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悪魔と警視庁
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悪魔と警視庁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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E. C. R. Loracの『The Devil and the C. I. D.』(1938年)の翻訳。 安心して読める古典ミステリである。意外性あふれる事件と、魅力的かつ怪しげな登場人物たち、なかなかあきらかにならない被害者の正体、そして意外な犯人。 よくできていると思う。 ただ、よくも悪くも安定した作品という印象。傑作というより、良作というべき一冊だ。 | ||||
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ホームズやポアロやクイーンが現実にいて尋問してきたら、容疑者や関係者は怒りだすでしょうが、 このマクドナルド主席警部はそうではない。 確かにこの人なら本当のことを話しても良いと思わせる。 それでも関係者はなかなか真相を話さないがそれが打ち解けてくるリズムが心地よい。 マクドナルドは粘り強く、一つの見解に固執せず、柔軟に全ての可能性を見渡しながら真相に迫っていく。 マクドナルドを中心とした人間たちの人間関係が楽しい。 飽きさせない。 そのリズムに同調していければ最高に楽しいミステリーがここにはあります。 | ||||
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ここの書評はとても高いものとなっているが、自分的には複雑で全く読みづらいの印象。 300頁余りでこのプロットは複雑すぎるのか、或いは話の展開のさせ方、関係者の登場の仕方に唐突感があるからか、話が常にドタバタの活劇風でとても読みづらかった。 この作家はクリスティに匹敵する位置づけということが後ろの解説で書いてあるが、この作品に関する限り自分の評価は全く期待外れだった。 | ||||
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まず、奇抜な発端に度肝を抜かれます。 物語は、中国系女性とその関係者および元オペラ歌手とそれの二本軸が 絡み合い進行します。 マクドナルド主席警部は足を使った捜査を主とし、様々な推理を働かせます。 事情を予め中国系女性が把握し、それを主席警部に打ち明けるので、 彼自身の洞察ですべて結論に達したわけではありません。 怪奇な発端からストーリーをシェード付き電灯の光のように自然に広げ、 登場人物たちの思惑や行動を無駄なく巧みに描写し、ミッシングリンクもうまく活用 していると思います。 大変動きのある展開で、最終的な解決をみると、著者はていねいに糸を織り出しながら、 一枚のタペストリーを完成させた趣です。 | ||||
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イギリスの探偵小説黄金時代に活躍した女流本格推理作家ロラックの代表的秀作が初紹介されました。著者は女王クリスティー女史の長編小説66冊を上回る71冊もの長編を残しながら、日本では本書がやっと4冊目の紹介というのはあまりにも少なくて今まで運に恵まれなかったのを非常に残念に思います。また昔の作品の特長でしょうか現代の多くの作品の様に大長編でなく適度な長さでコンパクトにまとまっている事も好感が持てると思います。 11月のロンドンの休戦記念日の夜にマクドナルド首席警部は折悪しく濃霧により帰宅が遅れた上に、翌朝ロンドン警視庁の前に置いて帰った自家用車の後部から何と悪魔メフィストフェレスの仮装をつけた男の刺殺死体が発見される。 本書の推理で面白いのは一見派手な幕開けで読者の度肝を抜いておいて、案外第一の犯行からはパッとした手掛かりが広がって行かずに尻すぼみになって行き、実はその後のさまざまな捜査場面の中に重要な事実が隠されているという意外な仕掛けでしょう。マクドナルド首席警部は前半部分から受ける印象だと地道にコツコツと証拠を追い掛ける努力家タイプにも見えますが、終盤になるとその思い込みは完全に裏切られ実は直感と想像力を思い切り駆使して推理する天才肌タイプの名探偵だとわかってとても驚かされました。特に感心したのが何気なく書かれた犯人の正体につながる大胆な手掛かりで、どうして疑いもせずにスーッと読み飛ばしてしまったのだろう?と後で悔やみましたが、それだけ淡々とした筆致で描くテクニックに秀でた著者ならではの巧さなのでしょう。本書を読んで黄金時代の本格ミステリーに特有のアクロバット的な犯人隠しのトリックの妙にすっかり感服した次第で、多作家の著者の事ですからもっともっといろんな驚くべき技を持っておられるに違いないと大いに期待できますので今後の紹介作に要注目して行きたいと思います。 | ||||
