春にして君を離れ

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春にして君を離れの評価:

4.48/5点 レビュー 244件。 B ランク

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平均点4.48pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全466件 161〜180 9/24ページ
No.306
(5pt)

(2020年―第38冊)主人公ジョーンの瞑想の中に読者自身がみつかる魅力的な小説

時代は1930年代。イギリス人の弁護士夫人ジョーン・スカダモアは末娘バーバラが暮らすイラクのバグダードに旅する。病気のバーバラを見舞うためだ。そしてイギリスへの帰途、接続列車が遅延したためにテル・アブ・ハミドの宿泊所にひとり留め置かれてしまう。無聊を慰めるために来し方を振り返るジョーンは、夫や子どもたちの不審な仕草や行動に思いを巡らすのだった……。

-------------------
 ポワロやマープルのシリーズで知られるアガサ・クリスティが、メアリ・ウェストマコット名義で1944年に発表した長編小説です。
 凶悪な事件が起こるわけではなりません。家族にとって最大の幸福を追求し、それを守らんがためにジョーンがこれまで下してきた決断の数々は見方によっては保守の極みであり、彼女はキリスト教信仰に支えられた伝統的家族観の信奉者といえるでしょう。自身がリスクや冒険や変化を恐れるがあまり、夫と子どもたちの人生にもその保守を求めていく妻であり母です。
「自由ですって? 【中略】そんなもの、いったいこの世の中にありまして?」とジョーンは夫に軽蔑的に語ります。
 一方、夫ロドニーは「何か事をする前にすべてを綿密に計算し、けっして冒険をしないような慎重きわまる世間というものにつくづく嫌気がさしただけだ」とつぶやきます。

 ジョーン自身はいささかも自己の生き方に疑問をさしはさまなかったはずですが、異国情趣あふれる中東への旅が彼女の夢想と妄想に拍車をかけ、やがて自身の生き方に罪悪感を抱くにいたる物語が展開していきます。
 ジョーンの生き方、考え方は大なり小なり、ささやかな家族の幸せを維持するうえで求められうる負の側面であり、読者自身の人生観にも沿うところがないとはいえません。ですから彼女の旅路に同行することは、ジョーンの中に読者が自身を見つける旅にもなります。
 
 彼女は後段、自身の生き方について贖罪の念を抱くかに至りますが、その思いが家族に届くことはないようです。エピローグは一転して夫ロドニーの視点から家族の真相が語られますが、それは底なしの哀しみとおののきを読者に与えるものでしょう。
 
 しかし私自身は、ジョーンの生き方を徹頭徹尾斥ける気持ちにもなりませんし、かといってそのすべてをまるまる受け入れることもできません。
 ボブ・ディランの楽曲「いつもの朝に」にはこんな一節があります。
“You’re right from your side. I’m right from mine.”
(きみの立場からすればきみは正しく 私の立場からすれば私は正しいのだ)
 まさにジョーンと家族の視点はこのディランの歌詞のとおり。ジョーンだけを断罪することも、ロドニーら家族の視点だけを無邪気に肯(がえ)んずることもするまいと自己を戒めながら書を閉じました。
 人と家族の一筋縄ではいかない実相を巧みにえがいた長編小説です。

 最後に、この邦訳についても言及しておきたいと思います。
 訳者の中村妙子氏がこの小説を日本語に移し替えたのは昭和46(1971)年とのこと。しかしその妙なる訳文は今読んでも決して古びていません。ジョーンの心のひだの揺れ動きを見事に描出していて、ほれぼれします。中村氏の訳文があったればこそ、この小説が今もクリスティの傑作のひとつと数えられるのでしょう。

 私はこの小説を堪能しました。
-------------------
 主人公の姓は「スカダモア」とカタカナ表記されていますが、イギリス人の名前Scudamoreは「スク(―)ダモア」とするのが原音に近いといえます。2010年代にサッカーのイングランド・プレミアリーグの最高経営責任者(CEO)だったRichard Scudamore氏は、日本のスポーツ紙では「リチャード・スクダモア」と表記されていました。

