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春にして君を離れ
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春にして君を離れの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全195件 41~60 3/10ページ
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若い時に実家の母の本棚にあり読んで衝撃を受けた。 殺人ミステリーではないのに、ミステリーだった。 主人公の性格と私の母の性格が似ているところがあるので『この主人公、お母さんみたい』と言ったら怒られた。 最近日本で舞台劇になったとYouTubeで見て電子版で再読した。 初読の時は20歳過ぎだった私も成人したばかりの息子を持つアラフィフのおばさんになった。 母親としての私にもこの主人公の要素が沢山あった。 私の価値観で息子を操作しようとして反発を受けた事は数え切れない。 家族といえど、自分以外の人間は他者である。 自分の思う幸せと夫や子供それぞれの思う幸せは違う。 家庭を持つと、その線引きが難しくなる。 善意であっても相手への理解や共感がない事は、結局独りよがりの押し付けで相手を苦しめる結果になる。 『ほら、私の言ったとおりにしたから上手くいったでしょ』と私が進みたかった道を諦めて別の道に進んで苦しんでいた時に母に言われて『人って自分の見たいものしか見れないんだな』と思った。 この物語に共感する人は沢山いるのではないだろうか。 | ||||
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アガサ・クリスティーの代表作の一つ。 イギリスのある一人の婦人が、回想を通じて人生を振り返り、新たな気づきを見つけていく物語。 順風満帆に思われていた人生だが、他人を見下したり決めつけたりすることで自らを正当化し続け、実は自分自身が周りから疎まれる存在であったことに気づいていく。 時代も国も立場も、現代の我々とはかけ離れた存在でありながらも、読んでいて自身と重ね合わせてしまう部分が非常に多いと感じた。 回想を中心に描かれた物語であり、決して目まぐるしい展開があるわけではないながらも、読者にとって共感と気づきが得られる深い物語だった。 時代を越えて読み継がれる名作なだけあると感じた。 | ||||
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良き夫、子どもたちに恵まれた女性が、旅行先で自分自身を見つめ直し、自身の結婚生活の真実に気づく。 人も死なないし、ミステリーと言えるのかよくわからないが、こういうのもありかなと思った。ちゃんとどんでん返しがある。 テンポの良さはいつものアガサ・クリスティ。 変わり種だけど、なかなか良かった。 | ||||
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現代で言う「毒親」の主人公ジョーンが、世話を焼いていた家族から煙たがられていたことに気づくという話。 今ではこういった性格は育った環境によるという見方もあるため、夫のロドニーが指摘しない態度にスッキリしない人もいると思います。 自分の本性を自覚せずに人を傷つけていた主人公、それを明かさなかった家族、白黒つかない人間関係のミステリーということでしょうか。 ちょっと古い感じがしましたが、アガサに落ち度は無いので星5。 | ||||
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表題はシェイクスピアのソネットです。以下かなり意訳のうえに端折っていますが 春にして君を離れ…何物も私に夏を語らせることはできず…まだ冬のようだが、君はいない。私は君の影と遊ぶように、それらと遊ぶ。 と続きます。 裕福で優しい夫と三人の子供を持つ中年女性であるジョーンは、遠方で出産した末娘を見舞った帰り道で悪天候による足止めをくい、列車内でしばらくの間一人きりで過ごすことになります。 春にして家族を離れ、することもない車内で回想にふけるジョーン。やがて列車は動き出し、彼女は帰宅します。 私は…遊ぶ。ラスト数ページは圧巻です。 | ||||
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すべての結婚している女性に読んでほしい。結婚生活の自分を見直すために。 | ||||
