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虚構船団



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【この小説が収録されている参考書籍】
虚航船団
虚航船団 (新潮文庫)

虚構船団の評価: 4.22/5点 レビュー 41件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.22pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全31件 1~20 1/2ページ
12>>
No.31:
(5pt)

筒井康隆の面白さは2025年1月にNHK100分de名著で紹介されました。

十分に新しく美しい状態で届けて頂きました。
筒井康隆の面白さは2025年1月にNHK100分de名著で紹介され、改めて読めることが楽しみです♪
虚航船団 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:虚航船団 (新潮文庫)より
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No.30:
(5pt)

NULLの文豪筒井文学の集大成

これを読まずに筒井康隆を語ることなかれ
腹を抱えて笑ってくれ
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No.29:
(5pt)

ハジケリストが書いた本

割と冗談なしにそう思いました。
こういう作品大大大好きです。

可能であれば5000ページくらいずっと読んでいたかった。。。

読み終わっちゃうラスト30ページくらいがすごく切なくなってしまいました。久しぶりの読後感です。
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No.28:
(5pt)

マトモなアナタに読んでほしい。

「まずコンパスが登場する。彼は気がくるっていた。」

読んだのは中学生が高校生くらいであっただろうか、小学校高学年で星新一にハマりその流れでSF御三家を知り、筒井先生の本を読み漁って言った。
短編集ばかり読んでいたが、本屋や図書館・図書室で冒頭をペラペラ読み、いきなりの始まりが上記引用文である。正直一つとして常人には理解できない文章だと思った、引き込まれない訳がない。

どうでもいい話だが、読んだ当初は肥後守が鉛筆を削るナイフだとは知らなかったので、突然武将でも出てきたのかと思ってしまった。読みながら混沌の中にいた自分にとっては違和感なく読んでしまっていた。

2章から始まる鼬族による人間の歴史を凝縮したような話、
世界史が好きであった自分でも、なかなかに読み辛い…電車に揺られ寝落ちして同じ行を何度も何度も読み返した。
偶に2章なんて読み飛ばしてもいいんじゃないの?という人もいるが、この2章の鬱屈した時間にこそ、最後の1行のカタルシスに繋がってくるのだと思う。

3章まで読んでいくとおそらく読んでいる側も多少くるってきていると思う。
句読点がないだとか色々と入り乱れくるが、なんとも苦もなくスラスラと読めていく。
ランナーズハイだとかそういうリーディングハイのような状態になるのだろうか。
最後まで読み進めたときの爽快感のようなものは今でも忘れられない。

高尚な評論なんてしたことも無いし、学生の頃、感想文だってイヤイヤ書いていた。
レビューしている内容も作者の意図するところとは大きく違うかもしれない。
だけど、この感想は自分だけのものだ。誰にも侵されることのないアナタだけの感想を虚航船団を読んで是非感じてほしい。
20年近く立ってもなお記憶に残る、おすすめの一作だ。
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No.27:
(5pt)

読者が試される一冊

"まずコンパスが登場する。彼は気がくるっていた。針のつけ根がゆるんでいたので完全な円は描けなかったが自分ではそれを完全な円だと信じこんでいた。"1984年発刊の本書は特異な物語と実験的手法が賛否両論を巻き起こした、SF的発想力と言語実験を混交させた超虚構、荒唐無稽な"純文学"

個人的には、学生の時に第一部で挫折したまま積読になっていたのを思い出し、あらためて読了しました。

さて、そんな本書は小松左京、星新一と並び日本SF黎明期を代表する作家である著者が、70年代以降に『虚人たち』(1981)そして、近年TIKTOK発でリバイバル的に話題になった『残像に口紅を』(1989)と前衛的、実験的な作品を発表していた時の作品で、著者の集大成的作品とも『ファンの間』では名高い一冊なのですが。。率直に、意図的に(例えば句読点や段落分けを回避したり)【読者初心者を振り落とすような仕掛けが施されている】イジワルな作品で。

三部構成として、第一部では【乗組員42名が全て文房具】である閉鎖された宇宙船内部にて、それぞれに癖があり、しかも【みな気が狂っている】群像劇が描かれた後(=ここでまず、SF嫌いや、主人公に感情移入できる。わかりやすい作品好きは挫折する)

第二部では視点やタイムスケールは一気に俯瞰的に【イタチたちが住む惑星クォール】の一千年の歴史が【人類史のパロディ】として描かれ。(=人間以外に感情移入できない、また著者の過去作品、ドタバタSF好きな読者は挫折する)

そして迎えた第三部では、そんな文房具、イタチたちのドロ沼の争いが時系列や場所を転々としつつ、さらには【著者本人の私小説的、世俗的なグチも混入する】という紙面領域すらあやふやなままに結末まで向かっていくのですが。