-----------------
 この小説を読んでいるうちに、以下の小説のことを思い出しました。

◆モーパッサン『女の一生』
:主人公ジャンヌは妻として母としての幸福を夢見て結婚生活に入るものの、そこには決して無垢な幸せが待ち受けていたわけではないという悲劇です。

.
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.305
(5pt)

(2020年―第38冊)主人公ジョーンの瞑想の中に読者自身がみつかる魅力的な小説

時代は1930年代。イギリス人の弁護士夫人ジョーン・スカダモアは末娘バーバラが暮らすイラクのバグダードに旅する。病気のバーバラを見舞うためだ。そしてイギリスへの帰途、接続列車が遅延したためにテル・アブ・ハミドの宿泊所にひとり留め置かれてしまう。無聊を慰めるために来し方を振り返るジョーンは、夫や子どもたちの不審な仕草や行動に思いを巡らすのだった……。

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 ポワロやマープルのシリーズで知られるアガサ・クリスティが、メアリ・ウェストマコット名義で1944年に発表した長編小説です。
 凶悪な事件が起こるわけではなりません。家族にとって最大の幸福を追求し、それを守らんがためにジョーンがこれまで下してきた決断の数々は見方によっては保守の極みであり、彼女はキリスト教信仰に支えられた伝統的家族観の信奉者といえるでしょう。自身がリスクや冒険や変化を恐れるがあまり、夫と子どもたちの人生にもその保守を求めていく妻であり母です。
「自由ですって? 【中略】そんなもの、いったいこの世の中にありまして?」とジョーンは夫に軽蔑的に語ります。
 一方、夫ロドニーは「何か事をする前にすべてを綿密に計算し、けっして冒険をしないような慎重きわまる世間というものにつくづく嫌気がさしただけだ」とつぶやきます。

 ジョーン自身はいささかも自己の生き方に疑問をさしはさまなかったはずですが、異国情趣あふれる中東への旅が彼女の夢想と妄想に拍車をかけ、やがて自身の生き方に罪悪感を抱くにいたる物語が展開していきます。
 ジョーンの生き方、考え方は大なり小なり、ささやかな家族の幸せを維持するうえで求められうる負の側面であり、読者自身の人生観にも沿うところがないとはいえません。ですから彼女の旅路に同行することは、ジョーンの中に読者が自身を見つける旅にもなります。
 
 彼女は後段、自身の生き方について贖罪の念を抱くかに至りますが、その思いが家族に届くことはないようです。エピローグは一転して夫ロドニーの視点から家族の真相が語られますが、それは底なしの哀しみとおののきを読者に与えるものでしょう。
 
 しかし私自身は、ジョーンの生き方を徹頭徹尾斥ける気持ちにもなりませんし、かといってそのすべてをまるまる受け入れることもできません。
 ボブ・ディランの楽曲「いつもの朝に」にはこんな一節があります。
“You’re right from your side. I’m right from mine.”
(きみの立場からすればきみは正しく 私の立場からすれば私は正しいのだ)
 まさにジョーンと家族の視点はこのディランの歌詞のとおり。ジョーンだけを断罪することも、ロドニーら家族の視点だけを無邪気に肯(がえ)んずることもするまいと自己を戒めながら書を閉じました。
 人と家族の一筋縄ではいかない実相を巧みにえがいた長編小説です。

 最後に、この邦訳についても言及しておきたいと思います。
 訳者の中村妙子氏がこの小説を日本語に移し替えたのは昭和46(1971)年とのこと。しかしその妙なる訳文は今読んでも決して古びていません。ジョーンの心のひだの揺れ動きを見事に描出していて、ほれぼれします。中村氏の訳文があったればこそ、この小説が今もクリスティの傑作のひとつと数えられるのでしょう。

 私はこの小説を堪能しました。
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 主人公の姓は「スカダモア」とカタカナ表記されていますが、イギリス人の名前Scudamoreは「スク(―)ダモア」とするのが原音に近いといえます。2010年代にサッカーのイングランド・プレミアリーグの最高経営責任者(CEO)だったRichard Scudamore氏は、日本のスポーツ紙では「リチャード・スクダモア」と表記されていました。

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 この小説を読んでいるうちに、以下の小説のことを思い出しました。