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自分の理想が正しいと信じて止まず、家族や友人ら他人にも否応なしにその考えを押し付けようとするKYおばさんの話。 読んでる限り、長所は外見だけ。50歳を目前に控えた現在も、夫の目からは28歳に見える。 こんな他人の話を一切聞き入れず、自分の主張を貫き通すような人が配偶者や親だったら本当に大変で不幸になると思った。 これから結婚を控えている人には、戒めにしてもらいたい一冊です。 | ||||
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毒親と気づいていない毒親のストーリーです。 自分の母親と被ります。 孫が産まれたことさえ知らせてもらえない親。 所詮その程度の存在というか、母親が自分の子供に 与える影響から守るための手段だと思います。 大好きな作品です。 | ||||
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読みやすい だれでもひとりだねー なんも企画のかめんどくセー | ||||
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作品としては大きな出来事は何も無い。ここには謎もなく、静かな失望と変化の難しさがあるだけ。アガサ・クリスティーの作品の中で特に好きな作品です。 1人になり、自分の生活を省みる時、今まで自分が送ってきた満ち足りた生活は他人の犠牲の上に成り立っているのではないか。アガサ・クリスティーの繊細かつ的確な人物描写の光る傑作でした。 | ||||
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サスペンスではない夫婦の物語なのにこの上なくサスペンスフルな作品。一役買っているのが旅と砂漠で、こちらも私好みの要素です。クリスティファンならずとも虜になること請け合いの作品。表紙の写真にもグッときます! | ||||
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ミステリの女王といわれるクリスティの純文学作家としての力量を垣間見る傑作。 職場でパワハラしている女性の大半がこの主人公(ジョーン)と同じタイプじゃないかと思いました。 「ジョーン、われわれ世の親たちが子どもに対して一体どういう仕打ちをしているか、考えてもごらん。お前たちのことはなんでも知っていると言わんばかりの態度。親の権威の元に置かれている力弱い、幼い者にとって、いつも最上のことをしている、知っているというポーズ。むろん、必要上やむを得ぬことといえばそれまでだが。一種の奴隷じゃないか、彼らは。われわれの与えるものを食べ、着せるものを着、われわれの教え込むことをしゃべる。われわれの与える保護の代償としてね。」 「安易な考え方をしてはなりませんよ、ジョーン。手っ取り早いから、苦痛を回避できるからといって、物事に皮相的な判断を加えるのは間違っています。人生は真剣に生きるためにあるので、いい加減なごまかしでお茶を濁してはいけないのです。こんなことをいうのは、ここだけの話だけれど、あなたには少々自己満足の気味があるからです。自分のことばかり考えずに、他の人のこともお考えなさい。そして責任を取ることを恐れてはいけません。人生は不断の進歩の過程です。死んだ自己を踏み台にして、より高いものへと進んで行くのです。痛みや苦しみが回避できないときもあるでしょう。そうした悩みは、すべての人が早晩経験するものなのですから。あなたがそれを知らずに終わるなら、それはあなたが真理の道から外れたことを意味するのですよ。」 | ||||
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"『そう、ぼくがいる』とロドニーはいった。けれども彼は自分の言葉の虚しさに気づいていたのだった。君はひとりぼっちだ。これからもおそらく。しかし、ああ、どうか、きみがそれにきづかずにすむように"1944年発刊の本書は"ミステリーの女王"が別名義で執筆したロマンチック・サスペンス。 個人的には著者の代表的な推理小説『オリエント急行殺人事件』『そして誰もいなくなった』は映画化作品も含めて子ども時代から楽しませていただいていたのですが。別名義、メアリ・ウェストマコットとしての作品は未読だった事から【シェイクスピア引用が印象的なタイトル】の本書を手にとりました。 さて、そんな本書は一応はヒロイン?であるジョーン。優しい夫、よき子供に恵まれ(自分の正しい選択の結果)【理想の家庭を築き上げた】と満ち足りている彼女が娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で足止めされる中、これまでの人生に向き合っていくのですが。 誰も死なないし、ある意味で特別な事は何も起きない(少なくとも外部的には)本書。