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春にして君を離れ
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春にして君を離れの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全195件 181~195 10/10ページ
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アガサ・クリスティーなんて、ポワロを書いた推理小説家じゃないか!という考えを改めさせてくれた本。いつまでたっても誰も殺されず、中東にいる娘の滞在先から中年の主婦が英国の自宅まで帰ってくるときの旅の様子を描いているだけ。鉄道旅行にありがちのゆったりとした時間が過ぎていき、彼女が住み慣れた我が家に到着する所で物語りは終焉します。なのに、たいそう怖い。設定がのどかなので、余計に話の内容が狂気をおびて感じられます。私、ふつーなんです!私の生活平凡なんです!って言いながら、実は、狂ってる。ああ、人間はなんて業の深い生きものなんだろう。 淡々と、奇をてらわずに、読み手に畏れを感じさせるって、凄い技量です。アガサ・クリスティーという人は、巧みな構成と描写だけでなく人間の感情と深層心理の描写に長けた偉大な文筆家だったんですね。この小説は、2004年のマイベストであり、これからも何度となく読み返したい一冊です。 | ||||
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私達姉妹は、買い物依存症・アダルトチルドレン・軽いうつ、をそれぞれ内面に抱えているが、母はこの事実を知らずにとても「良い娘達だ」と信じている。この本を読み終えた時に30数年の心の悩みから開放された気持ちになったと同時に、母に同情する気持ちが初めて生まれた。親子関係、夫婦関係に心悩む方には、精神書、医学書、心理書を読むよりも非常にためになると確信する。もちろん、ストーリーがしっかりしているのでまるで推理小説を読むがごとく流れるように読み進む。 このシリーズは他に4巻あり全てに共通して言えよう。 | ||||
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女として生きていく過程で、この小説はまさにバイブルです。 今、自分が感じていることは錯覚ではないだろうか? おごり高ぶっていやしないだろうか? 年齢とともに硬くなる心(考え方)を解きほぐしたり、矯正したり・・・・。 一年に一度は読んで、自分の心を見つめ直したい、そんな一冊です。 女心の複雑さをここまで表現したアガサは凄い! | ||||
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この本を私が最初に読んだのは18年前。新聞に中島梓(栗本薫)さんが書いた「一生の内に、何十回くりかえして読む本に出会えるのは数回。これは、私にとってそういう一冊」という趣旨の書評に惹かれた。中年の婦人が、旅先で列車が来ず、数日間、砂漠の中の宿泊所で一人で過ごす。その間、自分を見つめ直し、自分がいかに自己中心で、家族から愛されていなかったと気づき、悔い改め変わろうと決意するが、現実の生活に戻るとその決意が薄れ、元の生活を続けてしまう。その内面の葛藤がドラマチックに描かれている。今回クリスティー文庫収録にあたっては、その栗本薫さんが巻末の解説を書いている。このような妻、母をもったらどうすべきか。夫婦・家族のあり方を考えさせられる。解説も必読。 | ||||
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この作品は良き妻であり良き母であると思っていた 女性が自分は本当にそうだっただろうか? と疑問に満ち溢れていくみたいな作品です。 個人的にはとても哀しい話と感じました。 この作品は結婚している方の読んでいただきたい作品だと 私的には思っています。 | ||||
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メアリというペンネームで書かれた、クリスティーの作品です。何故クリスティー名で最初に発表されなかったかというと、推理小説ではないので、別人として出したそうです。殺人はありません。でも充分ミステリーな作品だと思います。旅行帰り、一人、足止めされた土地。何もない場所。あるのは時間だけ。読む本もなく、時間を持て余していると、否応もなく今までの自分を振り返っていく。そう、否応もなくです。最初は、充分すぎる満足を持って過去を振り返っていた主人公の中年の婦人。だけど時間が経つにつれ、過ぎた時を想い起こすことが恐ろしくなる。考えるのを止めたい、なのに止められず、今まで目を背けていた事実を目の当たりにさせられる。 本を読んでいる間、不思議と主人公に対する嫌悪感はなく、ただただ「頑張れ」と唱えていました。この人を嫌いになれる人は少ないでしょう。結末を知っていても、読み返すたびに「頑張れ」と言ってしまいます。自分自身を知ること、気づかないようにして過ごすこと、どっちがいいのかわかりません。知らない方が楽と思います。でも、この本を読んで、頑張れと言っている自分がいたら、頑張った方がいいかもしれません。 | ||||