◆モーパッサン『 女の一生 』
:主人公ジャンヌは妻として母としての幸福を夢見て結婚生活に入るものの、そこには決して無垢な幸せが待ち受けていたわけではないという悲劇です。

.
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.304
(5pt)

読んで欲しい一冊です

考えさせられました。何にもわかっていなかったのではないかと言う思い方、謙虚に振り返っていく生き方、とても感銘を受けました
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.303
(5pt)

読んで欲しい一冊です

考えさせられました。何にもわかっていなかったのではないかと言う思い方、謙虚に振り返っていく生き方、とても感銘を受けました
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.302
(5pt)

鳥肌が立つほどの恐ろしい傑作

クリスティの代表作はあらかた読んでいますが、私は今作がベストと思いました。
歴史に残るミステリのトリックを数多想像した作家が、これほどまでに人間を深く知悉していたということ自体が信じられない奇跡です。
読書中にゾクゾクと鳥肌が立つような感覚を覚えたのは、久々の体験でした。そして、もっとも恐ろしいのはラストです。この顛末をある種の「やさしさ」と解釈する読者のいるのかもしれません。しかし、私は底の見えない不可思議な人の闇をみた気がしました。

…文学であり、ミステリであり、そしてホラー小説です。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.301
(5pt)

鳥肌が立つほどの恐ろしい傑作

クリスティの代表作はあらかた読んでいますが、私は今作がベストと思いました。
歴史に残るミステリのトリックを数多想像した作家が、これほどまでに人間を深く知悉していたということ自体が信じられない奇跡です。
読書中にゾクゾクと鳥肌が立つような感覚を覚えたのは、久々の体験でした。そして、もっとも恐ろしいのはラストです。この顛末をある種の「やさしさ」と解釈する読者のいるのかもしれません。しかし、私は底の見えない不可思議な人の闇をみた気がしました。

…文学であり、ミステリであり、そしてホラー小説です。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.300
(4pt)

なんと意地悪な

最初はとても古臭くてつまらない小説に感じ、そのまま読み進めるかどうか迷ったほどでしたが、作者の悪意(と言っていいと思う)に気づいてからは、夢中で読み終わってしまいました。それにしても、こんな話を書く作者も意地が悪いとは思いますが、ついつい登場人物の不幸を願ってしまう私もまた意地が悪いなあと思わされてしまったのでした。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.299
(4pt)

なんと意地悪な

最初はとても古臭くてつまらない小説に感じ、そのまま読み進めるかどうか迷ったほどでしたが、作者の悪意(と言っていいと思う)に気づいてからは、夢中で読み終わってしまいました。それにしても、こんな話を書く作者も意地が悪いとは思いますが、ついつい登場人物の不幸を願ってしまう私もまた意地が悪いなあと思わされてしまったのでした。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.298
(5pt)

愛にきわめてよく似たもの

巷で「愛情」と謝って取られがちな心情があって、しかもこいつの厄介なところは、相手の人生も自分の人生も破滅に追いやってしまうという点で愛と正反対の性格を持っていることにある。
 これは、「所有欲」「優越欲」と言われるもので、メンヘラとかモンスターペアレントとか呼ばれる人間が陥りがちな「ニセモノの愛情」なのである。

 今作の主人公「プア・リトル・ジョーン」はまさにこの人間である。
 口では「あなたのため」「子どものため」「生活のため」ともっともらしい先見性をちらつかせている。しかし実際は、夫の職業選択権も娘の恋愛の自由も容赦なく奪いさって、自分の思い通りに操ろうとしているだけなのである。

 いったいなぜなのか?原因は二つ。

 一つは彼女の抱える、病的なまでのナルシシズム。
 「私がブランチのようにならなくてよかった!」
 「ロドニーは先見の明がないから、『有能な私』が導かなきゃ!」
 「娘たちは若いんだから、正常な恋愛なんてできるはずがない!」
 ジョーンはこんな具合に独白する。言葉ではいかにも他人を思いやっているようで、実際はだれもかれもを見下し、ゆえに誰にも心を通わせることがないのだ。
 だって、他人は「自分より下」で当たり前なのだから――。

