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鈴蘭



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【この小説が収録されている参考書籍】
鈴蘭
鈴蘭 (ハルキ文庫 あ 10-18)

鈴蘭の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

探偵・畝原がジョー・ピケットに見えた

「探偵・畝原」シリーズの第8作。2010年の作品だが、それ以降は新作が出ていないのでシリーズ最終作なのだろうか? ゴミの山に埋もれて暮らす変人と同居していた女性、ヤクザの高校時代の恩師という二人の行方不明者探しを基軸に、今の時代が抱える問題と真摯に向かい合う畝原の熱い思いを描いた社会派ハードボイルドである。
テレビ局からの人物調査依頼で札幌郊外のナチュラルパークに出向いた畝原は、大音量と共に現れた車から飛び出した男が暴れるのを制圧し、警察に引き渡したのを機にパーク経営者の早山と知り合った。早山によると男は嶺崎という老人で、パークと山を隔てた土地を不法占拠し、ゴミの山と痩せこけた多数の犬猫と暮らしているという。そこで、2年ほど前から嶺崎のところで暮らしていた女性が最近、姿を見せないので、その女性の行方を探してほしいと依頼された。同じ頃、知り合いのヤクザ関係者・兼田から「高校時代の恩師が消息不明になったので理由を調べてもらいたい」との依頼があった。二つの調査を進めた畝原は、その背後にある社会の病理、過去に縛られる個人の苦悩、懸命に生きた末に辿り着く老人の孤独の深さに震撼する。それでも畝原は人間の善性を信じようと前を向くのだった…。
家族を愛し、人間の善性を信じ、損得なしに正義を貫いて行く。畝原シリーズの集大成とも言える作品で、札幌の私立探偵・畝原がだんだんワイオミングの猟区管理官・ジョー・ピケットに見えてくる。熱くてハートウォーミングなハードボイルドの完成形が、ここにある。
派手なアクションや銃撃戦はなくてもハードボイルドの面白さを堪能できる傑作として、多くの人にオススメしたい。

iisan
927253Y1

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