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リヴィエラを撃て
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リヴィエラを撃ての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全37件 21~37 2/2ページ
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「黄金を抱いて翔べ」に続く作者の第2作。しかし、書かれたのは本作の方が先らしい。発表時に大幅に加筆・修正されたようだ。物語は日本で起こった殺人事件に係わり、「リヴィエラ」というコード・ネームの謎を巡って、国際的なサスペンスが展開される。 相変わらず、IRAの組織やダブリンの街並み(実際、現地で調べたかと思う程)、英国の諜報機関等に対する精緻な描写が作品に迫力を与えている。しかし、日本人が北アイルランド問題やそれに係わる人間を軽々しく云々するのはどうかと思う。この問題は歴史的に複雑な事情が絡んでおり、私の好きな"U2"(北アイルランド出身)が本問題に係わる歌「Black Sunday」を唄っただけで襲撃されるという有様なのである。 本作は特に人物描写において、部分的には読ませる箇所はあるのだが、最後に明かされる「リヴィエラ」の正体を見て、徒労感を感じる人が多いのではないか。「私はミステリ作家ではない」と開き直られると困るのだが、これだけの分量を読んだ読者に対して最後にプレゼントするというサービス精神(あるいは構想力)があっても良いのではないか。 | ||||
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李欧を読んで参ってしまい、手に取りました。 読んで良かったです。どきどきしました。 各国の一部の情報部員が知っている裏事情に、主人公達の運命が絡んでゆくストーリーです。 主人公である元IRAテロリストのジャック・モーガンも、イギリス人の血をひく警視庁勤務の手島修三も、 <リヴィエラ>というコードに包まれた、大きな秘密の一端に触れたところから少しずつ巻き込まれていきます。 近づきすぎれば命の危険があることを知っていながら、 淡々と目的に向かうジャックがとても魅力的でした。 中国、イギリス、アメリカ、日本を中心にそれぞれの政府・情報機関・ 警察・スパイが登場するので、多少混乱しましたが読み応えがあります。 すべてのことの起こりが歴史的事件だったりと、スケールの大きさに圧倒されました。 主人公に関わる登場人物もじっくりと描かれており、 大きな力に翻弄されながら、自分の意志を貫く彼らの人生を感じることができます。 隠蔽するほうも、暴こうとする人々も、<リヴィエラ>事件に関わった皆によって数十年の歴史ができあがっています。 シンクレアのピアノがストーリーの中に華を添えており、 きっと、ブラームスの協奏曲第二番変ロ長調を聴きたくなります。 | ||||
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ひとりのIRA闘士を中心に据え、世界の裏側を描いたスパイ小説である。高村薫の得意とする綿密に計算された構成は、登場人物の豊富さと幾重にも張り巡らされた人のつながりを生み出すことで、その真価を発揮している。とかく男臭くなりがちな諜報戦の中でも、悲恋を挿入するあたりにも著者の如才のなさが伺える。文章に硬質な感じを受けるが、これは話が会話中心でなく心の内面や背景を緻密に描写しているからで、そこに作中人物がおもてに出さない、本音の部分を読み取ることができる。物語は年次ごとにいくつかの章に分けられているが、それぞれに山場がある。そのためか本書を読み終わった後に、物語と同じく何年もこの世界観に浸っていたのではないかという錯角すら覚える。読後は、暗鬱な物語に寂寥感すら覚えるが、前記した理由から壮大な物語を読み終えた達成感も同時に得られる。この作品は、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞をダブル受賞している。 | ||||
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読むのに力の要る作品でした。(気軽には読めません。)文体に触れておくと、外国作品の翻訳のようでして、少々慣れるまで時間がかかってしまったのです。しかし、力強い文章が脈々と続くので、まさか女性の作品とは思いませんでした。「読ませる」文章は素晴らしいですね。作品としては、主人公が前後半でテロリストのジャック、警察官の手島と分かれます。それぞれが「リヴィエラ」というキーワードを巡り、思想・策略などが交錯するのですが・・・手塚治虫作品のように主人公格のキャラがことごとく死んでいったり、「リヴィエラ」があれだったり、重要なキャラの正体が曖昧なままだったり。そういった部分は惜しいと思うのですが、それでも外国の土地に思いを馳せながら、十分に肉厚なストーリーを楽しむことができると思います。重厚な作品をお求めの方に是非。 | ||||
