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紙の月
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紙の月の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全102件 41~60 3/6ページ
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読みやすい文章で、あっという間に読み終えてしまいました。面白かったです。 「主人公が銀行のお金を横領する話」という触れ込みで読み始めましたが、なかなかそういう展開にならない。そんなことをしそうな気配すらない。 どうして1億円も横領をしてしまったのか?一体なにに使ったのか? その経緯を知りたくて読み進めました。 平林光太との関係は読んでいて楽しかったです。 男性の方が本作を、「面白くない」と評されているのが、なんとなくわかります。 私はきっと、梅沢梨花同様、平林光太との日々を楽しんでいました。 違和感を覚えるようになった夫のいない間に、若い男性と豪遊する日々。 むしろ、それだけだったような気がします。 ただ好きで、ただ会いたいだけだった――― 背表紙にはそのように書かれていますが、果たしてそうだろうか? 梨花は洸太のことが好きだったのだろうか? よくわからないなと思いました。 また、洸太は梨花を騙していたと思いますか? 私は、大学を中退したのも、本当に梨花が忘れているだけなのかな?と読みましたが、みなさんがどう読まれたのか気になりました。 | ||||
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宮沢リエの映画版をみて、原作を読んでみたくてよんだ。 しかしこれは実話の小説化だとわかったので、その実話に興味をもった。 実際は、この主人公の梨花は、向こうで捕まって、光太と思しき男性も共犯で逮捕されたという。 全く罪の意識もなく、たんたんと横領して、贅沢三昧をする根底には、借りているだけで返せば良いんだという実に身勝手な心理がはたらいている。 前に木嶋とかいう女性が、男を騙して金を巻き上げ、殺害した事件があったが、男に貢いで犯罪をした 主人公と同じ心理かと思う。 映画版の方が、面白かった。 犯行が発覚して、捕まるまでのプロセスを描いてほしかった。 | ||||
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自分を保つ尺度が持てないことの怖さを感じました。 これでいい、大丈夫と思えるもののない登場人物たちが、形を変えてみんなお金に振り回されている。 それを静かにすくい取る角田光代さん…さすがです。 追記:「紙の月」は「Paper Moon」=「満月」の意と今ごろ気付きました。 今だけが一番でやがて欠けてゆくとわかっている梨花の気持ちを表す、意味深いタイトルだったのですね。 | ||||
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普通の主婦が、なんとなく感じる「これじゃない感」を頼りに、働き始めたり、している間に若い愛人ができて、何でもできるような気になって、気がついたら勤め先の銀行の金を横領して戻れないところまで行ってしまう話。 それだけ読むと「バカじゃねえの」と思いがちだが、そこに至るまでの心理描写が上手く、そうなっちゃった主人公に共感こそしないが、最後は罪を償って欲しいと思うものの、もう少し逃げちゃえという感情も湧いてきて、魅力的な主人公だった。 | ||||
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角田さんの力量に敬意を表します。実際に経験されていない方が 想像で書くにはあまりにもリアルで、魂を揺さぶられる数少ない 傑作と思います。けして愛に溺れた浅はかな女のお話ではありません。 存在の不確かさが全ての根源をぐらつかせ、人は何処にでも流れていける。 そこに真実などないのです。 | ||||