ええ、著者的には『中学生にもわかり、面白がってもらえる作品』を執筆条件にしたらしいですが。初見当時、まさに中学生であった私は第一部の文房具たちの異常性。とくに色情狂の【糊の性描写】や喧嘩っ早いホチキスの編集者泣かせとしか思えない【ココココが横断していく】描写に感情移入はおろか、脳内イメージがついていかず挫折した記憶を何十年かぶりに思い出しました(笑)

一方で歳を重ね、流石にラテンアメリカ文学含め古今東西の読書経験も積んて挑んだ今回は(相変わらず文体は読みづらいけど)割と素直に読了はできましたし、この頃の文壇にケンカ腰、欲望丸出し【エネルギッシュな饒舌さが溢れる文体】はむしろシャワーの様に?心地よく。また、文房具たちがバタバタと全滅し、文房具とイタチの間にできた混血児が『ぼくはこれから夢を見るんだよ』というラストには感動的な余韻すら覚えました。

しかし、昔も今回も『これは映像化やアニメ化は無理だろう』と思ったのですが『萌え絵で読む虚航船団』とかあるんですね。。著者の意図はさておき。萌えパワースゴイ。

著者ファンはもちらん、万年筆や虫ピン、言語や記号にも感情移入できる方。あるいは図表やタイポグラフィも自由に挿入されるポストモダニズム、奇書としてオススメ。
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No.26:
(4pt)

活字の弁当箱

単行本ハードカバー。段落、改行がほとんど無いので、四角い弁当箱に活字だけをびっしり詰め込んだ感じ(43字×21行×460頁=415,380字)。重いです。三角定規やコンパスやメモ帳らの文房具たちが乗り込んだ宇宙船が、鼬族の惑星を襲うというお話。第二章の鼬族の歴史は旧約聖書を読んでいるようで、だんだん意識が遠のきます。よい睡眠薬です。
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No.25:
(5pt)

無限の想像力!

声に出して笑いました。
なので、公共の場で読むのはおススメしません。笑
自宅で存分に笑っております。
著者の本はこれが初めてですが、読破すると決めました。
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No.24:
(5pt)

天才作家の最高傑作

分かる人にはわかる、分からない人には全くわからない作品です。
時系列やエピソードが入り乱れながら、物語が進んでいきます。当時著者が親交のあった山下洋輔や坂田明などのフリージャズを小説で表現しようとした実験的作品でもあります。
登場人物(?)は文房具と鼬のみ。
モチーフは聖書の文体。
ジャズ好きでクリスチャンの私は楽しく読めました。
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No.23:
(5pt)

なぜ固定レイアウトなのか

やっとkindle版が出たと思ったら固定レイアウトとかありえない
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No.22:
(4pt)

字が小さいです

みなさん書いてますが本を画像スキャンしたような感じです
レイアウトを大事にしてるのかもしれません
小さい画面のスマホだと読みにくくなります
タブレットを持ってる方は安心です もちろんパソコンでも大丈夫
ちっちゃいスマホでもがんばれば読めると思います
内容はすごくいいです 文章自体がなんかかっこいいです
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No.21:
(5pt)

国語の先生お勧め

面白いです!中学生以上なら読めます。
国語の先生がお勧めしていたので買ってみました。
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No.20:
(5pt)

ごめんなさい。一切理解できません

本を読むのは好きですが、筒井康隆氏が多用するとかいう文学理論やらなんやらというものは一切学んでいない者です。最後まで読みましたが、最後の最後まで一切意味が理解できなかった。三章など混沌窮まれりで、まさに「夢を見ている」気分にしかなれません。
ですが、面白かったです。ただそれだけ。おそらくこのレビューで絶賛してる人、貶しまくってる人の九割九分は私同様何もつかめていないでしょう。
買うべきか否かなら買うべきです。新品でも1000円前後、中古なら500円で買えるんですから、そんな痛い出費じゃないです。
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No.19:
(5pt)

簡単なレビューにココココココココココ

難しい事ばかり書いてもしょうがないのでわかりやすく簡単に書きます。

第一部『文房具』を読んで思ったこと・・・ 「こいつらホントに狂ってるわ。。。」

第二部『鼬族十種』に入ってから思ったこと・・・ 「あれ?鼬族の方が酷いじゃねえか。。。」

第三部『神話』を読んで・・・ 「最初嫌な奴らだなと思っていた文房具達が哀れに思えてきた。。。」

私は最後まで楽しく読めました。私小説部分も嫌いじゃない。むしろ腹を抱えて笑ってしまった。
どんな小説だっていい人はいいと云うし、ダメな人はダメとか駄作とか云うものだしそれは当たり前だと思う。
万人受けするものなんてないでしょう?
受け取り方は人それぞれだけど 今の若い人たちはこれをどう読みどう受け取るかなと考えたらちょっと興味深いかなと思った。
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No.18:
(5pt)