 もう一つは、自分でさえ気づかない他人への無関心さ。
 ある意味ナルシシズムの延長ともいえるだろうが、彼女はとにかく議論をしない。それは「円滑に会話しているから」などではなく、「すべてをろくに聞かずに突っぱね続けているから」に他ならない。
 どうして夫が弁護士でなく農家になりたがったのか。
 どうして娘がジョーンの思いもよらないような男と交際したのか。
 どうしてブランチが奔放な生活を続けるのか。
 聞けばわかることだ。たとえ理解できなくても尊重ならできるはずなのだ。
 しかしジョーンは、「愚かだからだ」と安易に決めつけ、そして嘲笑するのだ。

 その結果、彼女はどうなったか。

 このあたりが、この小説が「ホラー」と呼ばれるゆえんだろう。
 結論から言えば、ジョーンは思った以上にみんなから疎まれていた。
 夫にはとっくに愛想をつかされ、娘からも距離を置かれ。
 ゆいいつ苦言を呈してくれたブランチさえも、最終的にはまた貶めた。
 ジョーンはこれからもずっと不平を垂れ続ける。真実から目をそらし続ける。

 だからこそ、彼女は「プア・リトル・ジョーン」なのである。

 ……ちなみにこの作品を読んで「女って怖い」という人がいますが、違いますよ。

 女が怖いんじゃないんです。
 「こういう女」が怖いんです。
 そしてこういう男も怖いんですよ……。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.297
(5pt)

愛にきわめてよく似たもの

巷で「愛情」と謝って取られがちな心情があって、しかもこいつの厄介なところは、相手の人生も自分の人生も破滅に追いやってしまうという点で愛と正反対の性格を持っていることにある。
 これは、「所有欲」「優越欲」と言われるもので、メンヘラとかモンスターペアレントとか呼ばれる人間が陥りがちな「ニセモノの愛情」なのである。

 今作の主人公「プア・リトル・ジョーン」はまさにこの人間である。
 口では「あなたのため」「子どものため」「生活のため」ともっともらしい先見性をちらつかせている。しかし実際は、夫の職業選択権も娘の恋愛の自由も容赦なく奪いさって、自分の思い通りに操ろうとしているだけなのである。

 いったいなぜなのか?原因は二つ。

 一つは彼女の抱える、病的なまでのナルシシズム。
 「私がブランチのようにならなくてよかった!」
 「ロドニーは先見の明がないから、『有能な私』が導かなきゃ!」
 「娘たちは若いんだから、正常な恋愛なんてできるはずがない!」
 ジョーンはこんな具合に独白する。言葉ではいかにも他人を思いやっているようで、実際はだれもかれもを見下し、ゆえに誰にも心を通わせることがないのだ。
 だって、他人は「自分より下」で当たり前なのだから――。

 もう一つは、自分でさえ気づかない他人への無関心さ。
 ある意味ナルシシズムの延長ともいえるだろうが、彼女はとにかく議論をしない。それは「円滑に会話しているから」などではなく、「すべてをろくに聞かずに突っぱね続けているから」に他ならない。
 どうして夫が弁護士でなく農家になりたがったのか。
 どうして娘がジョーンの思いもよらないような男と交際したのか。
 どうしてブランチが奔放な生活を続けるのか。
 聞けばわかることだ。たとえ理解できなくても尊重ならできるはずなのだ。
 しかしジョーンは、「愚かだからだ」と安易に決めつけ、そして嘲笑するのだ。

 その結果、彼女はどうなったか。

 このあたりが、この小説が「ホラー」と呼ばれるゆえんだろう。
 結論から言えば、ジョーンは思った以上にみんなから疎まれていた。
 夫にはとっくに愛想をつかされ、娘からも距離を置かれ。
 ゆいいつ苦言を呈してくれたブランチさえも、最終的にはまた貶めた。
 ジョーンはこれからもずっと不平を垂れ続ける。真実から目をそらし続ける。

 だからこそ、彼女は「プア・リトル・ジョーン」なのである。

 ……ちなみにこの作品を読んで「女って怖い」という人がいますが、違いますよ。

 女が怖いんじゃないんです。
 「こういう女」が怖いんです。
 そしてこういう男も怖いんですよ……。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.296
(5pt)