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殺人はないけれど、クリスティーのベスト3に入る作品だと思います。そして、読後感の恐さ、という点ではミステリーよりずっと恐いかも? やっぱり、これだけの力量を持った人だからこそ、他の作品も書けるんだろうなぁ。クリスティーの底力のようなものを感じさせられました。 子供を持つ方は絶対に読んだ方がいいと思います。(ただ、これを読んで素直にわが身を振り返られる人は、もともとそういう素質は少ない人ではないかと思いますが) | ||||
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堅実なアドバイス、将来を良かれと思って語る真っ当な生き方。家族みなのフォローに思いを馳せ、出来る限りの誠意を尽くす。こんな行為は、だれでもが、善意からおこなうものだ。決して悪気などありはしない。それどころかつまりは「愛情」だ。でも、それが本当に『家族のため』になっていないとしたら・・?家族が自分を好きでいてくれるから、それを口に出せないでいるだけだとしたら・・・。人と人の間に横たわる大きな淵。無意識のうちに自分を縛る「かくあるべき」という思い込み。僕は本作を学生時代に読み、深いため息が押さえられなかった。もう、10年以上も前の話だ。そして今でも迷う。共に生きる大切な人への誠意とは何なのだろうか・・。答えはたぶん、ない。人を完全に理解できるなど、傲慢だ。でも、それでも考え続ける事。答えがないと分かっていても、一生懸命になること。それだけが「愛」なのかなあ・・・。本作に描かれるすべては、永遠のテーマです・・。 アガサ・クリスティ描く、ノン・サスペンスながらそれらに匹敵するダイナミズムをもつ傑作。深く立体的な人物造形や明晰な場面描写が主人公のふとした記憶の組み合わせと見事に構成され、その完成度は秀逸。 | ||||
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25.6年位前に、ミスマープルのシリーズを探していて見つけました。 ミステリーではありませんがクリスティの最高傑作だと思っています。ヒロインのジョーンは愛する夫と子供に恵まれた裕福な中年の主婦。 新婚の末娘の看病に行っていたが帰る途中、雨季に出来た川のため立ち往生した。時間だけがたっぷりある毎日に普段思いもしなかった色々な事に思いを巡らせるうちに、今まで満足し切っていた自分について疑惑にとらわれる。 この物語の恐ろしさは自分もそうではないかという疑惑と恐怖を読む側にももたらし 人間の、また自分の心の深奥を覗かせるというところだと思います。最初は鼻持ちならないジョーンを次第に愚かな人と思いそして哀れになりながら、もしかして自分もそうでは?と度々??ってしまうのです。愕然としたのは「人間として大切なものとは・・・」という概念がひっくり返ったことでした。それまで優しさとか誠実とか大いなるものを信じる気持ちとかありふれた事を漠然と考えていましたが・・・ああそううなんだ探していたものはこれだったのか・・・・と。初めて読んでから長い年月が経ちましたが現在でもそれが他のもろもろの事にとは区別してとても大切なことと思っています。(実行は難しいのですがふとした時に心に留めている自分を感じます)訳者の中村妙子さんによると、クリスティは長い間このテーマを暖めており書き始めてからは一週間で書き上げ一語の訂正もせずに出版したとのことです。どんな深い絶望がクリスティを捕らえたのかはあずかり知らぬところとも・・・なぜここまで深く書かれたのか私は知りたいと思いますが・・・ | ||||
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自らを道徳的で、常識的だと信じている女性にこそ、読んでもらいたい1冊です。まったくの偶然で手にした本でしたが、読み終えた今では「出会うべきして出会った1冊だ」と確信できます。私の人生において、非常に貴重な助言をしてくれました。向上心をもち、人生を立派に生きていきたいと願う人、必見です。 | ||||
