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人間の証明
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人間の証明の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.49pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全92件 21~40 2/5ページ
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本作は、日本の文学史上空前のベストセラーとなった作品である。これには、次の要因があったと考えられる。 ①角川春樹による空前のメディア戦略による宣伝。当時の角川出版、角川映画は日本のマスメディアを牽引しており、このメディア戦略の成功が頂点に達していた時であった。作者自身があとがきで角川春樹に謝辞の言葉を贈っていることがこれを物語っている。 ②西条八十の引用により、単なる本格推理小説で終わらず、作者の文学的表現が格調を高め、読み応えのある作品となったこと。作者の文筆力により、単なる推理小説愛好家だけではなく、幅広い読者層を引き付けることに成功した。 ③戦後、アメリカ文化が日本国内外で興隆を迎えたが、本作ではニューヨークの実態、特に、一般には窺い知ることのできないスラム街などを詳細に描写し、多くの読者の好奇心を駆り立てた。 しかし、作品としてはプロットに次のような幾つかの粗がある(以下ネタバレ)。 ①小説の主人公・棟居刑事が生い立ちから社会を憎んでいるが、悪徳刑事ならともかく、なぜ、正義漢となったのか説明が不足している。当時は戦争体験が生々しく残っており、小説の登場人物には戦争に関する逸話がある。ただ、その人物が、なぜ、犯人を追跡していく情熱に変わっていったのかを描くべきであろう(他のシリーズで描いているかもしれないが、このような長編小説ならば、1~2行だけでも書くべきである)。 ②日米共同捜査と宣伝されたが、日本とアメリカの捜査に連携性はなく、文中でもアメリカの警察はやる気がないと書いており、双方が単独で捜査している。共同らしい共同がなかったために肩透かしに終わる。 ③森戸邦夫、谷井新子らの素人探偵が出来過ぎており、御都合主義になっている。特に森戸は単なる事務機器の販売員だがCIA並に個人情報を詳細に入手する。今のように個人情報が守られていないとはいえ、私人では無理である。ちなみに、当時であっても名門セントフェリスが一私人に個人情報をあそこまで開示することはなかったであろう(現在ではいかなる事情があってもありえない)。 ④八杉恭子のジョニーの殺害はタイトルと一致しており、優れているが、中山種の殺害は果たして本当にリスクを冒すほどのものであったのか。また、どうやって警察の捜査が霧積にまで向かっていることを知ったのかも書かれていない。最後の犯人の自白が息子への罪悪感であったことを考えると不必要であった。 ⑤点と点が線になっているようでなっていない。例えば本作のキーアイテムである熊のぬいぐるみは、最後に小山田夫人の死体が発見され、そしてコンタクトケースが発見されることで無駄になってしまった。ぬいぐるみから氏名を割り出すことは難しいがケースからは簡単に名前が割れてしまう。最初からケースをなぜ見つけられなかったのかということになる。また、ケン・シュフタンの最後の死は底辺の人間の報復というテーマがあるが、シュフタンは日本人で恩讐を抱える棟居のために骨を折った。そして、この結末はとってつけた感が強く、本作のテーマにそぐなわない。物語をテーマに合わせて描いていく方がプロットに筋が通り良かったのではないか。 以上の欠点があるものの、良い点も悪い点も日本の経済成長絶頂時の時代を反映した作品である。よって星を3つとしたい。 | ||||
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あっという間に読めます、テンポよく読めます。意外な結末でした。 | ||||