平和な家庭の平和な日常の真実のサスペンス

帯に鴻上尚史の推薦文があったが、その通りの内容だった。アガサ・クリスティ作なので、題名では一般的なサスペンスでは無いと判っていたが、家庭生活を送っている誰にも当てはまりそうな、真実の怖さを感じないわけにはいかなかった。
誰もが経験する日常の危うい真実のミステリー‼ 心に引っ掛かったまま、取れそうにない棘になった。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.295
(5pt)

平和な家庭の平和な日常の真実のサスペンス

帯に鴻上尚史の推薦文があったが、その通りの内容だった。アガサ・クリスティ作なので、題名では一般的なサスペンスでは無いと判っていたが、家庭生活を送っている誰にも当てはまりそうな、真実の怖さを感じないわけにはいかなかった。
誰もが経験する日常の危うい真実のミステリー‼ 心に引っ掛かったまま、取れそうにない棘になった。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.294
(5pt)

春にして君を離れ

クリスティの小説ですが推理小説ではありません
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.293
(5pt)

春にして君を離れ

クリスティの小説ですが推理小説ではありません
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.292
(3pt)

中高年の女性向けの本。

子育てが終わり第二の人生が始まった女性向けの本です。
物語を楽しむ為の本で実生活で為になる事はありません。
何処かしら東洋人や低い身分の者を見下しているようでアガサ クリスティはあまり好きな作家ではありませんが、
そこを除けば良い内容だと思います。ミステリー本ではなく女性の人生って一体何?的な女の一生のような感じの小説です。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.291
(3pt)

中高年の女性向けの本。

子育てが終わり第二の人生が始まった女性向けの本です。
物語を楽しむ為の本で実生活で為になる事はありません。
何処かしら東洋人や低い身分の者を見下しているようでアガサ クリスティはあまり好きな作家ではありませんが、
そこを除けば良い内容だと思います。ミステリー本ではなく女性の人生って一体何?的な女の一生のような感じの小説です。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.290
(5pt)

人間は自己を放棄することになかなか承服できない。その絶望は、自己自身であることを望まない絶望なのである。

とても恐ろしい作品である。
その昔読んだときはすごいなーとしか感じなかった。
主人公の年齢もあってむしろ自分のことは置いておいて親に重ねて読んだりしていた。
その主人公の年齢をとうに越した今再読して衝撃を大きく受ける。

自己認知と他己認知がこんなにずれていることはあり得るのだろうか。
本人が選んで夫や家族に与えてきた価値観は家族には何の魅力もなくむしろ苦痛にしかなっていないことが、
本人に家族が向き合うことなく回避し続けることが、
それを本人が全く認識していないことが、
そしてそれを本人が自覚してそのGAPに衝撃を受けても、生活を関係性を変えずに生きて行くことが。

これが自分のことだとするとこんな不幸なことはない。
出来上がってしまったそして変えることが難しい自己を、近しい大切な人にとって少しでもより良いものにできればと感じている。

以前持っていた昭和61年の八刷版には翻訳の中村妙子さんのご本人のインテリジェンスを表すキルケゴールに関するあとがきがありました。
現在の版には存在しないこともあり、一部引用します。
非常に示唆に富んだ内容です。キルケゴール難しすぎて読めないですし。
--------------------------------------
こんな「あとがき」にキルケゴールを持ち出すのはどうかとも思うが、「春にして君を離れ」を読み返しながら私が「死にいたる病」の一節を思い出して、ジェーンの哀れさが人ごとならず身に沁みたのは偽りのないところである。
絶望というものは必ずしも外からの衝撃によらないでも、自省というものを通じて明らかになり得る。
そしてこの自省とともに一種の分離作用が始まって、自分の環境とか、外界、またそこからくるさまざまな影響と本質的に区別されたものとして、
自己自身への注目がはじまる。
ジョーンは友人との何気ない会話をきっかけに、過去の出来事を新たなめで見直す。砂漠の静寂の中で、過去の出来事は一つ一つ息を吹き返し、次から次へと波紋を呼ぶ。
しかし、自制によって自己が自己自身を引き受けようとするとき、自己の必然性の中で多くの困難に遭遇する。
弱き自己はこれらの困難の前で尻込みをする。
さらにまた、自省を越えて、もっと深刻に彼のうちなる直接性を粉砕するようなものが現れるとき、自己は絶望する。
人間は自己を放棄することになかなか承服できない。彼の絶望は、自己自身であることを望まない絶望なのである。
そこで彼は一時難を避けて、危機が過ぎ去るまで待とうとする。そして危機が去ったと知ると、もとの古巣にもどって、かつて自己を捨てかけた、その所からまたはじめようとする、、つまり変わり映えしない自己を引き受けて生きて行くのである。。
--------------------------------------
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.289
(5pt)