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つい最近、「減価償却」の考え方がようやく理解できた。会計という視点だけではなく、税務という視点があってやっと存在理由が分かった。会計からだけでは、何が何だか分からないものだ「減価償却」って。同様の事は「オブジェクト指向」でも言えるし、「ポインタ」でも言える。要は、それ自体を知るのに必要なパーツが足りなかったのだ、当時は。なのに闇雲に一方からしか事物を眺めず、工夫をしなかったが故に、結局分からないままであり続けた訳だ。 というのが、『リヴィエラを撃て』を読み終わった感想。IRA、北アイルランド紛争、CIA、MI5、MI6、文化大革命、香港返還、日中国交正常化、それらが分かった上で読めば、非常に精密に組み立てられた極上のスパイ小説と言えるのだろうけど、先に上げたキーワードをほとんど知らない人間が読むと、断片的な事柄しか理解できなくて、「ジャックもリーアンもサラもケリーもジェンキンスもバーキンもダーラム侯もシンクレアもみんなみんなあぁぁ」という人情小話的な世界でしか共感出来ないのよね。 話が複雑に入り組んでいるので、「で、レディ・アン・ヘアフィールドはおとがめ無し?」とか「ゲイル・シーモアは尻切れトンボじゃん」とか「《ギリアム》がちょっと物足りなくないすか」とか「手島が見たのは誰?」とか、自分自身の中で消化不良な部分が多いのす。 | ||||
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国際国家、組織などのいろいろな思惑が交錯し渦巻く中、さまざまな人間の血が流れる。コードネーム 《リヴィエラ》 の謎を抱えたまま、物語は突っ走る。複雑な社会背景と人間関係が、緻密な文章で組み立てられていく。「腰をすえてしっかり読まなければ、その複雑な関係が頭の中で混乱してしまう。」そう思いながら読んだ。国家や組織に翻弄される人間の愚かさ、無力さ、悲しさ、そういうものが見事に描かれた、読みごたえのある1冊だった。 | ||||
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ものすごいです・・・。本当に!まさに大作というにふさわしい。ミステリというかエスピオナージュです。情報戦。何が面白いかというとやっぱり、手に汗握る情報戦。錯綜する情報、ドカンドカンと起こる事件、意味の分からないメッセージ、ささいなエピソード、これでもかってほど敷き詰められています。それらの全てがクライマックスに向けて収束されていく様子はまるで砂時計の砂が中心からスーっと落ちていくよう。お見事!としか言いようがない一冊です。こういうことができるから、この方は“女王”と呼ばれるんでしょうね!! | ||||
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『李歐』までの高村薫さんの大きな作品には、私にとり不思議なパターンがあります。主要人物のうち男たちは、愛情の対象となる男の手を握っている間は死なず、その手を離した途端に懐かしさの海に自ら突っ伏し溺れるように死んでいきます。一方で女たちは愛する男の手が握れると彼を助けるために死なねばならず、彼に愛を拒絶された女だけが生き残れます。愛情に包まれて生きのびられた女はただ『レディ・ジョーカー』の障害児・レディだけ、というのは大変象徴的です。 この背景にあるのは、高村さんが幼い弟を病気で失った哀しみの大きさかと憶測されます。その哀惜は家族全体にとっても余りに深く、なぜこの小さい弟(=男)が死なねばならず、この私(=女)が生きのびるのか、という思いに固まっていったのではとも。 『リヴィエラを撃て』は、謎解きとしてのロジックが終わり近くで破綻しているように私には思えますが、多くの死を超えた主人公の一人が最後に、理不尽な社会を拒絶した寒い地で幼い男の子の手を握って生きていこうとする姿は、作者の何よりもの願いのようで、読み返すたび心を強く揺さぶられます。 | ||||
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暗い情念を抱える男たちというのは、高村薫の作品に共通的に登場する人物像だが、本作はそうした男たちが幾人も登場する。イギリスと日本を舞台に「リヴィエラ」と呼ばれたエージェントを巡る国際謀略のストーリー。92年1月、雪が降る夜、雪を見ながら死に行く男の独白シーンに物語は始まる。都内それぞれの場所で謀殺された外国人の男女。事件に関わる警視庁外事課の刑事。だが、捜査は上から圧力で中止させられる・・・。84年、舞台はイギリス。IRAの若いテロリスト、ジャック・モーガンの物語が語られる。恋人リーアン、彼に関わるCIAのエージェント、暗躍するイギリスの情報機関<MI5>、<MI6>、スコットランドヤード、CIA、組織間の対立、情報の隠匿・・・。それぞれに情念を抱える男たち。仕事に対する義務、気概、生き方、息詰まる人間関係、組織の論理と個人。暗く重苦しい雰囲気に懊悩しながらも、逃げない男たち・・・。女性の登場人物は少ないが、その分、キラリした印象を残す。海外を主舞台に緻密で重厚なストーリーに圧倒される(これが日本人による作品か、という驚き)。運命に抗いながらも逍遥として受け入れる男たち・女たちの生き様が印象的。 | ||||
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何回も読みました。ハードで、切なくて、とても大好きな作品です。IRA、CIA、MI5、MI6など、普段の生活では絶対に関わることができない話なので、すごくのめり込みました。現代と過去を交互に描くのも巧いと感じます。ただ、人によってかなり好き嫌いが別れる作品だと思います。 | ||||
