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(短編集)
頭の中がカユいんだ
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頭の中がカユいんだの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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友人に勧められて読了。中島らもという人を知らなかったが、若いうちから人生に苦労した天才型といわざるを得ない。 アルコールや薬物依存で言葉遣いで想像できるレベルの感性でないことはわかった。 比較するなら、下世話な現実を芸術に拡張するというようなアプローチである。 しかしながら歳をとると感慨深いという気分にはなれなかった。自分の感性が鈍ってしまったのかもしれないが、存在しない妄想で苦悩している人がいたら、気持ちが少し晴れやかになるかもしれない。そんな一冊。 | ||||
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自分が影響を受けた作家というとまあいろんな人がいるんだけど、やっぱ一番は澁澤だね。 で、澁澤の次に影響受けてんのが、実は 「中島らも」 だったりするw あとナンシー関の分析力と毒舌ギャグw さらには町田康の落語文体を土台にして、埴谷雄高や林達夫、三島由紀夫なんかの蒼古な漢文調の言葉遣い、加えて伝法調とネットスラングをテキトーにミックスした鵺の如きなんかが自分のレビュー用の散文体ねw あとほらキモオタがさ、琴線に触れる話題が出ると誰も訊いてないのに自分のこだわりを一気呵成に捲し立てる例の独壇場w 例のプチ発狂時に「立て板に水」式にべシャリがすんげえ早口になるアノw こっちが毒気を抜かれるドン引き系のエモーション&パッションにオマージュを捧げてるw 話が逸れたねw 中島らもも好きで澁澤の次くらいに物の考え方の根幹に抜き難く影響を受けてるって話ねw まあ実際中島の作品読んでみりゃ分かると思うけど、俺がどれほど自説の援用に中島の主張を拝借してんのかビックリすると思うよw そんで、中島の作品を読み込んでるうちに、電通や博報堂とかいった広告屋の本質ってもんもおのずと学ばされたのね。 中島はテレビ番組の放送作家でもありコピーライターのはしくれに引っ掛かってた人でもあるんだけど、業界にドップリ浸かりながら業界に批判的な視点を失わない魂の清潔さを維持してた。 これは中島がジャンキーだったって事実となんら抵触しない。 中島いわく「広告屋はチンドン屋である」ってんだから流石であるw そのチンドン屋が幅を利かせて、メディアを牛耳って世の中の需要や流行まで錬金術のごとく産み出してみせるって思い上がってんのが現在の状況であるって中島は言うワケw 今はステマっつうの? そういうのに乗せられずに、自分の目と耳と感性と意志で自分の好き嫌いを決められる審美眼を持てと中島は提案してるんだなと、俺は捉えたワケ。 また話が逸れた。この作品に関しては、他のレビュアーさんも指摘してる通り、唯一の中島らもの私小説であり、文章の体裁も凝ってるね。内容もひどく捨て鉢な… 「今夜、すべてのバーで」を読んだ時も思ったけど、実験的な部分はルイ・アラゴンかな?って。まあ俺の主観だけど。 とても好き。棘々しくてね。荒んでて美しい。 中島の本はだいたい頭の中に刻んだので部屋が手狭になったとき全部処分したけど、こいつだけはまだ手元に残してある。 | ||||
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家出した黒メガネ男が、夢と現実のはざまをユラユラ歩いていく・・・小説のような随筆、随筆のような小説です。異様なスピード感と印象に残らざるをえない言葉たち、そして主人公の醸し出す刹那感が笑いと悲しみを呼び起こします。このある種の「酩酊感を伴った疾走感」が薬物の力を借りていたとしても、私はらもさん(薬物も)を否定はしません。とんでもない傑作ですが、読む人を選ぶ小説群です。この小説が大好きな人とは、友達にはならないほうが良いと思います(笑) | ||||
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私はこの本を96年か97年の頃に読んでいた。 こんなことは読まされたくないという感想を持つ人が出そうな部分や作品が混じってもいるが、それでも中島らもが作家として世に出るきっかけとなった記念碑的作品。 笑いの要素は乏しいが、それは若書きだったからだろうか。反抗と悪徳を笑いでくるんでぼやかしてしまう器用さを敢えて拒否したような若さが感じられる。中島らもが自分の中にあるエネルギーをそのまま作品に変換したような、エネルギーのかたまりのような作品。 * 私には、中島らも全集があればいいのになどという願望がある。 | ||||
