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ウイニング・ラン



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【この小説が収録されている参考書籍】
ウイニング・ラン (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ウイニング・ランの評価: 4.20/5点 レビュー 10件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.20pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(5pt)

シリーズ中最もマイロン自身に問題が迫ってゆく物語

スポーツ・エージェント、マイロン・ボライターのシリーズ最終翻訳済み作品7作目である本書についに辿り着いてしまった。この先4作までは本国では既刊となっているのだが、和訳作品はこれで、現在のところ最後となる。それも23年前のことだから、この後の作品は埋もれ、忘れ去られてしまうだろうか? と思いきや、2024年に本シリーズの新作(タイトル未定)が用意されているらしい、とはWikipedia情報である。これを機に残るマイロン・シリーズ作品も全部翻訳して頂けると嬉しいのだけれどなあ。うるうる。

 ともあれ、四半世紀も遅れて読んでいるへぼ読者のぼくとしては、これら古い作品たちも現在に近く感じられるままなので、何だかすべてまとめて手元にどんどん作品が届いてくるようなイメージなので、とても充実している。これを機に未訳シリーズ作品も日本の書店用にきちんと翻訳して並べてもらえると嬉しいなあ、と、そう、今こそわがままを言える機会だ。さ、新旧コーベン・ファンよ、集結せよ。と一番新米の読者のくせに生意気を言って失礼!

 さて本書であるが、文句なしのシリーズ・ベスト作品である。どの作品もかなりのつわもの揃いというハイレベルな物語ばかりなので最新作がいつもベスト、ということを巻末で北上次郎氏が書いている。最後に邦訳された本書がぼくは最も心が捕えられてしまった力作であるように感じたので、その通りなのだろう、きっと。本書の読みどころは、主人公であるマイロンの人生を過去から何もかも変えてしまいそうな出来事が、本書のスタートから驚きびっくりでいきなり語られ始めるところにある。お、これはシリーズのエポックに違いない。そんなびっくり箱的スタート地点からぼくらはページを繰る手が止まらなくなる。ううむ。

 マイロンは、言い年齢になっても両親と同居するなど、とても家族を大切にしているのは、既にご存じの通り。しかし、本書では、マイロン実家ではなく、別の次元で闇に眠ってきたもう一つの家族乃至親子の秘密が、本書の爆弾であり地雷となる。昔の恋。置き土産。マイロンというシリーズ主人公の、過去や未来に繋がる家系の真実が冒頭から明らかになり、マイロンとともに読者も揺るがされる。そしてその幽かに繋がっていた血の未来が、現在は途轍もない危機に瀕している。そんな自分ごとの事件がマイロンにいきなり直球ストレートで投じられ、シリーズ中、最も避けられぬ探偵活動を余儀なくされるというのが本書のスタートシーンなのだ。

 『元恋人のエミリーは、病気の息子を助けてほしいと懇願した。「子どもの父親はあなたなの」。死の淵に立たされた我が子を救うべく、消えたドナーを追うマイロンは、やがて・・・』カバー裏の記述はこう語る。

 本人も知らぬままに生まれていた息子が難病で命の危機に瀕する中、唯一骨髄バンクでヒットした提供者の行方がわからなくなってしまったと、元の恋人に告げられたマイロンは、驚愕と同様と懐疑の中で、想像もしなかった息子の存在を知り、彼を生かすための渾身の捜査を強いられる。冒頭から最後までただただ本気の緊張と行動が続く。最初から押し迫った状況が、マイロンの胸を(つまり読者の胸をも)締め付けるのだが、行方不明となった提供者の闇を知るにつれ、泥沼の悪意が見えてくる。物語は異様な方向に逸れてゆく。

 シリーズ中最も闇の深い作品であるように思う。そしてシリーズ中最もマイロン自身に問題が迫ってゆく物語でもある。家族の物語。時間的にもあまりにも長いスパンの物語。血の物語。この最終章をもって翻訳が打ち切られているという状況が理解できないのは、果たしてぼくだけであろうか? この後のマイロンのシリーズをも読みたい。三度くらい書けば翻訳が上梓されることもあるだろうか? 読みたい。読みたい。読みたい。さて、どうだろうか? 皆さんも是非ご唱和あれ!
ウイニング・ラン (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ウイニング・ラン (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.7:
(4pt)

緻密なプロット構成は読ませてくれたが。

頼んでいる本が届くまで積んである本のなかから適当に本書ハーラン・コーベン著『ウイニング・ラン』を選んで読むことにした。
 読み始めてすぐ元バスケットボール選手だった主人公のマイロン・ポライターというキャラクターを思いだし、少年の骨髄移植という重いテーマも微かに思い出した。
 本書が2002年刊行の本だから評者が読んでから14年過ぎたから記憶もここまでであったから楽みながら読むことができた。
 マイロン・ポライター・シリーズ第七作目の本書『ウイニング・ラン』は、著者も読者に飽きられないように緻密なプロット構成をしてストーリー展開している。
 が、複雑に何度もどんでん返しを演出する後半は少々不自然だと思い始めたらページを繰る手が鈍ってきてしまった。
 本書を読みながら同じマイロン・ポライター・シリーズ第三作目の『カムバック・ヒーロー』も以前に読んだ記憶が蘇ってきた。
 評者は、『カムバック・ヒーロー』のほうが本書『ウイニング・ラン』より出来がよい作品だったように思いながら本書を読み終えた。
ウイニング・ラン (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ウイニング・ラン (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.6:
(4pt)