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予備知識なく初めて読みました。映画もみてません。後の時代のカンタンに描かれた推理小説と違い、登場人物の背景、時代、地域性についてしっかり取材し書き込まれて読み応えあります。作者が実際にその土地を訪れてるのが分かるし、詳しいので自分も旅行にいってるような気分。当時の世相も参考になります。筋も最初から「どうなる?」と気になって一気に読みたくなりました。 40年以上前の小説ですが、女性の描写だけ人間味がなく変です。昔は虐げられてた女性がもっと多かったのではとも思いますが、美しく強く身勝手で何考えてるか分からない人がでてきます。 そして当時の(?)男性にとっての妻や恋人は人間じゃなく、道具でしかなかったのかと思わせる描写の数々も。特に女の体の共有って何だ??酷いなと思わされました。 女性の人間性は描かれない。 レイプを企てる男性の心理の身勝手さも描かれてました、、謎の被害者意識と無知、逮捕されにくいことで、このような性犯罪は結構あったんだろうなとか思わされました。 といっても中盤まで面白かったのに、ラストの方は「リアリティないな」「そんなヤツいるか?」「そんな偶然が!」「その心理はないな!」というのが重なりちょっとガッカリ。 「人間の証明」とはちょっと大袈裟なタイトルに感じます。トリックを暴くタイプでなく、心理を描く小説のわりに途中から雑に感じました。この詩が流行ったのはわかります。霧積にも行きたくなりました。 | ||||
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あとがきどころか、最後の短編までしゃぶりつくしました。何か、現代の作家にはない芯と言うか深さがあります。冒頭から作者による社会への批判を滲ませた暗い描写が小気味良く、作品の世界に引きずり込まれ、読んでない間もこの世界に心を囚われました。凄い筆力です。 | ||||
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森村誠一の小説、これが初めてだったのですが面白くて一気に読んでしまいました。 その後、彼の他の作品もいろいろ読んだのですがこれが良すぎて他は期待外れが多いのは残念。 | ||||
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今までも、そしてこれからも たとえ会う事ができなくてもきっと、 きっと親は自分の事を思ってくれている 刑事、棟据の「証明」が胸に刺さります… 今読んでも決して古くささを感じない名作 お薦めしてくれた方ありがとう。あなたの気持ちが少しですがわかったような気がします。 ※こちら版には、森村誠一の50周年のあとがきと短編「永遠のマフラー」が入っていました。 氏が出身地の熊谷で、終戦日の8月15日の早朝に空襲を受け、200名にも及ぶ近隣の方と愛猫の死を 経験された戦争に対する氏のメッセージが添えられています。 | ||||
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藤原竜也さん主演のドラマを見て、原作を読みたいと思い購入しました。 後半はもう、涙無くして読むことは出来ませんでした(T-T) ドラマを先に見ているので、所々ドラマの映像なんかも脳裏にチラつき…読み終わった後は言い様のない切なさと余韻が残りました。 ドラマでは描き切れなかった部分がしっかり補完されたので、やはり原作を読んで良かったと思います。 | ||||
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小学生のころ、西條八十の麦わら帽子の詩とともに流れた映画のテレビCMを覚えている。 ずっと気になっている作品だったが、ここで映画作品を見る前にと思い、先に原作小説を初めて読んでみた。 こういうときKindle版は手軽で良い。 思ったよりもずっと、よく出来ている。なるほど当時ベストセラーになった理由がよくわかる。 文体や描写のテクニックなど、今日読んでも古びていない。都市生活の細部を緻密に書き込んでいるようでいて、高度に適切に普遍化されており、作者の力量を感じる。二〇世紀初頭に米国で完成した現代都市生活のエッセンスを凝縮している。古びない理由があるわけである。読み出すとぐいぐい引き込まれ、読後感にも残るものがあり、一級のエンターテイメントとして成立している。 映像的な文体で、当時としてはエンターテイメント小説扱いだったと思うが、今日のライト・ノベルなどと比べると、綿密な調査や可能な限りの取材、作者の人生経験の厚みに支えられた重厚な作品作りが感じられ、むしろ文学の香りがする。当時の『野性時代』の切り開いた新境地だったと言えるだろう。 本書が取り上げている英語の発音の問題は、今日でも興味深く、作者の感性の鋭さを示している。 「ストウハ」にしても「キスミー」にしても、日本人の脳が日本語の発音で音を分節する回路になってしまっているために、ドメスティックな英語教育しか受けていないと、特に英語の子音の音が聞こえないという傾向から、よく説明できることである。