歴史とは何か

1984年発表。
当時すでにファンであったのに、読み始めるまで10年を要した。
理由は、知的なものを読みこなす力がなかったため。
最初に読んだのは、阪神大震災で避難生活中の1995年。
黙示録的現実の中で、読書力が向上していたのかもしれない。
いつか再読したいとの思いを20年ぶりに果たし、傑作であることを再確認できた。

登場人物の文房具全員の気がふれているのは、昭和前半までは実際そうだったし、今も同じかもしれない。
また、人物であると同時に文房具でもある二重性は、量子力学的といえる。

最近は歴史観について考えていたところでもあり、その意味でも興味深かった。
著者は「暴力史観残虐史観などどいうものはなく」と謙遜しているが、現実の「世界史」も残虐さに満ちている。
巻末の参考資料にE.H.カー『歴史とは何か』他が挙げられている。

最終章は巻を措く能わざるの感で、これは初読のときと同じ。

現在、文学への理解が作品に追いついている状況で、より広く読まれる素地があると思う。
最近も松浦寿輝氏が雑誌で高く評価していた。
(この人、他にも吉田健一や日影丈吉といった、いいところを推してくる)
カスガ氏による「萌え絵で読む虚航船団」という、本質を衝いたクオリティの高いマンガ作品もネットで読めます。
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No.17:
(5pt)

人間の本質を説く大叙事詩

私はこの作品に出逢う事で、文字通り人生を変えられた。小説家を目指すきっかけとなった思い出であり、これからの目標で有り続けるだろう。
物語は三章に分かれており、
第一章は精神分析、
第二章はヨーロッパ史のパロディ、
そして第三章はシュールレアリスムの世界に突入します。
日本の三大奇書をいとも容易く嘲笑うかの様に鎮座するこの作品を貴方は読めるでしょうか?
最後のセリフは何とも言えない無常観と余韻を残してくれますよ♪
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No.16:
(4pt)

文房具や鼬族を題材にしても、人間模様や人類史を"リアル"にカリチャライズ出来るという自負

私は筒井のほぼ全作品を読んでいるのだが、本作はつい最近手に取った。私小説作家を中心とした文壇に対する嫌悪・軽侮を日頃から隠さない筒井の鬱憤晴らしの様な作品。作中で筒井(も登場する)自身が語っている通り、メタ・フィクションなのだが、文房具や鼬族を題材にしても、人間模様や人類史を"リアル"にカリチャライズ出来るという自負に溢れた力作。普段はこうした自負を露わにしないでブッ翔んだ作品を書く筒井なのだが、本作では思う所があったのか、作中に登場してまで自負を語っている。「大いなる助走(作中に"大いなる徐走"というギャグあり)」の流れを組み、それを骨太にした印象を受けた。

小説作法としての工夫も凝らしてある。第二章の鼬族史は人類史を10世紀程に圧縮している上に、土地(国や地域)も1/4程度に圧縮しているので、人物や国に纏わるエピソードが面妖に重なり合うという面白さ(私は「古事記」を思い浮かべた)。江戸幕府を有した島からヒトラーが出た後に、角栄が続くという風に一見滅茶苦茶な様でいて、事物の本質を衝いている。ユダヤ教の初まりから東西冷戦までの人類史も的確に捉えている。国家や社会はそれを構成する人々の基底通念の上に成りなっていて、歴史的経緯や環境が変わっても結果としての国家や社会には大差がないという筒井の信条が伝わって来る。

第三章の「神話」は、時系列や記述対象を(一見)ランダムに変えながら、それまでの絵解きをして行くという一番筒井らしいパート。「虚構船団」の来襲が<ノストラダムスの大予言>の<恐怖の大王>に当たるなんて愉快な設定じゃありませんか。筒井ファン以外の方には受け入れ難い作品かも知れないが、それだけの希少価値を持った力作だと思う。
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No.15:
(5pt)

これは現在の日本そのものだ!

