を述べますと、僕はとても楽しめました、この本。とにかくどの作品も「高熱で死にそうになりながら書いたの?」って感じのテンション。登場人物はみんな異常者だし、文章の緊張感は張り詰めてるし、それでいて話の展開はヨレヨレと危なっかしい。こんな本は佐藤友哉にしか書けない。というか佐藤友哉しか書かない。他の作家なら思いついてもやらない。 それでもって佐藤友哉は、まさにタイトル通りに、作品の中で怒りまくっている。みっともなく、駄々をこねるみたいに怒りや不満をぶちまけている。それが最も顕著(悪く言えばあからさま)なのはやっぱり表題作の「子供たち怒る怒る怒る」だろう。 筋だけ言えば、「連続殺人鬼の犯行予測をゲームとして楽しんでいた子供たちが、いつの間にか事件に巻き込まれてうんぬんかんぬん」なんだけど、「何をそんなに」ってぐらい佐藤友哉が怒ってるせいで、話はほぼ破綻していて、それが逆に文章の切れ味を増していて、その様がなんだか一層不憫で、可笑しくて、かつたまらなく切ない。僕は読んでて笑い泣きしてしまった。無駄に悪趣味だったり、子供たちの喋りかたが嘘っぽいなどの瑕はあるが、それでも表題作は傑作だと思います。 ただ、その他の作品はぶっちゃけ話にならない。 「大洪水の小さな家」はタイトルがダサいし、引用がダサいし、何より三兄弟の有り様、思想がダサい。 「死体と、」は綺麗にまとまってるだけ。 「欲望」は緊張感がまるでない。 「生まれてきてくれてありがとう!」は完全にタイトル負けしてる。小粒。 「リカちゃん人間」は、なんというか、何も思いませんでした。 せっかく「子供たち〜」が傑作なのに、他のがこれじゃなあ。やっぱり長い話の方が得意なのかな。 で、ここまで書いてて気づいたけれど、この作品集、というか佐藤友哉のテーマがイマイチわからない。というか、無い。内容が無い。皆無。怒ってるだけ。いやそれが面白いんだからいいんだけどさ。キレ芸みたいなもんか。 そんなカンニング竹山系作家、佐藤友哉だけど、この作品以降キレっぷりはだんだん減退していく。結婚もしたしね。大人だもんね。で、三島由紀夫賞もとってしまったりするわけだがやっぱり僕としては脂の乗ったキレ具合が爽快な本作を偏愛してしまいます。 あ、もちろん人には薦めません。 | ||||
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暴力にさらされた弱者(ほとんどは子ども)が題材だ。5つの短編と、1つの中編から成る。 特徴的なのは、加害者に加害理由がないことだ。洪水(大洪水の小さな家)や、除雪車が不注意に荷台から落とす大量の雪(生まれてきてくれてありがとう)には、もちろん意志や悪意がない。だが「欲望」で銃器を乱射する中学生にも理由がない。害意はあっても悪意はない。「リカちゃん人間」の加害者たちには悪意はあるが理由がない。父も姉も、なぜ虐待するか理由が描かれない。レイプ犯もいじめる同級生たちも、理由抜きで存在している。 これらの作品中では、加害者に理由は必要ないのだ。それらは自然災害と同等の、否応なく物理的暴力を加えてくる存在でしかないのだ。そこにリアリティーは必要ない。問題は、そういった理不尽な暴力にさらされたときの、被害者のありようなのだ。常識的な対処では意味がない。加害状況が非常識だからだ。本作品群は、そんな極限での人間精神のあり方についての思考実験だともいえる。 | ||||
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今、思い出せるのは表題作と慾望。 子どもがどうしようもない時の無力さ、怖さ、探求心が小学生の語り口でリアルにせまる 理由無しの若いテロリスト達。先生とのどうしようもないズレ。をリアルさの違いが面白かった。2作での4。 | ||||
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デビュー作以来の佐藤友哉。 気がついたら彼は三島由紀夫賞作家になっていた。 レビューにも書いたが、デビュー作は粗削りな感じが否めず、それでいて舞城ほどの突き抜けた破天荒さを感じれずにいた。 まぁこの作家はこれからだろうなぁと思いながらしばらく放置していたんだが、世間的になかなか評価の高かった本作が文庫化されたので購入。 読んでみてまず、成長ぶりに嬉しい驚き。 特に『死体と、』と表題作は秀逸。 文章の質が上がり、突き抜け切れなかったドライブ感もしっかり自分なりのテイストを獲得し、舞城とは違う破壊性を持った純文学となっていた。 形としては短編集なんだけど、中編に限りなく近い短編集って感じで、その全ての主役はタイトルにもあるとおり「子供」。 現代社会がどれくらいスレスレでギリギリで爆発寸前の危険状態かってことを示すバロメーターとして、実は最も適しているのは「子供」だったりする。 最後の解説で陣野俊史は、本作のぶっ壊れた(じつはぶっ壊れているのでは子供ではなく大人だ、という主張を佐藤は恐らくしたいのだろうけど)「すぐれてアナーキー」と表現した。 子供って本来はアナーキズムの対極にいるはずなんだけど、どうしようもない現代社会の大人たちのせいで彼らはアナーキストにならざるを得ない、ってかアナーキーな存在になることで大人と戦う。 まぁそんな社会決して正常ではなくて、だからと言って子供たちは大人たちに従順であるべきだ何て僕は1ミリも思わないけれど、この小説をもうちょっと現実化した小説が我らが村上龍の『希望の国のエクソダス』なわけだ。 まぁ何が言いたいんだか良くわからなくなってきたけれど、要するに純文学を担えるような作家達は、そういった世の中のギリギリな現状に敏感に反応し、それを言葉=小説に還元できるわけだ。 そういう人たちを僕は尊敬する。 こんな国にもしっかり警鐘を鳴らす人はいるんだ。 | ||||
