WIN
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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アメリカで大人気の「マイロン・ボライター」シリーズのスピンオフ作品。マイロンを助ける立場だったウィンが主役になり、自身の一族と関わりがある難事件を自分の価値基準で解決していくミステリー・アクションである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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長い時を経てまたウィンに出会えた。 でも待ってました!とかは思えないよ。 お互い歳を取って、また再会したねって感じ。 ウィン・・ マイロンと別れて何年たっても彼の事が大好きなんだね マイロンが助けを求めてきたとき 私は彼のために、質問もせずためらう事もなく、彼の戦いに馳せ参じた。 だからマイロンは私に借りがある。そう思う人は多かろう。 しかしそう思う人は間違っている。 「人間関係というものは決してフィフティフィフティにはならない。 6対4になることも、時には8対2にもなる。 自分が8になることも2になることもある。 大事なのはそれを受け入れそれでかまわないということだ。」 このマイロンの父の忠告はあらゆる人間関係の真実をついていると思う。 マイロンとの友情が私の人生にどれほど多くの彩りを与えてくれたかと思うと そう、マイロンは私になんの借りもない。P144 ここだけ読んでも、エスペランサを含む3人のあの熱い日々を 思い出して私の胸はいっぱい。。 それにあの軽口マイロンを思い出させるユーモアも随所に 「私は”ノーコメント”を12カ国語で言えるよう勉強しています アイ・コメンティア 今のはフィンランド語です」P273 「秘密をひとつ教えよう 高級なゴルフクラブの中には非会員や観光客でもそのクラブのシャツやグッズが買えるところがあ る。--これが実に儲かる。--が、ロゴの下にクラブの名前が書かれていたらそれは観光客むけ。 私が着ているように名前が無い場合、つまりロゴだけで文字は書かれていない場合 それを着ている人は正真正銘、そのクラブの会員ということになる。」P322 陰惨な事件の中にもふっと笑わせてくれるところがあるのは あのマイロンシリーズと同じで私的にはとても好き。 会話のウィットとユーモアがお洒落で楽しい。 地獄の沙汰も金次第、マイロンの暴力装置、冷血王子・・色々ありますが 最後の彼の言葉はいいな・・・ 「充実した人生を送る秘訣は、刺激的な冒険をすることでも にぎやかな生活を送ることでもない。そんな暮らしを続けることなど誰にもできやしない。 充実した人生とは、平穏で慣れ親しんだ生活を受け入れる事であり もっと言えばそれを愉しむことだ。」P511 ウィンが少し抒情的になって もうこれでシリーズとどめの最後と言わないで欲しいよ。 またあの日々のみんなに会いたい!! | ||||
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もうこの作家の本は出ないのだろうか?と、思っていたのですが。マーロウシリーズ❔が、とても好きで、出ている本を片っ端から購入して読みました。最後まで楽しめる作家だと思います。マーロウ氏の、隣に居た、ウイン氏を、いつも想像していたので、今回、本当に面白かった。また、続きが、出ますように希望します。 | ||||
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『カムバック・ヒーロー』を読んで間もなく『WIN』を読む幸せ。もちろん偶然。それも、なぜか神がかり的な偶然! 何と25年の時を経て刊行されたのは、スポーツ・エージェントのマイロン・ボライターを主人公にしたシリーズのスピンオフ作品。マイロン・シリーズに欠かせない相棒のウィンザーホーン・ロックウッド三世にしっかりと齢を重ねさせ現在形の主人公として起用あいなったのである。Wao!! ウィンはマイロンのシリーズでも相当魅力的な主人公であるばかりでなく、とても重要でインパクトのある仕事を果たす。知のマイロン。力のウィン。よくある私立探偵ハードボイルド・シリーズのコンビネーションを、そのままなぞったような、いわばアメリカン・スタンダード。 どちらかと言えば無口な主人公であるウィンのなのに、なぜか本作は彼の一人称で語られる。減らず口の得意なマイロンですら与えられなかった叙述法。感情を示さない(感情が希薄と言った方が正解かな?)ウィンの一人称。これは、ある意味、謎めいた存在でもあるウィンの内面が改めて覗けるという点で、とても興味深いのだが、作者がこの手法を敢えて取ったこの作品。コーベン・ファン、さらにはウィン・ファンの関心を、強烈に惹きつけること請け合い。何せタイトルそのものまでが、”WIN”。 あまり感情が動かない様子、プラス、ウィンの生きる方程式のようなものは、随所で本人によって語られるから、ウィン・ファンの読者には相当そそられる作品になるだろう。無論、ぼくもその一人。 さて事件そのものは、けっこう時間枠でも空間枠でも大スケールなもの。1970年代に世界を騒がせながら、誰一人としてその後の行方がわかっていないテロ・グループ6人組のジェーン・ストリート・シックス。