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Blue



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【この小説が収録されている参考書籍】
Blue
Blue (光文社文庫)

Blueの評価: 8.50/10点 レビュー 2件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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(9pt)

平成の時代に日本が壊したものたち

平成の30年間に起きた日本の社会現象、事件をヒントに、日本社会が失ってきたもの、抱えてしまった問題を鋭く追及する社会派ミステリー。まさに時代を象徴する力強い作品である。
平成という時代が始まった日に生まれ、終わった日に死んだ一人の男。彼は無戸籍で、青と名付けれたことから通称・ブルーと呼ばれていた。ブルーは14歳にして殺人事件に関係し、その後は行方をくらませていた。ブルーが関係したのは、一家4人が惨殺され、しかも殺害犯と目された一家の次女は現場で死亡しているのが見つかった事件で、共犯者としてブルーの存在が浮かび上がったものの警察上層部を巡る政治的な判断から「被疑者死亡(次女の単独犯行)」として決着させられたものだった。それから15年後、平成最後の年の4月、多摩ニュータウンの団地の空き部屋で身元不明の男女2人が殺害されているのが発見された。被害者の身元調査からスタートした警察がわずかな手がかりを追って行くと、15年前の事件との関連が見つかった。
二つの事件の背景に流れるのは、平成の日本を彩った様々な風俗や社会現象で、それだけでも記憶の深部が強烈に刺激される。さらに、この時代の変化がもたらした社会病理とも言うべき社会的弱者への攻撃、格差の拡大などのビビッドな問題がリアルに描かれており、物語の本筋とは関係なくサスペンスフルである。
「ロスト・ケア」、「絶叫」など社会病理を鋭く、しかも面白く描いてきた著者らしい傑作で、ミステリーファンに限らず、幅広く社会派エンターテイメントのファンにオススメしたい。

iisan
927253Y1

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