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(短編集)
禁断の魔術
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禁断の魔術の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全127件 121~127 7/7ページ
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著者の作品は、巻を重ねるにつれて、湯川学の解く謎は人間の盲点をつく心理トリックにまで広げられていった。そして、湯川学の人物像が掘り下げられ、際立った魅力を放つようになっていった。幅広い作域を持つ著者の謎解きの関心が人間ドラマと融合して理想的な連作といえるであろう。 8月に第7作”虚像の道”が出たばかりだが、早くも最新作が出た。全4作がすべて描き下ろしで、力の入った短編集となった。本書の収録作では、犯人当てよりも“なぜ?”という、人の行動の理由を問う要素が明らかに大きい。また、本書で描かれる湯川は単に事件の謎解きだけではなく、関係する人たちの人生で生じた“もつれ”や“ほころび”をも元に戻す役割を演ずるのだ。 巻頭の”透視す(みとうす)“では、冷静沈着な湯川をたじろがせた女性が殺人事件の被害者となる。クラブのホステスである彼女は、初対面の客の名刺に書かれた事柄を見ずに当てるという特技の持ち主であった。湯川でさえそのトリックを見破れない。くやしがる湯川の姿も好い。次の”曲球る(まがる)“では、湯川は38歳で戦力外通告を受けたプロ野球の投手に出会う。彼の妻は強盗殺人の犠牲者となった。湯川は、その死に残された謎と、投手の人生を左右する問題までにも答えをだすことになる。続く“念波る(おくる)”では、殺人未遂にあった被害者が双子の妹に危機をテレパシーでしらせたというのは本当か?という謎に湯川が挑むのだが、ここでも動機の問題に焦点が当てられている。本作では最長となる“猛射つ(うつ)”では、フリーライターが殺害された一件が発端となり、ある犯罪計画の存在が浮かび上がってくるのだが、その中に、湯川にとって見捨てることができない人物がいるのだ・・・。ここには”真昼の方程式“での湯川の姿を彷彿とさせるものがあり、熱い心・魂を持った湯川の存在が著者によって見事に描かれている。 好いね〜。お薦め!! | ||||
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短編が4つ収録されているが、ページ数は最後の話が断トツで多く、他の話はかなりあっさりしている印象。 というかこの3つの話に関しては物理のトリックは事件とほぼ関係無い。事件はさっさと片付いてしまうので物足りなく感じるかも。 最後の話、「禁断の魔術」はこの話の事だが、どうせならあのおっさんに天罰が落ちる終わり方にして欲しかった。 なんかエンディング部分からはガリレオが終了してしまいそうな印象を受け、少し寂しくなった。 | ||||
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「猛射る」は「真夏の方程式」に引き続いて、非常に人間味のあふれるガリレオを堪能した。 まあ、この話はガリレオでなくても良かったとは思うが、ある意味で師弟間の熱い絆というものが、実に強く太く作品を貫いていた。 本作が本書の半分を占めた理由も、一見地味な展開でストーリーが展開するのも、すべてはこのラストにむけての収束のためだったことに納得がいく。 さて、本書の前半には三作の短編が収録されているが、いずれも物理ネタは犯人側の仕掛けではない、というよりも、初期短編と比べると少々アレアレという感じがする。 つまり、純然たる犯人側の仕掛けではないのが、少々物足りない点ではある。 ただし、あまり物理ネタを前面に押し出していない分、作品のクオリティがアップしているようにも読める、というあたりが著者の狙いなのかもしれない。 それとも、物理ネタにも少し疲れてきたのだろうか。 本シリーズはテレビドラマ化や映画化で、初期の頃よりも読者層が広がっている。 したがって、初期のようなマニアック寄りではなく、ある意味では広く支持されるような作風へと転換してきた、といっても良いだろう。 だから、初期のマニアックな物理ネタが好きなファンにとっては不満な点も多いに違いない。 しかし、湯川ガリレオだって人と接することで変わっていったのだと、理解したい。 そして本書は前作より内海薫の活躍が増えたのは、なんとなくうれしいところだ。 ただし、今度の映画化作品では柴崎コウから役者が変わるらしい。 それはちょっと残念だ。 | ||||
