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魔性の子
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魔性の子の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全111件 61~80 4/6ページ
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『十二国記』全シリーズを読んだあとで、再読しました。『黄昏の岸・暁の天』と対をなす、蓬莱がわ(現実の日本)での物語です。以前に読んだときにはあまり気づかなかった、含蓄深い点を三つあげておきます。 まず、高里に少しでも悪意や嘲弄を見せた旧友らが重傷を負ったり、怪我をしたりする。その度合いがどんどんエスカレートしてゆく。祟る少年としてマスコミでも話題になってしまい、マスコミの記者にもその災いが及ぶようになり・・・という、このホラーの増幅のしかたが実にうまく、酸鼻な描写もところどころありながら、ぐんぐんと物語の流れにひきこんでいきます。このリズムというかテンポ感は天性のものだという気がします。ホラー作家としての小野不由美の真骨頂が発揮されています。 そして二つ目は、アニメでは杉本という少女キャラクターに託されましたが、「ここは自分のいる世界ではない」という疎外感をいだく青年広瀬が、高里を理解しようとするなかで、しだいに共感から自己投影へと彼に依存してゆく心理的な動きが、興味深いです。 憎悪や怒りを全く持たないかのように恬淡とした高里は、回りの人間をいらだたせ、彼らは高里を鏡として自分の内面をさらけだしてしまいますが、広瀬もまた、高里は実は怒りを抑圧しており、それが超能力のようなものとなって「祟り」を起こしているのでは、と疑います。そしてそうでないことを知り、自分との差異に打ちのめされる・・・。しかしこの副主人公の生き方はある意味で誠実であり、理想主義的で、ひょっとしたら、将来「鈴」のように向こうへ渡ることもありうるのでは、という予感も抱かせられました。(本作だけでは彼の生き方は完了していないような気がします) それから三つ目ですが、『十二国記』読者として、再読すると、何度も出てきて気になったのは、「ここ(現実の日本)は違う世界なので、ものの姿がゆがんでしまう」「本来の姿でいられない」という十二国記がわの存在の言葉でした。景麒も陽子を捜しに渡ってきたときには、「自分がゆがんだものになってしまう。確固として在ることができない」「世界がわれわれの存在を拒む」「影のように不安定になる」と言っていました。(『黄昏の岸 暁の天』)。 この世界では、高里を守護するものたちが異様な存在になり、暴走してしまい、探しに来た廉麟も幽霊の女のように見えます。このあたりがただのホラーではなく、二つの世界のありようを暗示していて、『十二国記』の世界とははたして何だったのかを考えるヒントにもなっているようです。 ともあれラストは、本作だけでは何か完了しきっていないような、より大きな物語の前奏曲がとどろくような終わりかたです。これを読んだあとで、本編シリーズに入ると、十二国の立ち位置がさらにリアルになってくると思います。しかし、ホラーとしても秀逸作であることは疑いをいれません。 | ||||
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5時間ほどで読めた。 屍鬼とは違い硬筆なイメージが少なかったので読書に没頭できた。 一気読みさせる作品だと思います。 十二国記はなんとなく知っていたので、現実セカイで学園が舞台なのに驚きましたが、今回はプロローグみたいですね。 内容としては、神隠し、祟り、報復がキーワードで読んでいてゾワゾワさせます。 ここは小野不由美さんの得意分野でしょうから流石です。 学園が舞台だからイメージしやすく怖さも倍増です。 騎馬戦のところとか・・ 最後はファンタジーの姿をみせてきて次が楽しみです。 この夏にオススメの一冊です! | ||||
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21年ぶりにリライトされた、十二国記のエピソード0に当たる本作品。 単語の表記や古さを感じさせる台詞が現代風に変わってる箇所があり、若い人にも読みやすくなっていると思います。 特に、橋上と高里の会話が少し変わってる箇所に当時を思い出してしまい、少々しみじみしてしまいました。 それでも時代設定はあくまでも21年前なので、昔からのファンも違和感なく読めると思います。 リライト版に新しく付いた山田先生の挿し絵にも、小野先生との息の合った仕事ぶりを感じ、とても感動しました。 このペースで出版されると、十二国記の新作は大体一年後位なのでしょうか。 リライト版の「魔性の子」を読んで、ますます今から楽しみになりました。 | ||||
