視える女
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これまで古今東西結構な数のミステリー小説を読んできましたが、犯人がわかった時にええっと声をあげてしまったのはこの小説が初めてだと思います。それもある台詞によって読者は犯人が誰か知ることになるのですが、その伏線がまた上手いなあと思わず唸ってしまいました。 この作品ってオカルト的な要素があるので純粋にミステリーを楽しみたい人(私もそう)は若干反則技的なものを感じて食わず嫌いしてしまいそうな感じなんですが、それが実際読んでみるとすごく上手くまとまっているしミステリーとしても十分すぎるほど面白かったです。それも極端に型破りだったりあざといのではなく、あくまでサラリと書かれた雰囲気や全体に散りばめられたユーモアにセンスの良さを感じます。 ちなみに他の方が挙げられていた「どうして片方にだけ食事を与えなかったか」という疑問については、私は犯人が自身や自身のバックグラウンドを否定されてしまったことで、明確な殺害の意図はなくても「死んでも構わない」という程度のなげやりな殺意が湧いたからかなあと解釈しています。 | ||||
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サイコ・サスペンスの分野で確固たる地位を築いた英国女流ミステリー作家バウアーの待望の長編第6作です。著者の作品は早くもこれで6冊目となりまして当然の如く年に一冊は確実に読ませてもらえるのが本当に嬉しいですね。また本書を読んで思ったのは、著者の作品ではこれまでも連続殺人鬼や異常者を多く扱って来ましたが、でもそれ程に大仰に騒ぎ立てる訳でなく割合にこじんまりしていてある意味で落ち着いて読めるなという印象で、本書でも扱われるのが児童二人と犬一匹の失踪事件という事でスケールは小さくても何時もと同様に今回も安心して楽しめましたね。 4ヶ月前の冬の朝に四歳の我が子ダニエルが突然に姿を消すという事件を経験して以来すっかり打ちのめされ心を病んだ母親アンは列車に飛び込んで自殺してしまおうとするが偶然にも駅付近を通りかかった殺人課警部のマーヴェルに命を救われる。これも偶然だが彼も一年前に消えたまま行方不明の少女の事件を抱えていて、更に奇妙な巡り会わせによって彼女は藁にもすがる思いでマーヴェルも事件で助力を仰いだ事のある霊能者の交霊会へと出かけて行くのだった。 まず本書の原題「閉じた目」が訳題「視える女」に変更された事は、傍観者的な霊能者レイサムよりも重要なヒロインの母親アナの存在をクローズアップさせる意味で良い選択だったなと思いますね。皆さんも同じだと思いますが少し面食らったのは車の整備工場で働くアンの性別で、先入観で当然の如く女だと思っていましたが読み進む内に段々とどうやら間違いらしいと気がついて、「そうか外国では必ずしも女性の名前だと決め付けてはいけないのだな」と勉強になりましたね。それはともかく著者の作品をここまで読んで来て気づいたどうしても理解しないといけない鉄則は、「絶対にオーソドックスな謎解きミステリーを期待しては駄目!」という事実でしょうね。本書の場合は犯人の正体も捜査側が如何にしてその正体と犯行動機を突き止めるのか?というミステリー本来の興味は全く意味を持たずに殆ど追求もされないのですから、例えば日本の昔の推理小説に慣れ親しんだ方は「何だ、こりゃあ?」と一瞬目が点になるかも知れませんね。まあ利巧な犯人ならば何も心配せずにいられたのでしょうけれど罪悪感に苛まれて自ら身を滅ぼしてしまうというある意味では意外なパターンで、月並みですがやはり人間悪い事は出来ないという教訓なのでしょうね。唯一著者が偶然の符合でこだわりを見せたと思えるのは冒頭の自殺未遂の現場と犯人追跡及びその決着がついた場所をどちらも鉄道駅の近辺に選んだ事ですね。それから著者はもし本書が映画化されたとしたら映えそうな視覚的な演出を随所に用意していて、犯人に訪れる運命の衝撃的な結末のシーンや終盤での生か死か間一髪のサスペンスと犯行現場の奇妙な青い輪の眺めはオカルト・ムービーにふさわしい強烈な印象を心に残してくれましたね。さて、ここで人物面について書きますと主役のマーヴェル警部は常に己の出世を第一に考える功利主義的な狡さはある物の根は真面目で少女の失踪事件を決して諦めずに執念で立ち向かう姿勢には好感が持てますし彼なりに精一杯がんばったと思いますが結局左遷の様な扱いを受けるのはお気の毒で誠に不運としか言い様がありませんね。続いて「視える女」アナについては途中で水を求めて半狂乱になったり常軌を逸した様な行動に走ったりと本当に「危ない女」めいて大丈夫なのか?と心配になりますが、最後にはこれも全てが最愛の我が子を想うあまりの狂態だったのだと納得できてその母性愛の強さに心からの感動を覚えましたね。そして最後に囚われの身の少女イーディについては年の割には気丈でしっかりしているとは思うのですが・・・・本当に宇宙へ行ってしまったのか?どうかの答は永遠に謎のままでしょうね。それから私が疑問に思った矛盾点を書いておきますが、四ヶ月と一年と失踪時期に差はある物のどちらも食事を与えられなければ生きる事は不可能だった訳で、犯人がどうして片方にだけしか与えなかったのか?(結果から見て)という点だけは不可解でしたね。ここで結論的にまとめますと本書は完全に著者が手掛けた初のオカルト小説である事は明らかで(常識だけでは説明が不可能な超自然の領域に踏み込み全ての謎に答を出していない事から見て)、ミステリーの常識だけで評価するのは完全に間違っていると言えるでしょうし、私はそれらの点を全てひっくるめて最終的に★4つの評価にしたいと思います。最後に偶にはこういう作品もあっても良いかなと思いますし、著者が完全にハッピーエンドにはしないで悲劇の影はちらつかせる物の深刻な哀しみのモードにはせずに何処か穏やかで気分を和らげる余韻を残してくれる部分については実に好ましく思っていましてそれこそが著者の作品の最大の美点であり良さなのだろうなと思いますね。 | ||||
