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ジーン・ワルツ
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ジーン・ワルツの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.73pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全90件 61~80 4/5ページ
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著者の作品はどれも面白いので欠かさず読んでいますが、 この作品は2児の母の私には、号泣な作品でした。 (知的興味をくすぐられる場面や、んっ!それは…な部分もありましたが。) お産は安全と考えている妊婦さんに読んで貰いたい作品です。 私も経験するまでは、日本のお産は安全だと思っておりました。 (医療が進んでいるので、NICUなどで助かるだろうと。 医療従事者なので医療知識もあるからなど…。知識があっても現実は厳しいです。) 健康に赤ちゃんが産まれてくれるだけで、どれほど幸せな事か噛締められる作品です。 特に、ラストの出産シーンでは号泣しっぱなしだったので、旦那が心配するほどでした(笑) 私だったら耐えられないだろう事も、 登場人物たちが耐えて幸せに代えていこうとする力に(著者の読ませる力に) 読書後も世界観を引きずってしまいました。 しばらく、ここまで陶酔出来る(考えさせられる)作品に出会えなかったので、 読者になれて嬉しい作品です。 「ジーン・ワルツ」という、タイトルも成る程な!と、著者のセンスの良さを感じます。 | ||||
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ジーン(gene)は遺伝子。その奏でる旋律が、新しい生命を形作るー。 クールで優秀な不妊治療専門の産科医・曾根崎理恵が、閉院間近の産院で、最後の5人の妊婦を診察している。5人それぞれの妊娠出産経過に、理恵の思惑が絡み、ドラマを生み出していく。 日本の産科医療崩壊を招いた原因を鋭く分析・糾弾し、現状打開の方策を探る、鮮やかな社会問題提起の書でありながら、著者一流の娯楽性・謎解きの面白さは、いささかも損なわれていない。著者はどんどん腕を上げているような気がする。 わくわくしつつ、背筋が寒くなる本である。 | ||||
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不妊治療、その原理などが詳しく書かれていて興味深くは思った。 スピーディな展開で、読みやすいが、医療ミステリーとしての展開は、 他の海堂さんの作品に比べると、インパクトに欠けていた。 また、主人公の曽根崎理恵と宮川の話に終始し、 理恵と夫との関係や、久広先生の医療事故についての記述が 中途半端な気がした。もっと展開に広がりがあれば、よかったと思った。 | ||||
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現代の産婦人科医師不足の抱える問題を、医師と言う立場から描いた意欲作。 五体満足な子供が生まれてくることは、生物発生学の見地からすると奇跡にひとしいという、事実。「チームバチスタの奇跡」の一連のサスペンスとは全く異なる意図を持って書かれた書と思えた。 不妊治療を試み、代理出産をも手がける医師、曽根崎理恵。その信念に揺るぎはない。しかし、倫理的視点に立ったとき、その行為は認められるものなのか賛否は分かれることだろう。 作者はあくまでも客観的立場から問題を投げかけているが、それ以前にお産のトラブルによって、「医師」をも追われる産婦人科医の現状は考えなくてはならない。 人気作家の作品ゆえに、多くの人々の目に触れ、産婦人科医療を考えるきっかけになればと思わずにいられない。小説と言う形をとってはいるが、非常にメッセージ性の強い作品だった。 | ||||
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物語としてもおもしろいし、 問題提起している医療問題も素晴らしいのに、 あまりに専門的な医学的説明文や、 社説を読まされているかのごとき、 医療問題批評文が多すぎて、 物語の小説としてすっと読みにくい箇所が多いのが、 非常に残念。 海堂作品の中では正直おもしろさ的には、 各落ちした巻。 ハードカバーで買うにはややもったいない気がしました。 物語がおもしろいだけに残念です。 | ||||
