■スポンサードリンク
スパイク
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
スパイクの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いわゆるパラレルワールドを、日常を舞台にとりあつかったSFです。もうひとつの世界と接近遭遇できるような膜の薄い場所であった、下北沢のカフェ。そこで出会った、愛犬とそっくりの犬を連れた青年。その犬どうしが次元の界面を通り抜けて入れ替わってしまった・・・・という発端です。 ヒロインは、突然連絡のとれなくなった相手の青年を捜そうと、この世界にきてしゃべれるようになったビーグル犬スパイクとともに、青年の言った言葉やメールの文面から、もうひとつの世界と、この世界がどう違っているのかを調べてゆきます。 どうやらほとんどの事実は、ここと平行して、あちらの世界でも起こっているようなので、こちらの事件を解決すれば…… このあたりは、とても緻密に論理が進んでゆき、ミステリの快感がありました。 それだけにこの緻密なままにラストが導かれれば最高だったのですが、そこはいきなりパズルの論理が崩れてしまっています。惜しい。こういう結末にしたい気持ちはわかるので、そこまでの持ってゆきかたが、数学的なSF論理から少し離れればよかったのですが。 その点は不完全燃焼でしたが、この物語で印象的なのは、なんといってもビーグル犬スパイクです。ヒロインとの二人三脚ぶりもですが、彼の語る次元の界面の越え方がすごい。ゴムの膜を押して向こうにでると、向こうにいるものがこちらに押し出されてきてしまうとか、こちらに来るときは、体が輪切りになって、全部がひっくり返るような感じとか、パラレルワールドを大変リアルに体感させてくれます。 また、言葉を使えるようになったために、「他の犬より匂いを識別できるようになった。ほかの犬は嗅いだ匂いを忘れてしまうが、ぼくは言語化して、タグをつけておけるから忘れない」というくだりなど、はっとする意見も。 ラスト近くで二匹のスパイクがふたたび入れ替わるところ。「尻尾を持ち上げてジャンプしたビーグル犬の下半身だけが二つ、向こう側とこちら側から合わさった、そんな異様な姿が宙に浮かんだと思うと、いつの間にかその逆――両方に頭のついた姿に変わっていった」シュールレアリスムの絵を見ているような描写でした。小説の中で、これほどふしぎな名犬に出会ったことはありません。 もちろん、「スパイク」という言葉のもうひとつの意味を活かしての、ちょっとせつないラストも心に残ります。 パラレルワールド恋愛ものの名作と呼べると思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私は、ふだんはあまりSF的設定の小説は読みません。息抜きのために読書したいほうですので、日常から離れたややこしい設定の話は苦手です。 でも、松尾由美氏の小説は別です。日常から離れたちょっと不思議な出来事をうまく織り込んで、でも登場人物のこまやかな感情の動きもお留守にならずに、優しくてすこし切ない物語を作りあげてくれます。 以前、『雨恋』、『9月の恋と出会うまで』を読んで、すっかり松尾ワールドのファンになりました。この『スパイク』も、『雨恋』などと似て、すてきな作品でした。SF的要素と恋愛小説の繊細さをうまく結びつけています。 登場人物も魅力的です。ごく普通の、どこにでもいそうな人々ですが、いつのまにかすっかり感情移入してしまいます。 男性が読んでも十分楽しめると思いますが、一人暮らしの女性が読んだら一番共感できるのかな。 こういう小説は、松尾由美氏しか書けないように思います。またぜひこういう繊細で切ない不思議な物語を発表してください! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2002年に出た単行本の文庫化。 分類は難しいが、ミステリっぽい要素もあるSF恋愛小説というところか。 著者らしさが良く出た、センチメンタルな作品。嬉しいような悲しいような読後感が待ち受けている。『ブラック・エンジェル』に近いものを感じた。 ファンの人なら、一も二もなく感動するだろう。私も、素敵な一冊だと思う。 ただ、構成の甘さや結末の不十分さもいつものとおり。そこのところが、やっぱり引っかかる。本書のように、プロットと結末が密接に連動しているような作品だと、どうしても不満が残る。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ビーグル犬のスパイクを連れて散歩をしていた緑は、幹夫という男性に出会う。幹夫が連れていた犬もビーグル犬で、しかも名前がスパイク!お互いに親しみを感じた二人は次の土曜日に会う約束をするが、幹夫はいつまでたっても現れなかった・・・。 幹夫が現れなかったのはなぜか?緑はスパイクを連れて幹夫の行方を捜す。次々に明かされる真実。そして幹夫という人物についても・・。緑がなぜ幹夫に惹かれたのか?その理由が分かったときに、ちょっと切ない気持ちになった。近くて遠い存在の幹夫ともう一匹のスパイク。私にももしかしたら、幹夫のような存在の人がいるかもしれない。そう考えるとわくわくしてくる。この世の中にも、まだまだ不思議なことがありそうだ♪ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
