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【高村薫】
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冷血の評価:
7.80/10点 レビュー 5件。 B ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点7.80pt
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
冷血の感想
始めに、まだ上巻しか読んでいません。でもこの上巻もほぼ一日で読み終えました。久しぶりに興奮しながら本を読み進むという時間を堪能しました。文章が凄いなぁというのが素直な感想です。言葉がひとつひとつうごめき波となってこちらの意識の中に入ってきます。形容する言葉、表わす言葉、表現することを生業とする人が持つ資質が炸裂している文です。云っちゃあ悪いですが凡庸なミステリしか書けない作家には逆立ちしたって書けない文章でしよう。高梨あゆみの目を通して描かれる高梨家の日常と家族の様子とその小宇宙。そしてケータイの求人サイトで繋がったトダヨシオとイノウエカツミ。ふたりの行き当たりばったりの行動。16号線を行きつ戻りつ郵便局のATMを襲い、コンビニを襲い6、7万の金を奪ってクルマを代え16号線を流れて北区赤羽にやってくる。マンモス団地の先に一戸建ての並ぶなかにある歯医者の家に目をつける二人。ここまでの第一章だけでも読み応えがありページを捲る手が止まらなかった。そして、第二章は一転して警察側からの描写になる。事件の発見から警察組織の人的内容とその動きが綿密に描かれている。縦社会の人事的な動き、実際の捜査のあり方の様子が緻密に書き込まれているかのようにリアルで目を見張る描写です。どれほどの資料を用意したのかと思うほど警察内部の動きがとてもリアルに描かれていて驚嘆します。カポーティの冷血と同じタイトルをもってきた作者の意気込みとかエネルギーとかがストレートに読んでいるこちらに伝わります。ノンフィクション的な小説と云うのでしょうか。早く下巻も読まなければ、と思うのが正直な感想です。
ミステリーでも謎解きでありませんが、一級の警察小説です。フィクションでありながら、まるで実在の事件のドキュメンタリーを読んでいるような錯覚さえ感じました。行き当たりばったりで何の計画もなくATMを襲撃し、その足でコンビニ強盗に入り、ちょっとした思いつきで空き巣に入った歯科医の家で一家4人を惨殺すると言う残忍な犯人2人。捕まった後なんとか動機を明らかにしようとする警察だが、お金にも人にも全く執着を見せない2人に戸惑う合田をはじめとした警察官達。何が2人をここまで過激な行動に走らせてしまったのか?をなんとか理解しようとする合田の揺らぐ気持ちには非常に共感しました。他人への無関心や、想像力の欠如。まるで思い通りにならない子どもが暴れているのと変らないような無軌道な犯人の行動。少しずつだが明らかにされる2人の子ども時代だが、読んでいて酷いと思うものの、果たしてそれほど特殊なものだろうか?と思ってしまう。事件の前に少しだけ被害者家族の日常が娘の目を通して描かれているのだが、犯人のような極端なものではないものの、両親2人の目はともに自分のほうを向いているようで、規則正しい毎日の生活はあるものの、娘は醒めた目で2人を見ていて、正直家族としての濃い繋がりをあまり感じることができなかった。戸田の人生も挫折はしたものの、それほど違いはなかったのではないかとさえ思える。携帯やネットなど対人関係を希薄にするようなツールばかりが出回り、人と向き合うことができない人達はちまたに山とあふれている現在。東北の地震の後や沖縄の辛酸をニュースなどでみるにつけ、大方の人間はやはり他人ごとのように過ごしている毎日の中で、私達は知らないうちに2人のような人間を量産しているのではないかと感じてしまう。家庭教育や、格差をより広げてしまうようなことをあからさまに押し進めようとする今の政治家達は本当の子ども達の現実を見る気があるのだろうかと思えてならない。合田の目を通して、このままで良いのかと言う重い問いかけを向けられているのだと思います。
始めに、まだ上巻しか読んでいません。でもこの上巻もほぼ一日で読み終えました。久しぶりに興奮しながら本を読み進むという時間を堪能しました。文章が凄いなぁというのが素直な感想です。言葉がひとつひとつうごめき波となってこちらの意識の中に入ってきます。形容する言葉、表わす言葉、表現することを生業とする人が持つ資質が炸裂している文です。云っちゃあ悪いですが凡庸なミステリしか書けない作家には逆立ちしたって書けない文章でしよう。
高梨あゆみの目を通して描かれる高梨家の日常と家族の様子とその小宇宙。そしてケータイの求人サイトで繋がったトダヨシオとイノウエカツミ。ふたりの行き当たりばったりの行動。16号線を行きつ戻りつ郵便局のATMを襲い、コンビニを襲い
6、7万の金を奪ってクルマを代え16号線を流れて北区赤羽にやってくる。マンモス団地の先に一戸建ての並ぶなかにある歯医者の家に目をつける二人。ここまでの第一章だけでも読み応えがありページを捲る手が止まらなかった。
そして、第二章は一転して警察側からの描写になる。事件の発見から警察組織の人的内容とその動きが綿密に描かれている。縦社会の人事的な動き、実際の捜査のあり方の様子が緻密に書き込まれているかのようにリアルで目を見張る描写です。どれほどの資料を用意したのかと思うほど警察内部の動きがとてもリアルに描かれていて驚嘆します。カポーティの冷血と同じタイトルをもってきた作者の意気込みとかエネルギーとかがストレートに読んでいるこちらに伝わります。
ノンフィクション的な小説と云うのでしょうか。早く下巻も読まなければ、と思うのが正直な感想です。