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ラバーネッカー



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【この小説が収録されている参考書籍】
ラバーネッカー (小学館文庫)

ラバーネッカーの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

主人公の視点が秀逸

アスペルガー症候群の18歳の青年が主人公の悲しくもユーモラスなミステリー。スリリングではないが、登場人物に共感する部分が多く、心地よい読後感が得られる。
人とのコミュニケーションは苦手だが、興味を持つことへの追及心は並外れているパトリックは、8歳のときの父親の事故死をきっかけに「死」への探求心を刺激され、小動物の死骸を集めたり、少女の死体の写真を集めたりしていたが、18歳になり優秀な成績で医大に合格し解剖学を学ぶことになる。解剖実習の授業では、遺体を解剖し、死因を突き止めるという課題が学生に与えられた。パトリックの班に割り当てられた遺体「19番」の死因は容易には判明しなかったが、パトリックは遺体からある不審物を発見したことから、授業のレベルを越えて、個人的に死因の究明に取りつかれて行く。コミュニケーション障害の為、周りとさまざまなトラブルを起こしながらパトリックが明らかにした真相は、隠されていた殺人事件を暴露することになる。
パトリックの言動、母親を始めとする周囲との軋轢の歴史、19番の死因の究明を本筋に、昏睡状態の入院患者の記憶、それを世話する看護師のラブコメがサブストーリーとして展開される物語は、生と死の分かれ目を追及する重いテーマでありながら、どこかユーモラスで、心温まる物語にもなっている。周到に張り巡らされた伏線が最後に見事に結実し、ミステリーとしても上出来だ。

iisan
927253Y1

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