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カリ・モーラ



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【この小説が収録されている参考書籍】
カリ・モーラ (新潮文庫)

カリ・モーラの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

レナード風味はいんだけど

トマス・ハリスの13年ぶりの新作。麻薬王・エスコバルがマイアミに残した大豪邸の地下金庫に隠された2500万ドルの金塊争奪戦を描いた、レクター博士シリーズとは無関係なサイコ・ノワール・エンターテイメントである。
大豪邸の管理のバイトとして働くコロンビア出身の25歳の美貌の女性・カリは、屋敷に隠された金塊を狙うコロンビアの犯罪集団と接触するのだが、金塊の強奪を狙っているのは彼らだけではなかった。偏執的な臓器密売商人・シュナイダーは映画撮影を装って屋敷に居座り、金庫を掘り出そうとする。一方のコロンビア側も強硬手段をとり、互いに殺し合う壮絶な戦争が始まり、屋敷の事情に詳しいカリは否応なく抗争に巻き込まれていく・・・。
ヒロインのカリは祖国コロンビアの反政府ゲリラで少年兵として育てられた過去を持ち、さまざなサバイバル技術を身に付けたタフな女性であり、また一方で、傷付いた動物を助けるために獣医を志している心優しい女性でもある。そんな彼女を騒動に巻き込む悪党たちはかなりの特異性を持った奴ばかりで、しかも行動は荒っぽい。そしてストーリー展開はスピーディーで息つく暇もない、まさにエルモア・レナードの世界である。
時代性を加味したストーリー、軽快な場面展開など、これまでのトマス・ハリス作品にはない良さは評価できるのだが、いかんせん奥行きがない。全体に薄っぺらな印象で、ところどころでは「あらすじ」を読まされているようなのが残念である。
レクター博士シリーズの重厚を期待すると裏切られる。レナード・タッチのアップテンポなノワールのファンにオススメする。

iisan
927253Y1

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