主人公と年代が近い【人生の午後世代の私にとっては】また同じく、どちらかと言えば保守的な価値観、つまり【社会一般として恥ずかしくない生き方を選択しなさい!】と育てられてきた1人としては、夫のロドニーの一見優しくも冷徹なセリフに代表される家族との絡みがぐさりぐさりと刺してくる感じがあって【面白くも痛さや哀しさが同居する】複雑な読後感でした。 また、あとがきを56歳と若くして亡くなった『グイン・サーガ』等で知られる、栗本薫が書いているのですが。こちらも久しぶりに懐かしい名前を見たな。と不思議な再会をしたような感覚があって印象的でした。 これまで他人から見ても『理想の人生を歩んできた!』と思いつつも、内心で不安を感じている中年世代以降の方へ。また推理小説以外の著者作に興味を覚えた方にもオススメ。 | ||||
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アガサクリスティーといえばミステリー小説ですが、この本はミステリーではありません。 いや、ある意味ミステリーかもしれません。 主人公が家に帰る旅の途中に今までの人生についてあれこれと考えます。 詳しくはここには書きませんが、自分の人生について深く考えさせられました。 | ||||
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初めてAudibleで視聴した記念すべき一冊。翻訳の評判の良さから思わず試聴してみたのでした。 9時間もの長い朗読をご年配の女性と思われる方が一人で演じ切っており、とても楽しかったです。 今後この分野は需要が増えるのではないでしょうか。作業しながら聴くことが出来たので一気に読了しました。 中年女性の主人公の皺ひとつない若さは彼女の未熟さを表しているのだけど本人はそのことに気づかない。自分の人生の成功と幸福のおかげだと思っていて、苦労の多い女性たちの老化を哀れみ心の底で蔑んでいる。 一方夫はその女性たちの精神の自由を感じ取れる感受性を持っていて、およそ主人公と釣り合わないのだけども、最後のエピローグではやはり夫婦は似た者同士、共犯者であることを思い知らされる。 主人公はどこにでもいる極めて普通の女性だと思う。自分の献身が家族を守り貢献していることを信じて疑わない。どちらかというと夫の方に英国人らしいシニカルさを見てしまう。主人公は優越感によって自分の人生を肯定しているけども、夫の方も妻を軽蔑し娘たちを味方につけ妻が軽蔑する相手に価値を見出し密かに裏切ることで、妻に対して「優越感」を感じている。似た者同士の夫婦だと思うのだ。 そう考えると、最後の最後の主人公の選択も、致し方ない気もする。既に出来上がった共犯関係を妻の改心によって崩すことを、夫は本心から望んでいただろうか?今更それはもう遅すぎる。ならば共犯関係を継続する。それも一つの夫婦の形とも言えないだろうか。 これは離婚前のアガサの真実だったのだろうか? 登場人物がある状況を共犯的に作り出すのは「オリエント急行殺人事件」を思い出した。 他にもこの夫婦がよく似ていると思われるのは、互いの思い込みの強さで、それは妻だけではない。レスリーの息子の件では、夫の人の良さだけでなく、妻にも一分の理があることがよくわかる。結局この夫婦は両方とも自分に都合のよい物しか見ておらず、見ている物が違うというだけなのかもしれない。どちらにも非があり分があるエピソードや構成力はアガサの人間観察の鋭さでさすがだなと思った。主人公の内面描写も翻訳のよさもあって素晴らしく、ここまでつらつらと自分の内面の真実に向き合える聡明な主人公がこれまで一切周囲の機敏に気づかず独善的だったというのが矛盾に感じられるほど(笑)真に迫った心理描写は、アガサの独白にも聞こえた。 | ||||
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電子書籍は初めてでしたが 読みやすいです。 次回も利用を考えています | ||||
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主婦ですが自分を振り返るいい機会になりました。 主人公の女性のようにはなりたくないと思いました。 夫や子供からあんな風に思われたら悲しすぎます。 | ||||