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遅くなりました、驚くほど綺麗な本でビックリでした。大変満足しています。 ありがとうございます。 | ||||
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著者は、兵庫県尼崎生まれ、大阪芸術大学放送科卒の中島らも。 (2008.1.25 第1刷) 全五編の短編集で、自分は『クェ・ジュ島の夜、聖路加病院の朝』がお気に入り。 電車の中で読み進めながら、具にクスクスしてしまったのを覚えている。 全編を通して、ほとんど推敲なしに、思うがまま“落書き”のように書き連ねたような印象で、実際に4.5日で上梓されたというから案外思った通りだった。 かといって、推敲の余地のない小気味よさがあり、小説界のピカソのようだ。 小説が小説であるからの「面白さ」とは何かと今一度不思議に思ってしまう、「小説とは何をして小説なのか?」と、大仰に言えばそんな感想を持った。 関西的な面白さがあり、楽しい小説を読みたい!という人にお勧めの一冊です。 ───もはや僕の頭は時空間の軸がねじれてポキンと折れ、ジェーン台風で決壊した武庫川の堤防から憤怒の黒々とした濁流が台湾ナマズと共に雪崩れ込み、その流れのあちこちから、神戸女学院、甲南女子、海星女子、小林聖心女子学院などの女子高生の白いソックスをはいた脚がニョキニョキとあらわれては流れ去っていくのだった。(p.187) | ||||
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中島らも初期の作品でありながら、4つの出版社でそれぞれ書籍、文庫化されるという数奇な運命をたどった本。 作品の内容は日記、エッセイ、短編小説、ノンフィクションが入り混じったような、独特のらもワールドを展開しているのだが、個人的には、冒頭のこの文がそれを凝縮しているように思う。長文だけど、引用します。 「僕は、今夜ほぼ完璧に盗み尽くされてしまった。形が無いから大事にいていたものの全てを盗まれてしまった。疲れ果てて小きざみに埋めて行く、家路の一歩一歩を、あるいは一瞬立ち停まって眺める、自分の家の夜ごとの窓明りを、そしてその中の温気を。喰物の匂いと、犬の鳴き声と、すり寄ってくる卑怯ものの猫と、似たり寄ったりの愚痴と、新聞と、泥酔と、失神に近い眠りと、覚えられない夢々と、TVと、TVが終わった後のシャーッという雑音と、酒屋のツケと、修理しなければいけない機械類と、明日喰わされる筈だった挽き肉と、僕が埋めていた空間と、静寂と、静寂をふちどっていた嬌声と、本と、手紙と、悪ふざけと、収拾がつかなくなったままベッドの中で腐りかけている論争と、まだ名づけられていない感情の数々と、そして詩と。それらの全てを僕は盗まれてしまった。」 解説は、これほどの適任者がいるであろうか。モブ・ノリオ氏が担当している。 | ||||
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レビューで評価されていて濃い内容なのかとおもったが、軽い内容でスラスラと読める本だった。 中島らもの信者でなければ☆☆☆が適当な内容である。 ほかに収録されていた「東住吉のぶっ壊し屋」「私が一番モテた日」「クェ・ジュ島の夜」も同様に軽い内容でスラスラ読める。個人的には「私が一番モテた日」がよかった。 本編は出だしに主人公(中島らも)が家出するのだが、なにが苦しくて家出するのか書かれていない。 あとは広告代理店で働き、酒を飲み、ウィットの富んだ業界人としての生活が綴られてある。 家には帰らず、仕事のあとはオフィスでそのまま寝るか、ナンパした女とホテルで寝るか、カセルホテルで寝るか、サウナで寝るか、泥酔して友人の家で寝るか、運が悪ければ公園ででも寝るんだろうが、それがどうした!と思ってしまう。 家に帰りたくないならホテル代の3千円を残して酒を飲めばいい。 自分でホテル代やらまで酒に使ってしまうのが問題であり、そんな自分でワザワザ作っている苦など知るか!である。 そして結局、中島らもは「なにが苦しいのか」もよく分からないのだ。 この本には業界人の酒びたりでウィットの効いた日常だけが書いてある。それだけである。 ただ随所に面白いところや頷くところが散りばめられているので「軽くて面白い本」として読むのにはいいかと思う。 ※他の方のレビューで「少しぐらい気が狂っているとして、それがどうしたというのだ」と書いてる人がいるが それはアマニタパンセリナに書いてある文章である。(カドくんのくだりで) この本にはそんな名言はないので誤りを指摘しておく。 | ||||
