わが一高時代の犯罪
評判
わが一高時代の犯罪の評価:
4.07/5点 レビュー 15件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全80件 61〜80 4/4ページ
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わが一高時代の犯罪の評価:
4.07/5点 レビュー 15件。 B ランク
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そして、その松下研三には、著者が投影されている。
本書収載の二作は、ミステリの形を借りた、まさに著者の青春譜である。
「わが〜」のほうは、消失ミステリに分類されるのだろう。
密室状態からの人間消失が描かれている。
そのトリックは、実に陳腐なものであり、伏線が張ってあるとはいえ、拍子抜けである。
しかし、本作のポイントはそこではない。
戦時下の一高の学生生活、その生態、そして生き様を描くことこそ、本作における著者の目的なのである。
バンカラを絵に描いたような、破天荒な、そして未来を望みつつ時代に翻弄され流されていく学生達の姿。
若い頃に読んだときには、何も感じなかった。
今、中年から初老になりつつある時に改めて読んで、その若さゆえのエネルギーと情熱の発露の仕方に、目頭が熱くなった。
かつて、間違いなく、こういう青春があった。
そして、青春は、若さは、そのエネルギーを発揮するべき場所を、機会を待っているのだということだ。
それこそ、著者が本作で描きたかったことなのである。
その続編である「輓歌」の方も、ミステリとしての完成度は低い。
いや、ミステリ度自体が低いのだ。
本作でも、著者はあの時代の学生の生き様を、どうしても描きたかったに違いない。
本書は、この二作がひとつにまとめられた、著者の青春が封印された傑作である。
たしかき、この二作だけでまとめられたものは、この文庫判までなかったはずである。
その意味で、本文庫の意義は大きい。
できれば、この二作だけで保存版ハードカバーを刊行してほしいものである。