「ストウハ」についてはRやTの音が脱落している(あるいは母音として聞いてしまっている)わけである。また日本人の言う通りの日本語の発音だと実はネイティブにはローマ字の綴りの通りにすら聞こえないことについてもその通りだと思う。「キスミー」では、日本人なりにRを発音しているつもりでも、ネイティブには聞こえる音になっていないということだろう。ジョニー・ヘイワードは、幼時に聞いた通りの日本語の発音で正確に言ったために、R音が出ていないということだろうと思う。本書で登場する英語学の教授は、そういう説明を提供できていないため、本書では結局上記の問題には明確な解は提示されていないのだが、そこに安易に説明を加えなかった抑制がかえってリアリズムを増している。この音の聞こえ方の問題は、作家の感覚の良さを証明している件だと思う。おそらくホテルマンだった経歴を持つ作者の経験から来ているのだろう。作者の経験した「謎」に、今日ようやく理論づけのほうが追いついたとも言える。 この後、映画作品を見るのが楽しみである。 | ||||
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はらはらどきどき、すっかりストーリーにはまってしまいました。 | ||||
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数十年ぶりに読み返してみて,最初に読んだときの感動を,映画を観たときの感動を,CMで聞いた西条八十の詩を,そしてジョー山中氏のテーマソングを,さらに少し小高い丘があれば帽子を飛ばした記憶がまざまざと蘇りました。再読できる本に出会えてうれしいです。 | ||||
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とても綺麗な状態でした。 また機会があればよろしくお願いします。 | ||||
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わくわくどきどきという感じの話ではありません。でも、貪るように一気読みしました。泣いちゃうシーンもあると思います。人間を深く描いた推理小説です。 There are people in all walks of life. これはよい現実ではないかもしれないが現実であり、その現実から生まれたのがこの小説です。 | ||||
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推理小説としては 面白い作品のなかにある。 戦争の残した傷跡。黒人との間にうまれた『半黒』の子。 そこから アメリカの底辺への投影。アメリカ人の暴虐ぶりとそこへの憎しみ。 日本とアメリカが交差しておりなす 人間模様の鮮やかさとせつなさ。 森村誠一の小説は 1 底辺に近い層が登場人物となる。 ジョニーと父親。刑事 棟居。八杉恭子の過去。 2 政治家 その非人間的志向。 結局 推理小説は『人間がなぜ犯罪におちいらざるをえなかったのか』 ということを正確に浮かび上がらせなければ、見えないものがある。 そういうことに、苦心していることによって、社会構造のあり方を問う。 そこから、人間の性格と行動を描くことで、人間の生き様が見える。 | ||||
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50ページそこそこで大枠の物語が分かってしまった。大昔、映像でも見ていたのかもしれない。意識にはない記憶が影響する話はこの中にもある。 有名どころというところで選んでみたが、うーん、何かいろいろ無理を感じた。人が死に過ぎるし、それを安易に認める登場人物たち。そういう風には人は動かない気がする。あちこち仕掛けがあり過ぎるのも不自然か。最後の落ちはさすがに気づけなかった。彼の年齢はそういえば明かされていなかった気もする。もっと若いと思っていた。 | ||||
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映画の方を先に見ていたので、話の違いに興味を覚えました。人間の業の深さを感じさせられました。 | ||||