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時代は1930年代。イギリス人の弁護士夫人ジョーン・スカダモアは末娘バーバラが暮らすイラクのバグダードに旅する。病気のバーバラを見舞うためだ。そしてイギリスへの帰途、接続列車が遅延したためにテル・アブ・ハミドの宿泊所にひとり留め置かれてしまう。無聊を慰めるために来し方を振り返るジョーンは、夫や子どもたちの不審な仕草や行動に思いを巡らすのだった……。 ------------------- ポワロやマープルのシリーズで知られるアガサ・クリスティが、メアリ・ウェストマコット名義で1944年に発表した長編小説です。 凶悪な事件が起こるわけではなりません。家族にとって最大の幸福を追求し、それを守らんがためにジョーンがこれまで下してきた決断の数々は見方によっては保守の極みであり、彼女はキリスト教信仰に支えられた伝統的家族観の信奉者といえるでしょう。自身がリスクや冒険や変化を恐れるがあまり、夫と子どもたちの人生にもその保守を求めていく妻であり母です。 「自由ですって? 【中略】そんなもの、いったいこの世の中にありまして?」とジョーンは夫に軽蔑的に語ります。 一方、夫ロドニーは「何か事をする前にすべてを綿密に計算し、けっして冒険をしないような慎重きわまる世間というものにつくづく嫌気がさしただけだ」とつぶやきます。 ジョーン自身はいささかも自己の生き方に疑問をさしはさまなかったはずですが、異国情趣あふれる中東への旅が彼女の夢想と妄想に拍車をかけ、やがて自身の生き方に罪悪感を抱くにいたる物語が展開していきます。 ジョーンの生き方、考え方は大なり小なり、ささやかな家族の幸せを維持するうえで求められうる負の側面であり、読者自身の人生観にも沿うところがないとはいえません。ですから彼女の旅路に同行することは、ジョーンの中に読者が自身を見つける旅にもなります。 彼女は後段、自身の生き方について贖罪の念を抱くかに至りますが、その思いが家族に届くことはないようです。エピローグは一転して夫ロドニーの視点から家族の真相が語られますが、それは底なしの哀しみとおののきを読者に与えるものでしょう。 しかし私自身は、ジョーンの生き方を徹頭徹尾斥ける気持ちにもなりませんし、かといってそのすべてをまるまる受け入れることもできません。 ボブ・ディランの楽曲「いつもの朝に」にはこんな一節があります。 “You’re right from your side. I’m right from mine.” (きみの立場からすればきみは正しく 私の立場からすれば私は正しいのだ) まさにジョーンと家族の視点はこのディランの歌詞のとおり。ジョーンだけを断罪することも、ロドニーら家族の視点だけを無邪気に肯(がえ)んずることもするまいと自己を戒めながら書を閉じました。 人と家族の一筋縄ではいかない実相を巧みにえがいた長編小説です。 最後に、この邦訳についても言及しておきたいと思います。 訳者の中村妙子氏がこの小説を日本語に移し替えたのは昭和46(1971)年とのこと。しかしその妙なる訳文は今読んでも決して古びていません。ジョーンの心のひだの揺れ動きを見事に描出していて、ほれぼれします。中村氏の訳文があったればこそ、この小説が今もクリスティの傑作のひとつと数えられるのでしょう。 私はこの小説を堪能しました。 ------------------- 主人公の姓は「スカダモア」とカタカナ表記されていますが、イギリス人の名前Scudamoreは「スク(―)ダモア」とするのが原音に近いといえます。2010年代にサッカーのイングランド・プレミアリーグの最高経営責任者(CEO)だったRichard Scudamore氏は、日本のスポーツ紙では「リチャード・スクダモア」と表記されていました。 ----------------- この小説を読んでいるうちに、以下の小説のことを思い出しました。 ◆モーパッサン『 女の一生 』 :主人公ジャンヌは妻として母としての幸福を夢見て結婚生活に入るものの、そこには決して無垢な幸せが待ち受けていたわけではないという悲劇です。 . | ||||
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考えさせられました。何にもわかっていなかったのではないかと言う思い方、謙虚に振り返っていく生き方、とても感銘を受けました | ||||
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クリスティの代表作はあらかた読んでいますが、私は今作がベストと思いました。 歴史に残るミステリのトリックを数多想像した作家が、これほどまでに人間を深く知悉していたということ自体が信じられない奇跡です。 読書中にゾクゾクと鳥肌が立つような感覚を覚えたのは、久々の体験でした。そして、もっとも恐ろしいのはラストです。この顛末をある種の「やさしさ」と解釈する読者のいるのかもしれません。しかし、私は底の見えない不可思議な人の闇をみた気がしました。 …文学であり、ミステリであり、そしてホラー小説です。 | ||||
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