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中島らも氏は、この本の文庫化に寄せて、一番初めに書いた本、唯一の書き下ろし、そして僕が一番好きな本でもあると述べている。その後の本は、現実とは不愉快だという事で、書きものは大笑いの大地にしてやれという意図に基づいて書いたという事であるが、この本は「ノン・フィクション」と銘打った通り。ドキュメントを素に再構成されているということだ。この本を書く原動力となったのがアルコールと睡眠薬で、らも氏は「この本をラリりながら書いた」と回顧している。したがって世界そのものに似ており、美しくて醜くく、頭の中の痒みのように、永遠に掻けない、そんなところが好きだと語っている。 良くも悪くも、この作品は、らも氏の原点として彼からのメッセージが存分に伝わっているものだと感じる。 | ||||
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「結局、人間はどっかにポッカリとばかでかい穴があいているのだ。何かで埋めなくてはいけない。埋められれば何でもいい。」 この作家の作品を読むのはこれが最初。笑えるけどみじめ、みじめでそして哀しい。哀しいけど笑える。ぞろぞろと出てくる言葉の濁流も、このなかでは何かよそ事です。 酒を飲みながら書いていたとのこと。作品自体もエッセイみたいな感じで、作者にしてみれば好きなものを好きなことをしているうちに好きなだけ書けたということでしょうか。でもあまり真似はしない方がいいかも。階段から落ちて死んでも仕方ない。 | ||||
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らもさんの笑いと少しウェット(そこがいいんだけどさ)がつまった本当に良い作品なんです。 読めるときに読んでみてほしいです。 『ロカ』を読んでいたら、これを思い出して、読み返しました。 『ロカ』とこれが僕の中ではつながっていて、『ロカ』の続きをこれとリンクしながら楽しんでいます。 | ||||
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一番最初に読んだらもの本。衝撃的だった。 その後らもの本は手当たり次第読んだ。どれも面白いが、どれももう一つ。 エッセイなんかだと、どの本もよく似たような事を書いてるし、小説になるととたんにエンターテイメントになってしまう。 何かの本で、「頭の中がカユいんだ」は自分の為に書いた-それ以降は読者の為に書いてきた-と発言しているのを読んだ事がある。 なるほどそうかも知れない。 しかし「バンドオブザナイト」ほど破天荒では無い。 小説ともエッセイともつかぬスタイルだが、とにかく、らもの告白だ。 ドアーズ、ストーンズ、S、村八分、灘校、クスリ、足穂。 後のエッセイで登場してくる様々なキーワードが、もっとも鮮烈に描かれている。 原酒のもつ荒々しくも華のある香り。酩酊する。 | ||||
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単語レベルの言葉のシンメトリーが面白い。 わさわさと、言葉の洪水にのまれながら、使えるものをすくいあげていく。 羊もわさわさ。頭の中はわけのわからぬアイデアのなり損ないがいっぱいいて、 まさにカユくなるような生みの辛さなのだろう。それから、こんなに楽しいセックスを始めて読んだ。 ファンタジーを、お金をだしてまで買って楽しもうとする人間の業が、 ほろ苦く、愛おしくも思える。 | ||||
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衝撃的に面白い。 日本語のセンスと、らもさん独特の笑いの「間」には脱帽した。 すべての人(といってもリベラル派向けかな?)にお勧めの本。 | ||||
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俺はこの本によって精神病院行きをまぬがれたとマジで思う。 あまりにも圧倒的にくだらないからだ。絶望をぶちのめすくだらなさが、 全面的に展開する。ここにはらもさんの全てがある。人のよさ。甘え。 文才のなさ。芸術的センスを求めてかまぼこの広告でお茶を濁す自堕落。 頻発するあまりにも阿呆なギャグ(「走る坊主」など神経のおかしい人にしか書けない)。 魯迅(か誰か)が昔言ったそうだ。 「人は絶望にもやがて飽きる」。名言だ。しかしらもさんはその上を行く。 「少しぐらい気が狂っているとして、それがどうしたというのだ」。 | ||||
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中島らものファンで、この作品を読んでいない人を私は信用しない。読んでいてつくづく面白い。そして哀しい。 | ||||
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