聖母伝説
- SF (392)
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
聖母伝説の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
聖母伝説と平家伝説のレビューです。 【聖母伝説】 異色作とは聞いていたが、確かに自叙伝風だし、SF要素はごくわずか。半村良版『サラバ!』みたいな。谷口が宗教開くところも似ているし…… 半村良はバーテンや広告代理店と30の職を転々としたとか、デビューしてから10年はほぼ沈黙してた等の経歴は知ってたが、その謎が明かされてて面白かった。 ただ気になるのは、どこまでが実話なのかということ。 谷口関連はフィクションにしても、光子に捧ぐ――ともあるように、嫁とのエピソードは概ね実話なのか?黄金伝説や石の血脈のアイデアは本当に友達の外科医のアイデアが基なのか? たまたま福島正実と会ってそのまま入選した話は実話みたいだけど…… 以下ネタバレ ……と思いきや! オチまで読むと、本当に嫁がモデルなのか?と疑いたくなる。しかも調べると嫁の名は昭恵。では「光子に捧ぐ」とは……? デビュー後10年沈黙してたのは、当時の編集者と対立してたからってのは有名な話だし……一体どういうことなの…… そこで思い出した。 半村良とは、嘘屋である。自叙伝というのが既に壮大な嘘なのでは……?『産霊山秘録』の神統拾遺と同じパターンで…… そう考えると異色作でもなんでもなく、嘘屋たる半村良の正統作品と言えるのかもしれない ちなみにSF要素は薄いとは言っても、処女懐胎とキリストの復活という手垢のついたネタにこんな新しい解釈を与えるのは流石。伝奇SFの起源にして頂点である。 これだけの奇想ぶりなら、きっと谷口も振り払えただろう。 【平家物語】 対してこちらはまさに半村良の王道伝奇SF。 ごく平凡な日常的導入から、伝奇ロマン溢れる(ちょっぴり淫靡な)異世界に引きずり込まれ、唐突なSF的結末を迎える…… 風呂敷広めた割には尻すぼみ感があり、そういう意味では完成度は低いとも言える(あの結末は結末でも面白いけど、平家と何の関係もないよね)が、主人公たちの宿命があまりにも切なく、そちらの余韻で(いい意味で)誤魔化されるのであまり問題はない。 なにより、タイトルでもある平家伝説が素晴らしい。 風呂屋には石川県出身の割合が異常に高いという日常の謎から、遺伝する鳳凰の痣、平家の隠し財宝、三種の神器の正体、果てはUFOまで……見事な風呂敷の広め方でワクワクが止まらない。 能登の地名や歴史とも上手く絡んで、調べないとどこからが創作かわからないぐらいである。 そして相変わらず半村良は魔性の女……いや魅力的な女を描くのが上手い。あえてヒロインではなく「女」と言いたい。 そんな女に取り憑かれた、平凡なお抱え運転手の恋愛……伝奇やSFを抜きにして人情小説としても抜群に面白いのが半村良の魅力。SF小説家で初めて直木賞を獲ったというのも頷ける。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 1件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|