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誘拐の果実



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誘拐の果実の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

誘拐のアイデアは秀逸

2002年に刊行された書き下ろし長編作品。誘拐のアイデアが秀逸な社会派ミステリーである。
政財界を巻き込んだスキャンダルの主役でバッカスグループの総帥である永渕を入院させている大病院の院長の17歳の孫娘・恵美が誘拐され、犯人は永渕が死亡すれば恵美を解放すると連絡してきた。院長と、恵美の父親である副院長は、警察や永渕に協力を求めて永渕の死亡を偽装し、恵美の解放に成功する。同じ頃、神奈川県で19歳になる男子大学生・工藤巧が誘拐され、身代金としてバッカスグループの株券を用意するようにという脅迫状が届いた。家族と警察は株券を用意して交渉に応じたのだが、犯人は現われず、工藤巧は自力で脱出し、保護された。
二つの誘拐事件は人質が無事解放されたのだが、被害者二人が捜査に協力的ではないため犯人像がまったく見えず、誘拐の動機にも疑問が残り、警察の捜査は難航していた。そんなとき、恵美と工藤巧が知り合いだという情報がもたらされ、警察は狂言誘拐を疑い始めるのだった・・・。
誘拐をテーマにしたミステリーは数々あるが、本作の身代金獲得手段、誘拐の目的達成のアイデアは斬新で、面白かった。犯行の背景となる出来事も、それなりの説得力があり、どんどん引き込まれていく。ただ、後半に近づくと堂々巡りが繰り返されて話の展開が遅くなってしまったのが、ちょっと残念。単行本上下2段組みで480ページが400ページぐらいでまとめられていたら、もっとスピード感があっただろう。
犯罪小説というより、社会派のエンターテイメント作品として、幅広いミステリーファンにオススメできる。

iisan
927253Y1

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