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この本は、一気に読み進んでほしいです。小説の中の世界があまりに大きすぎて、一息ついたが最後、最初から読まなければならなくなる可能性が大です。登場人物にカタカナの名前も多く出てきます。時間のない人のために、シドニー・シェルダンの本みたく登場人物関係図があるとよかったのですが…。これが残念なところ。でも小説の内容は、推理小説としてすばらしいだけでなく恋愛もたくみに描かれており読む人を魅了するものとなるでしょう。 | ||||
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かつて高村薫のことを「女流作家と言う肩書きを消滅させた作家」と評した人物がいたというのを聞いたことがありますが、そのことを実感させられる作品です。非常にハードな内容を、これまたハードな文体で抉るように描き出していきます。これはスパイを題材としていますが、ミステリではありません。むしろ、「国家」というものに踊らされる人間が、いかに「人間」たり得るかを主題としているのです。 イギリス、アメリカ、中国、そして日本の諜報機関、警察機関などが入り乱れ、奪い合うある情報と、それに翻弄されるテロリスト、刑事、諜報部員。彼らは組織、国家の歯車として動くことだけを期待され、用無しとなるや抹殺されていく運命にあります。しかしそのような状況の中で、彼らがいかに自分㡊??意志というものを発露するか苦悩し続ける姿が描かれます。たとえ彼ら自身が、それを感傷に過ぎないと分かっていても。 各々の立場が課してくる「国益」と「正義」に、彼らがいかにして立ち向かうか。そしてそれに押しつぶされながらいかに生きるか。ここに描かれているのは実に現代的なテーマです。重いテーマでありながら、息もつかせぬスピード感と、重厚なストーリーで一気に最後まで読ませてしまう作者の力量はやはり並の作家ではありません。久々に時間を忘れさせられた小説でした。 | ||||
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IRA、CIA、MI5、MI6、日本、中国が複雑に絡む諜報モノ。地域と年代を股に掛け、人と組織とが複雑に絡み合う。ちょっと油断すると分からなくなるので、覚悟の上で読み始めるのが良いと思います。私も女性が書いた諜報モノということで、偏見100%でかなりナメてかかって読み始めましたが、少し読み進んでは確認のために戻ったりして、ページ数の割には読み終わるのに時間が掛かりました。よくよく見ると推理作家協会賞と冒険小説協会大賞をダブル受賞した大作だそう。そしてこの作品で私は、今更ながら高村薫にハマりました。 | ||||
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長い話である。物語の設定は、23年にも及ぶ。気を引き締めて挑まないと、途中で挫折してしまうかもしれない。内容は、アメリカ、イギリス、中国、そして日本間の国際諜報戦と、北アイルランドのテロ組織を絡めたものを背景とした、そこで戦う男達の清冽なる生き様を描いた物語である。男達は白髪の東洋人、「リヴィエラ」の姿を追い求めて、命を賭して戦う。そして、多くの者たちが志半ばで果てていくが、その遺志は次の男たちへと引き継がれ、最後に謎は解き明かされる。 清廉なる小説だと思う。多くの男達が残虐なる手口によって命を落とすが、そこには悲哀こそあれ不快感はない。それは男達の、正義への純粋なまでのひたむきさによるものかもしれない。 | ||||
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国際諜報戦という大きな舞台を、章によって主たる語り部を変えながら、ストーリー全体を様々な人の視点で描いています。これは大変な力作だと思います。「テロリストの矛盾よりも外の世界の矛盾の方がひどい」というのは名言だと思います。そして、下巻でこの言葉の意味が見事に描かれていました。 | ||||
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高村ワールドの初期の作品。読んでみて、生硬さがあり、それが最後までこなれなかったという印象が強かったです。私自身がアイルランドについて詳しくなく、イメージがわきにくかったせいかもしれません。 それでも下巻を読んでいくと、次第に物語は加速していきます。読み終わって、なんだかごつごつしたものが心に沈殿するのはいつも通り。男の世界を書かせると、やっぱりうまいなあと感心しました。 結論として、面白いのですが、読むのには時間がかかりそう。途中で投げ出してもいいんじゃないかというくらいの気持ちで読んでみてはいかがですか。 | ||||
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つい最近「アンジェラの灰」という映画を見た。上映中ずっと雨が降っているイメージのある、青い灰のかかった色のイギリスが出てくる。この小説とイメージが似ている気がする。この小説の舞台のアルスターでは無かった。そしてこの小説で雨の降る場面は少ない。けれどもこの小説の色は青い灰色だ。IRAのテロリストの詳細な記述から物語が動き出し、MI6、MI5等、「007」シリーズとは全然違うイギリス情報部の姿が描かれる。まるでサラリーマンが黙々と仕事をこなすように、諜報活動を続け、人を殺す人たち。けれども彼らには彼らの矜持があるらしい。正義感といってもいいのかもしれない。「リヴィエラ」という一人の日本人スパイを巡って、彼らの正義感(?)がぶつかり合っているみたいである。それがどこまで行くのか。この色は変わらないように思えるのだが。 | ||||
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