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十二国記のアニメをみて夢中になりました。最初にこれを読んだほうが良いと書いてあっったため、購入。 ホラー小説なんですが、まがまがしさが夢に出てくるほど。描写もこまかく、差し迫ってくる殺意も怖かった。 読んでよかった。 | ||||
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いまさらなんでしょうが、おもしろく、一気に読みました。十二国記のシリーズの前のに書かれた外伝。教育実習生として母校にきた広瀬は、高里という生徒に興味を抱く。小学生時代に神隠しにあい、彼に関わると祟られると噂される高里……。事件が起り、追い詰められていく。 この世界は自分のいるべき場所ではない。帰りたい。広瀬はそう思うが……。広瀬の孤独感が迫ってくるラストがなんとも言えない恐怖。 | ||||
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すべての始まり。 まさかこれが十二国記に繋がるとは…。 この人はホラーがうまい。 すべてが歪み、少しずつ追い詰められていく様は、秀逸の一言。 それにしても彼は、あっちでもこっちでも不幸が絶えない。 | ||||
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シリーズとしては組み込まれていないものの、間違いなく十二国記の要と言える作品です。私は「月の影」「風の海」を見てから読んだのですが、たぶんはじめての方が楽しめると言えます。 広瀬のような緊迫感がより味わえますし、期待を持って十二国記シリーズに臨めます。 でもシリーズ読破しても、満足はしないでしょうね…泰麒の話は終わってません。 | ||||
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著者の細かな心理描写、そして謎解き。 すごく面白かったです。 神隠しだとか、題材が良いものを使ったなと思います。 | ||||
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最初のきっかけはTVアニで知った十二国記です。 その世界観とスケールに大人用のアニメだな、N●Kもなかなかやるな! と思ったのが始まりで、その時は原作を購入して読むまでには至らなかったのですが、 また本を読み始めたのを機に本書に辿り着きました。 購入してからも嵌りそうで嫌(間違いなくシリーズを集めだす予感がして怖かった)で、 読まずに置いておいたのですが、やっぱり嵌りました。おもしろい! 異世界を混ぜ込みながら、人(の内側)が書き尽くされていました。 だからなのでしょうか? こちら側で起っている現象は日本的な感覚のホラー。 あちら側の世界も歴史上の外国(まるであったような感覚)を思わせるファンタジー。 その交差具合と世界観がすばらしく、故国・・・がまさにぴったりだと思いました。 私のようにまだ未読の方、これに行き当たったのなら天啓です。 読むべきです! | ||||
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使令・饕餮の恐さ。『黄昏の岸 暁の天』の瑯燦の、 「饕餮が憑いている子供を非力と言うんだったら、私達なんか、みんな赤ん坊みたいなもんじゃない。」 と言った意味が分かる。 『黄昏の岸 暁の天』を読んだ後は、十二国と蓬莱の時系列のズレが無く、謎解きが既に成されているので、蓬莱で起こる数々の事件に納得しながら、饕餮の恐さを感じつつも安心して読める分に関しては、文句無しの星5つです。 ですが、十二国記シリーズの入門編?にしては少し難しい所があり、その為星4つです。 人であるが故の醜さ等を浮き彫りにする内容は圧巻です。 | ||||
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「十二国記」の前に読んだので、かえってわけのわからなさが最後まで読者を引っ張っていくところは、筆力抜群の著者だからこそできることだと思う。私も広瀬と同じ、現在の社会に居心地の悪さを感じている人間であり、彼に感情移入して読み進み、最後に「広瀬の戻りたいは逃避でしかないが」というたった一言でばっさり切り捨てられても、不思議に嫌な感じはしない。爽快感さえ覚える。この痛快なまでの甘えを許さない厳しさが、小野不由美の小野不由美たるところだろう。 蛇足。表紙は変えた方がいいと私も思う。 | ||||
