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ラブレス
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ラブレスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.49pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全92件 41~60 3/5ページ
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卯一・ハギ夫婦が,百合江と3人の弟たちが住む標茶の開拓村の家では,電気もなく,風呂には1週間に1回しか入らないという生活だった。卯一は酔って暴力を振るい,ハギは文盲で暗い顔をしている。そこに,夕張の良家に預けられていた里実が戻ってきた。里実は,開拓村の臭い生活を露骨に嫌い,誰とも馴染むことはなかった。 やがて,百合江は旅芸人の一座に弟子入りして全国をどさ回りし,理恵を生む。里実は,裕福な理髪店の嫁になり,小夜子を育てる。 百合江の「波乱万丈の人生」が中心ストーリーになっているが,その背景には,ハギ・百合江・理恵という女3代の「開拓者一族の生き様」が描かれていて,最後まで読む手を止めることができなかった。百合江と理恵,里実と小夜子の2組の「母娘」がなぜ不仲なのか,「セルロイドの着せ替え人形」で遊んでいた少女はどうなったのか,百合江と関わった男たちがその後どうなったのか,そういう諸々の事実が,少しずつ明らかになっていくラストシーンには,ボロボロと泣かされてしまった。 ≪理恵には開拓者の血が流れている。小夜子にはないものだ。その血は祖母から百合江へと受け継がれ,生まれた場所で骨になることにさほどの執着心を持たない。それでいて今いる場所を否定も肯定もしない。どこへ向かうのも,風のなすままだ。理恵が祖母と心を通わせることができたのも,開拓者の気質を受け継いでいるせいなのだろう。からりと明るく次の場所へ向かい,あっさりと昨日を捨てることができる。捨てた昨日を,決して惜しんだりはしない。≫(272頁) | ||||
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個人的に「硝子の葦」よりもよみごたえのある一冊でした。桜木さんの小説にありがちな、身もふたもない不幸な女性が主人公。 しかし、そんな中で、要所要所に自分の力になってくれる人たちに恵まれて、力強く生き人生を全うした百合江に勇気をもらいました。 里実やハギや綾子、理恵など、彼女を取り巻く周りの人たちの様々な人生を同時に垣間見ることもでき、とても凝縮された中身の濃い一冊だったと思います。 北海道の開拓小屋、というのが、遠く離れた私には全く想像のできない世界でしたが、私の母の若い頃は、こういった生活をしている人たちが実際にいたのだなぁと興味を持って読みました。決して幸せとは言えない百合江の人生でしたが、本人は自分を不幸だと思っていない。何があっても、強く前だけを向いて生きて行く。要は気持ちの持ち方で、こういう生き方もあるんだと思いました。最期を好きだった人に看取ってもらえる・・・それだけでも、とても素敵なことですよね。 | ||||
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関西だったらど根性の浪花節。北海道だったらなんと言うのだろう。描かれるのは、ちあきなおみの劇場や寅さんで描かれるような懐かしい昭和の旅芸人の世界。天童荒太のような後半に加速度的に生と死が反比例する感じとは違って、細く長く確実に最後の時を迎える。ああ、最後に駆けつけたのはユッコちゃんと耳元で優しく囁く宗太郎でよかった。二人は長い時を経て再び結ばれた。幼い時の綾子は美空ひばり、都はるみ、藤圭子、、、はたまた、エディット・ピアフか。歌うために生まれてきた女。登場人物はみんな正直で嘘がない。北海道の自然の厳しさと人々の息遣い。決して貧困ではない。時代に合わせてしたたかに生き抜く女の一生がここにはあった。有吉佐和子とか、山崎豊子の女の一代記とは一味違う。現代を生きる今が旬の作家らしい心地よい疾走感のある小説だった。 | ||||
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奔放な生き方をした姉、堅実な生き方をした妹。しかし、どちらも様々な問題にぶち当たり、60年以上生きていました。北の大地に生きる女たちが互いに支え合ったり、傷つけあったりしながらも生きている逞しさに涙が溢れました。その逞しさは、根性やポジティブ・シンキングといった嫌味なものではなく、「現実を受け入れる」という、とてもあっさりとしたやり方。現実社会でも、困難にぶつかった時多くの人がこうして生きてるのではないか?というリアリティがあります。 主観的にみて「間違っているのではないか?」という選択肢や、人としての醜い行動や感情が赤裸々に描かれてる割に後味が悪くないのは、作中の人物がそう考える、あるいは行動する理由を「その人にとっては出来る限りの思考・行動だった。そうした人の心が愛おしい」と理解する、優しさが示されているからだと思います。 | ||||