テロ行為の結果である某バス襲撃事件では、かつて多くの被害者が出ている。世界中が彼らを探し回ったのに、その後の行方は、一人として杳として知られぬまま。 本作では、まず謎の「貯蔵家」の遺体が、発見される。事件現場では、ロックウッド家から失われた二枚の名画のうち一枚が発見される。フェルメール『ピアノを弾く少女』。もう一枚ピカの名画は『本を読む人』は何処? ウィルの父、亡き叔父など、ロックウッド財閥を巻き込むために、ウィルの家族、過去の謎めいた事件などが、この作品では改めて明らかになってゆく。中でも、森の中の小屋で監禁放置状態で汚物まみれになりながらも脱出を果たした従妹パトリシア・ロックウッドの存在は、最近のコーベン作品によく似た独特の奇妙さを有して不気味だ。この森の少女連続監禁事件では、パトリシアの脱出とともに他にも多くの少女が遺体で発見された。パトリシアは唯一の生き証人であった。しかし、それも22年前の未解決事件である。 現在のフェルメール殺人事件が、過去の未解決事件とどうやって繋がってゆくのか。ウィンの捜査や冒険により、様々なもつれが徐々に解かれてゆく。その真実たるや、なかなかに重厚で複雑な人間絵模様とも言える。ウィンの視点で、彼自身の運命をも象ってゆく真実を、どちらかと言えば淡々とユーモアすら交えつつ(本人が意図しているかどうかはともかく)描かれ、読まされてしまうのはいつもながらのコーベン節。ウィンの性格をよく活用しているとも言える作品である。 一ヶ月ほど前に読んだばかりの『カムバック・ヒーロー』ではラストシーンがウィンの行動で終わるのだが、これについては本作p494でウィン自身が振り返っているので、いわゆるネタバレ。なので未読の方は『カムバック・ヒーロー』を先に読んで頂いてから本書にかかるのはどうだろう。それ以外のマイロン・シリーズのどれか一冊でもよいのでそれを読んで頂いてからでもよいと思う。これを単体で読むよりもずっと深く、楽しく、ウィンの現在の物語を重層構造的に読むことができる。何であればウィンの個性を、この作品の後にマイロンのシリーズで追尾してみては? 楽しみは単なる二倍はなく、十倍にも二十倍に、いや百倍にも膨らむはずである。 | ||||
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ハーラン・コーベンを読むのは「森から来た少年」(2022/1月)以来になります。 新しい翻訳「WIN "WIN"」(小学館文庫)を読み終えました。マイロン・ボライター・シリーズ、「沈黙のメッセージ」についてから始められればいいのでしょうが、何せ1990年代後期の作品については詳細を思い出せません(笑)。残念ながら本も処分してしまいました。 今回はそのマイロン・ボライター・シリーズからのスピンオフ。マイロンのバディ、ウィンが主人公。 ウィン=ウィンザー・ホーン・ロックウッド三世。彼はニューヨーク、ダコタに居を構える財務コンサルタントですが、フィラデルフィアのエスタブリッシュメントの御曹司ですから、或る意味やり放題。仕事にもルックスにも恵まれ、趣味はセックス?と暴力。その暴力装置としてのプロフィールは、彼が判断する悪を成敗することに費やされます。それは、悪くない。悪くない設定だと思います。鍵は、<ブルース・ウェイン>のようにと言っておきましょう。 FBI捜査官に連れられてきた場所は、高級アパートメント、ベレスフォードの最上階。ウィンはそこで起きた殺人事件に巻き込まれることになります。殺害されたと思しき住人は、世捨て人と呼ばれ、ウィン自身が「貯蔵家」と名付けた老人ですが、その身元は不明のままです。ウィンは何故ここに呼ばれたのか?寝室に掛けられた一枚の絵画。フェルメールの「ピアノを弾く少女」(ルノワールではありません(笑))。それはウィン一族の所有物でした。その絵はピカソの「本を読む人」と共に或るギャラリーに貸し出されていましたが、盗難にあっていたものでした。また、そこにはロックウッド家の紋章入のスーツケースもあって、それはウィン自身の持ち物でした。そして、ウィンのいとこのパトリシアの存在が浮上してきます。彼女は18歳の時に父親を殺害され、誘拐され、閉じ込められ、何とか逃げ出したサバイバーでした。関連して引き起こされたバス事故。<ジェーン・ストリート・シックス>と呼ばれる学生活動家たち。殉職したFBI捜査官。果たして、「貯蔵家」と名付けられた老人は何故殺害されたのか?フェルメールは本物なのか?ピカソと共に未だ見つかっていないパトリシアの事件の犯人は? いつもより多く書き過ぎたような気がしますが(笑)、メビウスの環のようにうねりながら関連する多くの謎をウィンは、意外にもしっかりとした<私立探偵小説>のプライベート・アイのように解きほぐしていきます。 ウィンはやり放題に見えて、「充実した人生とは、平穏で慣れ親しんだ生活を受け入れることであり、もっと言えばそれを愉しむことだ」と宣います。まあ、金があろうがなかろうが(笑)。 そして、数多くの登場人物、数多くの米国の抱える闇、数多の欲望を解きほぐすウィンの捜査の先にある灰色の場所には、どうしても無視しては通り抜けることができない或る思いが清潔にわだかまっています。 ウィンは、最後まで大人としての<暴力装置>として他者に何と思われようと気にすることがありません。おそらく神に対しても。 | ||||
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