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サイコ・サスペンスの分野で確固たる地位を築いた英国女流ミステリー作家バウアーの待望の長編第6作です。著者の作品は早くもこれで6冊目となりまして当然の如く年に一冊は確実に読ませてもらえるのが本当に嬉しいですね。また本書を読んで思ったのは、著者の作品ではこれまでも連続殺人鬼や異常者を多く扱って来ましたが、でもそれ程に大仰に騒ぎ立てる訳でなく割合にこじんまりしていてある意味で落ち着いて読めるなという印象で、本書でも扱われるのが児童二人と犬一匹の失踪事件という事でスケールは小さくても何時もと同様に今回も安心して楽しめましたね。 4ヶ月前の冬の朝に四歳の我が子ダニエルが突然に姿を消すという事件を経験して以来すっかり打ちのめされ心を病んだ母親アンは列車に飛び込んで自殺してしまおうとするが偶然にも駅付近を通りかかった殺人課警部のマーヴェルに命を救われる。これも偶然だが彼も一年前に消えたまま行方不明の少女の事件を抱えていて、更に奇妙な巡り会わせによって彼女は藁にもすがる思いでマーヴェルも事件で助力を仰いだ事のある霊能者の交霊会へと出かけて行くのだった。 まず本書の原題「閉じた目」が訳題「視える女」に変更された事は、傍観者的な霊能者レイサムよりも重要なヒロインの母親アナの存在をクローズアップさせる意味で良い選択だったなと思いますね。皆さんも同じだと思いますが少し面食らったのは車の整備工場で働くアンの性別で、先入観で当然の如く女だと思っていましたが読み進む内に段々とどうやら間違いらしいと気がついて、「そうか外国では必ずしも女性の名前だと決め付けてはいけないのだな」と勉強になりましたね。それはともかく著者の作品をここまで読んで来て気づいたどうしても理解しないといけない鉄則は、「絶対にオーソドックスな謎解きミステリーを期待しては駄目!」という事実でしょうね。本書の場合は犯人の正体も捜査側が如何にしてその正体と犯行動機を突き止めるのか?というミステリー本来の興味は全く意味を持たずに殆ど追求もされないのですから、例えば日本の昔の推理小説に慣れ親しんだ方は「何だ、こりゃあ?」と一瞬目が点になるかも知れませんね。まあ利巧な犯人ならば何も心配せずにいられたのでしょうけれど罪悪感に苛まれて自ら身を滅ぼしてしまうというある意味では意外なパターンで、月並みですがやはり人間悪い事は出来ないという教訓なのでしょうね。唯一著者が偶然の符合でこだわりを見せたと思えるのは冒頭の自殺未遂の現場と犯人追跡及びその決着がついた場所をどちらも鉄道駅の近辺に選んだ事ですね。それから著者はもし本書が映画化されたとしたら映えそうな視覚的な演出を随所に用意していて、犯人に訪れる運命の衝撃的な結末のシーンや終盤での生か死か間一髪のサスペンスと犯行現場の奇妙な青い輪の眺めはオカルト・ムービーにふさわしい強烈な印象を心に残してくれましたね。さて、ここで人物面について書きますと主役のマーヴェル警部は常に己の出世を第一に考える功利主義的な狡さはある物の根は真面目で少女の失踪事件を決して諦めずに執念で立ち向かう姿勢には好感が持てますし彼なりに精一杯がんばったと思いますが結局左遷の様な扱いを受けるのはお気の毒で誠に不運としか言い様がありませんね。続いて「視える女」アナについては途中で水を求めて半狂乱になったり常軌を逸した様な行動に走ったりと本当に「危ない女」めいて大丈夫なのか?と心配になりますが、最後にはこれも全てが最愛の我が子を想うあまりの狂態だったのだと納得できてその母性愛の強さに心からの感動を覚えましたね。そして最後に囚われの身の少女イーディについては年の割には気丈でしっかりしているとは思うのですが・・・・本当に宇宙へ行ってしまったのか?どうかの答は永遠に謎のままでしょうね。それから私が疑問に思った矛盾点を書いておきますが、四ヶ月と一年と失踪時期に差はある物のどちらも食事を与えられなければ生きる事は不可能だった訳で、犯人がどうして片方にだけしか与えなかったのか?(結果から見て)という点だけは不可解でしたね。ここで結論的にまとめますと本書は完全に著者が手掛けた初のオカルト小説である事は明らかで(常識だけでは説明が不可能な超自然の領域に踏み込み全ての謎に答を出していない事から見て)、ミステリーの常識だけで評価するのは完全に間違っていると言えるでしょうし、私はそれらの点を全てひっくるめて最終的に★4つの評価にしたいと思います。最後に偶にはこういう作品もあっても良いかなと思いますし、著者が完全にハッピーエンドにはしないで悲劇の影はちらつかせる物の深刻な哀しみのモードにはせずに何処か穏やかで気分を和らげる余韻を残してくれる部分については実に好ましく思っていましてそれこそが著者の作品の最大の美点であり良さなのだろうなと思いますね。 | ||||
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