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天上の葦



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天上の葦の評価: 8.17/10点 レビュー 6件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.17pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

天上の葦の感想

この人の作品は本当に読みごたえがありますね.
最初に老人が渋谷の交差点で天を指して死ぬというシーンから始まり,一体何なんだと思わせて,最終的にはいつものメンバー達が謎の核心を明らかにして,悪玉に鉄槌を下し決着をつけてくれる.
その展開自体,もちろん素晴らしいのですが,このタイミングで読むと,ロシアの国民のことを想像してしまいます.自国内に攻めてくることがないので,日本の戦争末期と単純に比較はできないと思いますが,どういった情報がもたらされているのか...
そして,日本もその後戦争こそしていませんが,一党独裁政治の裏側で,我々が知らないとんでもないことがいくつも行われていたのでしょうね.とある切っ掛けでその一部が最近露呈していますが.

マー君
S2HJR096
No.3:
(7pt)

天上の葦の感想

報道、言論の自由がテーマでしょうか。少しずつ真相に迫っていく展開がリアルで楽しめましたが、戦争時の尺がちょっと長いのではないかと…大事な補足ではあると思うけど。

kmak
0RVCT7SX
No.2:
(8pt)

テンポよく痛快なストーリー

テーマは報道の自由といったところ。報道の怖さと大切さを知らしめるために、戦時中の話まで遡るとは。さすかです。これまでうっすらとしか知らなかった戦時の報道規制。国民に真実が知らされないまま、敗戦へと突き進んだ当時の様子がなんとなく分かりました。ストーリーの終盤は相変わらずテンポもよくて痛快。読ませます。そしてラストの手紙ではちょっと切なくて感動。

タッキー
KURC2DIQ
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

「自由が奪われるのは何故か」を追求した、警世の力作

2017年に刊行された書き下ろし長編。様々な自由が知らず知らずに制限され、やがては奪われてしまう恐ろしさを、読み応えのあるサスペンス・ミステリーに仕上げた力強い社会派エンターテイメント作品である。
興信所を営む鑓水と修司のもとに、かつて因縁のあった政治家から奇妙な依頼がもたらされた。白昼、渋谷のスクランブル交差点で天上を指差しながら死んだ老人の意図を探って欲しいというのだ。雲をつかむような話だが、一千万という報酬を無視できず、鑓水と修司は死んだ老人・正光の過去を調査し始める。一方、相馬刑事は極秘裏に、こつ然と姿を消した公安刑事・山波の行方を探すように命じられる。捜査を進めると、山波が失踪したのは老人が死んだ同じ日で、しかも山波と老人に接点があったことが判明する。やがて二つの事件は密接につながり、三人は失踪した山波を追って瀬戸内海の小島にたどり着く。のどかな日常が繰り返されているだけのひなびた村で見つけたのは、戦争の苦難をくぐり抜けてきた老人たちが抱え続けている消せない傷だった。一方、正光の死と山波を繋ぐ出来事の裏には、社会を揺るがすような陰謀が隠されているのだった。それに気が付いた三人は、存在のすべてをかけて巨悪に挑戦する。
本作の最大のテーマは「社会は、なぜ自由を維持できなくなるのか」という点で、報道の自由が奪われるプロセスを詳細に検討し、自由を制限しようとする権力の暴挙がまだ小火のうちに消さなければ、結果としてだれも抵抗できなくなるという警鐘を鳴らしている。政権に批判的なジャーナリストが次々に登場機会を奪われ、政権におもねるタレントばかりが登場する現状の日本を見るとき、本作の訴えは絶対に無視してはいけない。
極めて社会性、現代性のある硬質なテーマだが、サスペンス、ミステリーとしても一級品で、決して退屈することは無い。
現在を生きる人、すべてに読んでもらいたいオススメ作品である。

iisan
927253Y1

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