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とんでもないものを読んでしまったと思った。 本書は未成年を主人公にした短編集だ。 登場する子供たちは様々な形でみな歪んでいる。虐げられたり、惨いめにあったり。しかし、どうだろう。本書を読んでいて、その子供たちに同情する気には全くなれない。それは彼らを子供としてみることができないからだと思う。置かれている状況に対して徹底的に抵抗し暴力で居場所を確保しようと戦う子供たち。その異様な姿は怪物じみていて、そこに人間性を見出すのは難しい。 本書に収録されている話には全く救いがない。未来もない。まだ「死」という形のある終わりを提示されれば読者も多少は安心するのだろうが、それすらない。黒い、不安をかきたてる空気が残るだけだ。 しかし、本書に限って言えばそれでよいのだと思う。物語中子供たちは目を覆うばかりの惨劇に巻き込まれていく。本を伏せたくなるほどの陰惨な描写が続くわけだが、そこまで子供たち(と読者)を叩きのめしておいて、形ばかりのハッピーエンドなどにしてしまったら作品世界が破綻してしまうだろう。くだらいホラー小説を読んでしまった、と読者に投げ捨てられる作品になってしまう。しばらく口もきけなくなるほどの圧倒的に重い読後感は残るが、それが著者の狙いなら成功しているといって間違いない。 ただやはり、内容や描写に眉をひそめる、あるいは吐き気をもよおす読者もいることだろう。大多数に受け入れられるよりも、一部の同類が理解してくれればよい。著者のそんな意図が垣間見れる本だ。 | ||||
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小説としてはつまらないです。たいしたひねりも無いしオチも無い。 しかし文学としてはどうなのでしょうか。ひとつひとつの作品が何かを訴えかけてくるように感じました。 小説を読みたいという人は遠慮したほうがいい作品だと思います。 | ||||
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色々と衝撃だった。 「鏡家サーガ」も網羅したけど、これはまた凄かった。佐藤友哉は極めちゃったなぁ、自分を。 言葉にすると何もかも陳腐になるような気がするので、敢えて何も語りません。 でも凄いです。 心臓鷲掴みにされて、肺を圧迫されて、両目が見えないのにどこかから凶暴な光が差すような。 精神を揺さぶられました。 | ||||
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アブ・ノーマルなセックスや暴力を書いた小説を読むのは好きではないのだが、少なくともこの人が書いたものは、一文一文を読みきらないと気がすまない。私たちの価値観の根底を問題にしているからだ。独自の文章表現で。つまり文学。いったん読み始めたのなら、最後までつきあわないのは不真面目ではないか。それよりなにより、小説以外では得難い体験を逃すことになるではないか。 表題作をはじめ、内容も構成も無茶苦茶で落ち着きがなさすぎて、良識にあふれた読書好き(自分もそうだと信じたい)なら、納得しがたい作品ばかりだと思う(もっとも、「死体と、」などはコンパクトにまとまっていて好きだが)。だが、この、いままで読んだことがない心地はなんだろう。読み進めれば新しい世界に入っていけそうな期待はなんだろう。世間の常識や、それを説明したことになっている学識が壊されていく気配はなんだろう。その感覚の真相を確かめようとする気にさせるだけの奇想な物語の展開と、こういっては「重い」かもしれないが彼の「思想」の遍歴が、現実感を欠いたされど一種のリアリティのもとに迫ってくる。 読書中にあった感覚は、本から離れたあとでは、「錯覚」であったのだという結論にいたる。現実までを犯してくれる力はこの著者にはまだ、ないように思われる。だから「著者の今後に期待」と、著者の描くチルドレンが怒り出しそうな意見を述べておく。 | ||||
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子供は無邪気で純粋と紙一重の、子供が持つ残酷さや狭い価値観からくる絶望 自分の両親を全面的に信頼してるフリをする 理由もなく発砲する高校生 家庭でも学校でもイジメを受け、見知らぬ男性からレイプされても 人形になる逃げ道を選んできた中学生が戦う道を選ぶなど・・・ 自分では環境を選択できない子供達の、不条理な世界に対するうっぷんや悟りがこの本には充満している。 なんとも底力のある本。 何度でも読みたい本ではないが、薄気味悪い恐さが読み応えを感じる。 | ||||
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待ちに待った佐藤友哉さんの新作。…えっと、はい。 タイトルにも書きましたが、間違いなく佐藤友哉さんです。 佐藤友哉さんの繰り広げる『あの』世界があります。 さっぱりとした気持ち悪さ。 独自の読みやすい文章。 全てが詰め込まれてる、一作。 相変わらず好き嫌いが別れる本だな、と。 ファンには必須ですが、初めて佐藤友哉を読む方にはススメられません。 まずは「フリッカー式」から。 | ||||
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この作品はすべての大人が読まなければいけない。 この作品はすべての子供が読まなければいけない。そして、「わからない」という言葉だけは言ってはいけない。。 そんな言葉だけは、言っていい訳はない。。ここにあるのは真実だ。まぎれもない真実だ。変えようのない真実だ。目を背けたくなるような真実だ。 私達の真実だ。 僕達の真実だ。ここには救いはなく、ここには愛はなく。 しかしここには救いの可能性があるじゃないか、愛したい欲求があるじゃないか。それで十分じゃないか。十全じゃないのか?佐藤友哉をライトノベルから引き剥がすのなら、此処に在る真実と対話する覚悟が必要だ。 舞城王太郎作品のような、優しい愛は此処にはないのだから。。。 | ||||
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