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過去と現在を移動しながら、人間関係が複雑に交錯し、上手に伏線が仕込まれる、というような感じで、途中から先が気になってぐいぐい引き込まれてしまいました。 よく練られた構成、とでも言えば良いのでしょうか。 昭和一桁生まれの私自身の母や、私が小さいときに離婚していなくなった同じく昭和一桁の父も、田舎で生まれていろいろあったようで、そんなことを想うと泣けてしまって・・・ ネタバレになるので詳しく書けませんが、百合江さんが何を想って位牌を握りしめていたのか、そんなことを読後にいろいろ考えてしまい、こんなに後まで引っ張られる本は久しぶりでした。 良書です。 | ||||
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波乱万丈な人生の中で、彼女はただただ幸せを求めた。 彼女の生き方はとても潔くてかっこいい。 自分の幸せは自分で掴む。 誰もが色んな選択肢を持っていて、それを選ぶのは自分次第なんだなって思いました。 ラストはとても美しかったです。 | ||||
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ただただ先が気になり一気に読んでしまいました。人は過去を自分の都合のいいように解釈するという事がとても印象的でした。人の本心や様々な側面、歩んできた人生など、分からない事だらけだなと改めて感じた作品です。 | ||||
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こういう女の人生もあるのかなと思って読んだ 途中はストレスが溜まったが 続きが気になって最後まで読んでやっと救われた 生活に困らない幸せな暮らしが出来そうな男は愛せなくて 子どもを産んだばかりの女を捨ててしまう男を愛し続ける 妥協点がナゾ | ||||
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少々飾らなさすぎだろうと思われる「生」のエネルギーは、 案外最近の小説には見られないいい意味での泥臭さと思いました。 ただ60歳、70歳の親類の女性に貸したところ、 「昔の田舎の女性って、みんなこうだったよね」 とあっさりと。 今は失われたエネルギーへの回顧的作品なのかも。 | ||||
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読んでいくと次に進みたくなり、一気に読み切りました。読み終わったところで、やっと深く感じ入りました。 | ||||
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石川県もそれなりに雪が降るけど、北海道のそれとはやはり違う。北海道に住んだ経験があるので、舞台のイメージがすんなりと湧いた。 | ||||
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どんなに、どんなに貧しくても、やさしいお母さんと、守ってくれるお父さんがいてくれれば、… 貧乏の上に、家庭がギスギスしていれば、最悪。最初からボタンを掛け違えて育った、姉と妹。築き崩し、それでも 人の温みを、求めて流転する姉 ゆりえ。しっかりと足元を見据え、我慢と忍耐で今をしっかり生きる妹 さとみ 登場する人たちみんな その時代を、一生必死で、寒い大地で生きていました。記憶に残るね。 | ||||
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ここ数年浅田次郎や松本清張の短編小説を読むことが多かったが、今回直木賞受賞女流小説家を読んでみた。位牌を抱いたままの主人公が登場する冒頭から既に波乱含みの展開、その女性の幼少期や就職に至る過程を経てザ・ピーナッツが登場したりの場面がユニーク。度々登場するスパゲティのお店は現在も大繁盛だという。中盤の波乱の人生場面は久しぶりに一気に読み進むほどの迫力で涙することもしばしばだった。こういう小説がベースにあり直木賞に至るのがなるほどと思った。 最後の解説者によると極貧の生活が暗いという読み手の印象は書いた本人は全く想像していなかったという。自分の周辺に起こることはあらゆることが小説の題材になるという信念・強さがこの作家にあるという。また主人公の母親のように一昔前の昭和時代の日本は文字の読み書きも十分でない人がいることも当たり前だったと思うと教育の有り難さを感じる。 | ||||
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迅速・丁寧な対応に感謝しております。機会がありましたら、また、利用したいと思います。 | ||||
