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あなたのいない記憶



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あなたのいない記憶の評価: 5.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

発想はいいが中身が薄い

発想自体は非常に面白いと思いました。かつて子供時代、同じ絵画教室で絵を学んでいた二人の男女、優希と淳之介が大学時代に再会するんですね。
この二人が過去の子供時代の共通のある知り合いの人物について会話を交わすわけです。それはその絵画教室の講師だったある女性の息子で 健と呼ばれる人物なんです。二人で話しているうちにどうにも奇妙な気分になってくるわけです。なぜかと言うと同じ人物について話しているはずなのにどうも記憶に違いが見られるわけです。
優希の方はこのタケシのことを絵本の中の架空の人物だと思い込んでいました。ところが淳之介は全国的に有名なバレーボール選手だと思い込んでいるわけです。不思議ですよね、二人の記憶がなぜこれだけ食い違ってくるのか。もしかすると二人の記憶は書き換えられたのではないかそう思って彼らは色々調査を始めるわけです。
ここまでは非常に話の流れとしては面白いんです。非常に怖く思えます。薄ら寒い感じすらしますよね。ところがここから先がイマイチなんですね。この記憶の書き換えという行為自体がそもそも実際にできるものなのかどうか可能なのかどうか。これがよく分かりません。いかにも簡単にできるように言っていますが、実際には実現不可能だと思います。それぐらい稚拙な方法なんですね。こんなことで人の記憶は簡単には書き換えられない、そういう風に私は感じました。 それともう一つの記憶を書き換えたその理由です。これもなんだかよくわからないんですね。果たしてこんなことで人の記憶を書き換えるようなことをするものかどうか、すごく幼稚なわけなんですよ。読んでいただければ分かると思いますけども。そんなことは絶対に普通やらないでしょう。つまり動機と方法、この二つが非常に幼稚というかありえないんですね。記憶の書き換えという発想としては非常に面白いんですよ。ただ内容がそれについて行ってないんですね。そこが最大の問題なんですよこの小説の。その部分が作者の力量がまだ足りないと言えば言えるわけで、そこが非常に残念だと思うんです。探偵役として出てくる女性心理カウンセラーこの人物なんかも非常に魅力的な存在ではあるんですけれどもこのような内容の薄い事件だと彼女の凄さも生きてこないと思うんですよ。その部分が非常に残念だ、そう思うわけです。

話はちょっと違うかもしれませんが人間の記憶というものは非常に不思議なものですよね。私なんかもよく夢を見ますが、長い間全く頭の片隅にも思い浮かばなかった何十年前の小学生時代の同級生が、夢に出てくるわけです。 しかも夢の中においてストーリーに組み込まれて出てくるわけです。なぜ 突然出てきたのでしょうか。不思議ですね。このように人の記憶とは非常に不思議で面白いものです。ですから その面白さがうまく伝わるように小説を書いていただきたいというのが私からのお願いです。


いわし雲
78XRDN1A

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