この作品が発表された当時すぐに買って、ブッ飛んだハチャメチャSFとして、ゲラゲラ笑いながら読んだものだったが・・・。2012年末の現在、読み返してみれば、これは現在の日本そのものじゃないか!と背筋が寒くなってきた。個人は各々の強迫観念にとりつかれ異常な行動を繰り返す。(精神病の文房具!!)作品中の船団の幹部にあたる政治家は無能。不可視の上司からの不条理なな命令。そして結局時間的に間に合わないまま、取り返しのつかないとんでもない事態に陥ってしまう。そして、まさしく「いたちごっこ」のようにこの国の内外で続々と起こってくるすぐには解決しそうもない問題の数々・・・。発表当時に読んだ頃、まさかこんな事態が未来の自分自身に起こるとは思いもしなかった。やはり天才とナントカは紙一重で、筒井さんには未来の日本はこうなると見えていたのか?それとも単に悪夢の作品化なのか?ーーーそして今日も明日も僕たちは狂った文房具のように、解決しそうもない終わりのない戦いを続けていくしかないのか?!
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No.14:
(5pt)

この作品で僕は小説の素晴らしさを知った。

初めてこの作品と著者の名前を知ったのは図書館のパソコンだった。
スカンクの情報を集めるためにインターネットをしていて偶然虚構船団の記事にたどり着いたのだ。
僕はその記事を見て興味が沸き早速見てみようと本を探し見てみたのだが「なんじゃこら!?」といった感じであんまり読めなかった。
そして、この本を買って家でじっくり見てみよう!と思い、お年玉で虚構船団の文庫版を買ったのである。
三日かけて読んでみた感想は「なんじゃこら……でも面白いなあ」まあ、そんなかんじだった。
ストーリーを端折って説明するとこうである。

頭がおかしくなった文房具達が乗り込む宇宙船が鼬の住む惑星に襲撃します。

何じゃこりゃ!と思うだろう。だが!それがいいのだ。
小説は自由でいいんだ、なんて素晴らしいんだろうと読んだ後思い、著者の他の作品や色んな小説を読み始めた。
兎に角、素晴らしい。それしか言えない最強かつ最狂かつ最凶かつ最高の貴書である。
読書好きは勿論、読書をしない人にも見てもらいたい。いや、読まない人にこそ読んでいただきたい作品です。
筒井先生へ有難う御座いますと言葉を送り、このレビューを締めさせてもらう。
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No.13:
(5pt)

とりあえず、まあ読め。

出版当時は「なんで文房具や鼠に感情移入しなければならないんだ?」と頭の固いヒトから攻撃を受けたこの作品。逆に若いマンガ・アニメ世代には取っつきやすいと思います。
『ネジがゆるんだコンパス』の気持ちを考えることができますよね?『世界史の残虐な部分』を鼠の習性にしてしまえば、かえってわかりやすいでしょ?そういうことなんです。
第3部はそれまでに丁寧に描かれていた登場(人)物が戦争をします。戦争のドサクサにまぎれて、作者とか#とか変なものも登場します。すべてが絶頂を目指して突き進み、その結果として…
すべてが終わった静けさの中、本当の主人公が登場します。彼は物語の最後を静かに、たった一言で締めます。
作者自身の解説『虚航船団の逆襲』もありますが、できれば先入観無しで読んでほしい作品です。円熟期の筒井が持てる武器をすべて使い果たした傑作です。
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No.12:
(5pt)

罪深い傑作!

鬼才・奇才 筒井康隆が満を持して世に出した壮大な
S(シューリアリズム)F(ファンタジー)。

全3章からなるこの作品には純粋な人間は一切登場しない。

1章は文房具を擬人化したものが登場し、舞台は宇宙船。
登場人物はほぼ全員が気が狂っていると言う設定である。

2章は鼬(げっ歯類)を擬人化したものが登場。
とある星(地球を揶揄している)の高等生物である鼬連中の歴史
(中世〜現代の主にヨーロッパ史のパロディ)を追う。

3章は文房具を乗せた宇宙船が鼬のいる星に攻め込み両者の戦いが
パラレル(時間および空間の平行世界)的に、
それに加えて作家自身の身の回りの世界がスラプスティックに描かれている。
ちなみに3章のほとんどは改行無しで文字が満載されていてお得感が味わえる。

とにかくハチャメチャ。で凄く面白い。
文学と言うものにある一定のイメージを持ってる人は読まぬほうがいいであろう。
間違いなく最初の数ページで嫌になるだろうから。
文学とは何でもありなのだ、何やっても構わないのだ、
と言う人にとっては傑作であろう。
この作品が今から20年も前に書かれている衝撃。いや笑撃!

文学とはよりかっこよくスタイリッシュなものだと定義づけ、
たとえ文体をいくらハードボイルド風にしても中身が伴わなければ全然意味がないのである。
誰も読みませんそんな作品。

作家を目指している人間がこの作品を読んであまりのショックに塞ぎこんだとしても
それはその人間の所為でもなければ才能が無いわけではない、
筒井康隆に才能があり過ぎなだけなのだ。

ある意味罪深い傑作。
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4101171270

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