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【この小説が収録されている参考書籍】
ゲスト (角川ホラー文庫)

ゲストの評価: 3.60/5点 レビュー 5件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

長ったらしい文章とヘタレ主人公

301ページという分量を長ったらしく感じさせるのはある種の才能だ。
 主人公の目線から描かれる物語の内容は『呪怨』や『リング』、『残穢』と同様だ。本作は目に見えるわけがない「呪い」を同じく肉眼では捉える事のできない「ウイルス」に例えて、「呪い」が人の手から人の手に渡され、「呪い」の感染が拡大していく様を描いている。
 この設定は読者を楽しませる試行に溢れている。人はいつだって、自分の人生や世界で起きている不幸、もしくは不穏な出来事に自分の経験や根拠を用いて解明したがる。今、世界で起きている不幸で不穏な出来事はもしかしたら何かの因果が原因で起こっているのかも知れない。そんな風に思うとこの小説は先見の明を持った作品だと評する事ができる。要するに、怖いのだ。もしかしたらこの世界には人を凶暴化させる「呪い」が伝播していて既に取り返しがつかないところまで来ているのかも知れない、と考えるだけで。
「呪いだぞ? ウイルスじゃねえんだぞ? それは土地から人、そしてまた人にうつるんだぞ? もう止められねえんだぞ?」
 そこまで考えさせ、背筋に鳥肌を立たせられればこの小説は成功している。なんといっても恐怖劇の必須要素、「呪い」と「感染」を盛り込んで調理したのだ。この二つの食べ合わせが悪い訳がない。
 難点をあげるのなら一つ。主人公があまりにもヘタレすぎる。内心描写が長ったらしく、あまりにもヘタレで「早うせんかいボケェ!」と怒鳴りたくなる。
 執拗に執拗に、繰り返し繰り返し、描かれる心境描写や似たような説明に付き合うのを、「克明かつ、細部まで極めて観察が行き届いている。また、執拗な描写は神経症的に人の感情を逆なでして恐怖を煽る」と評するか、たった一言「長ったらしい。同じ文言が繰り返されるだけ」と評するのでは雲泥の差がある。時には長く描写したい部分を削り、思い切って読者に投げ渡して想像力に任せるのも方法論の一つだ。
 例えば本作の様な設定であれば主人公が感染を疑い、神経症的になっていく、という展開があれば恐怖を倍増できた。無論、省略や描写という技法を用いて読者の想像力に任せる事は必須だ。だがそれがなく、うんうん悩み続けるヘタレ主人公を見せられるだけでは前述したような罵声が喉元までせり上がってくることもあるのだ。ひょっとしたらこの主人公は作者の投影、分身なのではないか、と考えたくもなった。だとすれば時には己以外の主人公を想像し、ボキャブラリーを磨く必要がある。人物像が物語にマッチする様に練り上げ、物語のピースとして機能させられなくては退屈な話を卒業できない。小説上の人物とは、確かに創作主=作家の分身である。隅々まで描写するのは大いに結構だ。だが本作の描写はあまりにも長ったらしく、主人公がヘタレすぎた。
ゲスト (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:ゲスト (角川ホラー文庫)より
4043728034

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