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(短編集)

あんじゅう 三島屋変調百物語事続



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あんじゅう 三島屋変調百物語事続の評価: 9.00/10点 レビュー 2件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(10pt)

あんじゅうの感想

江戸の袋物屋「三島屋」はひとつ妙な趣向を凝らしている。
主人の伊兵衛が百物語の語り手を求めているのだが、それがまた妙なのである。
語って語り捨て、聞いて聞き捨て。
夜半ではなく昼間、一度にひとりずつ。
しかも聞き手は主人の姪・おちかである。
おちかはある事件を境に心を閉ざし、三島屋に行儀見習として身を寄せている娘である。
おちかは様々な不思議談を聞くうち、世間知を得、自身の不幸を見つめ直す。
ある日の語り手は番頭と丁稚という奇妙な組み合わせ。
はたしていかなる不思議談か―・・・

全4話の連作短編集。
単品でも読めますが、前作「おそろし」から読むことを奨めます。
前作はおちかの不思議談を通じて心を溶かす過程がメインかと思います。
今作のおちかは、前作の経験を経たためか、若干明るくなった気がします。
おちかが心を溶かし、多少打ち解けたためか、三島屋の面々の様子が前作より語られています。
三島屋の仲良い雰囲気や、叔父夫婦の人格者ぶり、奉公人の茶目っ気などが伺え、読んでいて楽しいです。
また、次作以降も関わりそうな新たな人物も出てきます。
彼らとおちかや三島屋の面々との会話は面白く微笑ましいです。
百物語そのものはもちろん、おちかの変化や周りの面々との関わりは面白いです。
次作はどうなるのか、楽しみにしています。

▼以下、ネタバレ感想

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あんみつ
QVSFG7MB
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

読む人に喜怒哀楽を感じさせる素晴らしい物語

前作『おそろし』の続きになります(未読の方は先にそちらを読むとより楽しめます)
私は宮部さんの作品は、心情描写が細かく描かれている一方、それ故の読み辛さ、読み疲れから敬遠しがちなのですが、このいわゆる「百物語シリーズ」は大好きです。
それというのも、この作品には読者を引き込む要素が多いのです。毎話ごとに語り手の話に出てくる妖怪(?)たちはとても個性的で、それが巻き起こすトラブルによって「一体どうなるんだろう」と読者は毎回引き込まれながら、さもそれをはたから見ているような気分になるのです。
そして迎える各話の最後は、宮部さんらしい人間味溢れる締めくくりがなされます。
読み終わると、いつのまにか次のページをめくっている。また新たな物語に引き込まれていくーー
そんな面白さを感じて、いつもの読み辛さをすっかり忘れて読みふけるのです。
ですからミステリーというよりは、本当に一つの人間物語を見るような感覚で、是非読んで頂きたいなと思います。

アルバトロス
CRRRDTJB

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