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現代医療、特に地方における産婦人科医療の崩壊と政治による誘導ミスの関係を素人にもわかりやすく解説し、「火急的速やかな」方向転換を世に問う、社会派医療小説と思いました。また主人公の再出発、未熟な妊産婦の成長など楽しく読ませてもらいました。 ただ残念なのは、最終章で明かされる、赤ちゃんたちの驚くべき真実。 この辺りは、ミステリーとして読むべきなのでしょうが、一個人の人格にかかわる根本的な干渉/操作は、たとえ周産期医療改善の大儀名文のもとであろうと決して許されることではないはずなのに、何故か、策謀のひとつとしてさらりと片付けられ、敵(エネミー)はあっさりシャッポを脱いでしまっている。 いつの日か文庫版での加筆の際には、この辺りに厚みを持たせリアリティを引寄せていただきたいと期待し、星2つマイナスさせてもらいました。 | ||||
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生命操作・・・。それはまさに神の領域と言わざるを得ない。その領域を、 ヒトは侵す権利があるのだろうか?確かに、不妊に悩む人たちに救いの 手をさしのべることにはなるのだが。だが、自然の摂理を破壊するという 危険性も充分秘めている。モラルを逸脱すれば、見ず知らずの他人の 卵子と精子を受精させ、代理母に出産させることもできるのだ。医学の 発達がはたしていいことなのか悪いことなのか、この作品を読んでいると 判断がつかなくなってくる。せめて悪用されないことを願いたい。そして 世の中の医師たちには、ヒトとしての道を踏み外さない医療を切に望み たい。いろいろな問題を含んだ作品だった。 | ||||
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チームバチスタの栄光の海道尊が書く産科を題材とするミステリー 医学の進歩により、代理母や人工授精などの技術が進歩しているのに 対し、法整備など国の受け入れ態勢が整っていない間隙を突いている作品。 チームバチスタが”いつ死んだか”を扱った作品とすると ジーンワルツは”いつ生まれたか”を扱った作品でとても共通性がある。 主な登場人物は、女医で人工授精のエキスパート曽根崎理恵、 先輩医師に当たる清川医師そして、4人の妊婦と5つの受精卵 たちの物語である。海道シリーズでは、他の本の多くのメンバーが 関係して登場するものの、この本では、桜宮ぐらいしか重複しない もともとは小説新潮に半年にわたって連載されたものですが、 連載ものにありがちな、話が飛ぶ感じがほとんどなく、 チームバチスタのように一気に読んでしまう勢いのある本です。 ちょっとだけ残念なのが2点あります。 ひとつは、医師と妊婦だけという少ない 登場人物のせいか、話が少し狭くなっている感じがします。 二つめは現実の産婦人科医の逮捕などをモチーフにしている せいもあり、この隙間を知っている人は結末が予想できる 範囲に留まっている点です。 難しい現実に、明るく取り組もうとする2人の医師の姿は 同感できますし、それぞれの登場人物のキャラが立っていて ぐいぐい物語に引き込まれるのはチームバチスタ同様秀逸です。 唯一キャラが不鮮明な55歳の妊婦、山吹みどりも最後で なぜ不鮮明かの謎解きがあり、とても面白い本になっています。 現実の妊娠に関わる社会システムの回答としては問題があるとは 思いますが、問題をうまくとらえ、小説に仕上げている 技量は素晴らしいですし、評価されるべきだと思います。 小難しいことは考えずに一気に読んでしまえるこの本は ぜひこれも文庫本化して欲しいなと思いました。 | ||||
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2008年3月20日リリース。初出は『小説新潮』で2007年6月号〜12月号。海堂氏はいつも小説というメスで日本医療の患部はどこか、を白日の下に曝す。この作品では産婦人科医がなぜ激減したかだけでなく、明治時代のまま変わらない法律の矛盾や、アンケートばかりとっている厚生労働省の逼迫した現実への無反応・無為無策さ、名ばかりの少子化対策といったあらゆるものの問題点を全て提示している。 この作品でも惚れ惚れするような医者が登場してくる。この作品の主人公理恵の言葉は正に産婦人科の現場の言葉であり、現代の女性の言葉だ。そしてこの作品だけは主人公が女性である必要があったようだ。ラストに向かうほど『子供を産む』ということを、いろいろな立場の女性が考え、決断していく姿にかつてない感動を覚えた。 この作品は現時点で海堂氏の最高傑作だと思う。この作品を霞ヶ関の役人どもは読んで参考にするだろうか。『白鳥』のような役人がいて、霞ヶ関が根本的に変わらなければ日本なんてすぐ崩壊だな、と読了して思った。 | ||||
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発生学と不妊治療という医療問題とその対応に真っ向から挑んだ話。不妊に悩む女性、苦労して妊娠したのに生まれてくる子供が奇形となる可能性、精子と卵子が混ざり合って新たな命が誕生するという奇跡、生殖とセックスという行為の分離など、医療の現実と真実、そして理想が丁寧に表現されていて非常に読みやすかった。出産の場面についても緊張感があっておもしろかった。 | ||||
