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イデアの洞窟



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【この小説が収録されている参考書籍】
イデアの洞窟

イデアの洞窟の評価: 3.43/5点 レビュー 7件。 Eランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.43pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

中途半端:メタ小説の失敗例

「注釈小説」というものを僕は初めて読んだが、この小説は期待外れだった。架空の小説のストーリーとその注釈者を巡るミステリーの並行展開を目指す作者の意図に読者を強引に引き込む手法として、この技法が本作では採用されている。でも、この作品の場合、この技法がちょっと強引で饒舌過ぎた。こういう不自然極まりない手法というのは上手に纏めるのが難しいもんなんだな、ということが確認できたことだけが収穫。

 古代ギリシャを舞台にした、「アポロンの世界vsディオニソスの世界」という対決構図をベースとした本筋の方も、対立構図が明確なため割と容易に展開の予想が付いたのもいただけない。古代哲学をネタにして読者の知的興味を喚起するには、余りにもベース・モチーフになるこの対立構図が当たり前というか、邦訳者(風間賢二)の指摘するとおり「高校の教科書」的な浅い知識なのだ。もうちょっと衒学的な面白さがあれば読み心地も違っただろう。(本筋に絡む肝心の「五つの知の要素」を巡るプラトンの説が全然有機的にストーリーに絡んでないので、最後のオチのインパクトがとても弱くなってしまっている。)

 邦訳者の後書きもメタ小説の試みに乗っかった悪ノリで、情報としては興味深いのにあんまり面白くなかった。でも、この後書きで紹介されたほかの注釈小説はいつか読んでみようと思います。
イデアの洞窟Amazon書評・レビュー:イデアの洞窟より
4163231900
No.1:
(3pt)

期待はずれ('Д`lli)ゞ

イギリス推理作家協会最優秀長篇賞受賞とか「この奇怪な本はいったいなんだ!?」とかいう帯のキャッチフレーズや、古代ギリシャを舞台にした歴史ミステリとか、そういった要素に惹かれて読んでみたが、正直、帯で大げさに煽ってるほど衝撃的な内容ではなかった。アイデアは面白いが、やったもん勝ちという程度のもので、日本の現代ミステリが魅せてくれるような意外性に富んだトリックではない。
また、翻訳者が翻訳する『イデアの洞窟』自体が、古代ギリシャに書かれたテクストというにはリアリティーに欠けていて、素人目に見ても現代ミステリの手法が多く取り入れら手いる事がわかってしまう。だが、物語の中でなされる対話では、現代哲学でも話題にされるようなテーマが取り上げられているため、哲学・思想好きには受けるかもしれない。ロゴス中心主義へのアンチテーゼの様な思想を『イデアの洞窟』の主人公やその友人クラントーは持っている。主人公の推理は現代の探偵のそれそのもので、物の背後にイデアを探求する当時の哲学者たちの中ではかなり異端な存在だ。そして、彼の友人であり物語においてキーパーソンとなるクラントーの思想も当時の哲学者達にしてみれば強烈なアンチテーゼであろう。対立する思想を持つ彼らがなす対話それ自体は純粋に面白い。
イデアの洞窟Amazon書評・レビュー:イデアの洞窟より
4163231900

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