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会社の若い社員からすすめられた本でした。スティーブンキングを知らない社員だったので、「おいおい、大丈夫かよ」と思い、だまされるのを覚悟で読みました。 この本に出会うまで小野不由美を知らなかったのですが、読み出したら止まらず一気に最後まで読んでしまいました。作者の表現力の力量に感銘しつつ、スプラッターな描写のせいだけではない、「高里」の静かな恐怖に思わず背筋がゾクゾクしました。 最後まで読み終え、小野不由美を知らないこっちの方が「おいおい、大丈夫かよ」という感想を持ちました。反省しています。 読み出すと止まりません。「高里」のことが徐々に生徒たちから語られ、ちょっと変な子→恐怖の源とわかるストーリーにぐいぐい引き込まれます。 一方で、思春期に感じる「実は私の親は別にいるに違いない」「もしや別世界の人間では」という普遍的なテーマもあり、奥が深い作品です。 正直、ほかの作品もこの機会にぜひ読みたいと思いました。 まだ読んだことない方、小野不由美をまったく知らないという方にもおすすめの一冊です。 | ||||
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自分の居るべき場所はここではない気がする。 戻りたい―――どこに? ここではないあの場所だよ、戻らなきゃ―――どうやって? 進学などで自分の居場所が替わるたびにこう思います。 麒、ほどではないけど人間だって、この世界はいづらかったりもします。(陽子しかり、広瀬しかり、私も時々は。) ただ、胎果でない普通の人間は、ここにいるしかないのでしょうか。 最後のページを閉じるとともに、一抹の不安と淋しさを感じました。 そういう意味では、納得して清々しい気分で読み終えられた十二国記より、少し大人向きで考えさせられる一冊ですね。 私は十二国記を華胥の幽夢まで読んでから、魔性の子を読みました。 しかし、どちらから読むのか、という問題ではなく、人々の光だった小さな蒿里の愛しさと、闇を振りまく高校生 高里少年の遣り切れない想いは両方読むことで深く心に残るのではないでしょうか。 そしてそのあと、(これは十二国記のエピソードですが)大きくなった「蒿里」と李斎の慶国でのやりとりを読み直すことをぜひお薦めしたいと思います。 | ||||
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おすすめしている『十二国記』シリーズの、いわば番外編です。 実は、アタシはココから入りました。従兄弟のおにいちゃんの本棚にささっていて 「おもしろい?」と聞いたら「うん、おもしろいよ」との返答だったんです。 子供心に山田章博さんのイラストに惹かれたんだったと思う。 そう、第一版が1991年……もう一昔以上前の本ですね。 小学生の時分に読んだ気がしますもん。 十二国の世界観を知らないアタシが読んでも、十分におもしろかった。 おもしろいっていうか、怖かったですね。ホラーだし。 それっきり頭の片隅に「いつか買おうかな」と思いつつ忘れていました。 そして、それから5〜6年後。 別のツテで『十二国記シリーズ』がおもしろいから読んでみろ!と勧められて読んだときに 初めて「あっ!?」 ……泰麒って?あれっ?知ってる?と思い出し、改めて手に取りました。 そして今度は本当に購入したんでした。 アタシの友達が『月の影 影の海』から行ってみて「ちょっと難しかったなぁ〜」と 言っていた。ファンタジーだからな…。 だけど、こちらは現代の「いま」のお話し。 こっちから入ってみるのも、この世界観に上手く入る一つの方法かも!? | ||||
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小野不由美の十二国記シリーズを手に取ろうと思っている貴方には、まずこの1冊から読み始めることをお奨めする。 本作は同シリーズの外伝であり本編である。 シリーズの構想があった小野氏がまず執筆したのがこの作品であり、執筆順に読んで欲しいという理由以上に、十二国記を読む前と後では『魔性の子』という作品への印象が全く変わる、というのが最大の理由である。 実のところ、自分は十二国記本編よりもこの『魔性の子』の方が好きなのだ。 主人公広瀬と高里の周囲で次々と起きる怪異現象。 正体のわからないものへの畏怖・恐怖。 ――この場所は己の在るべき場所ではない。自分は特別な何か、なのだと思いたい人間のエゴ。 ホラーとしても、人のエゴイズムを徹底的に抉りこんだ作品としても一級品。この醍醐味を味わえないのは、ある意味多大なる損失。 十二国記を読んでしまった後では、唯のサイドストーリーになってしまう。 是非本書から十二国記に親しんで欲しい。 | ||||