SFの苦手な私がページを繰るのももどかしく、一晩で読んでしまった。愛犬スパイクを連れて散歩する途中、スパイクとそっくりな犬を連れた青年と会った主人公。その犬の名前もスパイク。すっかり意気投合したふたりは一週間後に会う約束をするが、当日彼は来なかった。すると突然スパイクが人の言葉を喋りだし・・。いわゆるパラレルワールドものなのだけれども、スピード感のあるストーリー展開、SFでありミステリであり、ちょっぴり恋愛小説でもあり、なおかつ愛犬家をもうならせる小説。みょうにジジイくさいことを言うスパイクとの掛け合いの会話も楽しいし、ひとりと一匹のにわか「探偵団」の活躍もハラハラドキドキ。ネタバレするのでこれ以上書けません。読んで損はない本です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
初めて読んだ松尾由美さんの作品。せつないけど爽やかな読後感で、なんていうか、好かったです。前知識ゼロで、かわいいワンちゃんの話と思ってたんで、話の設定には面食らいましたが、個人的には全く問題なく楽しめました。ただ、いい作品なだけに、もう少しディテールに凝って欲しかったかな。ビールの話とか、ネットで一発検索とか、やや強引な展開に「え~!?」みたいな。それを差し引いて、これくらいの評価かと。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
散歩に行った下北沢の街角で、自分の飼っているビーグルとそっくりの犬を連れている幹夫に会った緑。名前も同じ「スパイク」一緒にコーヒーを飲んで、翌週の約束をして別れたのに、約束の時間に幹夫は来なかった。そして、自分の犬だと思っていたスパイクが、実は幹夫の飼い犬のスパイクで・・・。しかもこのスパイクは、2枚目の悪役のような声でしゃべるのだ。分別くさくて、辛らつで、意地悪だけど、スパイクがすごく魅力的。幹夫が約束の時間に来なかった理由、スパイクが入れ替わってしまった理由、そして・・・。切ないけど、暖かい物語です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
九月のある朝、江添緑はスパイクを連れて、散歩に出かけます。場所は、下北沢の町。歩いている途中で、向こうから同じ年くらいの(緑は、現在28歳)青年が、同じように犬を連れて歩いてくるのが目に入ります。ちょっとびっくりしたのは、彼の犬もビーグルで、それがスパイクと双子のようにそっくりだってこと。危うくぶつかりそうになった緑と青年は、どちらからともなく笑い出してしまい、そこのフレッシュネスバーガーで話をしていきましょうということになって……。 パラレルワールドもののSFなんだけど、恋愛小説としてとても素敵な余韻が残る作品でした。読み終えて、とても切ない気持ちになりました。でも、それが後を引くかっていうとそんなことはなくて、どう言ったらいいだろう、ほろ苦いとこもあるけど爽やかで素敵な小説を読んだなーって感じでした。 心のどこかでひっかかっていたことが、話の終盤、するするっとつながっていくミステリー風味の面白さもありました。あくまでそれは、この話の中でのルールなんだけど、そうかそうか、あれはこういうことだったのかと腑に落ちてきて、すっきりした気持ちになりました。「巧いねっ! 松尾さん」と、作者に拍手したくなりました。えへへ。 犬好きのあなたに、切なくてあたたかな気持ちを残してくれる物語を読んでみたいと思っているあなたに、まだでしたらぜひこれを読んでみてとおすすめしたくなる作品。松尾由美さんの『スパイク』、いいですよ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1.べたべたに甘いハッピーエンドの小説(万事オーケーなタイプ)2.少しほろ苦い後味の小説(かといって絶望ってわけではない。小さな希望のあるタイプ)私は2のタイプの方が好きだ。この本は、まったくもって、2のタイプの小説。はじまりの一文は、「スパイクは、わたしの犬だ」表紙を見る。二匹の犬。同じ模様の二匹の犬。ということで、もちろん作品にも、「二匹」のスパイクが出てくる。その二匹の出会いから、物語が分岐する。「スパイク」と「スパイク」の出会い。先入観なしに読んだ方が、絶対に楽しめる。だから、あまり詳しく内容に触れることができない。哲学の文脈でよく語られる、「あるテーマ」が背景にある、ということで勘弁してください。犬好きの、もしくは動物好きの「夢」が書かれてある小説としてとらえることもできる。それが何かも、読んで自分で確かめた方がよいと思う。とにかく、犬の散歩のその途中に、オープンカフェで読んでみれば、おもしろさは倍増するだろうし、もし、そこに、自分のわんちゃんと似ている犬をつれて、同じく一人で居心地の悪そうな顔をしている異性がいれば、想像力に磨きがかかることうけあいだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
愛犬スパイクの散歩中に、そっくりな犬をつれた男性と出会い、意気投合。少女漫画のような素敵な出会い・・・・しかし普通なのはそこまでなのだ。そこからはネタバレの恐れありなので内容はほとんど書けないが、読み進めるほどに、この先は一体どうなってしまうのか予測もつかない世界にはまりこんでしまうこと請け合いだ。ちょっと切ないラストまで目が離せない。そしてこの小説のキーマン(?)となる主人公の飼い犬のスパイクにも注目。見かけは可愛いが、頭が良く、小姑ぽいのに笑えます。犬好き必読! | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!