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心の隙間は誰にでもできてしまうものです。それが、社会的に犯罪につながってしまった梨花ですが、光太に合うように若々しく綺麗にいようとしたり、好きであるために喜ばせたい、そんな感情はよくわかります。しかし、そればかりの想いに走ってしまい、光太はそんな暮らしに慣れてしまい、別に好きな女性ができてしまう。なんともやるせない思いがこみ上げます。光太は、梨花さんに何も欲しいとか買ってなんて言ってないよ、と言います。その通り何も欲しがっていなかった。間違った愛し方をしてしまい、自分を取り返しがつかない方向に持って行ってしまった梨花。お金は、人生を人を変えてしまいます。本当に魔物です。フラれても光太を責めない、愛していると思っているような梨花に見えます。光太も梨花にとても悪いと思っている。人は欲望に走ったとき、どこまで抑制できるのか。いえ、抑制しなければなりません。 | ||||
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とてもよかった。何度も何度も読み返しました。 「光太に全く魅力がない、どうして主人公が魅かれるのかわからない」という意見がありますが、 そんなことは全然ない。 おそらくそういうことを書く人は、光太が若い恋人を作っているようなところに軽薄さを感じ、嫌なのかもしれないが だったら、光太がどういう子ならいいというのか? 純愛小説でもあるまいし、この小説の内容が成り立つには、主人公がのめり込んでいく若い男が、光太のような子だからこそいいのだ。 充分に、軽薄さもずるさも、流されていく弱さも持ち合わせる、その辺にいる普通の若い男の子。だからこそリアル感がある。 光太が初めは主人公に律儀に「ごちそうさま。すみません」と言っていたのに だんだんと主人公に勘定を払わせることが自然になっていく。 恋の始まりは逆だったのに、だんだんと男の気持ちが女から離れていく経緯。 そして「(主人公のもとから)出て行きたい」と光太が泣いた夜。 この二人の関係性の流れが切なくて、ものすごく魅かれました。 もちろん私には犯罪を犯すという、主人公の気持ちに全面的に共感はできないし、わからないところもある。 しかし小説としては充分に楽しめます。 脇役の男の妻には本気でむかついたし。 できればこの後の話も続編で読みたいくらいです。 余談ですが...テレビドラマの光太はイメ-ジが違いましたね。あの俳優さんではそれこそ魅力がない。 久しぶりに面白い小説に出会えました | ||||
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この年の中年女にはありえる、この心の描写。年を取ることは 自分では気づいていなくても おいてきぼりになっているような焦り。夫との行き違いに、子供ができない状況など、どれもあまりにも現実的で怖いくらいです。でも、ここまで犯罪に手を染めるのかというと それは やはり物語であって、ここまで実際にのめりこむことはないんではないか とおもったけど、実際に 事件は何件かあるんですね、似たような横領事件って。自分もこのように夫とすれ違ったり、子供ができなかったら、若い男にのめりこんじゃうのかな、と そうなったら、怖いな、とか いろいろ考えました。一番怖かったのは、こんだけ貢いだのに、若い男には若い彼女がいて、中年女のコントロールから逃げ出したかったという、、あまりにも冷たい現実が待っていた。そうか、彼女のしていたのは コントロール。盲目の愛とは 相手をコントロールすることなのか。若い男が純粋に中年女を好きになるなんて やっぱ ありえないんだなぁ、犯行に手を染めた中年女がかわいそうで、かわいそうでたまりません。 | ||||
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新聞連載の小説はだらだらと長くて苦手です。角田さんの『空の拳』も途中で放り投げました。でも、この本は一気に読んでしまいました。『八日目の蝉』もそうでしたけど、犯罪をした女性の心情を丁寧に描いています。母性に比べて、浪費が目的の犯罪を小説化する力には圧倒されました。平凡な若い男にはまって感覚が麻痺していく描写のうまさ。 角田さんはどこまでうまくなるのでしょうか。 | ||||
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主婦の金銭に対する心理に迫っています。 主婦には、夫に完全に依存することを極めるタイプと、経済的自立に対する渇望を本源的に捨てきれないタイプがあり、後者が夫の発言の端々に何を感じているのかが描かれています。その描写も、最初は説明ができない違和感という形で女性の頭に浮かぶように描かれています。すごくリアルな感じがします。 | ||||
