本所六間堀で夜鷹蕎麦屋の老爺が斬り殺された。

貧農の子亥吉と捨て子の千造は青空寺子屋で読み書き躾を習い、十一歳にして江戸に発った。

粋なやつ、不器用なやつ、土地っ子、よそ者…、色とりどりの人間模様が見られる東京浅草。

「俺にも神田の夜を賑やかにしてみせようという魂胆がある」―新宿、銀座と渡り歩いてきたバーテンダー・仙田は、神田の地に再びバー・ルヰを構え、最後の男の夢を賭ける。

訣れるために出会いがあるのか。人生を素直に進みたくない“待つ女”靖子の前に、俯いた表情の駒田が佇んだ。

市助には８人の子がいた。その子らが夜ごと寝間を抜け出して、朝まで箪笥の上に坐っている。

戦災孤児たちの奮闘を描く 感涙、感動の物語 なぜだろう。東京大空襲のあと、そして終戦、東京はよく晴れた日が続いた…。

かつて下町の路地で肩寄せ合って暮らした三軒長屋の面々が、それぞれの悲しみと別れを乗り越え、今年もまた、春野家の当主の命日に集う―暗雲たちこめる戦時下から、戦後四十年余りを経た平成の初めまで、時代の奔流の中で逞しく生きた庶民の「昭和」を描く長篇小説。

知り合いの染色デザイナー久子が“自殺村”出身と知った商社マン室谷は、古事記由来の地名を持つ村の秘密と死に魅力を感じる自らの出自の謎に導かれ、黄泉の国へと足を踏み入れていった…表題作の他、ユニークで破天荒な民話研究「庄ノ内民話考」、多元宇宙SF「二都物語」等

嘘をつかずにはいられない、その上その嘘が天才的にうまい。

ついに文庫化 感動の半村巨編 関ヶ原以後、豊臣方は壮大にして大胆な作戦を一人の男に託した 時は慶長、徳川との雌雄を決する大坂の陣が迫る中、豊臣方の起死回生策が密かに進行していた。

岬一郎は東京・下町に住むごく普通のサラリーマン。

“黄金奉行”とは、金山の不正を正すために徳川家康が設けた極秘の職である。

アトランティス、暗殺集団、赤い酒場、巨石信仰、狼男、吸血鬼、不死の生命…。

莫大な富で防衛庁を操り、首相も怯む“闇の巨人”を追っていた新聞記者が、怪光を発して飛び立つ円盤と、縄文土偶とも見える宇宙人を目撃する。

“退屈をまぎらわせてくれるなら何でもやるわ―”大金持ちで絶世の美女、本間好子と出会った梅谷は、遊び仲間の掘野、阿部、兼高を集めた。

作家水戸宗衛の助手をする井上昭が偶然に出会った謎の美女ユミは、戸隠に祀られた古代の神につらなる家系の娘だった。

コピーライターの私は、江戸時代の戯作者・山東京伝の、現代にも通用する粋なセンスに心酔していた。

現代日本SF第一世代作家6人の傑作選を日下三蔵の編集により刊行するシリーズ。

編集者津野田のもとにスポンサーの名指しで邪馬台国特集の大きな仕事が舞い込んだ。

総理大臣が外遊する際、随行医も務める大町が新宿の高層街にクリニックをオープン。

高村家のお抱え運転手・浜田五郎はある日、近所の銭湯の主人から、自分の右肩にある大きな痣が“嘆き鳥”と呼ばれることを教えられる。

警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。

サラダ工場のパートタイマー、野菜生産者、学校給食の栄養士は何を見たのか? 会社の不祥事で故郷に逃げ帰ってきた元広告塔・栄実、 どん詰まりの地元農業に反旗を翻した野菜生産者・剛、 玉の輿結婚にやぶれ栄養士の仕事に情熱を傾ける聖子。

時は天保、ところはお江戸。闇にそびえる巨大な石碑の傍らに正体不明の男が素っ裸で倒れていた。

自衛隊演習場で、新兵器の実験中に暴走事故が発生。的場一佐率いる第三特別混成団が約460年前の戦国時代に飛ばされてしまう。

その朝、人妻美子との情事のベッドで目覚めた広告マン室井はニュースに驚愕した。わが国のタンカー撃沈さる。

武士、庶民の区別なく、季節はめぐり、夏の陽光が江戸にふりそそぐ。

一九九九年初冬。新宿の超高層ビルの窓ガラスが、突如飛散した。

設計事務所に勤める神崎順一郎はある日、伊東のホテルで目が覚めた。

夢を買っていたはずの宝くじが当選した瞬間から、岩井栄介の人生は奇妙に歪みはじめていった。

一度にひとりずつ、百物語の聞き集めを始めた三島屋伊兵衛の姪・おちか。

人間の愚かさ、残酷さ、哀しみ、業――これぞ江戸怪談の最高峰! 塩断ちを機に次々と家族を襲った身も凍るほどの怪異、妖を呼び寄せる声をもった女中の奉公話、世にも奇妙な写本の話……人間の愚かさ、残酷さ、哀しみ、業――清濁すべての感情を併せ呑む、

17歳のおちかは、ある事件を境に、ぴたりと他人に心を閉ざした。

三島屋伊兵衛の姪・おちか一人が聞いては聞き捨てる変わり百物語が始まって一年。

離婚した杉村三郎は私立探偵事務所を設立。

江戸は両国の見世物小屋では、“まことの華姫”が真実を語る―ともっぱらの噂。

森二が刑務所を出た日、塀の外で二人の「兄」が待っていた―。

2020年、東京は多民族の入り乱れる雑居都市と化し、治安も衛生状態も最悪となっていた。

ある日、露木一郎はゆえなく国家権力に追われる身となった。

男の人ってウブね―。自分が必要とする時に男をよびよせ、意のままに操る順子…。