人間は自己を放棄することになかなか承服できない。その絶望は、自己自身であることを望まない絶望なのである。

とても恐ろしい作品である。
その昔読んだときはすごいなーとしか感じなかった。
主人公の年齢もあってむしろ自分のことは置いておいて親に重ねて読んだりしていた。
その主人公の年齢をとうに越した今再読して衝撃を大きく受ける。

自己認知と他己認知がこんなにずれていることはあり得るのだろうか。
本人が選んで夫や家族に与えてきた価値観は家族には何の魅力もなくむしろ苦痛にしかなっていないことが、
本人に家族が向き合うことなく回避し続けることが、
それを本人が全く認識していないことが、
そしてそれを本人が自覚してそのGAPに衝撃を受けても、生活を関係性を変えずに生きて行くことが。

これが自分のことだとするとこんな不幸なことはない。
出来上がってしまったそして変えることが難しい自己を、近しい大切な人にとって少しでもより良いものにできればと感じている。

以前持っていた昭和61年の八刷版には翻訳の中村妙子さんのご本人のインテリジェンスを表すキルケゴールに関するあとがきがありました。
現在の版には存在しないこともあり、一部引用します。
非常に示唆に富んだ内容です。キルケゴール難しすぎて読めないですし。
--------------------------------------
こんな「あとがき」にキルケゴールを持ち出すのはどうかとも思うが、「春にして君を離れ」を読み返しながら私が「死にいたる病」の一節を思い出して、ジェーンの哀れさが人ごとならず身に沁みたのは偽りのないところである。
絶望というものは必ずしも外からの衝撃によらないでも、自省というものを通じて明らかになり得る。
そしてこの自省とともに一種の分離作用が始まって、自分の環境とか、外界、またそこからくるさまざまな影響と本質的に区別されたものとして、
自己自身への注目がはじまる。
ジョーンは友人との何気ない会話をきっかけに、過去の出来事を新たなめで見直す。砂漠の静寂の中で、過去の出来事は一つ一つ息を吹き返し、次から次へと波紋を呼ぶ。
しかし、自制によって自己が自己自身を引き受けようとするとき、自己の必然性の中で多くの困難に遭遇する。
弱き自己はこれらの困難の前で尻込みをする。
さらにまた、自省を越えて、もっと深刻に彼のうちなる直接性を粉砕するようなものが現れるとき、自己は絶望する。
人間は自己を放棄することになかなか承服できない。彼の絶望は、自己自身であることを望まない絶望なのである。
そこで彼は一時難を避けて、危機が過ぎ去るまで待とうとする。そして危機が去ったと知ると、もとの古巣にもどって、かつて自己を捨てかけた、その所からまたはじめようとする、、つまり変わり映えしない自己を引き受けて生きて行くのである。。
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春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385
No.288
(4pt)

このような小説も良いかな

今年の初めに英国の石黒さんの小説を読んだ。普段読まないジャンルだが、面白かった。だから、たまにはこの様なジャンルの小説も良いかなと思い購入した。じっくりと読み通したいと思う。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300813
No.287
(4pt)

このような小説も良いかな

今年の初めに英国の石黒さんの小説を読んだ。普段読まないジャンルだが、面白かった。だから、たまにはこの様なジャンルの小説も良いかなと思い購入した。じっくりと読み通したいと思う。
春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38) Amazon書評・レビュー: 春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)より
4150400385