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2人の女の対照的な人生が描かれている物語です。 私自身とは遠くかけ離れていても、共感できるところが節々にみられ、 深い感動を得られました。 島清恋愛文学賞受賞作品ということですが、納得です。 読者はきっと、自身が生きられなったもう1人の自分をそこに重ね合わせるのではないでしょうか。 読後感も良かった。一読をお勧めします。 | ||||
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避妊しろよ!ああ~むかむかする。 わかってんだろう! 先のことちょっとは考えろよ! なんなんだよ、なんなんだよ! だってさあ、確かに六割、いや七割は、周囲の人間がクズすぎるってことだけども。 でも、三割は全部自分のせい。自業自得だろう! きいてんのか、百合江ちゃんよ。 それから一番むかつくのは、高樹春一。 最低最悪すぎる。 私は男だが、それはないんじゃないか? 人として、男として。 愛がない家をここまで残酷に描くとは。 正直だって彼らだってなんだってって「フォロー」はいらない。 | ||||
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直木賞を受賞した「ホテルローヤル」があまりにつまらなくて、 桜木さんの本はそれしか読んでなかったんですが、 北海道の開拓村と旅芸人、そして女三代の確執ということで あまり期待せずに読みはじめましたが・・・ 読みはじめたらもう止まりませんでした。 現代と過去が入り混じりながら話は進んでいきますが、 私の年代だとまだかすかに記憶に残っている昭和三十年代の貧しさ そして旅芸人や流し、キャバレーをリアルで知っている私には 情景が目に浮かびすぎてつらかったです。 生きるということが食べるということと密接だった時代 生きるために食べるために愛を搾取しあうだけの家族関係 文盲の母飲んだくれて暴力だけの父 運命に流されているだけのようで、でも運命を受け止めている潔さ せいぜい400ページの中にみっしりと詰め込まれた人生の重み 桜木さんの本、もう少し読んでみようと思いました。 | ||||
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道東の貧しい開拓小屋で育った女性の人生を追った物語です。 直木賞を受賞した「ホテルローヤル」は私には余りピンと来なかったのですが, こちらはガツーンとやられました。 わずか400ページ程度とは思えない濃い内容です。 極貧の開拓小屋の重苦しい雰囲気といい,氷が張り詰めたような釧路の冬の空気感といい, 舞台設定はほかに置き換えられない必然性を感じます。 そして,おなかに子を宿した女性の気持ち,産む決断,産まない決断,親子の確執,姉妹の確執,報われない愛が 胸が苦しくなるような迫力で,しかし,淡々と語られます。 随所に出てくる歌がまた絶妙。 キー曲の一つである「テネシー・ワルツ」がもの悲しくも美しく色を添えています。 ただ,終章部分は少々残念。急に軽い感じになってしまいました。 それを除けば,組み立てといい,心情描写力といい,大変読み応えがありました。 涙がこぼれる場面もありました。 「ラブレス」という題名は,内容と合っているもの,雰囲気には合ってないな。 わざとかもしれず,この辺りの外し方が作者ならではなのかもしれないけど, 軽い恋愛小説を期待して手に取った人は,裏切られるでしょう。 | ||||
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桜木紫乃さんはホテルローヤルで直木賞をとったことで注目して知った作家さんですが、ホテルローヤルはあんまり、、、という感じでした。 でも、こんな傑作があったのですね、だからの候補だったのですね。 この作品は直木賞です。本当に素晴らしい。 さまざまな困難に遭遇し、生きづらい人生を歩んでいく主人公、でもなぜか他からは侵されない清貧のたたずまいがあって、根強く生きていくしたたかな心があって、一方複雑な女同士の気持ちには案外鈍感で。。。なんともいとおしくも悲しい主人公でした。 桜木さんの心情を描く筆力、その圧倒的な情感には舌を巻きます。 そして時代背景や主人公がさまよっていく町々の雰囲気、寒い土地の温度感、押しつけがましくない音楽のような映像のようなものを描かせる素晴らしい描写力。 とにかく、全女性がこころを揺さぶられるはずです。 | ||||
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非日常なのに妙にリアルで面白かったですが、通して暗いので読んでてちょっと疲れました。 | ||||
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