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この一般的なmiddle class の主婦の人生は、いろいろな人にいろいろな形で当てはまるし、全ての人に潜むとても「嫌な」面だ。 「XXちゃんにはこうするのが本当は一番よ」と。 偽善者は多いものだが、自分が偽善者だということに気が付かなければ幸せな一生を送れるかもしれない。けれども仮面のちょっとしたはがれかけに気が付き始めたら...この本を座右の銘として久しい。自分はこの主人公のようにあってはならないと言い聞かせながら生きている。 またこの本をいろいろな人にプレゼントしたいと思いながら、その行為自体が、まさしくこの主人公の「いやらしい」面を象徴してしまうのではないかと恐れてできない自分がいる。 | ||||
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この本には「女」が本来持っている、ある性質について書かれてます。その性質は、「自ら」が「気付く」ことによってのみ、コントロールできるものです。もし、コントロールできなければ、自分の愛する人、周りにいる人を傷つけ、痛めつけ、人生を狂わせ、最悪の場合は、相手を死に至らしめます。ここでいう死とは、肉体的なことでもあり、精神的なことでもあります。最も恐ろしいのは、加害者である「女」当人が、自分のしている事を自覚していないことです。もしかすると、「良いことをした」とさえ、思っています。仮に相手に拒絶されたとしても、全く気が付かないまま、過ごしているのです。たとえ、この「性質」について気付いたとしても、日常生活の澱のなかで、簡単に忘れます。コントロールする為には、主人公が砂漠の中でしていたように、絶えず自問自答しなければなりません。それは、日常の中で行うには苦しい作業です。しかし、怠れば、愛する人々を傷つけ続けるだけなのです。そんな恐ろしい性質とは、一体何なのでしょうか?「あなたの為なのよ」「子供の為なのよ」と言いながら、相手への思いやりを欠いたまま、自分の要求を通す、「我欲」。他人よりも少しでも自分が優れていると思おうとする、「傲慢」。自分が「我欲」と「傲慢」の固まりであるにも関わらず、その事実に気付かないまま、「私は人のために尽くしている、何も恥じることのない良い人間」と信じきってしまう「自己満足」が、愛する人への凶器にも化す性質なのです。より良い環境で、より良い子孫を残す」という、メスの本能の部分が悪しき形で肥大していったのが、これらの性質でもあります。この本は、小説の形態を使ってはいますが、内容は現実そのものです。「女」の一生の中でよく見られる、生々しいまでの現実です。読後、「女って言うのは、そういうもんだ」と言って開き直ることができるでしょうか? | ||||
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アガサ クリスティーは、人間というものの性質に対する造詣の深さと正確さの点でも天才だと思う。「春にして君を離れ」はミステリーではなく普通の小説だ。何の事件も起きないのに、主人公はこれまでの人生が全てひっくりかえるような経験をしてしまう。そして読者もまた主人公と同様の強烈なショックを受ける。私がこの本を最初に読んだのは20歳の頃で、かれこれ15年ほども前になるが、未だに折に触れ読み返す。自分が新しいライフステージに 入っていく毎に、それまで気にも留めなかった登場人物の人生が新たに興味を惹き、それまで何気なく読でいたエピソードが心に沁みる。この本は神業に近い名作だと思う。 | ||||
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この本を最初に手にとったのは、推理小説家アガサ・クリスティーの作品としての面白さを期待してのことでした。しかし、この作品には彼女の推理小説とはちょっと違った雰囲気がありました。推理小説だけではない、日常の人の心の中を言葉で表現できる、小説家としてのクリスティーの魅力に触れた気がします。奇抜なストーリー展開はありませんが、主人公の回顧形式に漂う哀愁、人間の中にある深く暗い真実、そしてそれを直視せずに向き合う人間関係をよく描いていると思います。読後に感じた人生に対する寂しさの余韻をうまく言葉に表現できないのが残念です。 | ||||
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ミステリィではなく、ホラーでもない。 でも、とても怖いのがこの本だ。 心理ホラーなんて言葉があるなら、それに当てはまるのかも・・・。 アガサの作品がどうして怖いのか、その原点がここにあるような気がします。 彼女のミステリィがなぜ面白いのか。 -作家としての原点がここにあります- | ||||
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