シリーズ最高作

カバー裏に「感動のシリーズ最高傑作」と謳われている言葉に嘘いつわりはありません。シリーズ第5作『スーパー・エージェント』と迷うところですが、本書が現時点でのシリーズ最高作と云っていいかと思います。
 現実味のないキャラクターばかり出てくるのに、どうしてこんなにも重く感動的な物語が書けるのか。毎度のことながら不思議に思えるほどです。これだけでも著者が卓越した小説技術の持ち主だと分かりますが、著者はさらに卓越したパズラーの書き手でもあるのです。
 本書では真犯人の正体をめぐり、二転三転のどんでん返しで読者を翻弄してくれます。その犯人の隠し方にはアガサ・クリスティーの某長編を連想しましたけれど、綿密に伏線を張り巡らせて、フェアプレイに徹した構成は、むしろエラリー・クイーンを彷彿とさせるものがあります。終盤のスリリングな展開もお見事。
 終わりの方でマイロンが選択するある行為には、僕の倫理観からは頷けない部分もありますが、それも含めて読者に重い問いかけを与えるドラマに仕上げている点を評価したいと思います。
 ただ、この著者の作品に限りませんが、最近のアメリカ・ミステリは登場人物たちが放つジョークや悪態がお下品に過ぎますね。死体の描写がいくら残虐でも構いませんが、普通の人の普段の会話がみな下品なのはどうなのでしょうか? こういうところに、アメリカという国の民度の低さを感じ、溜息をつかずにはいられません。星ひとつ減点は、それが理由です。
 あと、この邦題は意味不明。このシリーズの邦題のセンスのなさは、一体何なのでしょうか?
ウイニング・ラン (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ウイニング・ラン (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.5:
(5pt)

本格的な推理小説

スポーツエイジェントの仕事の方は、前回の事件により傾いたままだが、昔の恋人から、自分の息子が白血病に冒され骨髄移植が必要で、唯一の移植可能なドナーが忽然と消えてしまったと聞かされたマイロンは、本業そっちのけで人捜しに没頭する。
 ウィルもライフルをビルに撃ち込むなどの活躍を見せる。
 事件の結末は、複雑、予想外のもので、真相が明らかとなったら、全ての事実が符合していく。本格的な推理小説です。

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No.4:
(5pt)

American family

主人公のマイロンはスポーツエージェント。今回のお話は家族愛に
満ち満ちてます。中心は何組かの父親と息子の関係を描いてますが
他にも家族の形を問うようなケースを盛り込んでます。
推理小説としても話の筋はよく練ってあると思います。
主人公に息子がいた!・・で作者の思い切りの良さにビックリした私。この息子とマイロンの関係がどうなるのか興味津々でしたが
結末はもう読んでからのお楽しみです。
私としては意外なでもこの作者らしい展開でした。
マイロンシリーズを読んでいる人には絶対にお勧めです。
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No.3:
(4pt)

父と子の物語

シリーズものの7作目で、スポーツエージェントが主人公なのだが、スポーツに関する話ではない。私はこのシリーズの愛読者ではないが、すんなり楽しめた。主人公に子供がいたことが発覚の巻! で、父と子、というのが大きなテーマになっている。主人公と息子、主人公と父、など、さまざまな父子関係を描いてなかなか秀逸。男が父親になっていくこととはどういうことか、子供にとって父親とは何か、ということを織り込みながら、謎解きとしても楽しい作品に仕上げている。主人公の軽口もなかなか気がきいている。
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No.2:
(5pt)

人気シリーズには理由がある!

なんとマイロンに息子がいた!しかも彼は致命的な貧血症で、行方不明のドナー発見に全てがかかる、と始めから読者驚きの展開。
始めは当然面食らったマイロンが、生物学上の父親という自覚以上の感情に動かされていくのが読者の心も揺さぶる。というか、私は思いっきり揺さぶられました。マイロンと老いてきた父さんの会話、最後のグレッグとの和解(?)、ジェレミーとの初めての父&息子の会話、この辺り読者の心を鷲掴みです。このシリーズの人気はこういう感情の無理の無さと、表し方のうまさにある、と再確認しつつ味わえた1冊です。でもウィン、次はもっと活躍してね。
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No.1:
(5pt)

家族愛を感じるヒューマンミステリー

マイロンが年老いた両親のいる実家に戻ると、大学時代の恋人、エミリーが突然ベンツで乗り付けてくる。彼女は、高校時代から大学時代を通してマイロンのバスケのライバルでもあったグレッグと結婚し男の子を一人産んでいた。しかし、その彼女から息子がファンコーニ貧血症という難病を患っていて、骨髄移植しか治療法がない事を知る。骨髄バンクには一人だけ型の一致しているドナーがいた。しかし、そのドナーがある日行方不明になる。手がかりのないまま、マイロンはそのドナーを探し始めるが、次第に謎が深まっていく。マイロンが実はこの一人息子ジェレミーの実の父親であることを知らされ、なんとしても助けようとする。そこで、スポーツ・エージェントのウインやエスペランザらとともに捜査を開始する。ハーラン・コーベンの作品の中で交わされる会話は無駄がなく洗練されていて、オシャレですらあると感じてしまうし、何より人物のキャラが面白く、全編軽快なリズムで読み通すことができるので、つい夜更かししてしまう。さて、ドナーにまつわる意外な真実とは?そして、ジェレミーは果たして助かるのか?最後まで息がつけない面白さ。そして、なんといってもやはり、他に勝るものが無いのは家族愛なのだと確信してしまうのです。うーむ。面白いですね
ウイニング・ラン (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:ウイニング・ラン (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151709576

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