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主人公の刑事、外国人の被害者、犯人、アメリカの刑事、、、。みんなが悲しく繋がっている。 あとがきでも書いてある通り、著者の思い入れのある西條八十の詩を芯として物語が進んでいく。この詩、本作中では詩集を発見したタクシードライバーのほぼ独白として、この詩の背景が語られるが、この独白は作者自身の思いだと感じられるくらいの気迫が感じられる。 推理物として十分におもしろいのだが、まさかこの二人も繋がっていたのかという感じで、この詩を巡っての人と人との繋がりが語られる。残酷ささえ感じられる。特に主人公の刑事と白人警官との繋がりは悲痛すぎて、蛇足だとさえ感じた。 それゆえ、星は4つとしたが十分すぎる面白さであった。 戦争はもう70年前の出来事になりつつあるあるが、本作は1970年代を舞台にしているだけあって、 自分の想像力や今の時代とはかけ離れた設定もあり、それが新鮮でさえあった。 | ||||
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1970年代に発表された作品ですが、タイトルにあるように普遍的なテーマを扱った小説だと思います。殺人事件は一見残酷で凄惨な側面があるいっぽう、小説として人の心の表と裏が丁寧に描かれると、必ず「人間」というテーマにいきあたります。暴力が生まれた背景、怒りの奥の悲しみや悲しみの奥の愛、そして愛を求める人間の切なさ、健気さを登場人物に感情移入することで存分に味わうことができるから、私はそれが読みたくて小説を読みます。この作品はそうした、私が小説を読む理由のすべてが描かれていました。最終章の「人間の証明」で、4回泣きました。殺人者の告白で1回、殺されたジョニーの最後の真相で1回、刑事の「矛盾」に1回、そしてニューヨークの警察官の運命で1回、最後は号泣でした。森村さんの小説を読んだのは、これでまだ2冊目ですが、この傑作を上回る作品がこのあと生まれたのかどうか、ゆっくりと確かめたいと思います。 | ||||
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設定に無理がある。 日本で黒人が死んだ、しかも本国アメリカには身寄りがなく、当然ながらアメリカからも断固犯人を逮捕せよ、との要請もない。 一体こんな事件を日本の警察があそこまでムキになってやるものかと。 早々に捜査本部解散、お宮入りになるのが関の山。 アメリカがどうでもいいと思っているアメリカ人を殺した犯人なんかそれこそ日本にしたらもっとどうでもいい。 日本の警察は別に博愛精神に溢れた正義の組織ってわけじゃない。 ケン・シュフタンが日本からの要請が途絶えたのに個人的に捜査を始めるのもおかしい。散々ニューヨークの犯罪率やら開陳しておいて、そんな環境でジョニー・ヘイワードのことなんか調べる気になるかっての。あれは日本人の発想であってアメリカ人の発想ではない。 て思ってたら、シュフタンには一応の動機があったんだね。最後にわかるけど。 にしても、全編にわたって都合よく話が進む。あと何故か男女の関係についてのしつこい描写がある。これは「人間の証明partⅡ」でも出てきたんで、作者の癖なんだろう。ワンパターンと言うべきか。 やっぱりこの人(森村)の小説って | ||||
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割と早い段階で犯人の想像はついてしまいます。 私は最終ページで明らかになる事実も、ひょっとしたら…と予想してたので意外性は全く感じませんでした。 別に自慢したいわけじゃなく、意外性も含めてベタな展開の「昭和の推理小説」だなあと。 推理小説として、先の展開を読まれてしまうことは致命傷な筈ですが、それでも面白かったのは、昭和の風俗やものの考え方など生き生きと描かれているところと、物語の情緒に訴える力が強かったということです。 映画は未見なのでこれから楽しもうと思います。 | ||||
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この小説で大きな役割りを果たしている温泉宿「金湯館」さんに行ったことがきっかけで読みました。 期待せずに読みましたが、意外に歯ごたえあるサスペンス、嬉しい誤算です。 温泉が出てくるミステリーといっても湯けむりテンプレ殺人事件でもなければ、美人女将が出てくる軟弱なストーリーわけでもありません。 ザ昭和ハードボイルドです。 読書の中ほどで誰が犯人かわかりますが、それでも楽しめました。 出てくるのは刑事(デカ)と悲しい偶然ばかり。悲運の連鎖の結末は「人間とは・・だから・・を行う」という必然にたどり着きます。その辺はこの小説のタイトルにもなっていて力を入れていますが、平成のいま読むと気恥ずかしいものがあります。 | ||||
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