祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。

ようこは自分の部屋に戻り、箱を見た。

庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。

「理解はできないが受け容れる」著者が学生時代を過ごした英国の下宿の女主人ウェスト夫人と住人たちとの騒動だらけで素敵な日々。

コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。

はじまりは、「ぬかどこ」だった。

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。

亡き友の家を守る物書き、綿貫征四郎。

『西の魔女が死んだ』でのデビューから現在まで、25年の作家人生を映し出すエッセイ集。森を歩き、鳥を観る。

三十肩と鬱に悩まされている皮膚科学研究員の山幸彦は、ふたごの鍼灸師のすすめで祖先の地、椿宿に向かう。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。

小夜は12歳。人の心が聞こえる〈聞き耳〉の力を亡き母から受け継いだ。

村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。

きみはなぜ、まぶたを閉じて生きると決めたの―― 共に生きながら、今は遠く離れてしまった「わたし」と「ぼく」。

膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。

美しくて、かよわくて、本を愛したミーナ。

あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。

コンクール入賞者ツアーのはざま、亜夜とマサルとなぜか塵が二人の恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。

東京でピアニストとして活躍していた柏木ユリが音楽教師として長崎にある中五島中学校へ赴任してきた。

真夜中の屋根のぼりは、陽子・リン姉弟のとっておきの秘密の遊びだった。不登校の陽子と誰にでも優しいリン。

玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。

ちぎれそうな身体だって、おれの走りをするんだ。

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

巨額の遺産を相続した若い独身女性の家に侵入してみると、なぜかどの部屋のなかも鏡だらけ。

古書店『無窮堂』の若き当主、真

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

高校卒業と同時に三重県の山村に放り込まれた平野勇気19歳。林業の現場に生きる人々の1年間のドラマと勇気の成長を描く。

中1の奈緒がピアノを教わっている絹子先生の元に、フランスからサティのおじさんがやってきた。

北から南へ、そして南から北へ。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。

昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。

記憶狩りによって消滅が静かにすすむ島の生活。人は何をなくしたのかさえ思い出せない。

江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。

写真家志望の大学生・相羽慎吾。卒業制作間近、彼女の夏美と出かけた山里で、古びたよろず屋「たけ屋」を見付ける。

三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった―。ある日、学校で起きた陰惨な事件。

何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。

美味しい1杯のお茶が、あなたの悩みを癒します。 仕事もプライベートも崖っぷち。

中学校にはいろいろな生徒がいる。

小学生の百音と統理はふたり暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、三人でご飯を食べる。

雅男は、サッカーが好きなごくふつうの中学生。

いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。

「大きくなること、それは悲劇である」。