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蝶の眠る場所



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【この小説が収録されている参考書籍】
蝶の眠る場所

蝶の眠る場所の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

新人とは思えない読み応えあり

テレビの報道キャスターでもある著者のデビュー作。報道記者としての経験を生かした、社会派ミステリーである。
テレビの報道記者として成功してきた榊美貴だったが、部下のミスの責任をかぶり深夜ドキュメンタリー制作という地味な部署に異動させられた。そこで出会ったのが、小学生の校舎からの転落死で、警察は事故として処理したのだが、死亡した清水大河の母親・結子の異様な言動にピンときた美貴が取材を始めると大河の祖父、裕子の父である今井武虎が少女と母親の誘拐殺人で死刑にされていたことが分かった。さらに、今井武虎は最後まで無実を主張し、しかも有罪の決め手となったDNA鑑定、目撃証言があやふやだったことも判明した。冤罪事件ではないかとして番組制作を企画した美貴だったが、それは警察と対決することであり、また事件の周辺人物と軋轢を生むことにもなった。事件の背景を探るにつれ「真実を明らかにすることが正義なのか」と悩みながら、美貴は自分の信じるところを貫き通すのだった。
犯人捜しというより事件の背景、波紋を描いた社会派作品で、シングルマザーである美貴をはじめ主要な登場人物が皆、それぞれのマイナスを抱えているところが作品に深みを与えている。ミステリーとしてのアイデア、構成、展開などは新人離れした上手さで、読み応えがあるエンターテイメント作品に仕上がっている。ただ、文章表現にやや過剰な装飾が感じられるのが玉に瑕。もう少しだけ削り込めば、さらに緊迫感がある作品になっただろう。
次作も期待できる作家の登場として、社会派ミステリーのファンにオススメしたい。

iisan
927253Y1

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