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霧に包まれた晩秋の夜のロンドンで、悪魔の仮装をした男が殺され、翌朝、その男の死体が、こともあろうに本編の主人公マクドナルド主任警部の車に 押し込まれた姿で見付かり…。 と、出だしから読者を惹き付ける魅力に富み、しかも実際に読み終えてみると、話の面白さ、最終的に無理のない推理が展開される本格ミステリーとしての レベルの高さ、更に文学的にも洗練されているといった要素を併せ持つ、出来の良さは満点に近い小説だと思いました。 但し、唯一の弱点を挙げるなら、"フー・ダニット(誰がやったのか)"に重きが置かれた作品でありながら、犯人の正体などのオチが分かり易いことでしょう。 もう少し犯人などが分かりにくければ、満点をつけたい名作です。 しかしそれでも、決して、単に無難に出来が良いだけの作品ではありません。本作の最大の魅力は、本格ミステリーというジャンルの中ではまず実現されたことがない、 想像力や心理的洞察力とリアルさとを、無理なく巧みに融合させた捜査方法にあるのではないかと思います。 それと言いますのも、主人公の主任警部は、現実の捜査では必要とされる想像力や心理的洞察力を頼りにして、やや大胆に、いわば当たりを付けながら捜査をして行き、 その過程で次々と出てくる証拠等を参考にしながら間違えたら補正していく、というスタイルの、"大胆で知的、且つ、リアルな捜査"を見事に成功させているからです。 そしてこの点において、捜査方法はリアルでも想像力や心理的洞察力にあまり頼らないクロフツのフレンチ警部(最終的には警視)とは大きく異なりますし、また一方で、 心理的洞察力に頼ると言いながらも、それを確立された捜査手法として用いているわけではないので、本格ミステリーとしては冗長に心理学等の蘊蓄を語っているだけの ことさえもあるヴァン・ダインの一部の作品とも一線を画しますから、よくこの二つの側面を上手く融合させて洗練された手法を練ったものだなと、心底、感心しました。 (しかし、ヴァン・ダイン作品の主人公であるファイロ・ヴァンスその人は、私も好きですが。) ですから、犯人などが分かり易いとは言っても、全体的に言って"洗練された本格ミステリー小説"であることに変わりはなく、ミステリー・ファンなら存分に 楽しめる珠玉の名作です。 このため、私としては星5つにしたい気持ちもあるのですが、「フー・ダニットなのにオシイ…」というところを考慮し、ロラックの他の作品に期待しつつ、 やや後ろ髪を引かれる思いで、星4つとしました。 | ||||
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霧深いロンドンで主人公の警部の車に悪魔の扮装をした遺体が発見され・・・というお話。 瀬戸川猛資氏が「夜明けの睡魔」で本格ミステリの主要素を1・発端の謎、2・中段のサスペンス、3・結末の意外性、4・謎解きの論理性、と書かれてますが、本書は4要素すべてクリアしており、特に発端などは奇怪でワクワクしてしまいますし、謎が合理的・論理的に解明されていく過程は本格ミステリを読む醍醐味を満喫させてくれます。が、何か食い足りない、+αが欲しかったな、というのが私の正直な感想です。ミステリを読み始めて30年くらい経つので、擦れてしまったのか、どうしても普通の推理小説に素直に満腹感を感じられなくなってしまい、自分でも勿体ないつまらない人間になってしまったな、と思う今日この頃です。決して悪い作品ではありませんし、まだミステリを読み始めたばかりの方には値段に見合う作品だと思いますが、あまり興味がない、本格ミステリ読みすぎたという人には私より点数が辛くなるかも。まぁ私の場合、「黄金期の知られざる名作発掘!」というような見出しだけで血糖値が上がってしまうのでこういう発掘作業は単純にうれしいですが、ロートルの繰り言なのであまり参考にしないでください。。東創さんには引き続き似たような発掘作業を続けて頂きたく存じます。しつこいけど、個人的には「水平線の男」と「消えたエリザベス」の復刊をお願いしたいですが・・・。 | ||||
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1930年代から50年代にかけて70冊以上の長編ミステリを発表した英国の女流作家。 もっともその正体が女性だという事は長く隠匿されていたらしい。 心理的な描写よりテンポの早いサスペンスフルな展開を基調とする作風はマーシュやアリンガムといった同時代の巨匠たちよりもリーダビリティに優れ、クリスティと比べても遜色ないほど普遍的に感じられる。 1938年発表の本書は濃霧の夜、悪魔の扮装の男がシリーズキャラクターのマクドナルド警部の車の後部座席から発見されるキャッチーな発端から複雑かつ明快なプロットが展開される傑作。 登場人物も充分に描き分けられていて、黄金期の探偵小説にありがちな長々と容疑者の尋問が続くような退屈な構成とは程遠いスピーディーさが心地よい。 マクドナルド警部の造形も程よく衒学的で没個性でないのが好ましく、さらにその全貌が明らかになるべく翻訳が望まれる実力派。 | ||||
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