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最近産婦人科医療に関して、問題視はされてはいましたが、現場を知らない市民としてどこに視点をおいて解決していくべきかに対する現場のメッセージを受け取ることが出来、大変感慨深い作品でした。 また、同時に断片的でありながら、お茶の間に伝わるニュースと繋ぎより発展した意識をもつことができるように思います。 作品の内容も医療の現状と共に、生命誕生に際する母性と意欲が大きくうかびあがり感銘を受けました。 また、個人的には『デジタルでバーチャルな世界では、複製はオリジナルに極めて忠実だ。だが生物世界では違う。そこには必ずノイズが混じる。再現性という観点から見れば、ノイズは情報伝達の劣化にすぎないが、生物にとってはノイズの発現とは多様性の達成のための必須なステップだ。オリジナルに忠実なコピーしか生めない世界は衰退し、やがて消滅する。』といった単純な真理に関する記述で、論理に埋め尽くされて膨張したいまの社会に対する不安がおおきくよぎりました。 次回作も期待しております。 | ||||
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彼女の持つ信念、そして行動、それはエゴなのだろうか?今の私には判断できない。筆者の意志はどこに向けられているのだろう?それでもこの物語は素晴らしい。私の頭の中は混乱している。でも、こんな小説があってもいいと思う。私の中に何か大事なモノが残った。それは、考え続ける事の大事さ。行動することをおそれない彼女とは異なるが、読む前には無かった何かがある。これからも考え続けるが、答えは得られないだろう、しかし、世界は不完全、答えなど無いものが大部分なのだろう。矛盾を抱えながら人は生きて行く。それでもいいと思う。必要なのは考えることを放棄しない事、生きる事を諦めない事。私にとって大事な小説になりました。それからシリーズ作品とのリンク、これは無視してもいいんじゃないか?と思います(特にラプソディはもう要らないです)。素直にこの物語を感じてみてください。正解などないのですから。皆さんのスタンスで受け止めて下さい。 | ||||
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今度の主役は産婦人科の女医です. テーマは「不妊治療」,「代理母出産」.この女医さんはこの2つにとても積極的です.患者さんのためにという気持ちは分かりますが,そこに自分の都合を持ち込むのは許されないと思います.こんなこと,あり得ないし,あったら大問題です.大学病院の医局の内部事情や医学生の講義の様子などが丁寧に描かれている割には,それぞれの妊婦さんたちの話があまり詳しくなかったのも残念です.ちなみに本書では,田口先生も白鳥さんも登場しません.やっぱり,この2人が登場しないと寂しいです. 同じテーマなら,帚木蓬生「エンブリオ」,山田宗樹「天使の代理人」の方が内容も濃いし,おすすめです. | ||||
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海堂氏の作品を知ったのは、ご存じ「チーム・バチスタの栄光」。最初、ミステリーとして読んだわけであるが、彼の作品はミステリーではない。ミステリーと言えば、やはり東野圭吾ということになるだろう。 彼の作品の面白さは、謎解きというよりは小説という道具を借りた医療業界への問題提起である。「ジェネラルルージュの凱旋」では日本の救急救命医療への問題提起をしたが、今回は、産婦人科医療についてである。彼の作品をミステリーとして読むと面白くないかもしれないが、エンターテイメント性は十分にある(それは別に笑えるということでなくinterestingということである)。 本作は白鳥シリーズではないが、医療小説としては、ぴか一の面白さであろう。重たい内容ではあるが、読んでいくうちにぐいぐい引き込まれていく見事なストーリー展開、たたみかけるようなセリフ。主人公の大胆不敵ぶりには、爽快感すら覚える。ぜひとも、これを厚生労働省の役人に読んでもらいたいものである。一読の価値は十分にある。海堂氏には引き続き、この路線で小説を書き続けてもらいたい。 | ||||
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「ブラックペアン1988」を読んだ後に読んだので、残念ながらがっかりしました。 産婦人科医療について書かれており、非常にタイムリーではあるのですが、作家さんご本人の理想論・言いたいことが先行しすぎており、消化不足な感じは否めません。 せっかく良い内容・おもしろい登場人物たちなのだから、もっと面白く書けただろうな〜と思ってしまいます。 特に、主人公の女性が「クール・ウィッチ」とは全く思えませんでした。 ストーリーの終わり方が悪くないのが救いです。 | ||||