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あまりはっきり書くと未読の方々の興味をそぎそうになってしまうので、 タイトルのような表現に留めておくが、秀作ぞろいのお薦めの一冊。 読んで損はない。是非ともご一読の程を。 話は変わってこのたび「真夏の方程式」が映画化されるそうな。 で、その映画には柴咲コウさんが出演しないそうな。 映画「真夏の方程式」がどのような構成になるのかはわからないが、 予定調和的に中途半端に登場する「内海薫」を見るよりも、 いっそのこと、登場しないほうがよいのでは、と個人的には思ったりする。 それよりもむしろ、映画公開直前に、 ドラマスペシャルで「猛射つ」を放映してもらいたい。 そこでの内海薫の活躍を見てみたい、などとも思う。 (映画「容疑者Xの献身」ドラマ「ガリレオ0」との逆パターンですね) で、作品の本質とは全く関係ない、小生のおバカなエピソード。 第三章「念波る」の主要登場人物の名前が、「籐子」と「春菜」。 ドラマ「恋ノチカラ」に思い切りハマっていた小生は、 必然的に2002年当時の深津絵里さんと矢田亜希子さんのイメージで この章を読み始めてしまった。 ところがこの章の「籐子」と「春菜」は「叔母」と「姪」。 イメージの修正に少々戸惑ったりした。おバカです。 ちなみに第四章「猛射る」は、ガリレオ版「さまよう刃」とも言えるだろう。 なおこれも個人的なものだが、 第三章「念波る」を先に読んで、おバカな連想をしていたおかげで、 とある実際の事件とリンクする。 実際の御遺族の心情を思いはかるうち、 もしも小生の愛する人が事件の被害者となった時、 自分はどう行動するのだろうか、と想像してしまった。 さらに「道具」が目の前にあったとするならば……。 幸いなことに(と、御無礼を承知で表現させてもらいます 事件に巻き込まれることが不運なのじゃない。 事件に巻き込まれないことが奇蹟なのだと思っています)、 小生の身辺に、事件の被害者は、今のところ、いない。 しかしながら、本当に事件に巻き込まれた時、 小生は、大多数の実際の御遺族の方のように、 道具を使わない「強さ」を持てるだろうか。 もしかすると「道具」を使ってしまうのではないだろうか。 いや、社会人として、その強さを身につける必要がある。 が、身につけたつもりでも、本当にそんな状況になってみれば、どうなるのだろう。 また、自分の代わりに刑務官に実行してもらうことの是非は―― と、さまざまなことを考えてしまった。 かさねがさねとなりますが、 秋の夜長に、いろいろなことを考えられる良書だと思います。 お薦めです。 | ||||
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ここ、最近のガリレオシリーズを読んでもガリレオらしくないと違和感を感じていましたが 本全体の半分を長さによる半長編作品、ラスト4章目の「猛射つ」は素晴らしいと思えた。 ぜひ、本の題名である「禁断の魔術」で映画化をして貰いたい。 東野圭吾先生としては前作の「虚像の道化師 ガリレオ7」で終わる予定だったとのこと。 今作で終わってしまうのだろうか、、、 | ||||
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こんなに早くガリレオの新作が出るとは思わなかった。今回は4作とも書き下ろし。 『透視す』は、ガリレオシリーズ本来のスタイル。透視は手品か超能力か。仕事熱心があだになってしまうという悲しい話でもある。 『曲球る』は、野球の変化球にたとえたタイトル。事件そのものではなく、草薙の疑問を湯川が解き明かす。ハートウォームなお話。 『念波る』も、テレパシーという超能力を題材にしている。非科学を非科学と見抜くことも立派な科学という点で科学的。ただ、草薙をはじめとする捜査陣が能なしすぎて気の毒。 『猛射つ』も、ガリレオらしい科学ネタ。それでいて、若者の将来を対せにする湯川らしい優しさも見せる。本書の白眉。それにしても、湯川は偏屈だな。あと、いつまで准教授なんだ。 長編になると、どうしても科学的な話が小さくなってしまい、ガリレオらしさがなくなるのだけれど、短編はそれがない。これからも続くのかは作者にもわからないのだろうけれど、ときどき短編で登場して欲しい。 | ||||
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「猛射つ」・・・シリーズ最後(?)を飾るにふさわしい傑作。作者はあるインタビューで「僕にとって湯川は憧れた生き方のひとつ」と語っているが、おそらくその想いが込められた一作。教え子を信じぬける心、科学者・教育者として責任を取ろうとする覚悟とそのためにとった驚くべき行動・・・湯川の信念に基づく変人ぶりに胸を打たれます。当初は浮世離れしたただの偏屈学者だった湯川先生がシリーズ14年の歳月を経てここまで化けるとは。 草薙も刑事として優秀さを増しています。一時期ぎくしゃくしていた湯川との友人としての気の置けないやりとりの復活がほほえましいと同時に、互いの職業柄からの緊張関係がまた絶妙。そこに女性の薫がからむことでシリーズの物語としての幅がぐっと増した感があります。それが際立つのも「猛射つ」。 「透視す」「曲球る」「念波る」・・・科学者・湯川が被害者の思いを読み解く、被害者遺族を救う。湯川の推理が事件解決に"直接"寄与するという単純なパターンじゃないところがユニークですが、「猛射つ」と比べるとどうしても見劣りしてしまうため、☆ひとつ減。 おそらくこれでシリーズはひとまず完結なのでしょうが、作者のネタが再びたまるまでの小休止であってほしい。復活する時は湯川"教授"で是非。 | ||||
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