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さすが角田先生!映画を観る前に原作を読んでから!そう思って取り寄せました。ドキドキしながらページをめくり、あっという間に読み終えました。次は映画をDVD借りてきてみようと思ってます。 | ||||
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どこにでも居るような普通の女性が堕ちていく姿をリアルに描いた非常に怖い小説。 二十五歳で結婚し、専業主婦となった梅澤梨花が銀行でパートとして働き始める。真面目な働きぶりが認められ、契約社員になった梨花は顧客の預金を着服し、そこから抜け出せない泥沼にはまっていく… 悪女として描かれる梅澤梨花だが、彼女の知人や友人も一歩間違えば、彼女と同じ悪の道へと堕ちていきそうな危うい状況にあり、それがこの小説のリアルさにつながっているようだ。 そんな儚さと危うさが、『紙の月』というタイトルに象徴されている。 | ||||
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映画を観に行けなかったので、良かったです。ぐっと入り込みました | ||||
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以前、職場の先輩に勧められて読んだ角田先生の『八日目の蝉』の重苦しい雰囲気が良かったので、昨年映画館に足を運びました。 ですがなんだか予想外に感情移入できなくて結局文庫を読むことに。やっぱりぜんぜん違いました。繊細な気持ちの動きや風景の描写から受ける世界観は小説の中でこそ活きるように思いました。 誰にも、旦那さんにさえ必要とされないと感じる寂しい主婦が、ふとしたことから一億を横領をして愛人に貢ぐ。 結婚に夢を抱いている者からすればひどく衝撃的な展開でしょう。 重罪を犯した主人公の梨花ですが、横領された側の老人からも罪を知ってなお慕われるような優しい人で、その彼女がどうしてこんなことになったのかを考えました。 ちょっとした気持ちの弱さとか、ほんの少しの隙だとか、ふとした歯車がわずかに狂っただけで、こんなことになるんだなと思うと怖くもあり、誰かに必要とされたいとささいに願う精神的にもろい面のある梨花に共感してしまう面も多々ありました。 なによりも、普通の主婦が転落していく様を間近でかいま見たようで少し怖いです。 読む前は、私のようなまだ人生の未熟者である年齢の者が読んでも理解できないかもしれないかなと思っていましたが、年相応に考えさせられることが多かったので、若い人にも読んでもらいたい作品だと思います。 なんだか普通の毎日を送れることを喜び、いろんなことに感謝しつつがんばろうと思いました。 | ||||
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雪が解け始めたよ。解けたら、何になるのかなぁ。 雪が解けたら 春になるのだよねぇ。 | ||||
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本書に興味を持ったのは新聞広告で 「わかば銀行から契約社員梅沢梨花が1億円を横領した 正義感の強い彼女がなぜ?」なる惹き句を見てからだ。 私が思い出したのは昭和56年(1981年)に実際にあった、三和銀行の伊藤素子(32)の1億3千万搾取の事件だ。 この事件は当時新聞テレビで大々的に報道されたが、犯人の伊藤素子が美人であった上に、現金5000万円、小切手8000万円の合計1億3000万円を引き出したて都内で全て愛人に渡し、引き出し損なった1冊の通帳と、現金500万円を持ち、そのまま羽田空港よりマニラへ逃亡したものであある。 著者の角田光代さんには、自らも旅行好きらしく、NHKの山岳紀行番組でイタリアの岩山トレッキングに挑戦しているのを見て以来関心を持っていたが、その著書を読んだのは今回が初めでである。 学生時代から美人ではあったが、自らを美人と認識したこともなく、正義感が強い梅沢梨花が結婚してから送っていた平凡な新婚生活。 しかし夫婦の間には子供が出来ず、将来子供を持ちたいとの意見では一致していたので、ある晩梨花は自分の排卵日を夫に告げ性交渉に誘う。しかし、この即物的な言動が夫の気持ちを急激に萎えさせ、それ以来夫は梨花の体に触れようとしなくなった。 この辺りの描写は男性の心や体のデリケートな感じ方を著者は熟知しているのではないかと思わせるリアリティがある。 子供が出来ないことからパートとして銀行に働きに出た彼女は、ある日自らの買い物のために顧客から預かった5万円に手を付ける。 