岬一郎の抵抗
- SF (392)
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30年前に読んだscience fiction 、是非もう一度読みたく購入しました。期待以上のものが蘇ってきました。書籍も傷んでおらず、有難かったです。 | ||||
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東京の下町に無口で大人しいが、他人の悪意や敵意を読み取る能力を持つ岬一郎というサラリーマンが住んでいた。また、町では植木が枯れたり、子供が倒れるなど公害が発生していると思われる問題が起きていた。住民達は東京都の環境整備局に綿密な調査を依頼しに行ったが、局員は不遜な対応をした。しかし、住民達の目の前でその局員は突然倒れて死亡した。原因はその頃、超能力が急速に発達していた岬の怒りが意に反して誘発した超能力によるものだった。岬は突然に成長し始めた超能力に戸惑いながらも、歩けない病人を超能力によって歩けるようにしたりと、病人の治療に専念するようになる。岬の超能力はマスコミを賑わし、当初は賞賛の的となった。しかし、外国や日本政府は岬の超能力を危険視し始めた。そして次第に岬を取り巻く環境は厳しい方向に変わる。 超能力者を扱ったSF小説の多くは、超能力者の大胆な破壊行為を伴いますが、本書の主人公・岬一郎は破壊行為を好みません。更に、自己の能力と社会及び人類進化との関係を深く考え、超能力を主に病人の治療に使うことだけに限定します。その穏やかではあるが卓越した超能力者であることが本書を他の超能力を題材にしたSF小説とは異なるものにしています。もし、真面目で善良な一般市民が卓越した超能力を有したら、社会はどのように反応するのかという事をテーマにした非常に面白い物語です。1988年の日本SF大賞受賞作品です。 | ||||
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半村さんの小説が、現代のいわゆるエンタメや 大がかりな伝奇小説と違うのは、実体験に 基づいた人間描写の深さではないでしょうか。 ですから、絶対的な悪や善を用意してストーリーを 簡略化しないで、お話はある意味沈痛に進んで行きます。 しかしドストエフスキーのように悪とは何か罪とは? などという生活から乖離した問いかけはなされません。 人間にはそれぞれ事情がある、欲望がある、 でも正義や善も確かにある。 あるけれども善悪も正邪も純粋も汚濁も、 その場その場ですり換わって たった一人の聖者はどう生きたらいいのか? 半村さんが伝奇・SF・人情もので培った筆力を すべてそそいでぼくらに、手に汗握らせながら 問いかけてくれます!! SFの元祖のひとり、オラフ・ステープルドンの 「オッド・ジョン」を思い出す、 胸の締め付けられる傑作です!! | ||||
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10年以上前に一度読んで、強烈に印象に残っていた作品を、もう一度読んでみた。初版は1988年出版され、日本SF大賞を受賞している作品だそうだ。昭和の匂いがプンプン漂う下町の人情話と、無敵な超能力者という奇妙な取り合わせだが、全然無理は感じない。 何の変哲もない下町にアパート暮らしする平凡なサラリーマン岬一郎が、ひょんなことから超能力を発現し、次第に力を強大化させていくストーリーだ。岬一郎は、超能力が社会に及ぼす影響を恐れ、自らを律し能力の行使を封印する。だが、社会は過剰に反応し、次第に岬一郎を排除する方向へ動いていく。 といったあらすじだが、主人公はこの超能力者岬一郎ではない。同じ町内で小さな印刷屋を営む、ジャーナリスト上がりの野口という男の視点で、物語は綴られていく。近所のおっちゃん、おばちゃんたちは、岬の能力に驚き、感謝し、隣人であることを誇りに思い、支持しサポートし始める。権力は、岬の能力を警戒し、恐れ、いらだち、やがて排除しようとし始める。ジャーナリズムは、まずネタに飛びつき、もてはやし、大騒ぎして、やがて権力に迎合して、岬を糾弾し始める。 著者は、野口という男に、元ジャーナリストというバックグラウンドを与えた。当の岬一郎には、ほとんど何も語らせず、野口の目を通して三者三様の反応の推移を、ある意味第三者的視点で語らせていく。うまいやり方だ。と同時に、そういった演出意図を読者に感じさせない著者の筆力に感心させられる。 この物語の主題は、本文中にも書かれているが、キリストの受難を現代に(といっても20年以上前だが)再現したことだろう。読み進めるうちに、もしかしたらイエス・キリストも超能力者で、岬一郎が物語の中で直面するような葛藤や不安を経て、悟りを開いたんじゃないかなんて気になってくる。いろいろ考えさせられる物語だ。 最後になったが、残念ながらこの本はもう絶版になっているらしい。紙の本は古本屋でしか手に入らないようだ。私は、昔買った文庫本はどこかに行ってしまったが、電子書籍版を購入して読んだ。XMDF形式でダウンロード可能だ。 | ||||
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超能力者の物語が大好きな読者には、一読の価値があります。 かなり長編なので、たっぷり考えながら、味わい深く楽しめます。 テレパシーや念力、患部に触れるだけで病を治す不思議な能力。 意識的にコントロールができる能力であれば、それは素晴らしい能力です。 すべての思いが現実化する怖さもあります。 かなり、穏やかな精神状態で、優しさと思いやり、そして善悪の判断力が必要な能力です。 岬一郎の人生は、この超能力によって、思いも寄らない方向に動き出す。 超能力者・岬の心理描写を読みながら、作者・半村良の思考が伝わってくるようだ。 J・B・ライン/C・G・ユング他著『超心理学入門』(青土社1993年)、L.ワシリエフ著『テレパシーの世界』(白揚社1973年)を読まれると、この小説『岬一郎の抵抗』が、かなりシリアスに感じられるかも知れない。 | ||||
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