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その可能性はすでに考えた



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その可能性はすでに考えたの評価: 6.50/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

発想は面白いが後半肩透かし

この本を読んだ感想をまず言うとすれば、一度読んですぐに理解できるような代物ではないということです。非常に難しいと思います。こんがらがっていてなかなか頭の整理ができません。しかし2度3度読むとそれほど難しい構造の本でないということが分かってきます。
この作品はいわゆる論理学の面白さをミステリーに導入したということです。 ただ私は論理学をほとんど知らないので、それがどのように生かされているかどうかは正確には判断できません。ただ私なりに考えるとある命題があったとしてそれに反する証明を次々と完全に粉砕することによって、ある命題が証明されるそういうことではないかと思います。ここで言うところの命題とは何か、それは「奇蹟」です

十数年前にある狂信的なカルト教集団がありました。そのカルト教集団の住む村で信者のほとんどが殺されるという事件がありました。その殺され方はほとんどが首を切り落とされるという残酷なものでした。ただその事件で唯一生き残っていた少女がいました。その少女の名前がリゼ。彼女はひそかに心を寄せていた仲間の信者の少年ドウニの首を切って殺したかもしれないこのことで精神を非常に病んでいるわけです。その真相を見つけてくださいという依頼にリゼは探偵事務所に尋ねてきたわけです。

この探偵事務所の探偵はウエオロと言いますそして助手これがフーリンという中国人女性です。この二人が中心となって話は進められるわけなんですけども、 このリゼという女性の悩みを解決する唯一の方法は何かと言うと、この事件は神の「奇蹟」によって起こされたものであって、犯人はいないのだということなのです。世の中には人知の及ばない「奇蹟」がある、この事件の真相が「奇蹟」だと証明されれば、少女の心は救われます。

そのためには「奇蹟」以外の理由を全否定しなければならない。ウエオロは数日間考えてこの事件の真相は「奇蹟」だと証明したと報告書を持って事務所に現れました。ところがこのウエオロに対して挑戦者が次々と現れてくるわけで。すこの3人の挑戦者はそれぞれが独自の推理をしてウエオロに挑んできます。ただこの勝負は明らかに挑戦者が優位なのですね。 なぜなら挑戦者はこの事件の真相は「奇蹟」ではないという可能性だけを示せばいいからなんです。実際に犯人がいる可能性だけを証明すればいい。可能性ですから100%正しいという証明をする必要はないわけです。探偵ウエオロとしては非常に不利な勝負を挑まれた訳なのですが、彼はこの3人の挑戦者の推理をことごとく粉砕し退けます。

ところがこれでめでたしめでたウエオロの勝利という風には簡単にはいかなかったのです。ウエオロの反論にも矛盾が・・・・・。ここから先はネタバレになるので詳しくはもう書けませんがどんでん返しとまではいきませんがちょっとした展開があります。

私がこの作品を読んで思った疑問は「その可能性はすでに考えた」そういうふうに言いますけども、全部の可能性ではないわけですね。挑戦者もたった三人です。実際に可能性の話で言えば無限にあるはずです。その無限なものを全て否定することは事実上不可能ではないのでしょうか。したがって「奇蹟」の証明はそもそも最初から不可能なのではないか、と私はこう思うわけです。最後にウエオロが示す本当の意味での真相というものも非常に古典的なありがちなトリックに基づいた推理であり、斬新さが全くないのです。つまりこの小説は非常に肩透かしに終わったという感じがします。登場人物もラノベ的で非常に違和感のある感じがしますし、もっと別の書き方があるのではないかと思います。そうすれば面白くなった可能性もありますが 実際はあまり面白くはありません。もっとすっきりと誰にもわかるような書き方をしてほしいというふうに私は思いました。


いわし雲
78XRDN1A
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

その可能性はすでに考えたの感想

すべてのトリックが不成立である事を立証し、奇蹟を証明する物語。
購買欲としては、タイトルと設定の新しさで勝ちですね。

過去に起きたとされる、ありえない現象を推察する話は島田荘司を彷彿しました。こんな事起きるはずない、でも何が起きたんだろう?奇跡の真相を楽しみにしながら読みました。

こんな事が起きたのでは?というトリックの内容は奇想天外もの。
正直、突拍子もなさ過ぎてついていけない気持ちでした。ただ、地味な仕掛けをいちいち検証してページ数を割くのではなく、読者が想定していないトリックを手短に楽しませるという意味ではアリなのかもと納得する事にしました。衒学やキャラ物の内容が多かったのですが、これよりもっと多くの可能性を見たかったのが正直な所です。なんとなく他にも方法が残っているんじゃないの?と感じてしまう物足りなさがありました。
また、これは奇跡だ!と、どう納得させられるものを見られるのかと興味津々だったのですが、肝心のそこはちょっと期待外れだったのが正直な感想です。

帯のコメントが麻耶雄嵩でしたが、読後に意図が分かってクスっとしました。

▼以下、ネタバレ感想

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egut
T4OQ1KM0

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