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現代の日本の医療。特に産科崩壊について概観したい読者にはお勧めできます。 無能で無責任な官僚による、日本の医療崩壊、その最前線にある産科医療・・不妊治療、サロゲートマザー、赤ちゃんポスト等々社会的センセーショナルな問題に対する筆者の思いは十分伝わります。が、総花的に問題をちりばめすぎた結果か、最終章近くなってからの展開はあまりにご都合主義的で、粗っぽい印象があります。 同じ「産科崩壊もの」としては、昭和大学の産婦人科現役教授(岡井 崇先生)の書かれた「ノー・フォールト:早川書房」のほうが数段リアリティがあります。 よって少し辛い評点になりました。 | ||||
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出産までの時間を、胎内の変化に沿って、産婦人科を舞台に描いた。 現代医療の問題点を描ききれず、 魅力的な曽根崎理恵を主人公に置き軽めにしたいのか、重くしたいのか、 全体を中途半端に仕上げてしまった。 言い換えれば、赤裸々に暴露することの社会への影響力は半端じゃないから、 ここまででしか描けなかったのかもしれない。 | ||||
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あの「チームバチスタの栄光」の海堂さんの作品である。さすが現役の勤務医であり、描写にすごくリアリティがあるのがこの人の作品の魅力なのだろう。今回の作品を通じ、一貫して行政と大学(医局)による我が国の医療と少子化対策の過ちを暗に糾弾している。もちろん小説自体はフィクションで、産婦人科医療に問題意識を抱えたある若きエリート女医兼大学教員が、行政や医局の直接間接の妨害に遭いながらも自分の信念に基づいて理想の産婦人科医療を追求していくというストーリーなのだが、このストーリーの面白さはもちろんのこと、時々新聞などで話題となる医療問題、少子化問題の根底にある病巣について初めて理解することができ、自分としてはすごく勉強になった。チームバチスタよりはだいぶシリアス度が上がっている本格医療小説である。 | ||||
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チームバチスタの大学病院や、これまでのキャラクターは出てくる事もなく(主人公の出身大学として東城大が出てくるくらい)、独立したお話です。 現実にもあった、産科医師の逮捕、そしてそれによって引き起こされた各地の産科の縮小や、赤ちゃんポストそして代理母や顕微授精等、出産にまつわる最近のトピックに触れながら、医療行政の失敗に対しての筆者の怒りが伝わってきます。 『チームバチスタの栄光』が、筆者の死亡時医学検索のアピールを小説という形を用いて行われたのに対して、同様の形で、医療行政の失敗や産科の現状についてのアピールが読み取れました。『チームバチスタの栄光』はまず小説としての面白さがあったのですが、今作はどうしても『チームバチスタの栄光』の本意を筆者のインタビュー記事等を通して知ってしまうと、同じ構造が見て取れて、情報を詰め込もうとしているところや、どこか説教臭さを僕は感じてしまいました。 エンターテイメントとしては星はそんなに高くなく、筆者の怒りのエッセイとして捉えた時には星5つだと思います。 | ||||
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地方における医療崩壊はすでに深刻な問題となっている。特に産婦人科については、医師不足を理由に出産はおろか外来診療まで取り止めざるを得なくなってしまった病院も少なくない。「産みたくても安心して産める環境にない」そんな現状に正面から取り組まずに、声高に「少子化対策」を謳う政府の姿勢はちゃんちゃらおかしいではないか。 そういった現実を踏まえた上で、あくまでも論理的にかつ現場的に、理想に向かって突っ走る「クール・ウィッチ」曽根崎医師の行動力はとても痛快だ。もちろん、現実には医師法や生命への倫理観もあり、ここまで確信犯的に厚労省にあるいは現行制度に楯突く気概がある医師は皆無に近いだろうが、現実には出来ないことを用意周到に、しかも自らの肉体も使って実行してしまうヒロインに「ありえね〜」とツッコミながら、思わず拍手してしまった医師も多いのでは? やはり女性は強い!表面的にはクールだが、曽根崎医師にはまさに熱血教師「ヤンクミ」と同じ血が通っている、とふと思った。清川准教授が大学を辞めるのも時間の問題だろうな〜。 そして現役医師である海堂さん、あなたも立派な確信犯です。今回も傑作でした。 | ||||
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