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十二国記はファンタジー小説の中でもかなりの傑作だと思います。 本書はその十二国記シリーズの一部にあたる 小説で内容も非常に面白いものでした。 私自身は十二国記全てを読んでからこの本を読んだので、 登場人物が少しづつ明かされていき、 懐かしいキャラクタが登場していった感覚を持てたのですが 最初にこの本を読んだ方は私とは逆の感じを 十二国記シリーズに受けるのでしょうね。 この本も当然なのですがシリーズ全てを読む事を前提にお勧めします | ||||
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本書は他社の『十二国記シリーズ』の本編であり、番外編です。 刊行順としては、こちらの方が先なので、本書を執筆なさっていた時にはもう、十二国記の世界の構想をお持ちになっていたのではないかと思います。 現代人はみな、何かしら孤独を抱えている。自分には、帰るべき場所があるのではないか、と。それは教生である広瀬も同じ。しかし、子供の頃の体験により、その考えに執着していた。だからこそ、本当の異邦人・高里と同調しようとしたのではないか。そしてここでは、自分には帰るべき場所なんてないという現実を認めようとしない、人間のエゴが描かれている。 この作品は、単なるホラーなのではなく、人間の深い所の闇まで描いた作品なのだ。 また、物語後半になるにつれて、十二国記の世界での言葉が使われるようになり、十二国記を読んだことのない方には訳がわからなくなるかもしれません。その点を考えると、十二国記を先に読んだ方が良いのかもしれませんが、訳がわからないからこそ得られる不気味さを考えると、本書を先に読まれ、その謎解きを十二国記シリーズでするというのがよろしいかと思われます。 | ||||
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一言で言うなら。 魔性の子は十二国記シリーズの世界観を用いた怪談です。 十二国記といえば異世界を舞台としたファンタジー小説。 本編では現代社会の人間が『あちらの世界』に渡ったときに異端視される様子を見かけることがよくあります。 対してこの魔性の子は現代社会に『あちらの世界』特有の現象が表れたときの恐怖を題材としたホラーもの。 新潮文庫からでているため角川文庫やホワイトハート文庫の関連作品には紹介されていませんが、内容は世界観を共有した紛れもない泰麒伝。 まるで番外編のような書かれ方をしているため意外ではありますが、十二国記シリーズで一番最初に発表された作品でもあります。 読者に馴染み深い学校を舞台とするせいで妙な現実感があり『あちらの世界』を知っていてもゾクっとせずにはおれないこの作品。 最初に読んでも後に読んでも差し支えなく楽しめますが、ラストシーンなどは単品で見るとそっけない結末に感じるかもしれません。 共通の世界観でありながらジャンルをこえてさまざまな色を見せるこの作品。個人的にはオススメですし、私なんかが勧めなくても多くの人に不動の人気を得ているようです。 | ||||
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十二国記を読んでこの作品の存在を知った方が多いとは思うのですが、これからシリーズを読み始めるという方は、ぜひこの『魔性の子』からはいってください。 意味のわからないコトバがたくさん出てくるので一見難解ですが、そこがこの作品の醍醐味です。意味不明だからこそ、よりそら恐ろしくなる。本作ののちは、『月の影 影の海』から読み進めることをお薦めします。 十二国記を読破したあとこの『魔性の子』を薦める方が多くいらっしゃるのですが、やはり刊行順に読み進めるのがいちばん楽しめると思います。順序を変えて読んでしまうと、せっかくの『わけの分からないことが起きている薄気味悪さ』が味わえなくなってしまいますから。 小野先生もその薄気味悪さを読者に伝えたくて執筆なさっているのではないでしょうか? 十二国記を読破した後、もう一度本作を読み返してみてください。 ほんとに奥の深い作品です。 | ||||
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異端と感じる者と真に異端である者との一線をファンタジーで画した良作のホラーだと思います。人間の暗部をがっつり描写した暗い展開も幻想的なファクターが絡まってさくさく読めます。 突拍子もない設定や現実からの逃避を主題とせずに、それらを土台にしてあくまでリアルを描いてこその「ファンタジー小説」なのだと改めて思いました。おすすめです。 | ||||
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