その後、重要得意先の老人の孫、若い光太と出会った彼女はふとしたことから彼と肉体関係を持ち、それからは坂道を転げ落ちるように横領を重ねて行く。 この辺りか物語のリアリティはちょっと怪しくなってくるが、実際には美人女子行員の巨額横領事件と言うのは三和銀行事件のほかにも何件か報道されてるので、実際の横領とはこんな風に行われたのかもしれないと思えてくる。 銀行の社内調査の結果横領がばれると観念した彼女はマニラならぬタイのバンコクからチェンマイに逃亡するが、結末は皆まで書かず読者の想像力に任されている。 本書の沢山のレビューの中には、物語や登場人物にリアリティがないとして酷評しているものもあるが、そんなことはない。 期待にたがわぬ第一級のエンタテインメントで読み出したらやめられる一気に読了してしまった。 私は、横領に手を染めてからのリアリティは別として、そこまで気持ちを追い込まれた主人公梅沢梨花の気持ちや、梨花の言葉には傷つく癖に夫婦関係を円満に継続しようと言う努力のない夫の鈍感さは丹念に書きこまれていると思う。 久々に小説の面白さを味あわせてくれた一冊で、角田光代の著作をもっと読んでみたい気持ちになった。 | ||||
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主人公が横領に至るまでの過程が非常に興味深い。 すなわち、幼少時代の環境や旦那との関係、友達との付き合い方、若い男性との出会い等全てが横領をせざるを得ないような仕立てになっているような気がした。 横領を始めると、初めは何とかなると自分に言い聞かせ、そのうち、どうにでもなれという、(自分のしていることを)早くみつけてくれ、という心理的な変化の描き方もリアルで巧い。 終盤では発覚後のストーリーが無いのが唯一残念ではあるものの、映画化され話題の作品だけに、全体的に期待を裏切らない面白さがあった。 個人的には、横領に手を染める大きな要因は、夫とのコミュニケーションが希薄であることだったと思う。 既婚者である私自身もこの作品を読んで、自分の願望を相手(妻)に巧く伝えることや妻を思いやる言動を大事にしていきたいと思った次第。 今年読んだ多くの作品の中で、上位に位置する出来栄えであったと思う。 | ||||
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落ちるときは坂道を転がるように一気に落ちていく。 平凡な人生、毎日が同じ事の繰り返し…だったはずなのに、どうしてこうなったのだろうか。 一つの嘘を隠すために嘘を重ねる主人公の落ちていく様が、読んでいて息苦しささえ覚えました。 主人公だけではない、もしかして自分の人生にもあり得るのかもしれない。 | ||||
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読み終えてまず感じたことは、自分もそして誰でも梅澤梨花になる可能性があり得るのだということ。 このことは、本作を読み終えた人全員が感じなければいけないことだと思う。 どんな人間にも「悪」という感情はある。 この小説を、違う世界の話だと、フィクションではない。 もしかしたら、自分のすぐ近くで、もしかしたら自分がしでかしてしまう可能性があるということを忘れてはいけない。 大切なテーマを扱った作品なので、より多くの人に読んでもらいたい。 | ||||
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初めて筆者の作品を読みました。 冒頭から物語に引き込まれて読み進める手が止まりませんでした。銀行で働く平凡な主婦が一億円を横領した。 その主婦を知る人達は考える。彼女は何故そんなことをしたのか、そして、一億円を得た彼女が何を得て、何を失ったのか。主婦自身も考える、私は一体どういう人間なのか。 幸福感という実態の無いものを人は追い求めて、時には自滅してしまう。お金は人生を狂わせる。そうではなく、お金を扱う人間の価値観が問題だということを、物語を読んでいてひしひしと感じました。 紙切れ一枚のお金に人生を振り回され、決して掴むことのできない幸せを追い求めて自滅する。人は幸せを掴めると思い込んでいるだけで、幸福感というのは夜空に浮かぶ月のように目に見えても決して掴めるものじゃない。 貴方の幸せ指数は大丈夫ですか? | ||||
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