スパイク
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いわゆるパラレルワールドを、日常を舞台にとりあつかったSFです。もうひとつの世界と接近遭遇できるような膜の薄い場所であった、下北沢のカフェ。そこで出会った、愛犬とそっくりの犬を連れた青年。その犬どうしが次元の界面を通り抜けて入れ替わってしまった・・・・という発端です。 ヒロインは、突然連絡のとれなくなった相手の青年を捜そうと、この世界にきてしゃべれるようになったビーグル犬スパイクとともに、青年の言った言葉やメールの文面から、もうひとつの世界と、この世界がどう違っているのかを調べてゆきます。 どうやらほとんどの事実は、ここと平行して、あちらの世界でも起こっているようなので、こちらの事件を解決すれば…… このあたりは、とても緻密に論理が進んでゆき、ミステリの快感がありました。 それだけにこの緻密なままにラストが導かれれば最高だったのですが、そこはいきなりパズルの論理が崩れてしまっています。惜しい。こういう結末にしたい気持ちはわかるので、そこまでの持ってゆきかたが、数学的なSF論理から少し離れればよかったのですが。 その点は不完全燃焼でしたが、この物語で印象的なのは、なんといってもビーグル犬スパイクです。ヒロインとの二人三脚ぶりもですが、彼の語る次元の界面の越え方がすごい。ゴムの膜を押して向こうにでると、向こうにいるものがこちらに押し出されてきてしまうとか、こちらに来るときは、体が輪切りになって、全部がひっくり返るような感じとか、パラレルワールドを大変リアルに体感させてくれます。 また、言葉を使えるようになったために、「他の犬より匂いを識別できるようになった。ほかの犬は嗅いだ匂いを忘れてしまうが、ぼくは言語化して、タグをつけておけるから忘れない」というくだりなど、はっとする意見も。 ラスト近くで二匹のスパイクがふたたび入れ替わるところ。「尻尾を持ち上げてジャンプしたビーグル犬の下半身だけが二つ、向こう側とこちら側から合わさった、そんな異様な姿が宙に浮かんだと思うと、いつの間にかその逆――両方に頭のついた姿に変わっていった」シュールレアリスムの絵を見ているような描写でした。小説の中で、これほどふしぎな名犬に出会ったことはありません。 もちろん、「スパイク」という言葉のもうひとつの意味を活かしての、ちょっとせつないラストも心に残ります。 パラレルワールド恋愛ものの名作と呼べると思います。 | ||||
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私は、ふだんはあまりSF的設定の小説は読みません。息抜きのために読書したいほうですので、日常から離れたややこしい設定の話は苦手です。 でも、松尾由美氏の小説は別です。日常から離れたちょっと不思議な出来事をうまく織り込んで、でも登場人物のこまやかな感情の動きもお留守にならずに、優しくてすこし切ない物語を作りあげてくれます。 以前、『雨恋』、『9月の恋と出会うまで』を読んで、すっかり松尾ワールドのファンになりました。この『スパイク』も、『雨恋』などと似て、すてきな作品でした。SF的要素と恋愛小説の繊細さをうまく結びつけています。 登場人物も魅力的です。ごく普通の、どこにでもいそうな人々ですが、いつのまにかすっかり感情移入してしまいます。 男性が読んでも十分楽しめると思いますが、一人暮らしの女性が読んだら一番共感できるのかな。 こういう小説は、松尾由美氏しか書けないように思います。またぜひこういう繊細で切ない不思議な物語を発表してください! | ||||
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2002年に出た単行本の文庫化。 分類は難しいが、ミステリっぽい要素もあるSF恋愛小説というところか。 著者らしさが良く出た、センチメンタルな作品。嬉しいような悲しいような読後感が待ち受けている。『ブラック・エンジェル』に近いものを感じた。 ファンの人なら、一も二もなく感動するだろう。私も、素敵な一冊だと思う。 ただ、構成の甘さや結末の不十分さもいつものとおり。そこのところが、やっぱり引っかかる。本書のように、プロットと結末が密接に連動しているような作品だと、どうしても不満が残る。 | ||||
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ビーグル犬のスパイクを連れて散歩をしていた緑は、幹夫という男性に出会う。幹夫が連れていた犬もビーグル犬で、しかも名前がスパイク!お互いに親しみを感じた二人は次の土曜日に会う約束をするが、幹夫はいつまでたっても現れなかった・・・。 幹夫が現れなかったのはなぜか?緑はスパイクを連れて幹夫の行方を捜す。次々に明かされる真実。そして幹夫という人物についても・・。緑がなぜ幹夫に惹かれたのか?その理由が分かったときに、ちょっと切ない気持ちになった。近くて遠い存在の幹夫ともう一匹のスパイク。私にももしかしたら、幹夫のような存在の人がいるかもしれない。そう考えるとわくわくしてくる。この世の中にも、まだまだ不思議なことがありそうだ♪ | ||||
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SFの苦手な私がページを繰るのももどかしく、一晩で読んでしまった。愛犬スパイクを連れて散歩する途中、スパイクとそっくりな犬を連れた青年と会った主人公。その犬の名前もスパイク。すっかり意気投合したふたりは一週間後に会う約束をするが、当日彼は来なかった。すると突然スパイクが人の言葉を喋りだし・・。いわゆるパラレルワールドものなのだけれども、スピード感のあるストーリー展開、SFでありミステリであり、ちょっぴり恋愛小説でもあり、なおかつ愛犬家をもうならせる小説。みょうにジジイくさいことを言うスパイクとの掛け合いの会話も楽しいし、ひとりと一匹のにわか「探偵団」の活躍もハラハラドキドキ。ネタバレするのでこれ以上書けません。読んで損はない本です。 | ||||
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